2023年05月11日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
TAINSだより(2023年春号)を掲載いたしました。
≪特別寄稿≫令和5年度税制改正のあらまし(東京税理士会:中島孝一氏)
検索トップページ右下「TAINSだより」をクリックすると閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)
(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・H31-02-14 裁決 一部取消し F0-3-713
土地の評価/「広大地」該当性・駐車場敷地の「貸宅地」該当性
【法人税】
・R05-03-23 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2484
役員給与の不相当に高額/主たる事業はファブレス事業か卸売業か
【消費税】
・R04-04-12 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2449
簡易課税制度選択不適用届出書の不提出/本則課税適用の可否
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
取得条項付株式を譲渡した場合の適正な価額~低額譲渡の該否~
(令04-01-20 非公開裁決 全部取消し F0-2-1047)
請求人が、その保有する取得条項付株式の一部を、発行法人の定款に定められ
た算定式に基づき算出された金額で同法人に譲渡したところ、原処分庁が、当該
株式の譲渡の対価の額は適正な価額に比して低額であるから、当該譲渡の対価の
額と適正な価額との差額が益金の額に算入されるなどとして、法人税等の更正処
分等を行いました。これに対して、請求人は、本件譲渡株式については、当事者
は本件取得条項に定められた本件算定式に基づき算出される金額を考慮して取引
を行うことから、同額を超える価額で取引を行うことは合理的に考えてあり得な
いなどと主張して、原処分の全部の取消しを求めた事案です。
審判所は、次のように判断し、原処分の全部を取り消しました。
B社は大会社に該当し、普通株式は原則として類似業種比準価額で評価するが、
類似業種比準方式に合理性がある一方で、取得条項付の議決権に制約のある株式
の時価については、確立された評価方法があるわけではなく、議決権の制約や現
金による取得条項が、普通株式の時価との関係で減価要因にもなるという見解も
あることを考慮すれば、本件譲渡株式の本件譲渡時における1株当たりの価額が、
B社の普通株式を前提とした試算値(審判所が1株当たりの価額を試算)の約8
倍に相当するという原処分庁の主張を認めることは、明らかに困難なことといわ
ざるを得ないし、結局、適正な価額に比して低額であるとは認められない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1047
2023年04月27日
【1】今週のお知らせ
(1)次号メールニュースは5月11日に配信します。
次週5月4日は休日のため、メールニュース618号は5月11日に配信しま
す。
(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R04-09-14 東京高裁
原判決取消し、認容、納税者勝訴、上告受理申立て Z888-2472
外国子会社合算税制/非関連者の保険会社と締結した再保険契約に係る収入保
険料
・R03-08-06 裁決 一部取消し、棄却 F0-2-1043
源泉徴収義務/ホステスに支払った金銭の給与所得該当性
・R04-03-14 裁決 一部取消し、全部取消し F0-2-1063
中小企業者等が機械等を取得した場合の特別控除/重ダンプの機械装置該当性
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
通則法74条の10の無予告要件/代表者個人預金口座による売上除外の把握
(令03-10-06 東京地裁 棄却 確定 Z888-2469)
本件は、原告が、長野税務署長により無予告調査を受けた結果、長野税務署長
から、平成30年4月期に係る法人税等の更正処分を受けたことから、本件各更
正処分はいずれも国税通則法74条の10に反する違法な手続に基づくものであ
るなどとして、本件各更正処分の取消しを求める事案です。東京地裁は次のとお
り判断し、原告の請求を棄却しました。
原告は、取引先からの売上代金の一部を原告代表者名義の預金口座で受け入れ
ていながら、原告の「預貯金等の内訳書」において、本件預金口座を記載してい
なかったこと、原告及び原告代表者の申告内容を前提とすると、平成29年4月
期及び平成30年4月期において、原告代表者から原告に対し、原告代表者の年
収を超える額の資金が移動(原告代表者からの借入金残高が増加)していること
になること等から、長野税務署長において、原告が本件預金口座を利用した売上
除外等を行っていることを想定したことは不合理なものということはできない。
一般に、原告のような家族経営の中小企業では、帳簿類等の改ざんを防ぐため
の内部統制が不十分であることが多いことなども踏まえると、本件無予告調査に
際しては、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ等があると認
める場合にあったといえる。本件無予告調査は無予告要件を満たしており、無予
告調査を行ったことに国税通則法74条の10に反する違法はない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2469
2023年04月20日
【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
できません。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。
日時:2023年4月24日(月) 午後10:00 ~ 午後10:30
※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
(システム部長:小林 英樹)
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【他国税】
・R05-03-08 東京地裁 一部認容・棄却 Z999-7226
印紙税/消費生活協同組合が運営する総合病院等が作成した領収書及び契約書
等
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
実質所得者課税の原則/資金調達のために発行した社債の利子
(令04-02-01 東京地裁 認容・確定 Z888-2457)
外国法人A社の東京支店は、ロンドン本店と本支店間取引により資金調達を行
っていましたが、英国の税法上、外国税額控除を十分に受けられずにいました。
そこで、本支店間融資取引の経済的実質を変えない資金調達として、東京支店が
ロンドンの本店に対して社債を発行し、本店はその社債をA社の完全子会社で外
国法人のB社に、B社は日本のC社に譲渡しました。本件は、利子の収益を実質
的に享受している者はB社として、A社が課税庁から源泉所得税の納税告知処分
等を受けた事案です。東京地裁は、下記判断をして、処分を全て取り消しました。
本件の課税物件である利子の実質所得者を判断するに当たっては、本件利子に
係る経済的損益の帰属先のほか、資金調達取引全体の仕組み、資金調達取引に至
る経緯あるいは関係者の認識、資金調達取引の実施状況など諸般の事情を総合的
に考慮すべきものと解される。本件資金調達取引においては、利子に係る収益を
含む社債等に関する経済的な損益につき、法的な権利義務関係を通じて、最終的
にロンドン本店に帰属するという仕組みを採用していることのほか、社債等に係
る損益を全てロンドン本店に帰属させることが資金調達取引を実施する不可欠の
要素であることは、関係者間における一貫した共通認識であって、本件資金調達
取引の実際の実施状況もこれに沿う形で行われているものである。
以上によれば、本件利子の実質所得者はロンドン本店と認めるのが相当である。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2457
2023年04月13日
【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録いたしました。
国税不服審判所のホームページに掲載された、令和4年7月から9月分の公表
裁決事例の収録が完了いたしました。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集128集
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【消費税】
・R05-03-06 最高最 棄却、確定 Z888-2480
用途区分/住宅用賃貸部分を含む中古建物/課税売上対応分か共通対応分か
・R05-03-06 最高最 破棄自判・被上告人の控訴棄却、確定
Z888-2481
過少申告加算税/正当な理由/住宅用賃貸部分を含む中古建物の用途区分
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
みなし贈与と相続時精算課税~被相続人の債権放棄による株価の増加額~
(令04-03-16 非公開裁決 棄却 F0-3-856)
この事案では、相続開始前、被相続人がA社(請求人が50%超の株式を所有
する同族会社)に対する貸付金債権を放棄したことによる株価の増加額につき、
みなし贈与の対象となるか否かが争点の一つとなりました。請求人は、その過程
で、A社株式のうち10,100株は、被相続人から相続時精算課税の対象とな
る贈与によって取得したものであって、その贈与時の価額も確定しているから、
債権放棄によるA社株式の評価額の増加に相続税法第9条の規定を適用すること
は、相続税法第21条の15第1項の規定に照らして、許されない旨主張しまし
た。審判所では、次のとおり判断し、請求人の主張を斥けました。
相続時精算課税制度は、民法上の贈与契約のみならず、これに当たらない資産
移転、経済的利益の付与であっても相続税法の規定により贈与とみなされて課税
されるものは、全て適用の対象となる。A社株式のうち10,100株の贈与と
債権放棄は別個の行為であって、当該株式贈与に対する課税と債権放棄に対する
課税は異なる課税原因に基づくものである。また、債権放棄によるA社株式の評
価額の増加は相続税法第9条の規定の適用がある財産の増加というべきであって、
相続税更正部分は、A社株式の単なる評価額の増加を対象としたものでない。
したがって、債権放棄に伴うA社株式の評価額の増加に相続時精算課税制度を
適用して、課税することは相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-856
2023年04月06日
【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
土壌汚染地の評価について 講 師:税理士 毛利修平
(データベース部長:水庭 清隆)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
税理士損害賠償/横領の調査確認等・所得拡大促進税制の失念
(令02-02-20 東京地裁 一部認容・棄却 Z999-0181)
原告の顧問税理士であった被告が、原告代表者による横領について、原告に対
する報告や是正・指導を行わず、それらが被告との間の業務委託契約に係る善管
注意義務に反するものであると主張し、原告が、被告に対し、債務不履行1によ
り、横領された金銭の一部である3000万円及び遅延損害金の支払を求めると
ともに、被告が所得拡大促進税制の適用を失念して確定申告をしたことが、善管
注意義務に違反するものであると主張し、債務不履行2により、過大納付額等1
038万余円及び遅延損害金の支払を求める事案である。
裁判所は、(1)顧問契約の定めから、会計書類の内容を調査・確認し、不審
点を明らかにして助言・指導するなどの義務が被告にあったと解することはでき
ないから、債務不履行1に基づく原告の請求には理由がない。(2)原告は、3
542万余円を納税したが、被告が本件税額控除制度を適用していれば、納税額
は2925万余円で足りたと認められるから、差額616万余円は、債務不履行
2と相当因果関係のある損害であるということができる。(3)賠償金に法人税
等が課税されるのは、損害賠償金が発生したことを益金として扱うこととした租
税制度の結果にすぎず、債務不履行2と相当因果関係のある損害ではない。
などと判断し、被告に646万余円及び遅延損害金の支払を命じました。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z999-0181
2023年03月30日
【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【法人税】
・R03-10-06 東京地裁 棄却、確定 Z888-2469
通則法74条の10の無予告要件/代表者個人預金口座の利用による売上除外
の把握
・R03-12-23 宇都宮地裁 棄却、控訴 Z888-2476
税務調査の手続の瑕疵と更正処分等の取消事由/宅地造成工事に係る外注費
【その他】
・R04-04-19 東京地裁 棄却 Z999-0180
税理士損害賠償/税務顧問契約等の存否・税理士としての注意義務違反の有無
・R02-02-20 東京地裁 一部認容、一部棄却 Z999-0181
税理士損害賠償/善管注意義務違反/横領の調査確認等・所得拡大促進税制の
失念
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
為替差損益(雑所得)/外国通貨により他の外国通貨を取得する取引
(令04-08-31 東京地裁 棄却 Z888-2465)
原告は、スイスの銀行と「投資一任契約」を締結していたところ、運用の一環
として、外国通貨によって他の種類の外国通貨又は有価証券を取得する取引が行
われました。原告は、この取引から雑所得が生ずることはないと思っていました
が、確定申告書及び国外財産調書等を提出したところ、渋谷税務署長から、この
取引から為替差損益(雑所得)が生じているとして更正処分等を受けました。
東京地裁は、ある外国通貨Aにより他の種類の外国通貨Bを取得する取引につ
いては、他の種類の外国通貨Bの取得価額の円換算額から外国通貨Aの取得価額
の円換算額を控除した差額が、正の値であるときは、その取引によって、新たな
経済的利益が得られたことになり、所得が生ずることになると判示しました。
そして、為替差損益について、その収入の原因となる権利が確定するのは、取
引の時点であるということができるから、取引がされた年において、為替差損益
を「収入すべき金額」として認識することができるとしました。また、仮に、為
替差損益から所得が生ずるとしても、その所得区分は事業所得になる旨の原告の
主張に対しては、取引の遂行に当たっての原告が担っていた役割や負担は、基本
的に余剰資金の提供にとどまっていたということができるから、為替差損益から
生ずる所得は、事業所得ではなく雑所得に該当すると判断しています。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2465
2023年03月23日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R04-01-27 裁決 棄却 F0-1-1414
行為計算否認/同族会社とのサブリース契約における適正賃貸料/転貸方式
・R03-07-12 裁決 棄却 F0-1-1381
所得区分/リストリクテッド・ストック・ユニットに係る経済的利益
・R04-03-25 東京地裁 却下 Z888-2482
訴えの利益/減額再更正処分がされた場合/非居住者の店頭外国為替証拠金取
引
【法人税】
・R04-08-26 東京地裁 棄却 Z888-2464
源泉徴収義務と重加算税/社会福祉法人から理事長に移動した施設建築資金
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
生命保険契約に関する権利~保険料負担者・代理人による贈与契約の有効性~
(令04-03-02 非公開裁決 全部取消し F0-3-794)
原処分庁は、請求人らの一部(被相続人の孫ら8名)を契約者とする各生命保
険契約に関する権利は、遺贈により取得したものとみなされる(相法3(1)三
)として、相続税に係る各更正処分等を行いました。これに対し、請求人らが、
各保険料については、各契約者が、被相続人から贈与された現金により支払った
ものであるとして、各更正処分等の全部の取消しを求めた事案です。
争点は被相続人が各保険料を負担したか否かであり、請求人Aが被相続人の代
理として行った本件各贈与契約の有効性が争われました。
審判所は、次のように判断し、各更正処分等の全部を取り消しました。
被相続人から請求人Aに対し本件代理権の授与がなかったと認められないこと
からすると、本件各贈与契約が無権代理により無効であるとはいえず、また、原
処分庁からは、顕名がないことのほかに、本件各贈与契約が無効であることにつ
いての客観的な証拠に基づく主張立証がなく、この点を根拠として、被相続人が
本件各保険料を負担したとする原処分庁の主張には理由がないこととなる。そう
すると、被相続人が本件各保険料を負担したとは認められないことから、各保険
契約に関する権利は、相続税法第3条第1項第3号に規定する遺贈により取得し
たものとみなされる財産には該当しない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-794
2023年03月16日
【1】今週のお知らせ
Japplic書式集検索のご紹介
確定申告シーズンが終わり、採用や人事異動の季節が近づいていますが、各種
手続の準備はお済みですか?TAINS会員の皆様は、日本法令のJapplic.next法令
書式・ビジネス文書を追加料金なしでご利用いただけます。
マイナンバーや年末調整、各機関への申請書等の人事関連書式のほか、各種契
約書や最新の法令に基づいた規程類のひな型を記入例、解説付きでダウンロード
できます。
〔ご利用方法〕
TAINSにログイン → 検索トップ画面下部「Japplic書式集検索」
ログインページURLはこちら https://www.tains.org/
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
同一銘柄の株式を特定口座と一般口座双方に保有の場合の株式譲渡の計算
(令04-02-24 東京地裁 棄却 Z888-2455)
原告は、同一銘柄の上場株式を、特定口座と一般口座の双方において保有して
いたところ、そのうち一般口座において保有する株式のみを譲渡しました。原告
が、取得費に算入する金額は、一般口座において保有する当該上場株式の取得価
額だけでなく、特定口座において保有する株式の取得価額も含めて総平均法に準
ずる方法により算出した額で申告したところ、更正処分等を受けました。
争点は、本件譲渡株式の取得費の計算方法及びその金額です。措置法37条の
11の3(平成25年改正前)の規定は、特定口座内保管上場株式等が譲渡され
た場合にのみ適用され、一般口座内保管の上場株式等が譲渡された場合には適用
されないのかです。
裁判所は、次のように判示し、原告の主張を棄却しました。
特定口座制度が創設された趣旨等、特定口座の受入れと払出しの規制等、取得
費の算出方法として総平均法に準ずる方法が採用された趣旨等を総合考慮すると、
一般口座内に保管されている上場株式等を譲渡した場合に所得税法48条3項及
び所得税法施行令118条1項を適用するに当たり、同一銘柄の特定口座内保管
上場株式等については、その銘柄が異なるものとして、その取得価額は、一般口
座内に保管されている上場株式等の取得費の計算において考慮されないものと解
するのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2455
2023年03月09日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINSホームページ システムメンテナンスのお知らせ
下記の日程でシステムメンテナンス作業を行うため、作業時間帯においてTA
INSのホームページにアクセスできない場合がございます。TAINSのホー
ムページを経由したログインができないことが想定されるため、データベースを
ご利用の方は事前にログインページをブックマークするなどログインページから
直接ログインできる準備をお願い致します。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。
日時:2023年3月9日(木) 午後11:00 ~ 午後12:00
※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
(システム部長:小林 英樹)
(2)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
ポイント交換に伴って受けた金員が消費税の不課税とされた事例
~消費税法上の「対価」の該当性~
講 師:税理士 梅野智子
(事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
譲渡費用該当性/媒介契約及び売買契約の目的物と建物の取壊費用
(令03-02-25 非公開裁決 棄却 F0-1-1303)
本件は、請求人が、土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、当該土地の上
にあった甲建物及び乙建物の取壊しに要した費用を控除して申告したのに対し、
原処分庁が、当該費用は譲渡費用に該当しないとして更正処分等を行ったという
事案です。審判所は、次のとおり判断し、本件取壊費用は譲渡費用に該当しない
として、請求人の請求を棄却しました。
甲建物には、本件取壊しの前から老朽化のために倒壊のおそれがあった上、乙
建物も、長年にわたって1階の事務所部分以外には入居者もおらず、当該事務所
部分の賃借人も、平成24年12月頃に車の衝突事故により事務所部分が損傷し
たために退去したことなどが認められるところ、その退去から間もない平成25
年3月31日に取壊しが完了したことも併せ考慮すれば、本件取壊しは老朽化や
車の衝突事故による損傷等に起因して行われたものとするのが合理的である。平
成26年11月21日に締結された本件土地の売買に係る一般媒介契約及び平成
30年8月2日に締結された本件土地の売買契約の目的物は、本件土地のみとさ
れていたのであり、当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、本件取壊し
は媒介契約や売買契約の前提又は内容になっていなかったというほかない。
以上によれば、現実に行われた売買契約による譲渡を前提とすると、客観的に
見て本件譲渡を実現するために取壊費用が必要であったとは認められない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-1-1303
2023年03月02日
【1】今週のお知らせ
誤りやすい事例集(大阪国税局作成)を収録いたしました。
大阪国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
した。
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
で検索いただけます。
譲渡事例大阪局R041101
譲渡事例大阪局R041102
贈与事例大阪局R041100
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
試験研究費の特別控除/期限後に行われた移転試験研究費等に係る認定申請等
(令03-09-09 東京地裁 棄却 Z888-2430)
A社とB社は吸収分割契約を締結し、A社の事業の一部がB社に承継されまし
た。この移転した事業には移転試験研究費の額が存在せず、A社は移転試験研究
費等に係る認定申請を、A社及びB社は、その適用に係る届出を期限内に所轄税
務署長に行っていませんでした。本件は、所轄税務署長が、B社に対し全額加算
方式を適用して試験研究費の特別控除額を計算し、法人税等の更正処分等を行っ
た事案です。東京地裁は、B社を吸収合併して訴訟承継人となったA社の請求を
棄却し、続く東京高裁(Z888-2447)もA社の控訴を棄却しています。
分割法人に生じた試験研究費の額のうち、移転事業における移転試験研究費の
額とそれ以外の事業に係る試験研究費の額との区分は、分割法人でなければ適切
に行えないところ、分割法人による区分が恣意的に行われないようにするために
は、所轄税務署長によってその区分が合理的な方法に従って行われたものである
か否かを認定する必要がある。また、特別控除の額の算定は、分割法人及び分割
承継法人において相互に矛盾しないように行う必要があるから、分割法人及び分
割承継法人の全てがそれぞれ所轄税務署長に対して届出を要するものとしている
ものである。租税特別措置法施行令27条の4が、移転分加算方式の適用を受け
るために認定及び届出を要するものとし、これらを欠く場合には全額加算方式が
適用されることとしたことは、合理的なものである。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z888-2430