TAINSメールニュース No.660 2024.03.14 発行(社)日税連税法データベース

2024年03月14日

【1】今週のお知らせ
(1)システム改修実施のお知らせ
下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯において一時的にTAIN
Sのご利用ができない場合がございます。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。

日時:2024年3月21日(木) 午後10:00 ~ 午後11:00
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)

(2)収録した判決の一部を紹介します。
【相続税】
・R04-02-09 大阪高裁 棄却、上告、上告受理申立て
Z888-2539
貸付金債権の評価/同族会社に対する貸付金の回収可能性・「特別の事情」の
有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62138

【法人税】
・R04-06-30 名古屋地裁 棄却、確定 Z888-2537
源泉徴収義務と重加算税/宗教法人の住職夫婦の証券口座に入金された金員
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61990
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等          (税法データベース編集室:草間 典子)
更正処分の取消判決が出ましたが、納めた重加算税の金額が返ってきません!
(令04-02-25 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2497)

A社とB社は、グループ法人間で行った不動産売買が架空取引であるとして、
課税庁から法人税の更正処分及び重加算税賦課決定処分等を受けました。A社ら
は、訴訟を提起し、請求は全て認められましたが、この訴訟は更正処分のみの取
消しを求めたもので、所轄税務署長は、重加算税賦課決定処分の変更決定処分等
をしませんでした。そのため、A社らが、国家賠償請求訴訟を起こした事案です。
東京地裁は、本件の重加算税が国税通則法71条1項1号の適用対象とはなら
ず、除斥期間が経過しているとした所轄税務署長の判断は、法令の解釈を誤って
いたとしましたが、国家賠償法1条1項の違法性は認めませんでした。

所轄税務署長は、前件取消訴訟の判決が確定した日から6月間、国税通則法7
1条1項1号により、重加算税の計算の基礎となる税額及び納付すべき税額をい
ずれも0円とする旨の変更決定処分をすることができたというべきである。
しかしながら、被告が援用する『国税通則法精解』のような文献等が存在し、
これらと異なる内容の文献等の存在がうかがわれないという状況の下では、所轄
税務署長が、被告の主張する国税通則法71条1項1号の解釈(判決の対象とな
った法人税と同一の事業年度の重加算税賦課決定処分については適用されない)
が誤っていると判断することが容易にできたはずであるということはできない。
(編集員からひとこと)
加算税が訴訟の対象でない場合の通法71条1項1号の解釈が示されています。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61541

TAINSメールニュース No.659 2024.03.07 発行(社)日税連税法データベース

2024年03月07日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

工場で製造に使用されている冷蔵庫等の資産区分
~パン工場の冷蔵庫は器具備品か~
講 師:税理士 望月重樹
こちらのURLからご覧いただけます。
https://www.tains-kenshu.jp/ondemand/case/movie23.html
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
賃貸借契約を解除し店舗撤退に伴い収受した損失補償金の消費税課税は?
(令06-01-10 広島地裁 全部取消し・確定 Z888-2557)

パチンコ店を営む原告は、C社との不動産賃貸借契約(原契約)を解除し、目
的不動産から退去撤退するに当たり、中古自動車販売業を営むB社が土地の利用
を希望したことから、B社と「物件移転等に関する協定書」による協定をし、B
社及びC社と「契約上の地位承継に関する覚書」による合意をしました。本件で
は、上記協定に基づき、原告がB社から収受した損失補償金2億円(本件金銭)
が、「資産の譲渡等」の対価(課税対象)に当たるか否かが争われました。
裁判所では、次のとおり判断し、更正処分等の全部を取り消しました。

原告とB社は、「原告は、原契約を解除する。B社は、C社との間で新たな賃
貸借契約を締結するとともに、原告に対して原契約を解除して店舗の撤退をする
ことに伴い生じる損失補償金として2億円を支払う。」ことを内容とする協定を
締結したこと、B社はその協定に基づいて2億円を支払ったことが認められる。
したがって、本件金銭は、原契約上の解約により同契約上の地位が消滅するこ
とに対する対価であるといえ、「資産の譲渡等」の対価とはいえない。
覚書合意は、もっぱら、原告が不動産から撤退した後もB社が原契約の賃料を
継続して支払うという法形式を採ることで、C社が賃料を得られない期間をなく
すことを目的として締結されたもので、B社が原契約上の地位に基づいて建物の
使用収益をすることは予定されていなかったのであり、本件金銭を覚書合意に基
づく原契約上の地位の譲渡(資産の譲渡等)に対する対価ということはできない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62242

TAINSメールニュース No.658 2024.02.29 発行(社)日税連税法データベース

2024年02月29日

【1】今週のお知らせ
(1)東京税理士会からご提供いただいた相談事例を収録しました。
「TAINSキーワード」に次のように入力します。
東京税理士会 ☆2024年02月収録分 ‥‥5件

(2)誤りやすい事例集(東京・大阪国税局作成)を収録いたしました。
東京・大阪国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了い
たしました。
「TAINSコード」に以下の各コードを入力で検索いただけます。
■東京国税局
法人消費事例東京局R050900
所得事例東京局R0512
消費事例東京局R0512

■大阪国税局
通則事例大阪局R050000
所得事例大阪局R050000
消費事例大阪局R050000
評価事例大阪局R050000
相続事例大阪局R050000
贈与事例大阪局R050000
譲渡事例大阪局R050001
譲渡事例大阪局R050002
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
評価通達6により株式を評価した相続税の更正処分が全部取消し!
(令06-01-18 東京地裁 全部取消し・控訴 Z888-2556)

原告らが、相続により取得した財産の価額を財産評価基本通達の定める方法に
より評価して相続税の申告をしたところ、S税務署長から、株式の価額について
通達評価額(1株当たり8186円)は著しく不適当と認められるとして、評価
通達6に基づく評価(1株当たり8万0373円)により、相続税の各更正処分
等を受けたことから、その取消しを求めた事案です。
裁判所は、次のとおり納税者の請求を認め、更正処分を取り消しました。

相続財産となるべき株式売却に向けた交渉が相続開始前から進行しており、相
続開始後に実際に相続開始前に合意されていた価格で売却することができ、かつ、
当該価格が通達評価額を著しく超えていたという事実をもってしても、直ちに納
税者側に不当ないし不公平な利得があるという評価をすることは相当ではなく、
評価通達6を納税者の不利に適用するには、納税者間の不均衡や不利益等を納税
者に甘受させるに足りる程度の一定の納税者側の事情が必要と解すべきである。
本件では、株式の売却手続が進行中に被相続人が死亡しているところ、その手
続が遅れたとか、本来は被相続人の生前に売却手続を完了することができたとい
った事情は認められない。よって、特段の事情はないものというほかはないから、
株式の価額については通達評価額によって評価すべきであり、各更正処分等は、
最高裁令和4年判決の示した判断枠組みに照らし、平等原則という観点から違法
である。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62178

TAINSメールニュース No.657 2024.02.22 発行(社)日税連税法データベース

2024年02月22日

【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R03-09-01 裁決 棄却 F0-3-808
調査手続の違法性/相続財産の範囲/生命保険契約に関する権利・預け金
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61881
・R03-09-06 裁決 一部取消し、棄却 F0-3-809
農地の評価/市街地農地と生産緑地の評価単位・広大地補正率の計算における
地積
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61882
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
医師の青色事業専従者給与の適正額は、類似同業者給与比準方式によると判断!
(令04-12-09 長野地裁 棄却・控訴 Z888-2516)

内科の開業医である原告は、看護師である配偶者乙に青色事業専従者給与年額
1800万円(月額100万円+賞与300万円×2回)を支払ったところ、処
分行政庁から、増額更正処分を受けました。長野地裁は、専従者給与の額が、労
務の対価として相当であるとして必要経費に算入することが認められるのは、青
色事業専従者に支払った給与の額と提供された労務との対価関係が明確であるも
のに限られるとした上で、次のように判示しました。

配偶者乙は、看護師使用人と比較すると多様な業務に従事しており、看護師長
兼事務長として責任のある業務を担当し、労務に従事した時間も多大であったも
のと見受けられる。しかし、原告は、乙は普通の3倍働いている旨を説明してい
るところ、専従者給与の額は、看護師使用人給与の最高額(469万円)の3倍
(1408万円)を優に超えており、上記説明自体単なる感覚の域を出ないもの
といって差し支えない。このように、労働時間、業務の多様性、責任や精神的負
荷の大きさ等が具体的にどのように考慮されて支給額に反映されたのか判然とせ
ず、専従者給与の額は、配偶者乙の労務と対価関係が明確であるとはいえない。
よって、適正給与相当額は、処分行政庁が採用した推計方法(類似同業者給与
比準方式)により算出された、平成28年分及び29年分につき821万円、平
成30年分につき792万円と認めるのが相当である。以上によれば、適正給与
相当額を超える額は、必要経費に算入することができない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62002

TAINSメールニュース No.656 2024.02.15 発行(社)日税連税法データベース

2024年02月15日

【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【地方税】
・R06-01-10 横浜地裁 棄却、確定 Z999-8502
固定資産税/土地の登録価格/評価基準に従っているか否か・「特別の事情」
の有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62165

【消費税】
・R04-05-18 東京高裁 棄却 Z888-2549
内外判定/ツアー客向け商品販売を行う輸出物品販売場が受ける役務の提供
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61943
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
土地建物の一括取得~不動産鑑定評価による「積算価格比あん分法」が合理的~
(令05-06-21 公表裁決 一部取消し・棄却 J131-2-03)

本件は、不動産賃貸業等を営む請求人が売買により土地及び建物(物件1~3
)を一括取得した事案で、法人税の減価償却費の額及び消費税の課税仕入れに係
る支払対価の額の算定が争われた事案です。請求人は、売買代金総額から土地の
路線価による評価額を差し引いて建物の売買代金相当額を算出する方法(差引法
)を、原処分庁は、土地及び建物の売買代金総額を各資産の固定資産税評価額比
によりあん分する方法(固定資産税評価額比あん分法)を主張しました。
なお、建物2及び建物3に対しては取得前に改修工事が行われており、請求人
は、不動産鑑定評価による「積算価格比あん分法」を予備的に主張しています。
審判所は、次のように判断し、原処分の一部を取り消しました。

本件の一部の建物(建物2及び建物3)には時価を増加させると認められる改
修工事が実施されていたにもかかわらず、当該建物の固定資産税評価額にはこれ
らの時価の増加が反映されていない。他方、当該一部の建物及びこれと一括取得
された土地について請求人が提出した不動産鑑定評価書における土地及び建物の
積算価格の比は、土地及び建物の時価の価額比を推認する手がかりとして一定の
合理性が認められる上、改修工事の実施を踏まえたものであり、当該一部の土地
及び建物(物件2及び物件3)については、固定資産税評価額比あん分法よりも
当該積算価格比あん分法を用いることがより合理的であると認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62119

TAINSメールニュース No.655 2024.02.08 発行(社)日税連税法データベース

2024年02月08日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

宗教法人の営むペット葬祭業は収益事業か~公益法人等の収益事業該当性~
講 師:税理士 堀尾博樹
こちらのURLからご覧いただけます。
https://www.tains-kenshu.jp/ondemand/case/movie22.html
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
更正の請求~役員給与の返還により源泉徴収された所得税の還付請求は不可!
(令05-04-12 公表裁決 棄却 J131-1-02)

法人の代表取締役であった請求人が、その法人から役員報酬等の一部について
不当利得返還請求訴訟を提起され、認容判決を受けました。これに伴い役員報酬
等の一部を返還した後、返還した役員報酬等に係る源泉徴収税額が過大であると
して本件法人に対しその返還を求めましたが、本件法人はこれに応じなかったた
め、所得税等の更正の請求をしたところ、原処分庁が、納付すべき税額が過大で
あったとは認められないなどとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分をし
たことに対し、請求人がその処分の全部の取消しを求めた事案です。
争点は、本件役員給与の返還後において、本件各源泉所得税の額が所得税法第
120条第1項第5号に規定する「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額
」に該当することを理由に、本件各更正の請求により本件各年分の算出所得税額
から控除し又は還付を受けることができるか否かです。
審判所は、次のように判断し、請求人の主張を退けました。

本件役員給与の返還後においては、本件各源泉所得税の額は「正当に徴収され
た又はされるべき所得税等の額」とは認められず、本件各年分の「源泉徴収税額
(給与所得分)」を超える金額は、誤って源泉徴収された金額となり、本件法人
が国(原処分庁)に対して当該誤納金の還付を請求することができ、他方、請求
人は本件法人に対し、誤って徴収された金額の支払を直接に請求することになり、
更正の請求において、当該超える金額を控除し又は還付を受けることはできない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62118

TAINSメールニュース No.654 2024.02.01 発行(社)日税連税法データベース

2024年02月01日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
TAINSだより(2024年新年号)を掲載いたしました。
≪特別寄稿≫租税弁護士から研究者に転じての1年
(北海道大学大学院法学研究科教授:佐藤修二氏)
ログイン後のページ右下「TAINSだより」をクリックすると閲覧できます。
(広報部長:上田 健一)

(2)誤りやすい事例集(福岡国税局作成)を収録いたしました。
福岡国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
した。
「TAINSコード」に以下の各コードを入力で検索いただけます。
譲渡事例福岡局R050000
譲渡事例申告相談福岡局R050000
贈与事例福岡局R050000
贈与事例申告相談福岡局R050000
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
CFC税制/「特殊関係非居住者」の「居住者の親族」は、民法725条で判断
(令05-03-16 東京地裁 棄却・確定 Z888-2501)

内国法人A社は、外国法人C社とそれぞれ50%ずつ出資してシンガポール共
和国にB社を設立しました。C社は、日本国籍を有し非居住者の乙が全ての株式
を保有しています。本件は、乙が措置法66条の6第2項1号の「特殊関係非居
住者」に該当するため、B社は外国関係会社となり、A社に外国子会社合算税制
が適用された事案です。
A社は、措置法施行令39条の14が規定する「居住者の親族」は、「居住者
から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの」と限定して解釈
すべきと主張しましたが、東京地裁は、次のように判断しています。

非居住者が株式等を分散保有する場合を捕捉して外国子会社合算税制の潜脱を
回避するという立法趣旨に照らすと、「特殊の関係」を定めた措置法施行令39
条の14第3項各号の規定をその文言から離れて限定的に解釈することは相当で
ない。したがって、措置法施行令39条の14第3項1号の文言及び立法趣旨か
らすれば、「居住者の親族」とは、居住者と民法725条が定める親族の関係に
ある者をいうものと解することが相当である。以上によれば、乙は、「居住者の
親族」に該当し、措置法66条の6第2項1号の「特殊関係非居住者」に当たる。

(編集員からひとこと)
「特殊関係非居住者」該当性が争われた珍しい事案です。是非ご一読ください。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61607

TAINSメールニュース No.653 2024.01.25 発行(社)日税連税法データベース

2024年01月25日

【1】今週のお知らせ
(1)東北税理士会からご提供いただいた相談事例を収録しました。
「TAINSキーワード」に次のように入力します。
東北税理士会 ☆2024年01月収録分 ‥‥3件

(2)収録した裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R03-06-01 裁決 一部取消し F0-1-1346
重加算税/ストックオプションに係る経済的利益の申告漏れ
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61243

【法人税】
・R04-03-25 裁決 一部取消し、却下、棄却 F0-2-1161
錦鯉はみなし役員の個人資産か/個別対応方式の適用の可否/重加算税
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61404
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
二世帯住宅の敷地であっても小規模宅地等の特例は適用できないと判断!
(令03-06-21 非公開裁決 棄却 F0-3-769)

被相続人は、平成13年1月、二世帯住宅(本件建物)を新築し、その1階部
分に請求人ら、2階部分に被相続人夫妻が居住していました。この事案では、1
階部分の敷地権(本件敷地権)について、小規模宅地等の特例(本件特例)を適
用することができるか否かが争われました。なお、本件建物は、外階段によって
行き来することができる構造であり、区分所有建物の登記がされていました。審
判所では、次のとおり判断し、本件特例を適用することはできないとしました。

被相続人夫妻は、1階部分に生活の拠点を置いていたと認められず、本件敷地
権は、被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するとは認められない。
また、本件建物は、一棟の建物と認められるものの、措置法施行令第40条の2
第4項括弧書き(本件規定)の「区分所有建物」に該当することから、本件敷地
権は、被相続人の居住の用に供されていた部分に含めることはできない。
本件敷地権が本件規定によっても被相続人の居住の用に供されていた部分に含
まれないことは明らかであり、請求人らが主張する区分所有建物とした理由(被
相続人の妻の安心した住居を考えたなど)によっても、区分所有の意思に基づい
て区分所有建物の登記をしたことを否定することはできない。
なお、被相続人夫妻は、請求人らと日常生活の資を共通にしていた関係にあっ
たとは認めることができないから、本件敷地権は、被相続人と生計を一にしてい
た当該被相続人の親族の居住の用に供された宅地等にも該当しない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62034

TAINSメールニュース No.652 2024.01.18 発行(社)日税連税法データベース

2024年01月18日

【1】今週のお知らせ
システムメンテンスのお知らせ
下記の通り、システムメンテナンスを実施いたします。メンテナンス中はTA
INSによる検索システムがご利用いただけません。
検索システムご利用の際は、システムメンテナンス時間外でのアクセスをお願
いいたします。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたし
ます。

日時: 令和6年1月19日(金)18:00 ~ 18:15
※メンテナンス終了時間は変更になる場合がありますので、ご注意下さい。
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
特例適用のため取得時期を急がせたために、仮装と誤解された事例!
(令03-04-26 非公開裁決 棄却・一部取消し F0-2-1059)

請求人が、太陽光発電設備の増設部分を事業年度末までに取得し、事業の用に
供したとして、減価償却費を計上し、取得に係る消費税額を仕入税額控除額に含
めて申告したのに対し、原処分庁が、請求人が取得年月日を仮装したとして法人
税等及び消費税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行った事案です。
審判所は、更正処分は適法とし、重加算税の賦課決定は取り消しました。

増設工事において、平成29年3月31日までに電力会社に電気を供給できる
状態にするために必要なパワーコンディショナーの接続作業が終了しておらず、
発電設備の引渡しを受けてこれを取得したとは認められない。
増設工事の報酬が4月4日・5日に支払われていることや、請負業者等が工事
の完了を急がされていた事情もうかがえることにも照らせば、請求人の常務取締
役甲が、請負業者等から工事が完了していないにもかかわらず、完了したかのご
とく虚偽の報告を受けたという可能性もあるのであって、甲が、工事が3月31
日までに完了していないことを把握していたとまでは認定することはできない。
甲が、引渡しが未了であることを認識しながら各引渡書を請負業者の従業員に
作成させたとは認められず、甲に、仮装行為があったと認めることはできない。

(編集員からひとこと)
請求人は、生産性向上設備投資促進税制の適用を受けるための取得期限である
平成29年3月31日までに工事を完了させたかったので、請負業者にも強く要
求したようです。特例適用には、十分留意する必要があると思われます。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61417

TAINSメールニュース No.651 2024.01.11 発行(社)日税連税法データベース

2024年01月11日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

みなし譲渡課税~取引相場のない株式の時価~
講 師:税理士 相高佑介
こちらのURLからご覧いただけます。
https://www.tains-kenshu.jp/ondemand/case/movie21.html
(データベース部長 田川 哲)

(2)ホームページリニューアルのお知らせ
TAINSホームページへアクセスいただき誠にありがとうございます。この
度、ホームページを全面的にリニューアルいたしました。
今回のリニューアルでは、明るいデザインを取り入れたほか、各種お申込みや
よくある質問、お問い合わせページへのアクセスの改善及びコンテンツの紹介の
拡充によるスムーズな課題解決を図りました。
こちらのURLから新しいホームページをご覧ください。
https://www.tains.org/

(3)システムメンテンスのお知らせ
下記の通り、システムメンテナンスを実施いたします。メンテナンス中はTA
INSによる検索システムがご利用いただけません。
検索システムご利用の際は、システムメンテナンス時間外でのアクセスをお願
いいたします。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたし
ます。

日時: 令和6年1月19日(金)18:00 ~ 18:15
※メンテナンス終了時間は変更になる場合がありますので、ご注意下さい。
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
不動産賃貸借契約の合意解除に伴い第三者から受けた金員は消費税の対象と判断
(令04-08-23 非公開裁決 棄却 F0-5-381)

請求人A社は、パチンコ店として賃借していた土地建物の賃貸借契約を合意解
除し、第三者Bが新たな賃貸借契約を締結することについて、A社とBが合意し
て作成した協定書に基づき、Bから金員2億円を受領しました。この金員につい
て、A社は、「移転に伴う損失補償金(消基通5-2-7本文)」であり、課税
資産の譲渡等の対価の額に該当しないと主張し、原処分庁は、「賃借人たる地位
の譲渡の対価(上記通達の注書)」であり、課税の対象になると主張しています。
審判所は、本件金員の法的性格を検討するに当たっては、協定書作成の前提と
されている了解事項(共通認識)や作成に至る経緯等の事情を総合的に考慮する
必要があるとした上で、次のように判断して、A社の請求を棄却しました。

本件協定書によって、A社が行うべき各行為として、賃貸人との間で原契約の
合意解除をすること、賃貸人からBとの新たな賃貸借契約に係る同意を得ること
及び賃貸人への土地建物の引渡しを行うことを定めたものと認められ、これらは
消費税法2条1項8号に規定する「役務の提供」に該当する。
したがって、本件金員は、Bが、本件協定書に基づき、A社が行うべき各行為
という役務の提供に対する対価として支払ったものであるから、消費税法28条
1項に規定する課税資産の譲渡等の対価の額に該当する。
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