2023年12月28日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINSメールニュースの件名変更について
今回よりTAINSメールニュースの件名を【TAINSメールニュースNo.〇〇〇
】+本文【2】のタイトル名の様式に変更いたしました。
メールソフト等で振り分け機能を設定されているユーザーの皆様におかれまし
ては、設定の変更が必要になる場合がございます。
お手数をおかけいたしますが、設定の変更をお願い致します。
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)
(2)次号メールニュースは来年1月11日に配信します。
次週1月4日は休業日のため、メールニュース651号は1月11日に配信し
ます。
(3)収録した裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R04-03-25 裁決 棄却 F0-3-863
取引相場のない株式の評価/評価通達6の適用/「特別の事情」の有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61437
・R03-10-01 裁決 棄却 F0-3-811
請求人名義の預貯金等の帰属/土地の評価/広大地該当性・マンションの敷地
等
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61606
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
懲戒処分~契約関係のない脱税相談による「第2債権放棄通知書」の作成行為~
(令03-12-02 大阪高裁 棄却 Z999-2176)
税理士である控訴人は、株式会社Aの法人税の申告に当たり、Aの関与税理士
であったBからAの所得金額を圧縮することの相談を受け、Aの代表取締役であ
った亡CがAに対する貸付金債権のうち4億1300万円について生前に債権放
棄していたにもかかわらず、債権放棄額を3億円に減額した「債権放棄通知書」
を作成し、Aの債務免除益を減少させました。この行為は税理士法36条の脱税
相談に当たるなどとして、処分行政庁から、税理士業務の禁止の処分を受けた事
案です。控訴人とAとの間に税務上の契約関係はありませんでした。
大阪高裁は、次のとおり判断(原審判決引用)し、請求を棄却しました。
控訴人は、Aが法人税の賦課を免れる具体的方法についての相談相手となり、
肯定的な回答をしたといえるから、控訴人の行為は、税理士法36条の「不正に
国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税
の還付を受けることにつき、‥相談に応じ」に当たる(原審判決引用)。
同法45条は、財務大臣が、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理
若しくは税務書類の作成をしたとき、又は同法36条の規定に違反する行為をし
たときは、1年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすること
ができる旨規定しており、税理士が、納税義務者から具体的に「求め」られた場
合に不正な行為をしたときとは別に、同法36条の規定に違反する行為をしたと
きも処分の対象としている。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61891
2023年12月21日
【1】今週のお知らせ
「与党 令和6年度税制改正大綱」が決定されました
12月14日、令和6年度税制改正大綱を自由民主党と公明党が決定し、同党
のホームページで公表されました。
今回の大綱の基本的な考え方として、四世紀半続いたデフレからの脱却、継続
的な賃上げによる経済の成長等に向けて主要7項目を示しています。
日税連は、今回の大綱において本会の建議項目や意見が取り上げられたとして、
引き続きあるべき税制の確立と申告納税制度の維持・発展のため積極的に意見を
表明するとコメントしています。
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
土地の評価~鑑定評価額が相当であるとする「特別の事情」認めず!
(令04-09-22 非公開裁決 棄却 F0-3-870)
請求人らが相続により取得した土地3筆(本件各土地)について相続税の申告
を行った後、当該土地の価額は不動産鑑定士による鑑定評価額が相当であるとし
て更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を
行ったことから、請求人らが原処分の全部の取消しを求めた事案です。
審判所では、次のとおり判断し、請求人らの主張を斥けました。
請求人らは、本件各土地の最有効使用は一体開発した上で戸建住宅用地として
分譲することから、一団の土地として一体評価すべき旨主張するが、相続開始時
の利用状況を前提に算定されるべきであり、本件各土地は、宅地、畑、貸家建付
地等と一体として利用されていた事実は認められず、本件各土地を一団の土地と
して一体評価するのは相当ではなく、評価通達の定める評価方法によっては適正
な時価を適切に算定することができない特別の事情があると認められない。
請求人らは、申告評価額と鑑定評価額との間に大きな乖離があることからも、
評価通達に定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできな
い特別の事情がある旨主張する。しかしながら、鑑定評価額は本件各土地全体を
「宅地見込地」として、転換後・造成後の想定更地価格をベースに控除方式を適
用して算定されており、相続開始時における時価とは、その前提を異にするもの
であり、適切な時価を算定することができない特別の事情があると認められない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61416
2023年12月14日
【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R04-08-24 裁決 棄却 F0-3-866
貸付金債権の評価/組合に対する貸付金の回収可能性/未払役員報酬の評価
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61412
【消費税】
・R03-01-05 裁決 棄却 F0-5-378
用途区分/居住用賃貸マンションを信託財産とする信託受益権/販売目的の取
得でも共通対応分
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61257
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
CFC税制、最高裁は措令39条の16第1項に委任の範囲の逸脱なしと判断!
(令05-11-06 最高裁 一部破棄自判他・確定 Z888-2513)
この事案は、M銀行(被上告人)の特定外国子会社等2社が、期中に優先出資
証券を償還し、事業年度終了時の発行済株式等はM銀行が保有する普通株式のみ
となり、請求権勘案保有株式等の占める割合(平成29年改正前の措置法施行令
39条の16第1項)は100%であるとして、M銀行が課税庁から法人税等の
更正処分等を受けたものです。
東京高裁は、措令39条の16第1項(本件規定)を本件に形式的に適用する
ことは、措法66条の6第1項(本件委任規定)の趣旨等に反すると判断したた
め、国が上告を行っていました。最高裁では、国が逆転勝訴しています。
本件委任規定において課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保が
重視されており、事業年度終了の時という定め方は一義的に明確であること等を
考慮すれば、個別具体的な事情にかかわらず基準時を設けることには合理性があ
り、そのような内容を定める本件規定が本件委任規定の目的を害するものともい
えない。前記事実関係等の下において本件規定を適用することが本件委任規定の
委任の範囲を逸脱するものではないというべきである。
(編集員からひとこと)
最高裁は、M銀行に対し、子会社の事業年度を優先出資証券の償還日の前日ま
でとすることにより、容易に合算課税を回避できたはずとの指摘もしています。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61745
2023年12月07日
【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
3棟の貸家が存する敷地の評価~評価単位と共用施設の取扱い~
講 師:税理士 永井智子
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
空き家状態が長く損耗の激しい家屋は損耗減点補正率による評価を!
(令05-10-04 札幌地裁 全部取消し・控訴 Z999-8499)
原告は、公売で取得した研究所用の建物(本件家屋)の登録価格(3億円超)
を不服として、固定資産評価審査委員会に審査の申出をしましたが、棄却決定
(本件決定)を受けました。そこで、原告は、本件家屋は約17年間通常の維
持管理がされず放置されていたので、評価基準における経年減点補正率による
評価ではなく、損耗の程度に応ずる減点補正率(損耗減点補正率)による評価
をすべきであるとして、本件決定の取消しを求めて出訴しました。
裁判所では、次のとおり判断し、本件決定の全てを取り消しました。
損耗減点補正率によることとされる「その他の事由」により経年減価補正率
によることが適当でないと認めらる場合とは、通常の維持管理を行う場合に生
じる損耗を超える損耗が明らかに生じている場合をいうと解される。
本件家屋は、その建物の性質を踏まえた通常の維持管理が長期間されていな
かったことは明らかであり、そして、そのような本件家屋の状況を踏まえて、
本件家屋に関する公売時の鑑定評価額(3850万円)は、登録価格と著しく
乖離しており、本件においては、本件家屋の状況について、通常の維持管理を
行う場合に生じる損耗を超えた損耗が明らかに生じているというべきである。
小樽市は、損耗減点補正率による評価を行わず、経年減価補正率により評価
を行ったものであり、登録価格は評価基準の定める評価方法に従って決定され
たものとはいえないから、その評価は違法である。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61624
2023年11月30日
【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【地方税】
・R04-06-29 東京高裁 棄却、納税者勝訴 Z999-8495
固定資産税等/「境内建物及び境内地」該当性/宗教法人の管理人室等及びそ
の敷地
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61549
【法人税】
・R05-11-06 最高裁 一部破棄自判、被上告人の控訴棄却、
被上告人の原審の拡張請求棄却、一部上告棄却、確定 Z888-2513
タックスヘイブン対策税制/措令39条の16第1項の適用の可否/委任の範
囲の逸脱
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61745
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
土地建物一括譲渡の場合の按分評価は、固定資産評価基準によらず、より合理
的な按分評価を認める!
(令04-06-07 東京地裁 一部取消し・確定 Z888-2479)
課税庁が、土地及び建物を代金額の内訳を定めないで一括して売却した原告の
建物の消費税課税標準額は、固定資産税評価額比率(建物比44.49)により
按分するべきとして更正処分をした事案です。
東京地裁は、次のとおり判断し、原告の鑑定の申出により裁判所が採用した鑑
定による鑑定評価額を前提として縮減した原告の請求をほぼ認めました。
一括譲渡された土地建物の対価の額を按分する方法として、当該資産の客観的
な交換価値を上回らない価額と推認される固定資産税評価額による価額比を用い
ることは、その合理性を肯定し得ないものではないが、資産の個別事情を考慮し
た適正な鑑定が行われ、固定資産税評価額と異なる評価がされ、価額比において
も実質的な差異が生じた場合には、もはや固定資産税評価額による価額比を用い
て按分する合理性を肯定する根拠は失われ、適正な鑑定に基づく評価額による価
額比(建物比22.70)を用いて按分するのがより合理的となるというべきで
ある。
(編集員からひとこと)
原告は、調査時、鑑定書(建物比21.67)を提出して修正申告に応じる旨
を述べましたが、受け入れられず、審判所で、その鑑定は、申告時按分割合に近
づけるために、作為的に評価したとの疑いを生じさせるとして主張は棄却されま
した。
裁判所が採用した鑑定評価による按分事案は貴重だと思われます。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60901
2023年11月16日
【1】今週のお知らせ
(1)次号メールニュースは11月30日に配信します。
次週11月23日は休日のため、メールニュース646号は11月30日に配
信します。
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【その他】
・R05-05-23 名古屋地裁 一部認容、一部棄却、控訴
Z999-5473
ジャパンライフ事件/磁気治療器のオーナー商法における不法行為による損害
賠償請求
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61551
・R05-04-21 札幌地裁 無罪 Z999-9174
刑事事件/ホストの持続化給付金/税理士における申請内容の虚偽性の認識の
有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61550
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
太陽光発電設備の課税仕入れを行った日は、機器の納品ごとか、全体の請負か
(令04-06-09 高松地裁 棄却・控訴 Z888-2505)
原告X社は、A社に委託した太陽光発電設備に係る契約に関して、課税期間内
に支払われた金員は、納品された機器の代金の一部であるとして課税仕入れに係
る支払対価の額に計上したところ、処分行政庁から、業務の全部が完了しておら
ず、引渡しを受けていないことを理由に、消費税等の更正処分等を受けました。
高松地裁は、消費税法は、「課税資産の譲渡等」と「課税仕入れ」を表裏一体
のものとして捉えているものと解され、法30条1項1号に規定する「課税仕入
れを行った日」は、譲渡人が課税資産の譲渡等を行った日と同義であるとした上
で次のように判示し、原告の請求を棄却しました。
本件契約は、A社が各機器の設置作業等を行い、電力会社の電線に連携させる
ことにより太陽光発電設備を完成させ、各設備を原告に引き渡すことを約する、
それぞれ全体で一つの請負契約であり、原告の主張する例外規定である基本通達
9-1-9(販売と据付工事を区分した譲渡時期の特例)は適用されない。
そうすると、本件契約に係る「課税仕入れを行った日」は、物の引渡しを要す
る請負契約における資産の譲渡等の時期に関する原則どおり、A社が、その目的
物たる各設備の全部を完成させ、原告に引き渡した日、すなわち令和元年5月2
4日と認めることができる。よって、「課税仕入れを行った日」は、平成31年
3月課税期間内にはないことになる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61538
2023年11月09日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより2023秋号掲載内容の訂正とお詫び
TAINSだより2023年秋号20P「TAINS研修会のお知らせ」の近
畿税理士会に関する内容に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
誤) 会場:近畿税理士会館3階大ホール
正) 会場:京都税理士会館3階大ホール(301号室)
なお、TAINSだよりはログイン後のページ右下「TAINSだより」をク
リックすると閲覧できます。
(税法データベース事務局)
(2)東海税理士会から提供いただいた「論考」を収録しました。
「詳細検索」の「TAINSキーワード」に次のように入力してください。
東海税理士会 論考 ‥‥8件
税区分は「その他」、情報区分は「その他文書」です。
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
土地の評価~不合理分割ではないとした審判所認定額により一部取消し~
(令04-03-09 非公開裁決 一部取消し F0-3-861)
請求人Aは、相続により取得した土地(本件1土地)について、1画地の宅地
として評価し相続税の申告をしました。しかし、原処分庁は、当該土地の一部は
駐車場の敷地であり、雑種地に該当するから、宅地部分(本件1土地北側部分)
と雑種地部分(本件1土地南側部分)とで地目の別に評価すべきであるなどとし
て、相続税の各更正処分等を行いました。
審判所の雑種地の判定は次のとおりです。なお、不合理分割に該当しないとし
て、雑種地部分の不整形の程度等に応じて認定額を算出し、一部を取り消しまし
た。審判所認定額等と土地の形状等については、別紙リンクに収録しています。
相続開始日の現況において、(1)本件1土地南側部分に存していた駐車場は、
本件1土地北側部分の敷地上に存する共同住宅の入居者専用ではなかったこと、
(2)共同住宅の玄関から、本件1土地南側部分へは自由に往来することができ
なかったことに加え、同部分は、共同住宅の通路としての用に供されていたと認
められず、さらに、(3)同部分は、東京都建築安全条例第19条に基づく共同
住宅の「窓先空地」や「屋外通路」に供されていたと認められないことから、本
件1土地南側部分は、共同住宅の敷地の維持又は効用を果たすために必要な土地
に当たるとは認められない。したがって、本件1土地南側部分は、評価通達7に
定める地目は、雑種地と判定される。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61530
2023年11月02日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
TAINSだより(2023年秋号)を掲載いたしました。
≪特別寄稿≫商品先物取引に係る損害賠償請求訴訟の和解により
「解決金」を取得した場合の更正の請求の是非と最高裁不受理決定の「怪」
(中央大学名誉教授:大淵博義氏)
ログイン後のページ右下「TAINSだより」をクリックすると閲覧できます。
(広報部長:上田 健一)
(2)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
【小規模宅地等の特例】成年後見人が事業の用に供していた土地は特定事業用
宅地等に該当するか?~生計一要件の該当性~
講 師:税理士 木村紀代
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
代償分割~特例適用後の小規模宅地の価額で代償金を計算しても合理的!
(令03-12-13 非公開裁決 全部取消し F0-3-817)
請求人とAは、小規模宅地の特例適用の土地について、特例適用後の価額に基
づいて代償金を計算し、遺産分割の審判を確定しました。そこで、請求人は相続
税の更正の請求をしたところ、原処分庁は、相続税の課税価格に算入すべき代償
金の計算は特例適用前の価額であるとして、更正をすべき理由がない旨の通知処
分等をしたので、請求人が、原処分の全部の取消しを求めた事案です。
審判所は、次のように判断し、請求人の全部の主張を認めました。
その合意書に定める相続税の課税価格における代償財産の価額の計算方法は、
共同相続人全員の協議に基づくものであると認められ、請求人とAとの相続税の
課税価格及び税額が等しくなるようにするものであり、相続税の総額が変動する
ものでもなく、相続税の負担を不当に減少させるものでもないとして、基本通達
11の2-10ただし書(1)に定める「合理的と認められる方法」であると認
められる。
(編集員からひとこと)
合意書において、小規模宅地の特例適用の土地については、この特例適用後の
価額によるとされています。審判所は、上記判断事由のとおりとし、原処分庁の
特例適用前の価額によるべきとした主張は採用できないとしています。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61537
2023年10月26日
【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録いたしました。
国税不服審判所のホームページに掲載された、令和5年1月から3月分の公表
裁決事例の収録が完了いたしました。
≪検索方法≫
「詳細検索」の「TAINSキーワード」に『★裁決事例集130集』を入力
して検索
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【消費税】
・R04-06-21 最高裁 棄却、不受理、確定 Z888-2504
上告棄却・不受理/介護付有料老人ホームにおける食事の提供
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61534
【地方税】
・R05-10-04 札幌地裁 全部取消し、控訴、納税者勝訴
Z999-8499
固定資産税/登録価格/約17年間放置された家屋の損耗の程度に応ずる減点
補正率
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61624
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
海外のLPSに対する役務提供が、輸出免税とならないケースも!
(令03-11-10 非公開裁決 棄却 F0-5-369)
請求人が、ケイマン諸島のLPSの資産運営管理などを行っていたところ、課
税庁からこれら業務の対価は、輸出免税でなく課税売上に当たると消費税等の更
正処分等を受けた事案です。
審判所は、役務提供の相手方が誰であるかが問題として、その相手が、ケイマ
ンLPSか有限責任パートナーかを検討しています。そして本件LPSは、ケイ
マン特例法の規定に従い、特例有限責任パートナーシップとして、各パートナー
の合意により創設され、その目的は、請求人が随時決定する投資先にLPSの資
産を投資する点などから、日本の法令上は、法人格を有せず、収益を目的として
LPSの構成員が共同事業を行っていると判断し、請求を棄却しています。
本件役務提供の相手方は有限責任パートナーであると認められるところ、有限
責任パートナーは、いずれも、日本国内に住所を有しており、外為法6条1項5
号に規定する「本邦内に住所又は居所を有する自然人」であるから、同号及び消
費税法施行令1条2項1号の「居住者」に該当し、「非居住者」には該当しない。
したがって、本件役務提供に、消費税法7条1項の規定は適用されない。
(編集員からひとこと)
この事案について、訴訟が提起されたかは不明ですが、LPSに対し役務提供
を行う際は、その組織体の設立根拠法令等で法人格の有無の確認を忘れずに。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60953
2023年10月19日
【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
できません。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。
日時:2023年10月20日(金) 午後10:00 ~ 午後10:30
※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
(システム部長:坂井 昭彦)
(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【その他】
・R05-03-09 最高裁 棄却、確定 Z999-5472
マイナンバー訴訟/番号利用法に基づく特定個人情報の利用等の行為と憲法1
3条
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60907
【消費税】
・R03-11-10 裁決 棄却 F0-5-369
輸出免税/ケイマン諸島LPSの運営管理業務の提供
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60953
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
小規模宅地等の特例~宅地を取得した親族が事業主とは認められない場合~
(令04-06-08 非公開裁決 棄却 F0-3-833)
被相続人の配偶者は、被相続人の事業(農業)の用に供されていた倉庫等(稲
作用の機械等の保管場所)の敷地(本件宅地)を相続により取得しました。この
事案は、原処分庁が本件宅地は特定事業用宅地等に該当せず小規模宅地等の特例
の適用はないとして更正処分等を行ったことから、請求人(被相続人の長男)が
その取消しを求めたものです。なお、配偶者は果樹等も相続しましたが、農地は
請求人が相続しました。審判所では、事業の意義について所得税法上の事業と同
様であると解した上で、次のとおり判断し、請求人の主張を斥けました。
本件事業(農業)における配偶者の関与は、本件事業の事業主である請求人の
業務に対する付随的かつ従属的なものであって主体的に役割を遂行しているもの
ではなく、配偶者が本件事業において自己の計算と危険において主体的に経済活
動を行っていたとは認められないから、配偶者は、請求人と共同して本件事業を
営んでいるとは認められない。また、配偶者が本件事業の事業主となれないこと
について、措置法通達69の4-20《宅地等を取得した親族が事業主となって
いない場合》に定めるやむを得ない事情があるため請求人が本件事業の事業主と
なっていると認めるに足りる証拠もない。
したがって、配偶者が措置法第69条の4第3項第1号イに規定する「被相続
人の事業を引き継ぎ」、「当該事業を営んでいること」に該当するとは認められ
ないから、本件宅地は、特定事業用宅地等に該当しない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60947