2021年01月28日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
と安全確保のために、緊急事態宣言該当期間終了までの間、営業時間を10時か
ら16時までに変更及び交代での在宅勤務を実施しております。
これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
ることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
居住用財産の特別控除/譲渡土地上の2棟の家屋は一構えの家屋に該当するか
(令02-06-19 公表裁決 一部取消し J119-2-03)
請求人は、2階の一部が渡り廊下で接合されている甲家屋と乙家屋(子所有)
は併せて一構えの一の家屋と認められるから、いずれの家屋の敷地も措置法35
条1項の特例の適用があるとして申告したところ、更正処分等を受けました。
審判所は、一構えの家屋については認めませんでしたが、譲渡収入金額の算出
方法については原処分庁と異なる判断をして処分の一部を取り消しました。
各家屋は、それぞれ、玄関、台所、風呂及び便所を備え、電気、ガス、水道及
び固定電話回線の各設備を有し、その規模、構造、間取り、設備の状況からすれ
ば、各家屋はそれぞれ独立した居住用家屋であることから、併せて一構えの一の
家屋であるとは認められず、乙家屋敷地について特例を適用することはできない。
原処分庁は、措通31の3-7《店舗兼住宅等の居住部分の判定》を適用して、
甲家屋と乙家屋の「延床面積の割合」により、甲家屋敷地に係る譲渡収入金額を
算出している。しかし、特例対象となる居住用家屋とならない居住用家屋が混在
している場合には、措通31の3-12《居住用家屋の敷地の判定》を適用し、
甲家屋敷地の面積は、甲家屋と乙家屋との「建築面積の割合」により、これを算
定するのが相当である。本件の建築面積は不明であるが、家屋の各階の登記上の
床面積のうち、最も広い面積を建築面積の代わりに用いるのが合理的である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 J119-2-03
2021年01月21日
【1】今週のお知らせ
令和2年8月作成の資産税審理研修資料が掲載されています!
〔行政文書の紹介〕
(TAINSコード:資産税審理研修資料R020800)
国税局の資産税審理研修資料をご紹介します。この研修資料は毎年作成されて
おり、各年分の資料がTAINSに収録されています。税制改正の概要と資産税
の審理上の留意点に合わせて、その年々で違ったテーマが取り上げられています。
令和2年は、相続税法における信託税制の基礎知識、事後監査の基礎知識、公益
法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例(措法40)に係る承
認特例についてです。
また、今回の資料は、民法改正により創設された配偶者居住権について課税関
係及び評価方法が全般的に取り上げられています。財産評価の審理上の留意点で
は、配偶者居住権の概要から始まり新設の通達説明、具体的な数字を用いた設例
があり、参考条文も併記されているのでわかり易く整理されています。配偶者居
住権を遺産分割によって取得したときは、遺産の分割が行われた時点で評価しま
す。配偶者居住権が存続期間満了前にその利益に対して適正な対価を支払われず
消滅した場合には、所有者が配偶者居住権の消滅直前に配偶者から贈与により取
得したものとみなされ、消滅時点で評価することが、贈与税の審理上の留意点に
記載されています。また、令和2年度税制改正の概要には、対価を取得して配偶
者居住権又は配偶者敷地利用権を消滅させた場合は、総合譲渡所得として課税す
ることや取得費の計算についても図を用いて詳しく記載されています。配偶者居
住権について税制の大枠を理解するのに役立ちました。
資産税審理研修資料は、どの年をとっても内容がそれぞれ違うので、新しいも
のだけではなく過年度の資料も税法を再確認する資料として非常に参考になりま
す。
≪検索方法≫〔細かい条件を指定して検索〕
【TAINSキーワード】資産税審理研修資料R020800
(要点メンバー:上原 登貴子)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
土地の評価~騒音により利用価値が著しく低下しているとして全部取消し~
(令02-06-02 公表裁決 全部取消し J119-3-04)
請求人は、相続により取得した土地について、国税庁ホームページのタックス
アンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」(本件
取扱い)に該当するとして相続税の更正の請求をしました。本件は、請求人が、
原処分庁の減額更正処分を不服として、審査請求に及んだ事案です。
審判所は、請求人の騒音の測定結果に一定の信用性を認め、審判所の現地調査
の結果や固定資産税評価額については、d鉄道e線の鉄軌道中心線から10m以
内に存する場合の鉄道騒音補正率0.90を適用して算定されていることなどか
ら、次のとおり判断して、原処分の全部を取り消しました。
本件土地については、(1)本件路線価に騒音の要因がしんしゃくされていな
いこと、(2)d鉄道e線の列車走行により、相当程度の騒音が日常的に発生し
ていたと認められること、(3)当該騒音により、その地積全体について取引金
額が影響を受けていると認められることから、本件土地の全体につき、騒音によ
り利用価値が著しく低下している宅地として本件取扱いにより減額して評価すべ
きものと認められる。したがって、本件土地の評価額は、本件土地全体を利用価
値が低下していないものとして評価した場合の価額から、当該価額に10%を乗
じて計算した金額を控除した価額により評価するのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 J119-3-04
2021年01月14日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
緊急事態宣言を受け、当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減
と安全確保のために、下記の通り営業時間の変更及び交代での在宅勤務を実施す
ることとしました。
これに伴い、お問い合せは、当ホームページ最下部右にございますお問合せフ
ォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合があ
ることをご了承ください。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしますが、ご理解をいただきますようよろ
しくお願いいたします。
営業時間:午前10時~午後4時
期 間:2021年1月12日(火)~緊急事態宣言該当期間終了まで
なお、実施期間については、状況により延長を検討します。
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
訴訟上の和解は「判決」に該当するか~後発的事由による更正の請求の特則~
(令01-06-21 非公開裁決 棄却 F0-3-673)
請求人が、相続財産の範囲確定等請求訴訟において和解が成立したことにより
相続財産が確定したなどとして、相続税法第32条(更正の請求の特則)の規定
に基づく更正の請求をしたのに対し、原処分庁が、当該和解は相続税法施行令第
8条(更正の請求の対象となる事由)第2項第1号に規定する「判決」には当た
らないなどとして、更正の請求の一部を認める更正処分をしたところ、請求人が、
原処分の全部の取消しを求めた事案です。審判所は次のように判断しました。
相続税法第32条第1項第6号は、後発的事由の一つとして、「前各号に規定
する事由に準ずるものとして政令で定める事由」と規定し、これを受けた相続税
法施行令第8条第2項第1号は、「相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財
産についての権利の帰属に関する訴えについての判決」と規定している。その解
釈は、原則として文理解釈によるべきであり、みだりに拡張解釈や類推解釈を行
うべきではないと解され、判決に和解を含むと規定していないから、本件和解は
「判決」に該当しない。
本件和解により、本件各債権(A社に対する貸付金、未収家賃、未収給料)及
び本件債務(貸金返還債務)について、相続税法第32条第1項第6号に規定す
る後発的事由を理由とした更正の請求を認めることはできない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-673
2021年01月07日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2021年1月15日(金)までの間、営業時間を10時から16時までに変更
及び交代での在宅勤務を実施しております。
これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
重加算税/隠蔽、仮装の認定/翌事業年度に計上すべき修繕費
(令02-03-10 公表裁決 一部取消し J118-1-03)
本件は、請求人が、建物の修繕工事に係る費用を損金の額に算入して法人税の
確定申告をしたところ、原処分庁が、請求人の代表取締役は、当該修繕工事が事
業年度終了の日までに着工すらしておらず、当該修繕費を損金の額に算入できな
いことを認識した上で、当該修繕工事の施工業者であるH社に請求書を発行させ
ることによって損金の額に算入したのであるから、その行為は事実の仮装に当た
るとして重加算税の賦課決定処分等をしたのに対し、請求人が、仮装の事実はな
いとして一部の取消しを求めた事案です。審判所は次のとおり判断し、本件賦課
決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分を取り消しました。
本件修繕工事につき、H社により施工されることが確かなものとして施主であ
る請求人側から依頼があれば、竣工前に請求書を発行したとしてもあながち不自
然とは言い切れず、また、請求書の納品日欄については、H社の請求書発行に係
るシステムの便宜上「3.30」と入力されたにすぎない可能性も否定できない。
本件事業年度の総勘定元帳、決算書等は、いずれも請求人の税務代理人により作
成されたものであり、請求人代表者に税務会計に関する知識や認識があったと認
めることはできない。原処分庁の主張する「相手方との通謀による虚偽の証ひょ
う書類の作成」及び「帳簿書類への虚偽記載」の各事実を認めることはできず、
通則法68条1項に規定する仮装に該当する事実があるとは認められない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 J118-1-03
2020年12月24日
【1】今週のお知らせ
(1)次号メールニュースは来年1月7日に配信します。
次週12月31日は休日のため、メールニュース505号は1月7日に配信し
ます。
(税法データベース編集室)
(2)課税庁の取組み姿勢が見えてきます 〔行政文書の紹介〕
(TAINSコード:査察部長会議R011002)
TAINSは、裁判例や裁決例のみならず、情報公開法に基づく開示請求を行
うことで入手した行政文書も収録されています。新たな資料を頻繁に収録し続け
ているため、タイムリーな情報を知ることができるのがTAINS最大の強みで
あるといえるでしょう。
例えば、令和元年10月2日から行われた全国国税局調査査察部長会議資料が
既に収録されていますので、今回はこの行政文書を紹介します。
この中で注目したい議題として、「国際分野における最近の動向」があります。
これによると、金融口座情報や多国籍企業の利益等の情報等を各国当局間で情報
交換していること、OECD税務長官会議で知見の共有が行われていること等が
示されています。
また、別の項目では「国際課税の充実」と題し、国際課税分野の体制整備の課
題が、(1)国際課税分野に関する調査実施部署等への支援の在り方、(2)移
転価格調査ノウハウの維持、(3)法人管理とリスク分析の在り方、の3点であ
るとされています。
これらを見ると、課税庁は国際課税分野により注力していこうとしていること
が分かります。このような行政文書から読み取れることを、雑談からでもクライ
アントに提供すれば、「気づき」を与える良い機会になるかもしれません。「行
政文書」と聞けば敷居が高いイメージがありますが、実は面白い情報の宝庫です。
検索条件で「行政文書」にチェックをすれば容易に検索が可能ですので、ご興味
があればぜひご覧ください。
≪検索方法≫〔細かい条件を指定して検索〕
【TAINSキーワード】査察部長会議R011002
(要点メンバー:中尾 隼大)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
行為計算否認/組織再編の一環として行われた同族会社からの借入れ
(令02-06-24 東京高裁 棄却・上告受理申立て Z888-2315)
Y社が、同族会社である外国法人からの借入れに係る利息を損金の額に算入し
て申告したところ、所轄税務署長より法人税法132条1項に該当するとして更
正処分等を受けた事案の控訴審です。東京地裁(令01-06-27、Z888
-2250)が、Y社の請求を認める判断を行ったため、国が控訴していました。
東京高裁は、国の控訴を棄却し、法人税法132条1項の不当性要件の判断枠
組みについては、次のように判示しています。
同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入
れが不当性要件に該当するか否かについては、当該借入れの目的、金額、期間等
の融資条件、無担保としたことの理由等を踏まえた個別、具体的な事案に即した
検討を要するものというべきである。特に、上記のような借入れが当該同族会社
の属する企業集団の再編等の一環として行われた場合においては、(1)当該借
入れを伴う企業再編等が、通常は想定されない企業再編等の手順や方法に基づい
たり、実態とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどう
か、(2)税負担の減少以外にそのような借入れを伴う企業再編等を行うことの
合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情も考慮し
た上で、当該借入れが経済的合理性を欠くか否かを判断すべきである。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2315
2020年12月17日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2020年12月25日(金)までの間、営業時間を10時から16時までに変
更及び交代での在宅勤務を実施しております。
これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
更正の請求~相続財産として申告した役員退職慰労金の一部合意解除~
(平31-01-24 非公開裁決 棄却 F0-3-677)
この事案は、相続財産として申告した役員退職慰労金(本件退職慰労金)の未
支給分に係る債権・債務が合意解除(本件合意解除)されたとして、審査請求人
らが更正の請求をしたところ、認められなかったことから争われたものです。
不服審判所では、次のとおり判断し、本件合意解除は、国税通則法施行令第6
条《更正の請求》第1項第2号に規定する「やむを得ない事情」によって解除さ
れたとは認められないとして、同号に基づく更正の請求はできないとしました。
本件合意解除は、A社(被相続人が取締役会長であった会社)と相続人らが作
成した確認書に、未払退職慰労金の支給について、合意に基づきやむを得ず解除
を行ったこと等を相互に確認する旨の記載があることからすれば、法律で定める
解除権(法定解除権)又は本件退職慰労金に係る契約に基づく解除権(約定解除
権)が行使されたものとは認められない。
また、A社が連続して経常損失を計上するような状況において、本件合意解除
が抜本的再建計画の一環として行われたとみることもできるが、A社の債務の切
捨てが全取引金融機関からの借入金についても行われたわけではなく、A社の債
務を消滅させる取引が本件合意解除に限られていることからすれば、飽くまでも
本件合意解除は、任意に行われたものと認めるのが相当であり、本件合意解除に
客観的な事情があるとまではいえない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-677
2020年12月10日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
2020年12月11日(金)までを予定しておりました当社団職員の新型コ
ロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保の対策ですが、現状を鑑み、20
20年12月25日(金)まで延長させていただくこととなりました。
引き続き、営業時間を10時から16時までに変更及び交代での在宅勤務を実
施いたします。
これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
社会保険診療報酬の特例/麻酔科医が業務委託契約先の病院から受ける報酬
(令02-01-30 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2318)
保険医療機関であるAクリニックを個人で開設する麻酔科医である原告は、他
の複数の保険医療機関(各病院)との業務委託契約に基づき各病院で実施される
手術(本件手術)において麻酔施術を行い、その対価として報酬を受けています。
本件は、原告が各報酬について概算経費により事業所得を計算して申告したとこ
ろ更正処分を受けた事案です。裁判所は、各報酬額は、措置法26条1項にいう
「社会保険診療につき支払を受けるべき金額」に該当しないから、概算経費額を
必要経費に算入することができないとして、その理由を次のように判示しました。
各病院は、本件手術の実施に当たり、執刀医、看護師や臨床工学技士など、麻
酔科医を除く全ての医療従事者を提供しているほか、本件手術に必要な設備や器
具、薬剤等についても全て用意し提供しているのであるから、各病院が自ら主体
となって本件手術を実施したものであることは明らかである。そうすると、患者
の治療等へのAクリニック(原告)の関与は、各病院が主体となって実施した本
件手術において、その各種の医療関係行為の一環として行われた麻酔施術につき、
麻酔専門医である原告を提供したにとどまるものといえる。したがって、原告は
自ら主体として療養の給付を行ったとは認められないから、麻酔施術に係る社会
保険診療につき支払を受けるべき地位にあるとはいえず、各報酬額は措置法26
条1項にいう「社会保険診療につき支払を受けるべき金額」に該当しない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2318
2020年12月03日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2020年12月11日(金)までの間、営業時間を10時から16時までに変
更及び交代での在宅勤務を実施しております。
これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
小規模宅地等の特例~「生計を一にしていた」親族の該当性~
(平30-08-22 非公開裁決 棄却 F0-3-670)
請求人らが、相続により取得した宅地(特定事業用宅地等)について、小規模
宅地等の特例を適用して相続税の申告をしたところ、原処分庁から、請求人A(
被相続人の長男・成年後見人)は被相続人と生計を一にしていた親族に該当せず、
特例の適用はないとして相続税の更正処分等を受けた事案です。
請求人Aは、被相続人と「別居」していましたが、国税通則法基本通達等を根
拠に「生計を一にするということは、日常生活において相手に力を与え助けるこ
とを経常的に行っているかどうかに判断基準を置くべきである」などと主張して
争いました。審判所は、次のとおり判断して、請求人の請求を棄却しました。
「生計を一にしていた」とは、同一の生活単位に属し、相助けて共同の生活を
営み、あるいは日常生活の資を共通にしていたことをいい、また、「生計」とは、
暮らしを立てるための手立てであって、通常、日常生活の経済的側面を指すもの
と解される。本件の場合、請求人Aと被相続人は、同居しておらず、請求人Aは、
被相続人に係る食費、訪問介護費、日用品費及び医療費等について、被相続人名
義の預貯金口座から出金した金銭等により支払うなどしていることからすれば、
請求人Aと被相続人の間で、居住費、食費、光熱費その他日常の生活に係る費用
の主要な部分を共通にしていた関係にはなかったといわざるを得ず、他に日常生
活に係る費用の主要な部分を共通にしていたことを示す事実も認められない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-670
2020年11月26日
【1】今週のお知らせ
TAINSに収録されている行政文書のご案内 〔行政文書の紹介〕
(TAINSコード:国税局長会議R010801)
TAINSには、情報公開法に基づく開示請求により入手した様々な行政文書
が掲載されています。その中には、国税局長会議や徴収部長会議、課税部長会議
などの会議資料といったものまで収録されています。これらは、課税庁の「今」
の取り組みが見える資料です。少しマニアックな資料になりますが、個人的には、
雑談に使える面白い資料になっていると思います。
今回紹介する行政文書は、令和元年8月1日から2日間にわたって行われた、
全国国税局長会議の会議資料です。まず、日程表が掲載されています。長官の訓
示からはじまり、一つの議題について約20分程度の時間をかけて会議が進行し
ているのがわかります。次に、参加者の名簿、配席図(席順表)が掲載されてい
ます。そして、会議資料が70頁以上にわたって掲載されています。内容は、各
課、各部の課題や個別議題といったものです。まず、目を引くのは、「課税部当
面の課題」です。「調査パフォーマンス向上に向けた取組」として、(1)局署
の調査パフォーマンス、(2)調査におけるデータ活用の推進、(3)シェアリ
ングエコノミー等新分野の経済活動への的確な対応といった取組が報告されてい
ます。そして、「調査査察部当面の課題」は、「リスク・ベース・アプローチに
基づいた取組の推進」と銘打って(1)組織的・継続的な納税者管理等、(2)
適正な調査事務運営の推進、(3)データ活用の推進、(4)経済社会情勢の変
化への的確な対応、(5)協力的手法に係る取組、(6)国際課税分野への対応、
といった課題と対応が示されています。
これらの資料を見ると、調査の効率性をいかに高めるかが最大の課題になって
いることがわかります。そして、調査必要度の高いのはどのような法人なのかが、
見えてきます。
読み物として楽しむもよし、クライアントとの雑談資料として使うもよし、課
税庁の今後の傾向を読み解く分析資料として使うもよし、様々な楽しみを見つけ
てみてはいかがでしょうか。
≪検索方法≫ 【キーワード】 国税局長会議R010801
(要点メンバー:黒住 茂雄)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
住宅用賃貸部分を含む中古建物の用途区分~課税対応課税仕入れの該否
(令02-09-03 東京地裁 全部取消し 控訴 Z888-2312)
不動産の売買及び仲介業務等を目的とする原告X社は、将来の転売を目的とし
てマンション84棟(その一部又は全部が住宅として貸し付けられているもの)
を購入し、消費税等の確定申告において、本件各課税仕入れが消費税法30条2
項1号にいう「課税対応課税仕入れ」に区分されるとして、消費税額の全額を控
除して申告をしました。これに対し、麹町税務署長は、本件各課税仕入れは同号
にいう「共通対応課税仕入れ」に区分すべきものであり、本件各課税仕入れに係
る消費税額の一部しか控除することができないとして、各更正処分をした事案で
す。裁判所は、次のように判断し、X社の主張を全面的に認めました。
X社が仕入れた収益不動産を賃貸することは、販売のための手段として位置付
けられるもので、その賃料収入は、収益不動産を賃貸することによって不可避的
に発生するものであり、事業の目的からして、副産物というべきものである。
各仕入日に賃料収入が見込まれることをもって、各課税仕入れにつき「その他
の資産の譲渡等」にも要するものとして共通対応課税仕入れに区分することは、
本件事業に係る経済実態から著しくかい離するばかりでなく、課税仕入れに係る
消費税額について税負担の累積を招くものとそうでないものとに適正に配分する
という観点に照らしても、相当性を欠くものといわざるを得ない。したがって、
各課税仕入れは課税資産の譲渡等にのみ要するものとして課税対応課税仕入れに
区分するのが相当であるから、その全額が控除対象仕入税額となる。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2312
2020年11月19日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2020年11月27日(金)までの間、営業時間を10時から16時までに変
更及び交代での在宅勤務を実施しております。
これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
不動産所得の必要経費/親族が役員を務める管理会社に支払った外注費
(令01-05-23 非公開裁決 棄却 F0-1-1078)
本件は、不動産賃貸業を営む請求人が、親族(妻乙、子丙及びその妻丁)が役
員を務める不動産管理会社A社に外注費として支払った金員が、不動産所得の必
要経費に算入することはできないとして更正処分等を受けた事案です。審判所は
次のとおり判断して、請求人の請求を棄却しました。
請求人及びA社は、契約書等の合意文書、A社が本件委託業務に従事したこと
を証する業務日誌等の報告書のほか、本件委託業務に係る請求書及び領収証など
をいずれも作成していない。本件賃貸業に係る管理業務について、賃料等の管理
業務及び記帳業務(本件業務)を、乙等が行っている事実は認められるものの、
契約終了に係る業務の一部は、B社が行っていたこと等が認められ、当審判所の
調査及び審理の結果によっても、A社が上記以外の本件賃貸業に係る管理業務を
行っていたことを認めるに足りる証拠はない。また、乙等が行っている本件業務
についても、委託業務に係る合意が明示的にされていたとは認め難いことに加え
て、乙は、平成27年7月まで請求人から青色事業専従者給与の支給を受け、青
色事業専従者として従事していた者であること並びに本件業務に要すると推測さ
れる労力等からすれば、乙が行った業務は、請求人の青色事業専従者として行っ
たものと認めるのが相当であり、A社の業務として行われたものとは認められな
い。以上によれば、本件各金員が本件賃貸業と直接の関係を持ち、かつ、本件賃
貸業の遂行上必要なものとは認められない。
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