TAINSメールニュース No.566 2022.03.31 発行(社)日税連税法データベース

2022年03月31日

【1】今週のお知らせ
(1)コンピュータウイルス付きメール(Emotet)に関する注意喚起
  現在、「Emotet」(エモテット)と呼ばれるウイルスへの感染を狙う攻
 撃メールが、国内の組織へ広く着信しています。特に、攻撃メールの受信者が過
 去にメールのやり取りをしたことのある、実在の相手の氏名、メールアドレス、
 メールの内容等の一部が、攻撃メールに流用され、「正規のメールへの返信を装
 う」内容となっている場合や、業務上開封してしまいそうな巧妙な文面となって
 いる場合があり、注意が必要です。
  メールの差出し人名とメールアドレスが一致しない、依頼していないのに添付
 ファイル付きのメールが届いた、不自然なURLリンクが記載されたメールが届
 いた、等違和感の有るメールには十分ご注意いただき、「添付ファイルを開かな
 い、リンク先を確認しない」ようにしましょう。
 
 参考情報
 「Emotet」(エモテット)についての解説
 https://www.ipa.go.jp/security/announce/20191202.html#L18
                    (独立行政法人 情報処理推進機構)
 メールの添付ファイルの取り扱い5つの心得
 https://www.ipa.go.jp/security/y2k/virus/cdrom/basic/1_08.html
                    (独立行政法人 情報処理推進機構)
 
                       (システム部長:小林 英樹)
 
(2)公表裁決事例を収録いたしました。
  国税不服審判所のホームページに掲載された、令和3年7月から9月分の公表
 裁決事例の収録が完了いたしました。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集124集
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  課税財産は売買残代金請求権~契約解除時期の仮装に重加算税の賦課処分~
 (令02-10-29 東京地裁 棄却 控訴 Z888-2397)
 
  甲(被相続人)は、所有する土地(本件土地)をA社に代金22億7600万
 円で売却する旨の売買契約を締結し、手付金3億円を受領後、亡くなりました。
 甲の相続人ら(原告ら)は、甲の相続開始前に売買契約が合意解除された旨の確
 認書等を添付し、課税財産は土地であるとして相続税の申告書を提出しました。
 これに対して、処分行政庁は、課税財産は売買残代金請求権であるとして更正処
 分及び重加算税の賦課決定処分を行いました。
  東京地裁では、売買契約の合意解除があったのは、相続開始後であるとした上
 で、次のとおり判断し、原告の請求を棄却しました。
 
  売買契約の合意解除に、相続税の課税関係に影響を及ぼす「やむを得ない事情」
 があったと認めることはできないから、本件相続における課税財産は、本件土地
 ではなく、売買契約に係る売買残代金請求権であると解するのが相当である。
  原告らは、売買契約が相続開始前に解除されたこと、すなわち、本件相続に係
 る課税財産が本件土地であることを仮装しており、相続税に係る課税標準等又は
 税額等の計算の基礎となるべき事実の一部を仮装し、その仮装したところに基づ
 き相続税の申告書を提出したものと認められる。そうすると、原告らに対して重
 加算税を賦課することは、相当というべきである。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2397

TAINSメールニュース No.565 2022.03.24 発行(社)日税連税法データベース

2022年03月24日

【1】今週のお知らせ
  よくあるご質問とその回答≪Q&Aピックアップ≫
  Q1:検索条件を保存したい。
  A1:「細かい条件を指定して検索」を開き、条件を指定し「検索条件を保存
     」をクリックして、検索条件に適宜の名称を付けて保存してください。
     検索窓に入れたキーワードも検索条件として保存することができます。
 
  Q2:保存した検索条件で検索したい。
  A2:画面上部の「保存した検索条件一覧」または「細かい条件を指定して検
     索」の「保存した条件で探す」をクリックすると、保存した条件が一覧
     表示されるので、検索したい条件の「この条件で検索」をクリックして
     ください。
 
  Q3:保存した検索条件を削除したい。
  A3:画面上部の「保存した検索条件一覧」または「細かい条件を指定して検
     索」の「保存した条件で探す」をクリックすると、保存した条件が一覧
     表示されるので、削除したい条件の「削除」をクリックしてください。
 
  その他のよくあるご質問は、TAINSにログイン後、右上の【よくある質問
 】より確認いただけます。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  借入金利子の必要経費該当性/賃貸用建物の持分を一部譲渡した場合
 (令02-06-30 千葉地裁 棄却・確定 Z888-2372)
 
  原告の母Aは、借入金により貸付用建物を新築しその全部を貸し付けていまし
 たが、建物の持分4分の3を原告と原告が代表者である法人に譲渡し、その譲渡
 代金と新たな借入金(借換借入金)で、当初借入金の残債務を一括返済しました。
 その後、相続により、原告は、建物のAの持分4分の1を取得するとともに借換
 債務を承継し、Aの不動産貸付業務を承継し、借換借入金利子の全額を不動産所
 得の必要経費に算入して申告したところ、処分行政庁から必要経費に算入すべき
 金額は支払利子の金額に業務関連割合50%を乗じた金額に限られるとして更正
 処分等を受けた事案です。
  裁判所は次のとおり、原告の請求を棄却しました。
 
  本件建物は、持分譲渡後において、残余の持分4分の1のみがAの不動産貸付
 業務の用に供されていたから、当初借入金のうち、建築費用及び改修費用に充て
 られた借入金は、持分4分の1に対応する部分のみがAの不動産貸付業務につい
 ての費用に充てられるものであったということができる。
  相続後に支払われた借換借入金利子は、その29.88%に相当する部分が原
 告の不動産所得を生ずべき業務について生じた費用として不動産貸付業務との関
 連性が認められ、必要経費に該当する。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z888-2372

TAINSメールニュース No.564 2022.03.17 発行(社)日税連税法データベース

2022年03月17日

【1】今週のお知らせ
 誤りやすい事例集(東京国税局・大阪国税局作成)を収録いたしました。
  東京国税局・大阪国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が
 完了いたしました。
  〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
 で検索いただけます。
 
  譲渡事例大阪局R030001
  譲渡事例大阪局R030002
  所得事例大阪局R030000
  通則事例大阪局R030000
  消費事例大阪局R030000
  贈与事例大阪局R030000
 
  所得事例東京局R0312
  消費事例東京局R0312
  法人消費事例東京局R010900
  法人消費事例東京局R020900
  法人消費事例東京局R030900
 
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  監査役に対する損害賠償請求/従業員の横領と監査役の任務懈怠
 (令03-07-19 最高裁 破棄差戻し Z999-6163)
 
  A社の経理担当であった乙は、平成19年から平成28年の間、A社の当座預
 金口座から合計2億3523万円余を横領し、残高証明書を偽造していましたが、
 取引銀行からの指摘を契機に横領が発覚しました。本件は、A社が、その監査役
 であった甲に対し、甲がその任務を怠ったことにより、従業員による継続的な横
 領の発覚が遅れて損害が生じたと主張して、損害賠償を請求した事案です。
 
  東京高裁は、会計限定監査役である甲は、計算書類等に表示された情報が会計
 帳簿の内容に合致していることを確認していれば、その任務を怠ってはいないと
 して、A社の請求を棄却しました。しかし、最高裁は、上記判断は是認できない
 として、次のように判示し、破棄差戻しを言い渡しました。
 
  会計限定監査役は、計算書類等の監査を行うに当たり、会計帳簿が信頼性を欠
 くものであることが明らかでない場合であっても、計算書類等に表示された情報
 が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば、常にその任務を尽く
 したといえるものではない。そして、甲が任務を怠ったと認められるか否かにつ
 いては、A社における本件口座に係る預金の重要性の程度、その管理状況等の諸
 事情に照らして甲が適切な方法により監査を行ったといえるか否かにつき更に審
 理を尽くして判断する必要があるから、本件を原審に差し戻すこととする。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-6163

TAINSメールニュース No.563 2022.03.10 発行(社)日税連税法データベース

2022年03月10日

【1】今週のお知らせ
  よくあるご質問とその回答≪Q&Aピックアップ≫
  Q1:プリセット検索とはどのようなものでしょうか?
  A1:プリセット検索は、三つの選択肢を指定することにより分野を絞り込む
    (例:所得税>必要経費>算入時期)と、あらかじめセットされたキーワ
     ードにより検索が実行されます。欲しい情報に対応する語句が思いつか
     ないときに利用してください。
 
    上記の「プリセット検索」は、検索ワード入力欄の下、「細かい条件を指
   定して検索」をクリック後、TAINSキーワード内の「プリセット」欄を
   指定することで利用出来ます。
 
  Q2:プリセット検索の検索結果を絞り込むことができますか?
  A2:次のいずれかの方法により絞り込むことができます。
   <1>検索結果一覧の検索窓に表示されている語句にキーワードを加える。
   <2>検索ワード入力窓の下にある「細かい条件を指定して検索」を開いて
      条件を指定する。
 
  その他のよくあるご質問は、TAINSにログイン後、右上の【よくある質問
 】より確認いただけます。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  純資産価額による株式評価~法人に株式と同時に遺贈された貸付金の負債性~
 (令03-05-21 東京地裁 一部取消し 確定 Z888-2382)
 
  甲がA社に対して株式等を遺贈する旨の遺言をしていたところ、死亡により遺
 贈の効力が生じ、相続の開始時に保有していたA社の株式とA社に対する貸付金
 債権が、A社に移転しました。本件は、譲渡所得の金額の計算について争われた
 事件で、具体的な争点は、所得税法59条1項の「その時における価額」(時価
 )を純資産価額により算定するに当たり、株式と同時に遺贈された貸付金債権(
 貸付金債務)をA社の負債として計上することの適否です。
  東京地裁は、次のように判断して、更正処分のほぼ全てを取り消しました。
 
  遺贈の性質に鑑みれば、遺言が作成されてからその効力が発生するまでの間に
 おいて、遺贈の目的である権利が受遺者とされた者に移転することが確実である
 とは通常は考え難いというべきである。
  本件貸付金債務が遺贈の直前においていまだ存在していた以上、被告が主張す
 るA社株式の価額の増加部分(遺贈に伴う貸付金債務の消滅により生ずる価値の
 増加部分)は、そもそも遺贈の時点において譲渡人である甲の下に生じている増
 加益ではないから、譲渡所得に対する課税の対象にはならないものである。
  以上によれば、A社の株式の「その時における価額」を純資産価額によって算
 定するに当たって、貸付金債務をA社の負債として計上すべきである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2382

TAINSメールニュース No.562 2022.03.03 発行(社)日税連税法データベース

2022年03月03日

【1】今週のお知らせ
 誤りやすい事例集(福岡国税局作成)を収録いたしました。
  福岡国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
 した。
  〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
 で検索いただけます。
 
  所得事例福岡局R030000
  消費事例福岡局R030000
  譲渡事例福岡局R030000
  贈与事例福岡局R030000
 
 ※東京国税局・大阪国税局作成分は、現在収録準備中です。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  調査拒否に伴う仕入税額控除の否認~税理士の善管注意義務違反等の有無~
 (令03-12-24 千葉地裁 認容 Z999-0179)
 
  遊技場を経営する会社である原告が、法人税等の調査において帳簿及び請求書
 等を提示しなかったため、A税務署長から、帳簿等を保存しない場合に当たるこ
 とを理由として消費税法30条1項の規定による仕入税額控除を否認する消費税
 等の各更正等を受けました。原告から税務代理を受任し本件調査に対応していた
 被告に善管注意義務違反等があったと主張して、各更正等による増額等に相当す
 る38億2539万3900円の一部である3億円と弁護士費用2000万円と
 の合計3億2000万円の損害賠償を求める事案です。
  裁判所は次のように判断し、原告の請求を認容しました。
 
  被告は、原告の税務代理人として、本件調査の対応に当たり、税法の解釈に関
 する自らの見識を有しつつも、原告が、本来受けることができた消費税の仕入税
 額控除を否認されることがないよう適切に対応を行う義務を負っていた。
  ところが、被告は、重大な不利益処分がされる可能性があることが明示された
 にもかかわらず、弥縫策をとったのみで、本件調査が原告に対する事前通知を行
 うことなく開始されたことの違法を主張して本件調査に応ずることを拒否するこ
 との可否について、原告と真摯に検討することがないまま、最後まで、自らが立
 てたその方針に基づいた対応をとり、原告は、そのことによって、帳簿書類を提
 示し税務調査に応ずる機会を失い、各更正等を受けるに至ったと認められ、被告
 に対し、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-0179

TAINSメールニュース No.561 2022.02.24 発行(社)日税連税法データベース

2022年02月24日

【1】今週のお知らせ
  よくあるご質問とその回答≪Q&Aピックアップ≫
  Q1:年月日のわかっている判決・裁決の検索の仕方を教えてください。
  A1:検索トップの「細かい条件を指定して検索」を開いて、「検索条件」の
    「判決・裁判の日付」の左の入力欄に、表示されるカレンダーから日付を
    選択します。すると右側の日付入力欄にも同じ日付が自動入力されるので、
    この日付で検索します。判決・裁決の日付を範囲指定したい場合は、右側
    の日付入力欄に自動入力された日付を×で消して、任意の日付を同じくカ
    レンダーから選択して検索してください。
 
  Q2:TAINSコードがわかっている判決・裁決の検索の仕方を教えてくだ
     さい。
  A2:検索トップの「細かい条件を指定して検索」を開いて、「その他の検索
     条件」を選んで、TAINSコードを入力してください。
 
  その他のよくあるご質問は、TAINSにログイン後、右上の【よくある質問
 】より確認いただけます。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
 宗教法人への贈与/相続税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合
 (令03-05-20 公表裁決 全部取消し J123-3-07)
 
  本件は、宗教法人である請求人の前住職が、自己名義の預金口座から請求人名
 義の預金口座へ金員を移動させたことについて、原処分庁が、当該金員の移動は
 持分の定めのない法人に対する贈与であり、前住職の親族の相続税の負担が不当
 に減少する結果になるとして、相続税法66条《人格のない社団又は財団等に対
 する課税》4項の規定により、請求人を個人とみなして贈与税の決定処分等をし
 たという事案です。審判所は次のように判断し、原処分を全部取消しました。
 
  本件各資金移動は、いずれも前住職から請求人に対する贈与に該当する。
  請求人は、相続税法66条4項の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結
 果となると認められないものとする旨を規定した相続税法施行令33条3項の規
 定には該当しないものの、前住職らによる請求人の業務運営及び財産管理につい
 ては、請求人の総代が相当程度に監督しているものと認められるほか、前住職ら
 が私的に業務運営や財産管理を行っていたとまでは認められないこと、前住職ら
 が、本件各資金移動の時点において、請求人の財産から私的に財産上の利益を享
 受した事実は見当たらないこと等から、前住職らが、請求人の業務、財産の運用
 及び解散した場合の財産の帰属等を実質上私的に支配している事実は認められな
 い。したがって、本件各資金移動により贈与者である前住職の親族等の相続税の
 負担が不当に減少する結果となるとは認められない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】J123-3-07

TAINSメールニュース No.560 2022.02.17 発行(社)日税連税法データベース

2022年02月17日

【1】今週のお知らせ
情報収集の取組紹介
東京国税局・大阪国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録を
進めています。

・国税庁調査課・東京国税局調査審理課 令和3年9月作成
法人税及び消費税等の処理における誤り易い事例とそのチェックポイント

・東京国税局 令和3年12月作成 所得税消費税誤りやすい事例集

・大阪国税局 令和3年12月作成 個人課税関係
令和3年版 誤りやすい事例 (国税通則法・所得税法・消費税法)

・大阪国税局 令和3年12月作成 資産課税関係誤りやすい事例
土地譲渡所得関係・株式譲渡所得関係・贈与税関係 令和3年分
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
企業ポイント交換により受領した金員/消費税法2条1項8号の「対価」該当性
(令03-09-29 大阪高裁 原判決取消し 確定 Z888-2392)

ICカードを発行している控訴人は、会員に対し商品購入代金等の決済手段と
して本件カードを利用した場合に企業ポイント(本件ポイント)を付与するサー
ビスのほか、本件ポイントと控訴人が提携する法人が付与する企業ポイント(提
携ポイント)との交換を行っていました。本件は、提携ポイントと本件ポイント
とを交換した後に、提携法人から控訴人に支払われた金員(本件金員)が、消費
税法2条1項8号の「対価」に該当するかが争われた事案です。
大阪地裁(Z269-13358)は対価に該当するとしましたが、大阪高裁
は、下記のように判断して対価に該当しないとしました。

各提携契約に基づく提携法人の控訴人に対する本件金員の支払は、ポイント交
換に係る提携ポイントを発行した者としてその利用に係る経済的負担を負うべき
立場にある提携法人が、ポイント還元を行う控訴人のために、その原資を提供す
る行為にほかならない。
そうであるとすれば、各提携契約に基づく提携法人と控訴人との間のポイント
交換は、無償取引というべきであり、本件金員が控訴人が各提携契約に基づき提
携法人に対して行う役務の提供の反対給付としての性質を有するとみるのは困難
というべきである。本件金員は消費税法2条1項8号にいう「対価」に該当せず、
これを消費税の課税標準とすることはできない。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2392

TAINSメールニュース No.559 2022.02.10 発行(社)日税連税法データベース

2022年02月10日

【1】今週のお知らせ
(1)会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。

2022年2月15日(火)までを予定しておりました当社団職員の新型コロ
ナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保の対策ですが、現状を鑑み、202
2年3月15日(火)まで延長させていただくこととなりました。

引き続き、お問い合わせは、当ホームページ最下部右にございますお問い合わ
せフォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場合
があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長することがございます。

会員の皆様には大変ご不便をおかけすることをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。

(2)国際税務情報サイト更新のお知らせ
1月21日、国際税務情報研究会が「BEPS行動計画12の義務的開示制度
が我が国の税制改正及び税務専門家業務に与える影響についての考察」と題し、
研究内容を取りまとめた答申を国際税務情報サイトに収録しました。TAINS
ホームページ最下部「お役立ち情報」>「国際税務情報サイト」>「1.国際税
務トピックス」から全文をご覧いただけます。
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
第二次納税義務~再生計画に基づく債務免除により「受けた利益」の有無~
(令03-12-09 東京高裁 請求認容 確定 Z999-7223)

C社(控訴人)は、再生計画の過程で、C社の借入金の代位弁済をした元代表
者ら(滞納者)から、その求償債権の債務免除を受けたところ、関東信越国税局
長から、徴収法39条に基づき、元代表者らの滞納国税につき、第二次納税義務
の納付告知処分を受けました。C社は、納付告知処分は違法であるとして、その
取消しを求めて出訴しましたが、原審(Z999-7221)は、請求を棄却し
ました。一転して、東京高裁では、各債務免除は徴収法39条の「債務免除」に
当たるとした上で、C社の受けた利益の額は、各求償債権の額面上の金額である
旨の被控訴人の主張を斥け、次のとおり判断し、C社の請求を認容しました。

控訴人は、各債務免除がされなければ、再生計画書に係る再生計画は成立せず、
早晩法的整理に移行せざるを得なかったといえるから、各債務免除の時の各求償
債権の価額については、控訴人が破産した場合に予想される回収額(清算価値)
によって評価することが相当である。
各債務免除の時における各求償債権の価額が0円を超えるとは認められず、各
債務免除により控訴人の受けた利益は現に存しないというほかないから、その余
の点について判断するまでもなく、各債務免除は徴収法39条の要件を満たすも
のではなく、納付告知処分は違法であって、取消しを免れない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-7223

TAINSメールニュース No.558 2022.02.03 発行(社)日税連税法データベース

2022年02月03日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイトを更新し、近畿税理士会より提供があった下記テーマを新たに追加
いたしました。ログイン後、右上部「研修サイト」の文字をクリックすると画面
が移動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施
する研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講
時間を登録することができます(近畿税理士会において、令和3年12月20日
からビデオ配信されているものと同じ内容となります)。

テーマ TAINSを利用した判例研究研修会 判決・裁決の読み方
講 師 川喜多由博氏(近畿税理士会)
(事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
差押処分/給与の差押禁止/給与が振り込まれた後の預金口座の差押え
(平31-02-07 大津地裁 却下棄却・控訴 Z777-201905)

処分行政庁が原告の銀行に対する預金債権を差し押さえて、原告が滞納してい
た所得税に当てた処分が違法であるとして処分の取消し等を求めた事案です。
主な争点は、差押処分で差し押さえられた預金債権は国税徴収法76条(給与
の差押禁止)1項に定める「給与に係る債権」か否かです。

本件預金債権は「給与に係る債権」ではないため、これに対する差押処分が徴
収法76条によって禁止されるものではない。
預金口座に振り込まれた金員については預金者において自由に処分することが
可能である以上、給与債権が一般債権である預金債権に転化する時点を狙って差
押処分をするのであれば、給与債権が預金口座に振り込まれたその日のうちに差
押処分をするはずであるところ、差押処分が行われたのは、給与振込日の2日後
であり、その間に原告が預金口座に振り込まれた金員を自由に処分できる状況に
あったことに照らすと、G統括官において、預金債権に転化した時点を狙って給
与を差押え可能な範囲を超えて確実に差し押さえようとする意図があったとは認
め難い。
したがって、差押処分について、「給与に係る債権」の差押えと実質的に同視
できるものとして、違法となると評価することはできず、差押処分は適法である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して〕【TAINSキーワード】Z777-201905

TAINSメールニュース No.557 2022.01.27 発行(社)日税連税法データベース

2022年01月27日

【1】今週のお知らせ
(1)第2回常務理事会を開催
1月24日、第2回常務理事会をWeb形式にて開催し、特別入会資格の他士
業への拡大、新たな動画コンテンツ企画等につき検討いたしました。

(2)非公開裁決の情報収集の取組紹介
令和3年4~6月の課税事件・徴収事件の非公開裁決の裁決文全文の入手作業
を進めております。
(税法データベース事務局)

(3)TAINSだより
TAINSだより(2022年新年号)を掲載いたしました。検索トップペー
ジの右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
事業用買換資産の取得価額と一括譲渡した土地建物の対価の区分
(令03-09-17 東京地裁 棄却 Z888-2371)

原告らの父乙は、贈与により取得した土地1を昭和62年に譲渡して、措置法
37条(特定事業用資産の買換え)1項の適用を受け、買換資産としてA建物を
取得し、平成26年に土地2とともにA建物を譲渡しました。本件は、父の死後、
税務署長が、不動産所得につきA建物の取得価額は「引継価額」とすべきであり、
一括譲渡した土地建物の対価の区分は「相続税評価額による按分法」を採用すべ
きであるとして更正処分をした事案です。東京地裁は次のように判示しました。

原告らは、本件贈与は負担付贈与であり、土地1は、措置法37条1項の要件
(所有期間10年超)を満たしておらず、A建物は買換資産に該当しない旨主張
するが、乙が自ら同項の規定を当てはめて要件を満たすとする確定申告書を提出
し、これを働かせて課税の繰延べという効果を享受した者であったことは明らか
であり、客観的にみて要件を満たしていたか否かにかかわらず、乙は同項の規定
の適用を受けた者に該当するから、A建物の取得価額は引継価額とすべきである。
土地2の概算取得費を計算するに当たり、原告らは、譲渡収入から建物の固定
資産税評価額を控除した額を土地の収入金額とする差引法を主張するが、固定資
産税評価額は実際の取引価額が形成される事情が考慮されていないことから差引
法は合理的とはいえない。相続税評価額による按分法は、土地と建物との収入金
額の均衡を保つことができるものと解されるから合理性があると認められる。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2371