2020年05月28日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2020年6月12日(金)までの間、社団職員について30分の退社時間の繰
り上げ及び交代での在宅勤務を実施させていただくこととなりました。
これにともない、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない
ことが予測されます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合/契約基準(通達ただし書)の適用
(令01-09-26東京高裁 棄却・上告受理申立て Z888-2285)
控訴人が、建物等の取得に係る支払対価の額及び司法書士報酬の額を売買契約
日の帰属する課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に算入して、消費税等の
確定申告をしたところ、行橋税務署長が更正処分等をしたため、更正処分等には、
「課税仕入れを行った日」の解釈及び適用を誤った違法があるなどとして、更正
処分等の一部の取消しを求める事案です。少額の金地金の売買を行い課税売上割
合を100パーセントとすることにより消費税等の還付を受けるスキームが否認
された事案が何件か収録されていますが、そのうちの1件の高裁判決です。
控訴人は、権利確定主義は一義的な基準とはなり得ず、結局、取引の経済的実
態からみて合理的な基準が何であるかを個別具体的な取引を一定程度類型化して
定めるほかない旨主張するところ、確かに、「課税仕入れを行った日」あるいは
「資産の譲渡の時期」について、一義的な基準を設けることは困難であり、法令
や制度の趣旨を踏まえて合理的な解釈が必要となる場面も想定され得ることは事
実であるが、本件においては、事実関係を具体的かつ詳細に検討しても、契約の
締結の日に建物の現実の支配が移転し、譲渡に係る権利又は債務が確定するに至
った状態が生じたと認めることは到底できないから、本件における契約の締結の
日を契約の効力発生の日として資産の譲渡の時期と認めることは相当でない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2285
2020年05月21日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
緊急事態宣言を受け、当社団の職員を原則、在宅勤務としております。
これに伴い、お問い合せは、当社団ホームページ最下部右にございますお問合
せフォームからの送信にてお願いいたします。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしますが、ご理解をいただきますようよろ
しくお願いいたします。
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
無申告加算税の正当な理由/未成年後見人が提出した準確定申告書
(平31-02-01 非公開裁決 棄却 F0-1-1024)
本件は、請求人が、平成29年に死亡した父の所得税等の準確定申告書を死亡
の日の翌日から4か月経過後に提出したため、原処分庁が、無申告加算税の賦課
決定処分をしたのに対し、請求人が、未成年者である請求人が相続の開始を知っ
た日は、未成年後見人が選任された日であるから、選任された日の翌日から4か
月以内に提出された当該申告書は期限後申告書に該当しないとして、原処分の取
消しを求めた事案です。審判所は、次のように判断して請求を棄却しました。
所得税法125条1項に規定する「相続の開始があったことを知った日」とは、
その相続人が相続の開始原因たる被相続人の死亡という事実を知った日をいうも
のと解するのが相当である。請求人は、被相続人(亡父)が死亡するまで被相続
人と同居していたのであるから、相続開始日に被相続人の死亡という事実を知っ
たとみるのが相当である。請求人は〇〇という年齢であったものの意思能力を欠
いていたとは認められない。したがって、本件準確定申告は期限後申告となる。
請求人は、単独で法律行為をすることができない未成年者であったこと等から
「正当な理由」がある旨主張する。しかし、被相続人について申告書を提出しな
ければならない場合に該当するときは、その相続人に当該申告書の提出義務が発
生し、提出期限までに当該申告書を提出しなければならないのであり、所得税法
125条の適用は、相続人が未成年者であるか否かに関わらないから、上記事情
は期限内申告がなかったことについて客観的な事情であるとはいえない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-1024
2020年05月14日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINS編集長就任のお知らせ
この度、TAINS編集長に前青山学院大学学長の三木義一氏が就任いたしま
した。
何卒よろしくお願いいたします。
(税法データベース事務局)
(2)三木義一編集長からのご挨拶
この度、TAINSの編集長に就任することに致しました。ずいぶん前のこと
ですが、TAINSの編集にご尽力されてきた朝倉先生達に、将来私も年取った
ら協力するからね、と約束したことがありました。それが実現したことになりま
すので、とても嬉しく思っております。
TAINSの基本的な内容はすでに大きな柱が決まっておりますので、その柱
をより強固なものにしていくことが重要ですが、同時にTAINSは日本税理士
会連合会という専門家団体の一部でもあります。ですから、税理士にとっての利
便性と、納税者及び社会にとっての公益性という二つの面の活動が必要だと思わ
れます。現状では、利便性においても、また、公益性においてもなお工夫する余
地が多く残されています。コロナ禍を契機に、社会は大きく在宅で作業や会議を
する方向に変わるでしょう。税理士業務に関わる情報も、そういう変化に対応し
て提供する内容や提供方法の一層の工夫が必要だと感じています。
会員の皆様からも忌憚のないご意見をいただきたいと思っておりますので、今
後ともよろしくお願い申し上げます。
(編集長:三木 義一)
(3)第一法規株式会社が実施する税理士等実務家のリモートワーク支援施策の第
2弾について
第一法規株式会社が、新型コロナウイルス感染防止対策としてリモートワーク
を行っている税理士等実務家のために、法情報総合データベース「D1-Law.com
現行法規」に加え、「D1-Law.com 税務会計法規」のうち、税務編を期間限定で
無償公開しております。詳しくは次のURLサイトをご覧ください。
https://www.daiichihoki.co.jp/osirase/d1law_free/index.html?top
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
役員給与該当性と給与としての経理処理が事実を仮装しているか否か
(令02-01-16 東京高裁 棄却・確定 Z888-2294)
本件は、控訴人が自己の従業員であるとするAに給与を支給した額(月額45
万円)が、(1)控訴人代表者に対する役員給与に該当するか、(2)事実を仮
装して経理をすることにより支給されたものであるかなどを争点とした事案です。
控訴人は、茂原税務署長から、控訴人代表者とAは内縁関係にあり、支給した
額は、役員給与であるから法人税法34条3項の規定により、損金の額に算入で
きないなどとして7期にわたる更正処分を受け、源泉所得税等の納税告知処分、
さらに、不納付加算税及び重加算税の各賦課決定処分を受けました。
東京高等裁判所は、次のとおり判断して、控訴人の主張を棄却しました。
控訴人は、Aへの本件各支給額が内助の功に報いる生活保障の趣旨で支払われ
たものであるとしても、Aに贈与したものというべきであり、控訴人がこれを支
払ったことにより控訴人代表者が経済的な利益を得たということはできないと主
張する。しかしながら、自らの内縁の妻の内助の功に報いる生活保障のための費
用は控訴人代表者が個人として負担すべきものであり、これを控訴人が負担する
ことは、控訴人代表者に対して法人税法34条4項の経済的利益をもたらし、同
条3項の給与を支給するものと認められるというべきである。
本件各支給額をAに対する給与として経理処理した行為は事実を仮装して経理
したものというほかなく、同条3項の規定が適用されることは明らかである。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2294
2020年05月07日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
緊急事態宣言を受け、当社団の職員を原則、在宅勤務としております。
これに伴い、お問い合せは、当社団ホームページ最下部右にございますお問合
せフォームからの送信にてお願いいたします。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしますが、ご理解をいただきますようよろ
しくお願いいたします。
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
賃貸用土地にある賃借人所有の建物収去費用~必要経費算入の可否~
(令01-09-20 公表裁決 全部取消し J116-2-03)
不動産貸付業を営む請求人らが、その賃貸していた土地上にある土地の賃借人
所有の建物収去に要した費用について、いずれも不動産所得の金額の計算上必要
経費に算入して所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、その費用は、所
得税法45条(家事関連費等の必要経費不算入等)1項の家事上の経費に該当し、
必要経費に算入することができないとして更正処分等を行った事案です。
審判所は、次のように判断し、請求人らの主張を認めました。
請求人らは、一連の法的手続を執ることにより賃料を支払わない賃借人から本
件土地の明渡しを受け、それと並行して新たな賃借人への貸付けに取り掛かかる
等、土地の貸付け業務は賃貸借契約終了後も本件各建物の収去に至るまで継続し
ていたものと認められる。加えて、請求人らは、本件土地から収益を得る業務を
遂行するには、本件各建物を収去する必要があり、自らが負担することを想定し
て法的手続を遂行して本件各建物収去費を支出し、賃借人は無資力であることか
ら、請求又は事後的に求償しても回収が見込めない状況にあり、本件各建物収去
費は、請求人らにおいて、負担するほかなかったものと認められる。
そうすると、本件各建物収去費の支出は、客観的にみて、請求人らの不動産所
得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであったといえ
るから、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
≪検索方法≫ 【キーワード】 J116-2-03
2020年04月30日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
TAINSだより(2020年春号)を掲載いたしました。検索トップページ
の右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)
(2)第一法規株式会社が実施する税理士等実務家のリモートワーク支援施策につ
いて
第一法規株式会社が、新型コロナウイルス感染防止対策としてリモートワーク
を行っている税理士等実務家のために、法情報総合データベース「D1-Law.com
現行法規」を期間限定で無償公開しております。詳しくは次のURLサイトをご
覧ください。
https://www.daiichihoki.co.jp/osirase/d1law_free/index.html
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
損金の額/売上原価/高額譲受けにより取得した土地の購入価額と時価との差
額
(令01-10-18 東京地裁 却下・棄却 Z888-2288)
本件は、原告が時価を超える額の対価で購入した土地を売却し、購入価額全額
を売上原価として損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ、津山税務
署長から、購入価額のうち時価との差額は損金の額に算入できないとして更正処
分等を受けた事例です。裁判所は、時価よりも高額な売買代金による高額譲受け
が行われた場合に、当該資産の「購入の代価」をどのように評価すべきかについ
て、法人税法や法人税法施行令に直接の規定は設けられていないとしながらも、
次のとおり判断して、原告の訴えを棄却しました。
法人が時価よりも高額の売買代金により不動産等の資産を購入した場合も、売
買代金と時価との差額は、買主たる法人から売主に「供与」された「経済的な利
益」であり、そのうち「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」
については、法法37条7項が定義する「寄附金の額」に該当することになる。
そうすると、棚卸資産の高額譲受けにおいても、当該対価の額と当該資産の時価
との差額については、その全部又は一部が「寄附金の額」と評価される場合には、
法人税法の適用上、損金の額への算入が制限されるのであるから、そのような扱
いを受ける当該差額は、「売上原価」とは異なる費用又は損失の額として別途損
金該当性を判断すべきものというべきである。したがって、当該差額は、法法2
2条3項1号にいう「売上原価」に当たらず、法令32条1項1号イの「当該資
産の購入の代価」には含まれないと解するのが相当である。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2288
2020年04月23日
【1】今週のお知らせ
株式会社ぎょうせいが、新型コロナウイルス感染防止対策としてリモートワー
クを行っている税理士のために、月刊「税理」、旬刊「速報税理」の最新刊が読
める「ぷらっと税理」を期間限定で公開しております。
詳しくは次のURLのサイトをご覧ください。
https://shop.gyosei.jp/information/detail/217
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
配当所得該当性/外国法人の事業分割に伴い日本の居住者に交付された株式
(令01-08-01 公表裁決 棄却 J116-2-02)
日本の居住者である甲は、米国に本店を置くH社の株式を米国の証券口座にて
保有していました。H社は平成27年に事業分割を行い、それに伴い甲は上記証
券口座にてM社株式を取得しましたが、米国での課税はありませんでした。
原処分庁は、M社株式の取得は、剰余金の配当であり、所得税法24条で剰余
金の配当から除外される法人税法2条12号の9の分割型分割でないとして、所
得税の更正処分等を行った事案です。審判所は、処分は適法であるとしています。
H社によるM社の株式の交付に当たっては、本件事業分割に伴いH社から商号
変更したN社の連結株主資本等変動計算書上、利益剰余金のみが減少しているこ
とが認められる。したがって、請求人に対する本件株式の交付は、H社の株主と
しての地位を有する者に対し、H社の利益剰余金を原資として行われたものとい
うことができるから、所得税法24条1項に規定する剰余金の配当に該当すると
認められる。
米国においては、権利義務の一般承継を特徴とする会社分割制度は存在しない。
本件事業分割は、我が国の会社法上の分割に相当する法的効果を具備するものと
はいえないというべきである。したがって、本件事業分割は、法人税法2条12
号の9に規定する分割型分割には当たらないというべきである。
《検索方法》 【キーワード】 J116-2-02
2020年04月16日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
緊急事態宣言を受け、当社団の職員を原則、在宅勤務としております。
これに伴い、お問い合せは、当社団ホームページ最下部右にございますお問合
せフォームからの送信にてお願いいたします。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしますが、ご理解をいただきますようよろ
しくお願いいたします。
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
みなし譲渡課税/非上場株式の低額譲渡~納税者逆転敗訴~
(令02-03-24 最高裁 破棄差戻し Z888-2296)
この事案では、非上場株式の譲渡について、所得税法59条1項の「その時に
おける価額」は、配当還元価額(1株当たり75円)か、類似業種比準価額(1
株当たり2505円)かが争われました。具体的には、所基通59-6を条件に
適用される評価通達188の(3)の少数株主の判定は、譲受人の株式取得後の
議決権割合によるのか、譲渡人の株式譲渡直前の議決権割合によるのかです。
最高裁では、次の判断をし、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻しました。
株式の譲渡に係る譲渡所得に対する課税においては、当該譲渡における譲受人
の会社への支配力の程度は、譲渡人の下に生じている増加益の額に影響を及ぼす
ものではないのであって、譲渡所得に対する課税の趣旨に照らせば、譲渡人の会
社への支配力の程度に応じた評価方法を用いるべきものと解される。
所基通59-6の定めは、譲渡所得に対する課税と相続税等との性質の差異に
応じた取扱いをすることとし、少数株主に該当するか否かについても当該株式を
譲渡した株主について判断すべきことをいう趣旨のものということができる。
ところが、原審は、本件株式の譲受人であるC社が評価通達188の(3)の
少数株主に該当することを理由として、本件株式につき配当還元方式により算定
した額が本件株式譲渡の時における価額であるとしたものであり、この原審の判
断には、所得税法59条1項の解釈適用を誤った違法がある。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2296
2020年04月09日
【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録中です。
先週より、国税不服審判所のホームページに掲載された、令和元年7月から9
月分の公表裁決事例の収録作業を行っております。
収録が済んでいるものは下記のキーワードで検索できます。
≪検索方法≫ 【キーワード】 ★裁決事例集116集
(2)判決速報を収録しました。
判決速報1509から1510、また1512から1517までの計8件を収
録しました。一部を下記に紹介します。
・判決速報1510
X(控訴人会社)が行った特定資本関係発生後5年を経過した適格合併につ
いて、法人税法132条の2を適用し得るとされた事例
・判決速報1512
調査に基づき行われた期限後申告が錯誤により無効とはいえないとされた事
例
・判決速報1517
麻酔科医が受領する出張麻酔の対価は、措置法26条所定の「社会保険診療
報酬につき支払を受けるべき金額」に該当せず、また、消費税も非課税とはな
らないとされた事例
≪検索方法≫ 【キーワード】 判決速報 ☆2020年04月収録分 →8件
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
損害賠償額の算定/将来の逸失利益の計算における控除すべき中間利息の割合
(平17-06-14 最高裁判決 破棄差戻し Z999-5415)
原審(札幌高裁)は、交通事故による損害賠償額の算定において、A(被上告
人の子)の将来の逸失利益を現在価額に換算するための中間利息の控除割合を年
3%とすることが将来における実質金利の変動を考慮しても十分に控え目なもの
というべきである旨を示して、被上告人らの請求を一部認容したところ、一審被
告(上告人)が上告した事案です。最高裁は、原審の判断は是認することができ
ないとして、原判決中上告人の敗訴部分を破棄し、原審に差し戻しました。
民法404条において民事法定利率が年5%と定められたのは、ヨーロッパ諸
国の一般的な貸付金利や法定利率、我が国の一般的な貸付金利を踏まえ、金銭は、
通常の利用方法によれば年5%の利息を生ずべきものと考えられたからである。
損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するにつ
いても、法的安定及び統一的処理が必要とされるのであるから、民法は、民事法
定利率により中間利息を控除することを予定しているものと考えられる。
事案ごとに、また、裁判官ごとに中間利息の控除割合についての判断が区々に
分かれることを防ぎ、被害者相互間の公平の確保、損害額の予測可能性による紛
争の予防も図ることができる。諸点に照らすと、損害賠償額の算定に当たり、被
害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合は、
民事法定利率によらなければならないというべきである。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z999-5415
2020年04月02日
【1】今週のお知らせ
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
2020年3月31日(火)までを予定しておりました当社団職員の新型コロ
ナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保の対策ですが、現状を鑑み、202
0年4月17日(金)まで延長させていただくこととなりました。
交代での在宅勤務、また、4月1日以降は30分の退社時間繰り上げを実施い
たします。
これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
時間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
源泉徴収義務/インド法人に支払った金員/租税条約に異なる定めがある場合
(平30-02-15 非公開裁決 棄却 F0-1-946)
本件は、医薬品製造販売業を営むA社が、インド所在の外国法人に対し医薬化
学物質の研究及びコンサルティング業務を委託し、その業務委託料(本件金員)
を支払ったところ、原処分庁が、所得税法162条(租税条約に異なる定めがあ
る場合の国内源泉所得)の規定により、国内源泉所得とみなされるとして、源泉
所得税等の納税告知処分をした事案です。審判所は、次のように判断しました。
日印租税条約12条の規定からすると、日本法人が、インド法人に対して、イ
ンド国内において提供された技術上の役務に対する料金を支払う場合、当該料金
は、日本国内において生じたものとされ、日本の法令に従って租税を課すことが
でき、国内源泉所得となる。委託業務のうちの一部は、インド法人が医薬化学物
質や化学化合物の合成、実験及び分析等を行うというものであり、また、一部は、
インド法人がインドにおける薬事法規制等に関するコンサルティングを行うもの
であるといえるから、これらの業務は、専門的知識を有するインド法人の知識又
は技能を活用して行う役務の提供であったということができる。
そうすると、本件金員は、所得税法162条後段の規定により、国内源泉所得
の一つである同法161条2号に規定する「人的役務の提供に係る対価」とみな
されるため、A社は、本件金員の支払の際、源泉徴収義務を負うと認められる。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-946
2020年03月26日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・H29-12-15 裁決 棄却 F0-1-928
更正の請求/通則法23条1項3号該当性
・H21-04-23 裁決 棄却 F0-1-1000
更正の請求/裁判上の和解/先物取引の無効
・H17-01-28 裁決 棄却 F0-1-999
所得の帰属/商品先物取引に係る所得
【相続税】
・H23-02-03 裁決 棄却 F0-3-668
課税財産/売買残代金請求権/成年後見人による売買契約の成立日
・H21-02-25 裁決 棄却 F0-3-669
不動産及び出資の評価/貸付金債権の存否/過少申告加算税「正当な理由」の
有無
【その他】
・H25-01-22 東京地裁 棄却、控訴 Z999-0153
税理士損害賠償/善管注意義務違反/原始資料に基づき仕訳伝票を精査すべき
義務
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
重加算税~外部からうかがい得る特段の行動は認められないとして一部取消し
(平30-11-12 非公開裁決 一部取消し F0-3-658)
被相続人の配偶者である請求人名義の定期貯金が申告漏れになったことについ
て、原処分庁は、隠蔽があるとして、重加算税の賦課決定処分を行いました。こ
の処分に対し、事実を隠蔽又は仮装したか否かが争点の一つとなった事案です。
審判所は、請求人は、高齢であり、長年にわたり被相続人と2人で農業に従事
した上、その所得の全部が被相続人に帰属するという法的知識を有していたとは
認め難いから、本件定期貯金を請求人の固有の財産と理解していたとしても不自
然とまでいうことはできないなどと認定し、重加算税の賦課決定処分については、
次のとおり違法であると判断し、一部を取り消しました。
原処分庁が提出する請求人の上申書及び質問応答記録書については、その信用
性を認めることができないから、上申書及び質問応答記録書からだけでは、請求
人が、当初申告の当時、本件定期貯金が被相続人に係る相続財産に含まれると認
識していたと認めることはできない。また、原処分庁が主張するように、請求人
が税理士や調査担当職員に、本件定期貯金の存在を告げなかったとしても、それ
が過少申告の意図を外部からうかがい得る特段の行動と認めることもできない。
当初申告は、事実を隠蔽又は仮装したところに基づくものとはいえないから、
通則法第68条第1項所定の重加算税の賦課要件を満たさない。したがって、重
加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分は違法である。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-3-658