2022年09月29日
【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
ユニバーサルミュージック事件~同族会社の行為計算の否認規定~
講 師:税理士 黒住茂雄
(事業部長:上田 健一)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
役員退職給与の損金算入の可否~退職の事実とみなし役員の該非~
(令02-12-15 非公開裁決 全部取消し F0-2-1010)
請求人に合併された法人が、元代表取締役に対して支給した退職金の金額を損
金の額に算入して法人税等の申告を行ったところ、原処分庁が、元代表取締役は
登記上退任した後も被合併法人の経営に従事しており、実質的に退職したとは認
められないから、当該金額は退職給与として損金の額に算入されないとして更正
処分等を行いました。これに対して請求人が、元代表取締役は形式的にも実質的
にも被合併法人を退職したのであるから、当該金額は損金の額に算入されるなど
として、原処分の全部の取消しを求めた事案です。
審判所は、次のように判断し、請求人の主張を認めました。
元代表取締役(本件元代表者)は、各退任の日以降、本件各法人のいずれから
も、役員報酬や従業員給与を受領していないと認められること、他方で、本件各
退任後に就任した各法人の代表取締役らが、本件各退任直後から、その代表取締
役としての職務を全く行っていなかったことを認めるに足りる証拠もないこと、
また、本件元代表者が各退任の約5か月前に海外に住所を移転しており、各退任
に至った経緯が不自然であるともいえないことからすれば、本件元代表者が、各
退任後も継続して、本件各法人の事業運営上の重要事項に参画するみなし役員に
該当し、本件各法人を実質的に退職していなかったと認めることはできない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1010
2022年09月22日
【1】今週のお知らせ
(1)中国税理士会から提供いただいた「研究論文集」を収録しました。
「細かい条件を指定して検索」をクリックし、「TAINSキーワード」に
次のように入力します。税区分は、「その他」です。
中国税理士会研究論文集0005 ‥‥ 1件
(2)収録した裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R02-02-18 裁決 棄却 F0-2-1001
株式の取得価額/コスト削減のために取得した子会社株式の取得価額
・R02-03-18 裁決 棄却 F0-2-1003
移転価格税制/複数の取引を一体として独立企業間価格を算定することの合理
性
・R02-04-23 裁決 棄却 F0-2-1005
更正の予知/修正申告書の提出と関係会社に対する犯則調査
・R02-05-29 裁決 棄却 F0-2-1007
役員給与/不相当に高額な部分の金額/類似法人の役員給与の最高額の平均額
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
社会保険料控除/ユネスコが運営する基金に対する保険料
(令02-06-17 非公開裁決 棄却・却下 F0-1-1275)
本件は、国際連合の専門機関(ユネスコ)に勤務していた請求人が、当該機関
の退職年金から控除されたユネスコ職員等の健康保険制度(ユネスコが運営する
Medical Benefits Fund)に係る保険料は社会保険料控除
の対象であるとして更正の請求をしたところ、原処分庁が、更正をすべき理由が
ない旨の通知処分をしたのに対し、その取消しを求めた事案です。
審判所は次のとおり判断し、請求人の請求を棄却しました。
社会保険料控除の対象となる社会保険料は、所得税法74条《社会保険料控除》
2項及び所得税法施行令208条《社会保険料の範囲》において限定的に列挙さ
れているのであるから、実特法(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及
び地方税法の特例等に関する法律)5条の2第1項の規定のように、居住者が支
払った又は控除される保険料を所得税法74条2項に規定する社会保険料とみな
す旨の特段の規定がある場合を除き、上記の法令において列挙されていない保険
料は社会保険料控除の対象とならないものと解される。
本件保険料は、上記の法令において列挙されておらず、また、本件保険料を所
得税法74条2項に規定する社会保険料とみなす旨の特段の規定も存在しないこ
とから、本件保険料が社会保険料控除の対象ではないことは明らかである。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-1-1275
2022年09月15日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R02-05-11 裁決 却下 F0-3-740
審査請求期間の徒過/「正当な理由」の有無
・R02-04-13 裁決 棄却 F0-3-741
信義則違反の有無/小規模宅地等の特例を適用できる旨の相談担当職員の誤っ
た回答
・R02-03-24 裁決 棄却 F0-3-742
不動産の評価/鑑定評価の合理性・「特別の事情」有無
・R02-03-17 裁決 一部取消し F0-3-743
土地の評価(鑑定評価の合理性)/理由提示の不備/信義則違反の有無
【法人税】
・R02-01-22 裁決 却下 F0-2-1000
更正の請求/審査請求の係属中に行われた再更正処分
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
移転価格税制/従業員が国外関連者の工場に出張して行った技術支援
(令02-03-19 非公開裁決 一部取消し F0-2-948)
請求人は、従業員を国外関連者の工場に出張させるなどして技術支援を行って
いました。本件は、この技術支援が国外関連者との間で行った役務の提供であり、
国外関連者から支払を受ける対価の額が措置法66条の4第1項の独立企業間価
格に満たないとして、原処分庁から法人税等の更正処分等を受けた事案です。
審判所は、技術支援Aは、国外関連者との間で行った役務の提供と認めず、国
外関連者との間で行った役務の提供であることに双方争いのない技術支援Bにつ
いて、改めて独立企業間価格を算定し、原処分の一部を取り消しています。
技術支援Aは、本件フィリピン法人の要請を受けて行われており、請求人は、
その支援した内容及びその結果などの情報をフィリピン法人に提供していたこと
が認められる。また、技術支援Aの対象である製品A用の部品は、フィリピン法
人が販売している製品Aの基幹部品で、それによって製品Aの性能を左右するも
のであり、技術支援Aを受ける必要があったと認められる。そして、各契約の対
価の決定に当たっても、国外関連者の工場への出張等に係る費用などが基礎とさ
れていたことなども考慮すれば、技術支援Aがフィリピン法人との間で締結され
た技術支援契約に基づいて行われたとすることにも合理性がある。
したがって、技術支援Aは国外関連者との間で行った役務の提供であると認め
ることはできない。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-948
2022年09月08日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R03-07-14 東京高裁 棄却、上告、上告受理申立て
Z888-2415
相続財産は土地売買契約の売買残代金請求権/重加算税(生前に契約解除と仮
装)
・R03-06-02 東京高裁 棄却、確定 Z888-2416
不服申立前置/求償債権の存否/債務を免除する黙示の意思表示の有無
【所得税】
・R02-06-04 裁決 却下、一部取消し F0-1-1269
更正処分の適法性/税理士への委任と委任者の責任
・R02-06-11 裁決 棄却 F0-1-1272
通則法74条の11第6項の「質問検査等」該当性
【法人税】
・R02-02-06 裁決 棄却 F0-2-944
重加算税/寄附金/関係法人に対する業務委託料
・R02-01-07 裁決 棄却 F0-2-999
欠損金の繰戻しによる還付請求/還付請求書の期限後の提出
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
贈与事実の認定~被相続人名義の預金口座から出金された使途不明の現金~
(令02-11-17 非公開裁決 一部取消し F0-3-736)
請求人は、相続開始前に被相続人の預金口座から現金を出金して、請求人の管
理する預貯金口座へ現金を入金した事実があったと推認され、原処分庁から相続
税法9条(みなし贈与)の規定により、平成24年分から平成26年分までの贈
与税の決定処分を受けたことから、その取消しを求めて審査請求をしました。
審判所では、次のとおり、現金の贈与があったと判断しました。なお、相続税
法9条は適用できないとした上で、原処分庁と審判所との認定額に相違があった
ことから、平成24年分及び平成25年分の決定処分の一部を取り消しました。
一般に妻子等自己と極めて親密な身分関係にある者の間で財貨の移動があった
場合、これが租税回避の手段としてされることが少なくないため、贈与税の課税
に当たっては実質課税の原則に則り、実質に着目して行われるべきである。した
がって、親族間で財貨の移動があった場合には、後にその財貨が現実に返還され
るか又は将来返還されることが極めて確実である等特別の事情が存在しない限り、
贈与であると認めるのが相当である。
本件では、請求人が被相続人各口座から出金した現金のうち、使途が不明な現
金については、出金時、親族間で財貨の移動があった場合に該当し、また、その
後にその財貨が現実に返還され又は返還されることが確実であった等特別な事情
が存在した事実もなかったから、請求人による出金時において、被相続人から請
求人に対し贈与されたと認めるのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-3-736
2022年09月01日
【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
土地売買契約後に相続が開始した場合の財産評価
~合意解除は相続税に影響するのか~
講 師:税理士 与北奈須夫
(事業部長:上田 健一)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
国家賠償請求/固定資産税等/不整形地補正に係る注意義務違反の有無
(令02-11-26 大阪地裁 棄却 Z999-8442)
原告が、市長がした固定資産税等の賦課決定には、不整形地補正をしなければ
ならなかったにもかかわらずこれを怠ったという違法があり、過大な固定資産税
等の納付をさせられたなどと主張して、被告(市)に対し、国家賠償法1条1項
に基づく賠償請求を求める事案です。裁判所は、原告の請求を棄却しました。
不整形地補正の趣旨は、画地の形状は一般には不整形なものが多いと考えられ
るものの、画地の形状が悪いことによって画地の全部が宅地として十分に利用で
きないという利用上の制約が生じている場合があるから、このような制約の有無
や程度を宅地の価格を求めるに当たって考慮するのが相当であるという点にある。
そうすると、一辺が路線に接する矩形の画地以外の画地は全て「不整形地」に
当たるというわけではなく、ある程度不整形な画地であっても家屋の建築等が通
常の状態において行い得るものは「不整形地」に当たらないと解するのが相当で
ある。基準日において、本件土地の形状は矩形であって、土地上に建物が存在し
ていたというのである。そうすると、市長が、本件土地について、家屋の建築等
が通常の状態において行い得るものであるなどとして、「不整形地」であると認
めなかったことに関し、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と
当該行為を行ったと認め得るような事情は認められない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z999-8442
2022年08月25日
【1】今週のお知らせ
(1)四国税理士会から提供いただいた「税務調査に関するアンケート」を収録し
ました。
「細かい条件を指定して検索」をクリックし、「TAINSキーワード」に
次のように入力します。税区分は、「その他」です。
四国税理士会 ☆2022年08月収録分 ‥‥ 1件
(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・H03-05-14 裁決 一部取消し F0-2-957
損金の額/更正の理由附記と債券先物取引に係る損益の帰属時期
・H03-06-05 裁決 一部取消し F0-2-959
重加算税/実態のない法人を介在させた売上除外と仕入金額の過大計上
・H03-11-12 裁決 棄却・一部取消し F0-2-967
低額譲渡/相対取引によって譲受される場合の上場株式の取引価額
・R03-07-07 東京高裁 棄却・上告・上告受理申立て
Z888-2414
過少資本税制/国外支配株主等/措令39条の13に規定する事業方針決定関
係
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
更正の請求/商品先物取引に係る訴訟上の和解
(令04-02-25 東京地裁 棄却 Z888-2405)
本件は、原告が、商品先物取引について平成11年に2573万円余、平成1
2年に2億8787万円余の利益を得たとして課税処分を受けたのに対し、A証
券との間の訴訟上の和解の成立により、遡って委託契約が解除され、個別の取引
も効力を失ったとして、更正の請求をしたところ、更正をすべき理由がない旨の
通知処分を受けた事案です。
東京地裁は、訴訟上の和解の条項中に納税者の権利関係等を変更する旨の記載
がされていたとしても、それが、専ら租税負担を回避する目的で、実体とは異な
る内容を記載したものであって、その実質において客観的、合理的理由を欠き、
真実は権利関係等の変動がないような場合には、当該訴訟上の和解は、通則法2
3条2項1号の「判決と同一の効力を有する和解」には当たらないとした上で、
本件和解の内容とその法的効力等について、次のように判示しました。
和解条項において、本件先物取引が公序良俗に反して無効であり、その効果が
原告に帰属しないものであることを確認するとしている。しかし、別件の無効確
認訴訟の判決において、本件先物取引が公序良俗違反で無効ということまではで
きない旨が判示されている。また、本件和解は、原告が、課税処分による税の負
担を免れるために、原告に利益が帰属しないことになるという形式を作り出すこ
とを目的としてされたものというほかなく、それ以外に客観的、合理的理由はな
い。そうすると、本件和解は判決と同一の効力を有する和解には当たらない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2405
2022年08月18日
【1】今週のお知らせ
(1)次の税理士会から提供いただいた相談事例、その他文書を収録しました。
「細かい条件を指定して検索」をクリックし、「TAINSキーワード」に
次のように入力します。
千葉県税理士会 ☆2022年08月収録分 ‥‥24件
南九州税理士会 ☆2022年08月収録分 ‥‥12件
名古屋税理士会 ☆2022年08月収録分 ‥‥ 1件
なお、東京税理士会の相談事例は、毎月ご提供いただいています。
(2)収録した裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R02-01-07 裁決 棄却 F0-1-1249
更正の請求の可否/前納した社会保険料等の特例
・R02-01-16 裁決 却下 F0-1-1253
不服審査/処分の不存在/無申告加算税の賦課決定処分
・R02-02-17 裁決 却下 F0-1-1256
異議申立期間の徒過/処分に係る通知を受けた日
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
不動産取得税~複数の不動産に係る共有物の分割により取得した場合の課非
(令04-03-22 最高裁 棄却 確定 Z999-8444)
地方税法73条の7第2号の3は、共有物の分割による不動産の取得について、
同法73条の2第1項にいう「不動産の取得」に該当し、その例外として、持分
超過部分の取得を除いては非課税とする旨を定めたものと解されています。
上告人は、複数の不動産について各持分10分の1を有していましたが、共有
物の分割により本件各土地の各持分10分の9を取得しました。この各取得に対
する不動産取得税の賦課決定処分について、上告人が、被上告人(東京都)を相
手に取消しを求めて争いました。最高裁は次のとおり判示し、確定しています。
不動産取得税に関する地方税法の規定の内容等に照らせば、同税は、個々の不
動産の取得ごとに課されるものである。そうすると、共有物の分割による不動産
の取得に係る持分超過部分の有無及び額については、複数の不動産を一括して分
割の対象とする場合であっても、その対象とされた個々の不動産ごとに判断すべ
きものと解するのが、不動産取得税の課税の仕組みと整合的である。
したがって、複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不
動産を取得した場合における持分超過部分の有無及び額については、分割の対象
とされた個々の不動産ごとに、分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所
有することとなった不動産の価格とを比較して判断すべきものである。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-8444
2022年08月04日
【1】今週のお知らせ
(1)次号メールニュースは8月18日に配信します。
次週8月11日は休日のため、メールニュース584号は8月18日に配信し
ます。
(税法データベース事務局)
(2)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
とができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。
記
節税目的で取得した不動産に総則6項を適用
~適用が認められる「特別の事情」とは~
講 師:税理士 額田朋子
(事業部長:上田 健一)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
関連会社から派遣された従業員が行った仮装行為~納税者本人行為と同視~
(令02-01-28 大阪高裁 棄却・確定 Z270-13372)
控訴人(納税者・A社)には、固有の従業員がいなかったことから、関連会社
のB社から派遣された従業員乙は、A社の経費等の支払依頼書の作成等の経理業
務に従事し、同時に関連会社C社の業務を兼務していました。乙が、C社からA
社あての架空請求書等を作成し、C社に振り込まれた代金を領得する行為をした
ことについて、A社が課税庁から法人税等の更正処分及び重加算税賦課決定処分
を受けた事案です。争点は、乙の隠ぺい仮装行為をA社本人の行為と同視し、A
社に対して重加算税賦課決定処分を行うことができるか否かです。
裁判所は、一部補正のうえ原判決は相当であるとして棄却し、確定しました。
乙が隠ぺい仮装行為を行ったのが、自己の利益を図るためであったとしても、
重加算税制度の趣旨に照らし、乙に確定申告手続を含め経理業務を任せていた控
訴人が、乙をして、適正な申告業務及びその前提となる適正な経理業務を行わせ
るよう指揮監督すべき義務を怠り、乙により隠ぺい仮装行為が行われた場合、乙
の行為を控訴人の行為と同視することを妨げる事情があるとはいえない。そして、
取引関係のある複数の会社の経理事務を担当させ、控訴人においては確定申告手
続も担当している乙について、特段の指揮監督体制の見直し・強化もせず、乙が
隠ぺい仮装行為に及び得る状況を放置した控訴人について、国税通則法68条1
項を適用した本件各賦課決定処分は適法なものであったということができる。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z270-13372
2022年07月28日
【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
できません。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。
日時:2022年7月29日(金) 午後10:00 ~ 午後10:30
※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
(システム部長:小林 英樹)
(2)TAINSだより
TAINSだより(2022年夏号)を掲載いたしました。検索トップページ
の右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)
(3)北陸税理士会から提供いただいた相談事例を収録しました。
「細かい条件を指定して検索」をクリックし、「TAINSキーワード」に
次のように入力します。収録区分は、「所得税」「法人税」「相続税」です。
北陸税理士会 ☆2022年07月収録分 ‥‥15件
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
租税条約の適用による限度税率/外国法人に分配されたみなし配当
(令04-02-17 東京地裁 認容 Z888-2418)
ルクセンブルク大公国に本店を有する外国法人である原告は、内国法人である
完全子会社2社がした非適格分割型分割に基因して剰余金の配当の分配を受けま
したが、この剰余金の配当の一部(みなし配当)につき20.42%の税率によ
る金額を源泉徴収されました。本件は、原告が、本件各みなし配当については、
租税条約10条2項(a)(本件規定(a))に定める保有期間要件に該当する
から、その限度税率は5%になり、当初納付額は過大であったとして、被告(国
)に対し、還付金等の支払を求める事案です。東京地裁は次のように判断し、原
告の請求を認容しました。
本件規定(a)の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」の解釈については、
「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期」と解するのが相当である。
本件規定(a)は、配当受領法人が、利得の分配(配当)が行われる会計期間
(事業年度)の終期に先立つ6か月の期間を通じて、配当支払法人の議決権のあ
る株式の25%以上を所有することを要件とするものである。これを本件につい
てみると、原告は、本件規定(a)の定める保有期間要件を満たし、本件各みな
し配当に係る限度税率につき5%の軽減税率の適用を受ける。したがって、本件
においては、本件請求金額に係る還付請求権を認めることができる。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z888-2418
2022年07月21日
【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
研修サイトに新しい判例紹介動画「TAINS MOVIE」を掲載いたしま
した。ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、
オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修と
なり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録
することができます。
初回は「判例を読み解くTAINS講座」として、下記の二作となり、今後も
同シリーズを順次掲載していく予定です。いずれも受講時間が30分以内となっ
ており、通勤時間等を利用して受講・登録ができます。
記
1 売主は非居住者か否か 不動産売買と源泉徴収義務
講 師:税理士 菅野真美
2 税理士による調査拒否が注意義務違反に ~損害賠償金額は3億円超~
講 師:税理士 梅野智子
(事業部長:上田 健一)
(2)次の税理士会から提供いただいた相談事例、その他文書を収録しました。
「細かい条件を指定して検索」をクリックし、「TAINSキーワード」に
次のように入力します。
東京地方税理士会 ☆2022年07月収録分 ‥‥10件
東海税理士会 ☆2022年07月収録分 ‥‥ 2件
なお、東京税理士会の相談事例は、毎月ご提供いただいています。
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
役員給与/取締役が取引先の役員に就任していた期間に生じた損害賠償金等
(令02-12-17 非公開裁決 棄却 F0-2-1012)
請求人の取締役丙は、取引先B社の取締役にも就任していましたが、B社の株
式等を購入した者から未公開株商法の被害を被ったとして、損害賠償金を請求す
る訴訟の提起や損害賠償金を請求する旨の内容証明郵便を受け取っていました。
請求人は、これら損害賠償請求の解決金や弁護士費用(本件各金員)を支払手数
料などとして処理していたところ、原処分庁から、これら損害賠償金等は請求人
の業務遂行に関連するものとは認められず、丙に対する給与に該当し、損金の額
に算入することはできないとして法人税等の更正処分等を受けた事案です。
国税不服審判所は、下記のように判断し、納税者の請求を棄却しています。
本件各金員は、取締役丙がB社の取締役としての職務を怠り、重大な過失を認
定された訴訟等に起因するところ、一般的に紛争を解決するために支払う金員は、
当該紛争を解決することにより利益を享受する紛争の当事者が負担するものと認
められる。請求人が本件各金員について民法650条3項の規定に基づく損害補
填債務を負う必要もないから、本件各金員が請求人の業務遂行上必要であると認
めることはできない。本件各金員は、内国法人がその役員に対して支給する退職
給与等以外の給与に該当するところ、法人税法34条1項各号に掲げる給与のい
ずれにも該当しないことから、本件各事業年度の法人税の所得の金額の計算上損
金の額に算入されない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-2-1012