2022年12月15日
【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R02-03-02 裁決 棄却 F0-2-1013
低額譲受けによる受贈益/完全子会社化を目的に行われた株式譲受けと株式交
換
・R02-06-01 裁決 棄却 F0-2-949
特定資産買換え/譲渡した土地は棚卸資産か固定資産か
【所得税】
・R02-09-17 裁決 全部取消し、一部取消し F0-1-1285
所得の帰属と所得区分/不正指南等に係る業務委託報酬/税理士業
・R03-01-20 裁決 却下 F0-1-1304
処分の不存在/税務相談の回答を対象とした審査請求
・R03-02-05 裁決 棄却 F0-1-1305
馬券払戻金の所得区分/通常馬券・WIN5
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
固定資産税等/複合構造家屋における経年減点補正率の選択/低層階方式は?
(令04-03-25 大阪地裁 認容・控訴 Z999-8454)
原告は、複合構造家屋である本件各家屋(1及び2)の平成30年度の登録価
格に不服があるとして、大阪市固定資産評価審査委員会に対し審査の申出をした
ところ、同委員会は、家屋1(25階建て、S造部分58%)については審査の
申出を棄却、家屋2(地下階付き地上9階建て、S造部分80%)については登
録価格を一部修正すべきとしたことから、本件各価格は、いずれも経年減点補正
率の適用を誤ったために固定資産評価基準によって決定される価格を上回ると主
張して、評価基準によって決定される価格を超える部分の取消しを求めました。
裁判所は、専ら低層階の構造(現在の建築技術では鉄骨鉄筋コンクリート造=
SRC造等減価度合が小さい構造)に着目して経年減点補正率を定める低層階方
式は、各構造ごとの構造耐力に応じた各構造の損傷、損耗等による価値減少を、
減価補正の程度に可能な限り反映するものとはいえず、経年減点補正率に係る評
価基準の定めの内容、趣旨に沿ったものとはいえない。家屋1の棟1及び家屋2
に適用する経年減点補正率の求め方について低層階方式を選択したことは、大阪
市内における評価の統一性の要請からみて不合理であるといわざるを得ない。
などと判断し、原告が主張する床面積方式(減価度合が大きい鉄骨造=S造)
を認容しました。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z999-8454
2022年12月08日
【1】今週のお知らせ
(1)システムメンテナンスのお知らせ
下記の日程でシステムメンテナンスを行うため、作業時間帯においてログイン
できない等動作が不安定になる場合がございます。会員の皆様にはご不便をおか
けいたしますが、下記メンテナンス時間帯のご利用を控えていただくようにお願
い申し上げます。
何卒ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
日時:2022年12月8日(木) 午後10:00 ~ 午後11:00
※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
(システム部長:小林 英樹)
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【地方税】
・R04-03-25 大阪地裁 認容、控訴、納税者勝訴
Z999-8454
固定資産税等/複合構造家屋における経年減点補正率の選択/低層階方式の合
理性
【その他】
・H30-10-26 名古屋高裁 控訴棄却、上告受理申立て
Z999-5436
自筆証書遺言の効力/遺言書の日付が真実遺言が成立した日と相違している場
合
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
重加算税/税理士事務所の職員を利用した隠ぺい仮装行為/司法書士業
(令01-10-24 非公開裁決 棄却 F0-1-1211)
請求人は、所得税及び消費税等について、原処分庁から総勘定元帳の売上金額
の減額による隠ぺい仮装行為があったとして重加算税の賦課決定処分を受けまし
た。本件は、請求人が、隠ぺい仮装行為は税理士事務所職員の乙が行ったもので
あり、請求人が行ったものではないとして、原処分の取消しを求めた事案です。
審判所は、請求人及び乙の答述の信用性を検討した上で、請求を棄却しました。
税理士事務所職員乙は、請求人の指示による売上金額の減額行為が平成14年
頃からされており、毎年の注意にもかかわらず、請求人が一向に是正しなかった
ため、当該行為の責任は請求人にあることを説明してきたという経緯を答述する。
乙は、かかる経緯があった中で、本件各申告の際も、乙の方から、責任の所在が
請求人にあることを明示した上で所得金額を減額する記載を追加する方法を示し
たという答述内容は、自然かつ合理的である。これに対し、請求人の答述は具体
性に欠ける上、不自然かつ不合理である。
請求人は、乙に対し、納付すべき税額を減額するために、真実は売上金額を減
額する事実がないにもかかわらず、総所得金額を前年並みに減らすことを要望し、
総勘定元帳に虚偽の記載をする方法により過少申告することを依頼したことが認
められる。請求人は、乙をして隠ぺい仮装行為をさせることによって自らの意図
を実現したものと認められるから、通則法68条1項に該当する。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-1-1211
2022年12月01日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R03-09-30 東京高裁 棄却・上告及び上告受理申立て
Z888-2429
特定民間国外債利子の非課税/利子受領者確認書の期限後提出/政令委任の範
囲
・R04-03-10 東京高裁 原判決取消し・却下・上告受理申立て
納税者勝訴 Z888-2445
タックスヘイブン対策税制/SPCを用いた資金調達スキーム/租税回避
・R03-10-01 裁決 棄却 F0-2-1035
外国子会社合算税制/オランダの親会社で合算課税された孫会社の所得
【所得税】
・R04-10-31 東京高裁 棄却 Z888-2450
更正の請求/商品先物取引に係る訴訟上の和解/権利関係変動の有無
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
取得条項付株式の評価~外国子会社合算税制の適用における課税対象金額~
(令04-01-20 非公開裁決 全部取消し F0-1-1322)
本件は、請求人が、外国子会社合算税制を適用して雑所得の金額を計算し、所
得税等の確定申告をしたところ、原処分庁から、特定外国子会社等であるA社が
行った発行法人B社への株式譲渡の対価の額が適正な価額に比して低額であると
して、所得税等の更正処分等を受けた事案です。主な争点は、この譲渡差額を含
めてA社の課税対象金額に相当する金額を計算すべきか否かです。
原処分庁の主張する1株当たりの価額は、審判所の試算値の約8倍に相当する
価額であり、審判所は、次のとおり判断して、原処分の全部を取り消しました。
本件定款に定められた算定式に基づく譲渡対価の額と本件試算値との開差は、
さほど大きなものではない。また、B社の普通株式に財産評価基本通達の定める
類似業種比準方式の採用には合理性があるから、譲渡時における1株当たりの時
価が本件試算値を上回るとは認め難く、一方で、取得条項付の議決権に制約のあ
る株式の時価については、確立された評価方法があるわけではなく、制約や現金
による取得条項が、普通株式の時価との関係で減価要因となるとの見解もある。
結局、適正な価額は、本件譲渡対価の額を上回るとは認められないことになる。
したがって、本件譲渡対価は、適正な価額に比して低額であるとはいえず、本件
譲渡差額を含めてA社の課税対象金額を計算すべきとは認められない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-1-1322
2022年11月24日
【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
【移転価格税制】独立企業間価格算定における残余利益の分割方法の適否
~日本ガイシ事件~
講 師:税理士 筏井陽子
(事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
譲渡資産の課税価格の計算の基礎に算入された価額~取得費加算額の計算~
(令04-03-24 東京高裁 棄却・確定 Z888-2420)
控訴人らが、相続により取得した本件各土地に借地権を設定し、その対価とし
て受領した権利金に係る所得を分離課税の長期譲渡所得の金額に計上して所得税
の確定申告をしたところ、江東西税務署長から、措置法39条1項(平成30年
改正前)の適用により取得費の額に加算される相続税額(取得費加算額)の計算
に誤りがあるとして、更正処分等を受けた事案です。
取得費に加算する相続税額は、本件各土地に対応する金額か、土地の相続税評
価額(貸家建付地)に借地権割合(90%)を乗じた金額かが争点となりました
が、控訴人らは、措置令25条の16第1項2号「当該譲渡をした資産の当該課
税価格の計算の基礎に算入された価額」の文言が、課税要件明確主義に反するこ
とを示している旨主張しました。しかし、東京高裁においても第一審(Z888
-2409)の判断を引用する等して、控訴を棄却し確定しました。
措置法39条1項の趣旨や改正の経緯等に照らすと、本件規定の「当該譲渡を
した資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」とは、相続税の課税価
格の計算の基礎に算入された価額のうち、当該譲渡をした相続財産に対応する部
分の価額を意味することは、一義的で明確であり、控訴人らが課税処分を検討す
る過程で、更正処分と異なる見解を示したからといって、そのことをもって本件
規定の文言が課税要件明確主義に反するということはできない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2420
2022年11月17日
【1】今週のお知らせ
判決速報を収録しました。
判決速報1590から1594、1596から1598、また1604、
1609、1611までの計11件を収録しました。一部を下記に紹介します。
・判決速報1590
自主納付した源泉所得税等が過誤納金に当たるとするX(控訴人会社)の主
張が、Xは、社員に支払った給与等に係る源泉所得税等の納付義務を負ってい
たものであり、過誤納金に該当しないとして排斥された事例
・判決速報1594
相続税の調査により把握された相続人らの所得税の過少申告に係る修正申告
書の提出は、調査があったことにより更正を予知してされたものであるとされ
た事例
・判決速報1604
相続によって取得した貸家建付地に借地権を設定したことが資産の譲渡とみ
なされる場合に、譲渡所得の金額の計算上取得費に加算する相続税額は、貸家
建付地の評価額のうち借地権部分に対応する金額である。
≪検索方法≫ 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】
判決速報 ☆2022年11月収録分 →11件
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
不動産所得の必要経費/裁判外の和解契約による借地人所有建物の取壊費用
(令01-09-03 非公開裁決 棄却 F0-1-1215
本件は、不動産賃貸業を営む請求人が、賃貸していた土地上に存する借地人ら
所有の建物の取壊費用を支出し、必要経費に算入して申告したところ、原処分庁
が、当該取壊費用は不動産所得に係る必要経費に算入できないとして、更正処分
等をしたため、請求人がその取り消しを求めたという事案です。審判所は、次の
ように判断し、請求人の請求を棄却しました。
本件において、本件取壊費用は、本来、収去義務を負っていた借地人らが負担
すべきものであったといえる。それにもかかわらず、請求人は、借地人らが経済
的に困窮しているため、本件建物の収去義務を確実かつ迅速に履行する保証がな
い旨判断し、裁判外の和解契約を締結した上で、自己の負担で本件建物を取り壊
したとする。しかしながら、請求人は借地人らの資産状況及び支払資力などを裏
付ける客観的な資料をいずれも確認しておらず、また、借地人らのうち少なくと
も1名にはその当時一定の所得があったことが認められる。以上のように、本件
取壊費用は、請求人が取壊費用を負担せざるを得ない事情があったとも認められ
ないから、社会通念に照らして客観的に判断すると、不動産所得を生ずべき業務
と直接関係し、かつ、当該業務の遂行上必要なものとはいえず、これを請求人の
不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-1-1215
2022年11月10日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
TAINSだより(2022年秋号)を掲載いたしました。検索トップページ
の右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)
(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【その他】
・R04-01-28 最高裁 一部破棄自判、一部棄却、一部却下、確定
Z999-5443
損害賠償債務/離婚に伴う慰謝料が履行遅滞となる時期/遅延損害金の起算日
【所得税】
・R01-10-24 裁決 棄却 F0-1-1211
重加算税/第三者を利用した仮装行為/司法書士業
・R01-09-25 裁決 棄却 F0-1-1213
先物取引に係る損失の繰越控除/更正の請求
・R01-09-03 裁決 棄却 F0-1-1215
不動産所得の必要経費/借地人所有建物の取壊費用
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
移転価格税制/残余利益分割法における重要な無形資産以外の要因の考慮
(令04-03-10 東京高裁 棄却・確定 Z888-2428)
特許権やノウハウ等の無形資産を有していたA社は、国外関連者との間でライ
センス契約を結び、その対価であるロイヤルティの額を収益の額に算入して確定
申告したところ、所轄税務署長から移転価格税制の適用を受けた事案です。
東京地裁(令和2年11月26日)は、残余利益の分割は、重要な無形資産の
開発に係るA社等の支出額のほかに、国外関連者の超過減価償却費を分割要因に
加えて配分するのが相当としました。控訴審で、国側は、残余利益の分割要因に
ついては、基本的には「重要な無形資産」のみをもって考慮されることが想定さ
れていると主張しましたが、東京高裁は、国の控訴を棄却しています。
超過利益は必ずしも重要な無形資産のみによってもたらされるとは限らず、ま
た、重要な無形資産だけではなく、これと共に他の複数の利益発生要因が重なり
合い、相互に影響しながら一体となって残余利益(超過利益)が得られることが
あるという経済及び取引の実態を踏まえ、分割対象利益の発生に寄与した程度を
推測するに足りる要因と認められる限り、これを分割要因とすることによって、
内国法人と国外関連者との間で分割対象利益を適切に分割して独立企業間価格を
認定するというものである。
国外関連者による設備投資は、超過利益をもたらした複数の利益発生要因に関
して重要な貢献をしており、設備投資に係る減価償却費につき、残余利益の分割
要因とするのが相当である。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2428
2022年10月27日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R03-02-16 裁決 棄却 F0-2-1033
源泉所得税/インド法人に支払った技術上の役務に対する料金
・R03-07-16 東京地裁 棄却 Z888-2422
源泉徴収義務/減額更正処分で否認された売上高と役員給与等に係る源泉所得
税
【所得税】
・R04-09-09 東京地裁 却下、棄却 Z888-2427
修正申告の無効確認の訴え/通知処分の違法/風俗業
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
取引相場のない株式~発行会社を介する三者間の譲渡にみなし譲渡課税等~
(令04-02-14 東京地裁 棄却 Z888-2419)
A社は、代表取締役(甲)から、A社株式5000株を1株当たり1500円
で取得(本件取引1)した上で、取締役兼営業部長である甲の長男(乙)に譲渡
(本件取引2)しました。同様に、A社は、同社の元取締役から、A社株式1万
1460株を取得した上で、乙に譲渡(本件取引3)しました。この事案は、A
社の自己株式の取得及び譲渡に係る取引について、処分行政庁から、甲はみなし
譲渡に該当するとして、乙は享受した経済的な利益が給与所得に該当するとして
更正処分を、A社は源泉所得税の納税告知処分を受けたことから争われたもので
す。裁判所では、次のとおり判断し、甲、乙及びA社の請求を棄却しました。
本件取引1は、所基通59-6に基づき算定した価額(1株当たり1万757
7円)の2分の1に満たない金額(1株当たり1500円)によりA社株式50
00株を譲渡したものであり、所得税法59条1項2号所定の「著しく低い価額
の対価として政令で定める額による譲渡」に該当するものと認められるから、同
項の規定を適用したことをもって、甲の更正処分が違法なものはいえない。
乙は、本件取引2及び3の時における価額と実際の対価の額との差額に相当す
る経済的な利益を享受したものであるし、この経済的な利益は所得税法28条1
項所定の「給与等」に該当するものと認められるから、同項の規定を適用したこ
とをもって、乙の更正処分及びA社の納税告知処分が違法なものとはいえない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2419
2022年10月20日
【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
できません。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。
日時:2022年10月27日(木) 午後10:00 ~ 午後10:30
※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
(システム部長:小林 英樹)
(2)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
株式と貸付金が同時に法人へ遺贈された場合の非上場株式の評価
~貸付金債務は負債計上すべきか~
講 師:税理士 兼平浩美
(事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
徴収事件/賃貸借契約に係る保証金の返還請求権の差押えと修繕費との相殺
(平21-02-25 吹田簡裁 国の請求認容 Z777-2106)
原告(国)が差し押さえた滞納者(賃借人)の賃貸借契約に係る保証金の返還
請求権は、物件の明渡し時の損耗・汚損に係る修繕費と相殺することはできない
とする国と相殺できるとする賃貸人(被告)とが争った事案です。
裁判所は、国の請求を認めました。
賃貸人の主張(本件物件には、明渡し時に損耗・汚損が存在し、この損耗・汚
損は、賃借人の通常の使用による程度を越えるものであるから、フローリング工
事費用のうち、1平方メートル分の工事費用として1万1000円及び襖5枚分
工事費用として1万1600円は、賃借人が負担すべきものとして、充当により、
返還すべき本件保証金から差し引かれるべきものである。)は、採用できない。
賃貸人の主張に添う証拠としては管理会社代表者作成の陳述書が存在するもの
の、少なくとも、その損耗・汚損が通常の使用による程度を超えるものであるか
どうかの点に関しては、賃借人である滞納者作成の陳述書及び退室申込書に照ら
して直に信用することができない。かえって、退室申込書の内装確認欄には、損
傷箇所を指摘する複数の記載があるものの、その中にはフローリングや襖につい
ての記載はないのであって、このことは、仮にフローリングや襖に何らかの損耗
・汚損が存在したとしても、それは通常の使用によって生じる程度のものに過ぎ
なかったのではないかとの推測を生じさせる。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z777-2106
2022年10月13日
【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録いたしました。
国税不服審判所のホームページに掲載された、令和4年1月から3月分の公表
裁決事例の収録が完了いたしました。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集126集
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【法人税】
・R04-03-10 東京高裁 棄却・確定 Z888-2428
移転価格税制/残余利益分割法/重要な無形資産以外の要因を考慮することの
可否
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
駐車場収入の帰属/親子間の土地使用貸借契約/高裁で逆転判決
(令04-07-20 大阪高裁 原判決取消し 確定 Z888-2426)
亡甲(一審原告)は、子ら(長男及び長女)との間で、各土地の使用貸借契約
を締結し、駐車場収入は子らに帰属するものとして申告したところ、処分行政庁
から、駐車場収入は亡甲に帰属するとして更正処分を受けました。大阪地裁は、
亡甲の請求を認容しましたが、大阪高裁は、次のように判示して、駐車場の収益
は、土地の所有者である亡甲に帰属すると判断しました。
親子間での土地の使用貸借契約は有効に成立していると認められる。しかし、
本件各取引は、亡甲の相続税対策を主たる目的として、土地の所有権はあくまで
も亡甲が保有することを前提に、土地による所得を子らに形式上分散する目的で、
同人らに対して使用貸借契約に基づく法定果実収取権を付与したものにすぎない
ものと認められる。したがって、たとえ、本件各取引後、駐車場の収益が子らの
口座に振り込まれていたとしても、そのように亡甲が子らに対する土地の法定果
実収取権の付与を継続していたこと自体が、亡甲が所有権者として享受すべき収
益を子に自ら無償で処分している結果であると評価できるのであって、やはりそ
の収益を支配していたのは亡甲というべきであるから、駐車場の収益については、
子らは単なる名義人であって、その収益を享受せず、亡甲がその収益を享受する
場合に当たるというべきである。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2426
2022年10月06日
【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【所得税】
・R03-05-27 東京地裁 棄却、控訴 Z888-2423
更正の予知/相続税の調査により所得税の申告漏れが判明した場合
【その他】
・R03-03-30 大阪高裁 原審判取消し、申立て許可、
特別抗告・許可抗告(抗告棄却・不許可) Z999-5438
死後離縁の申立て/死亡した養子の養子を推定相続人から排除する目的でされ
た場合
・R03-01-21 東京地裁 原判決変更、一部認容、確定
Z999-5439
建物賃貸借契約の法定更新/更新事務手数料条項の「消費者契約法10条」該
当性
・R03-06-23 最高最 上告棄却、確定 Z999-9168
補助金不正受給/詐欺罪で起訴されたときの補助金等不正受交付罪と詐欺罪と
の関係
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
更正の予知~関係法人に対する調査が請求人に対する調査と認定された事例~
(令02-04-23 非公開裁決 棄却 F0-2-1004)
不動産賃貸業等を目的とする請求人が、法人税等の修正申告書を提出したとこ
ろ、原処分庁が、架空の管理費及び修繕費の計上による仮装の行為があったとし
て、青色申告の承認の取消処分及び重加算税の各賦課決定処分を行いました。
審判所は、関係法人と請求人が、人的・物的関係において共通性を有した相当
密接な関係にあることなどから、次のとおり認定し、請求人の行為は、所得に関
し、故意に事実をわい曲したものであり、事実の仮装の行為に当たり、各処分等
は適法であるとして請求を棄却しました。
関係法人の調査の内容は、まさに、請求人の不正の行為に関連する証拠の収集
であり、進捗状況としても、その後の通常想定される調査が行われれば、請求人
の不正の行為が解明されることが相当程度確実といえる段階に達していたという
ことができ、現に、請求人は、その不正の行為がいずれ発覚するとの認識の下、
当該不正の行為に係る修正申告書を提出したものと認められるから、本件修正申
告書の提出は、調査を受けたことを原因として更正される可能性があるとの認識
によってされたものと認められる。
したがって、本件修正申告書の提出は、「調査があったことにより当該国税に
ついて更正があるべきことを予知してされたものでない」とはいえない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1004