TAINSメールニュース No.610 2023.03.09 発行(社)日税連税法データベース

2023年03月09日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSホームページ システムメンテナンスのお知らせ
  下記の日程でシステムメンテナンス作業を行うため、作業時間帯においてTA
 INSのホームページにアクセスできない場合がございます。TAINSのホー
 ムページを経由したログインができないことが想定されるため、データベースを
 ご利用の方は事前にログインページをブックマークするなどログインページから
 直接ログインできる準備をお願い致します。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。
 
 日時:2023年3月9日(木) 午後11:00 ~ 午後12:00
 ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます。
                       (システム部長:小林 英樹)
 
(2)TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  ポイント交換に伴って受けた金員が消費税の不課税とされた事例
                    ~消費税法上の「対価」の該当性~
     講 師:税理士 梅野智子
                         (事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  譲渡費用該当性/媒介契約及び売買契約の目的物と建物の取壊費用
 (令03-02-25 非公開裁決 棄却 F0-1-1303)
 
  本件は、請求人が、土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、当該土地の上
 にあった甲建物及び乙建物の取壊しに要した費用を控除して申告したのに対し、
 原処分庁が、当該費用は譲渡費用に該当しないとして更正処分等を行ったという
 事案です。審判所は、次のとおり判断し、本件取壊費用は譲渡費用に該当しない
 として、請求人の請求を棄却しました。
 
  甲建物には、本件取壊しの前から老朽化のために倒壊のおそれがあった上、乙
 建物も、長年にわたって1階の事務所部分以外には入居者もおらず、当該事務所
 部分の賃借人も、平成24年12月頃に車の衝突事故により事務所部分が損傷し
 たために退去したことなどが認められるところ、その退去から間もない平成25
 年3月31日に取壊しが完了したことも併せ考慮すれば、本件取壊しは老朽化や
 車の衝突事故による損傷等に起因して行われたものとするのが合理的である。平
 成26年11月21日に締結された本件土地の売買に係る一般媒介契約及び平成
 30年8月2日に締結された本件土地の売買契約の目的物は、本件土地のみとさ
 れていたのであり、当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、本件取壊し
 は媒介契約や売買契約の前提又は内容になっていなかったというほかない。
  以上によれば、現実に行われた売買契約による譲渡を前提とすると、客観的に
 見て本件譲渡を実現するために取壊費用が必要であったとは認められない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-1-1303

TAINSメールニュース No.609 2023.03.02 発行(社)日税連税法データベース

2023年03月02日

【1】今週のお知らせ
 誤りやすい事例集(大阪国税局作成)を収録いたしました。
  大阪国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
 した。
  〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
 で検索いただけます。
 
  譲渡事例大阪局R041101
  譲渡事例大阪局R041102
  贈与事例大阪局R041100
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  試験研究費の特別控除/期限後に行われた移転試験研究費等に係る認定申請等
 (令03-09-09 東京地裁 棄却 Z888-2430)
 
  A社とB社は吸収分割契約を締結し、A社の事業の一部がB社に承継されまし
 た。この移転した事業には移転試験研究費の額が存在せず、A社は移転試験研究
 費等に係る認定申請を、A社及びB社は、その適用に係る届出を期限内に所轄税
 務署長に行っていませんでした。本件は、所轄税務署長が、B社に対し全額加算
 方式を適用して試験研究費の特別控除額を計算し、法人税等の更正処分等を行っ
 た事案です。東京地裁は、B社を吸収合併して訴訟承継人となったA社の請求を
 棄却し、続く東京高裁(Z888-2447)もA社の控訴を棄却しています。
 
  分割法人に生じた試験研究費の額のうち、移転事業における移転試験研究費の
 額とそれ以外の事業に係る試験研究費の額との区分は、分割法人でなければ適切
 に行えないところ、分割法人による区分が恣意的に行われないようにするために
 は、所轄税務署長によってその区分が合理的な方法に従って行われたものである
 か否かを認定する必要がある。また、特別控除の額の算定は、分割法人及び分割
 承継法人において相互に矛盾しないように行う必要があるから、分割法人及び分
 割承継法人の全てがそれぞれ所轄税務署長に対して届出を要するものとしている
 ものである。租税特別措置法施行令27条の4が、移転分加算方式の適用を受け
 るために認定及び届出を要するものとし、これらを欠く場合には全額加算方式が
 適用されることとしたことは、合理的なものである。
 《検索方法》
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z888-2430

TAINSメールニュース No.608 2023.02.16 発行(社)日税連税法データベース

2023年02月16日

【1】今週のお知らせ
(1)≪横断検索≫第一法規「税務・会計データベース」
                      システムメンテナンスについて
  下記の日時にてシステムメンテナンスを行います。
  メンテナンス時間中もご利用いただけますが、サービスの瞬断や、画面の体裁
 の崩れ等が発生することがあります。
  また、Standardにおいては、メンテナンス時間中に保存された「ふせ
 ん」「保存した本文」「保存した検索」、作成されたフォルダおよび「閲覧履歴
 」「検索履歴」は、メンテナンス完了後にクリアされますので、ご注意ください。
  ご迷惑をおかけいたしますが、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
        ―記―
  令和5年2月17日(金)午後6時~同10時
  ※メンテナンス時間は作業状況により短縮又は延長する可能性がございます。
 
(2)次号メールニュースは3月2日に配信します。
  次週2月23日は休日のため、メールニュース609号は3月2日に配信しま
 す。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  固定資産税の登録価格~調整池が設置されている土地の評価における地目~
 (令02-03-12 名古屋高裁 一部認容 Z999-8445)
 
  納税者は、商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供されている土地1及
 び土地2につき、宅地として決定された登録価格は違法であるとして、評価審査
 委員会の審査決定の取消しを求めて出訴しました。第一審及び控訴審は、納税者
 の請求を棄却しましたが、上告審では、開発行為の許可条件に従って調整池の用
 に供されていることから直ちに宅地として評価することはできないとして、差戻
 前控訴審の判決を破棄し、本件を名古屋高裁に差し戻しました。
  差戻後控訴審では、次のとおり判断し、審査決定の一部を取り消しました。
 
  土地1は、調整池の一部として利用されており、その面積の80%以上の部分
 は、常時水がたまっている状態にあり、その他の部分はブロック擁壁の法面であ
 る。土地2のうち、調整池として常時水がたまっている部分はわずかであり、そ
 の大半を占めるコンクリート舗装された平地部分は、平時は商業施設の従業員の
 駐車場として利用されており、商業施設の敷地部分とスロープ状の進入路で接続
 されているものの、両者の間には2m以上の高低差が存在し、コンクリート擁壁
 及びその上のフェンスによって区分されている。
  このような現況及び利用目的等に重点を置いて、土地全体としての状況を観察
 して評価すれば、土地1はその地目を池沼と認定することが相当であり、土地2
 は地目をその雑種地と認定することが相当である。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-8445

TAINSメールニュース No.607 2023.02.09 発行(社)日税連税法データベース

2023年02月09日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  不動産所得の必要経費 同族会社へ支払った業務委託料
     講 師:税理士 黒住茂雄
                         (事業部長:上田 健一)
 
(2)≪横断検索≫第一法規「税務・会計データベース」
                      システムメンテナンスについて
  下記の日時にてシステムメンテナンスを行います。
  メンテナンス時間中もご利用いただけますが、サービスの瞬断や、画面の体裁
 の崩れ等が発生することがあります。
  また、Standardにおいては、メンテナンス時間中に保存された「ふせ
 ん」「保存した本文」「保存した検索」、作成されたフォルダおよび「閲覧履歴
 」「検索履歴」は、メンテナンス完了後にクリアされますので、ご注意ください。
  ご迷惑をおかけいたしますが、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
        ―記―
  令和5年2月17日(金)午後6時~同10時
  ※メンテナンス時間は作業状況により短縮又は延長する可能性がございます。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  青色申告承認取消し/税理士法人による2事業年度連続の期限後申告
 (令04-12-14 福岡地裁 棄却 Z888-2462)
 
  青色申告の承認を受けていた原告が、確定申告書を提出期限までに提出しなか
 ったことを理由として、行政処分庁から青色申告承認取消処分を受けたため、被
 告を相手として、本件処分の取消しを求める事案である。
  
  裁判所は、原告が2事業年度連続で確定申告書を提出期限までに提出しなかっ
 た原因は、税理士法人の担当職員が期限内に提出することを失念したことによる
 ものである。しかし、税理士法2条1項1号に規定する税務代理は、民法99条
 が規定する代理人が本人に代わって意思表示を行う行為に該当し、その法律効果
 は直接本人に帰属するのであるから、その申告は申告名義人である納税者の行為
 として取り扱われるものと解される。処分行政庁が本件処分をしたことについて
 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるとは認められない。
  国税通則法74条の14第1項の規定は、憲法31条に反して違憲であるとは
 いえない。また、法人税法127条1項の規定による青色申告承認取消処分につ
 いては、その処分の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に告知、弁解、防
 御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとは
 解されないというべきである。
  などと判断し、原告の請求を棄却しました。
  ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z888-2462

TAINSメールニュース No.606 2023.02.02 発行(社)日税連税法データベース

2023年02月02日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
  TAINSだより(2023年新年号)を掲載いたしました。
  ≪特別寄稿≫2022年の裁判例を振り返る
                (TAINS編集長:三木 義一)
  検索トップページ右下「TAINSだより」をクリックすると閲覧できます。
                         (事業部長:上田 健一)
 
(2)収録した裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・R03-06-08 裁決 棄却 F0-1-1317
  所得の帰属/駐車場の実質的な賃貸人
 ・R03-05-20 裁決 棄却 F0-1-1319
  上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除/連続申告要件
 ・R03-06-24 裁決 棄却 F0-1-1320
  青色申告特別控除の適用要件/貸借対照表の不添付
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
 「居住者」該当性/内国法人及び外国法人2社の取締役/職業活動と住所の判定
 (令03-11-25 東京地裁 棄却・確定 Z888-2434)
 
  原告は、内国法人及び外国法人2社(台湾及びシンガポール)の取締役として
 役員報酬を得ていました。本件は、原告が「居住者」に該当することを前提に申
 告した後、「非居住者」に該当するとして更正の請求をしたところ、更正すべき
 理由がない旨の通知処分を受けたため、その取消しを求めた事案です。東京地裁
 は、「住所」を民法と同義に解釈すべき以上、生活の本拠の判断において特段職
 業を重視すべき理由はなく、職業は、滞在日数等の他の要素とともに総合して考
 慮すべき一要素と解するのが相当であるとした上で、次のように判示し、原告は
 日本国内に住所を有する者として「居住者」に該当すると判断しました。
 
  原告は、本件各係争年のいずれの年においても、1年のうち3分の2以上の期
 間を日本国内に滞在し、国内の滞在日数と国外の滞在日数との間に有意な差があ
 る上、日本国内の滞在期間のうち大部分を過ごしていた本件住宅は、原告夫婦が
 事実上所有者として使用できる状況にあったものであり、実際に、原告の癌の治
 療、療養等の活動において重要な拠点として機能していた。他方、原告の職業活
 動の中心は外国法人2社の業務にあるが、その業務において原告が重要な役割を
 果たしていたことが、直ちに当該法人の所在地に生活の中心があったことを意味
 するものではないというべきである。以上によれば、原告の生活に最も関係の深
 い一般的生活、全生活の中心は日本にあったものであるから、原告の生活の本拠
 である「住所」は日本国内の本件住所地であると認めるのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2434

TAINSメールニュース No.605 2023.01.26 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月26日

【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
  下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯はすべての機能のご利用が
 できません。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。
  日時:2023年1月26日(木) 午後10:00 ~ 午後10:30
  ※作業状況により、時間が多少前後する場合がございます
                       (システム部長:小林 英樹)
 
(2)誤りやすい事例集(大阪国税局作成)を収録いたしました。
  大阪国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
 した。
  〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
 で検索いただけます。
 
  相続事例大阪局R040000
  通則事例大阪局R040000
  所得事例大阪局R040000
  消費事例大阪局R040000
 
 ※上記以外の情報については、現在開示請求手続き中です。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  所得税額控除~収益事業以外の事業等から生ずる利子及び配当等に係る所得税
 (令04-01-14 東京地裁 却下・棄却 控訴 Z888-2451)
 
  非営利型法人に該当する一般財団法人である原告が、本件事業年度の法人税に
 ついて、収益事業以外の事業に属する資産から生じた利子及び配当等について源
 泉徴収された所得税の額に相当する還付を求める更正の請求をしたところ、鹿児
 島税務署長から、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けました。本件は、
 原告が、本件利子及び配当等については非課税とされるべきであるなどとして、
 通知処分の取消し等を求めた事案です。原告は、公益法人制度改革に伴う所得税
 法及び法人税法の改正(本件立法行為)が違憲、無効であると主張しました。
  東京地裁は、通知処分の適法性について次のとおり判断し、棄却しました。
 
  源泉徴収された利子及び配当等に対する所得税については、法人税法68条、
 78条1項、74条1項3号による場合を除いて、これを利子及び配当等の受領
 者である内国法人に直接還付すべきことを定める法律上の規定は存在しない。し
 たがって、本件立法行為の違憲、無効を理由として本件通知処分が違法となる旨
 の原告の主張は、その前提を欠くものといわざるを得ず、失当である。
  法人税法68条を改正しなかったことが、立法目的との関係で必要性又は合理
 性を欠くことが明らかということもできない。したがって、本件立法行為が憲法
 14条1項、29条に違反するものということはできない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2451

TAINSメールニュース No.604 2023.01.19 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月19日

【1】今週のお知らせ
 誤りやすい事例集(東京国税局作成)を収録いたしました。
  東京国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
 した。
  〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSコード】に以下の各コードを入力
 で検索いただけます。
 
  所得事例東京局R0412
  消費事例東京局R0412
  法人消費事例東京局R040900
 
 ※大阪国税局作成分は、現在収録準備中(一部、開示請求手続き中)です。
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  倒産の危機にない子会社に対して行ったDES~寄附金の額に該当~
 (令03-03-02 非公開裁決 棄却 F0-2-1032)
 
  原処分庁が、審査請求人(請求人)が子会社であるB社に対して有していた債
 権を当該子会社に現物出資することによって生じた損失の額は、倒産の危機にな
 い子会社に対する経済合理性のない過剰支援であるから寄附金の額に該当するな
 どとして、法人税等の更正処分等をしました。これに対し、請求人が、子会社は
 倒産の危機にあり、現物出資により生じた本件損失額は寄附金の額に該当しない
 などとして、原処分の一部の取消しを求めた事案です。
  本件損失額が寄附金の額に該当するか否かが主な争点ですが、審判所は、次の
 ように判断して、請求人の主張を棄却しました。
 
  債権放棄等が寄附金に該当しないといえるためには、当該債権放棄等がやむを
 得ず行われるものであること(必要性)と、合理的な再建計画に基づくものであ
 ること(相当性)の検討が必要であるというべきである。
  B社は、実質債務超過に陥ったものの、損益、資金繰り及び主要顧客との取引
 の各状況からみて、本件DESの実行時において、倒産の危機にあったとまでは
 認められないから、本件DESの必要性があったとはいえない。また、B社の再
 建計画に合理性があったことを基礎付けるものとはいえず、本件DESに相当性
 は認められない。したがって、本件DESにより供与した経済的利益の額である
 本件損失額は、寄附金の額に該当するというべきである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1032

TAINSメールニュース No.603 2023.01.12 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月12日

【1】今週のお知らせ
 TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  上場株式等の譲渡損失の損益通算・繰越控除と確定申告
     講 師:税理士 菅野真美
                         (事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
 重加算税/外部からもうかがい得る特段の行動/生命保険金の申告漏れ
 (令04-04-15 公表裁決 一部取消し J127-1-01)
  
  本件は、請求人が、生命保険契約等に基づく一時金等を一時所得等に含めるな
 どして所得税等の修正申告をしたところ、原処分庁が、重加算税の賦課決定処分
 をしたのに対し、請求人がその取消しを求めた事案です。審判所は、次のとおり
 判断し、原処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分を取り消しました。
 
  請求人が保険の取扱代理店の営業担当者から本件一時金に係る課税関係の説明
 を受けた事実、あるいは、各保険会社から本件一時金等に係る支払明細書等(本
 件各書面)の送付を受けた事実だけをもって、請求人が、本件確定申告の時点に
 おいて、本件一時金等の存在及び所得税等の申告の必要性を直ちに認識していた
 とまではいえず、本件において、請求人が本件一時金等を申告しないことを意図
 していたとまではいえない。請求人と親族との間において、確定申告書の作成の
 補助を依頼した際にどのようなやり取りがあったのかは明らかではなく、請求人
 が親族に本件一時金等の存在を伝えなかった理由を明らかにすることはできない。
 請求人は、本件各書面をいずれも廃棄しているが、請求人が本件各書面について
 その内容を理解しないまま廃棄した可能性は否定できない。
  以上のことから、請求人が親族に、本件一時金等が振り込まれた口座の通帳を
 提示しなかった、あるいは、本件各書面を廃棄したことをもって、請求人が過少
 申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められない。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】J127-1-01

TAINSメールニュース No.602 2023.01.05 発行(社)日税連税法データベース

2023年01月05日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・R03-10-29 東京地裁 棄却、控訴 Z888-2433
  低額譲渡/株式譲受けに係る対価の額/実質的に贈与を受けたと認められる金
 額
 ・R02-12-16 裁決 棄却 F0-2-1020
  子会社株式評価損/子会社の資産状態の著しい悪化
 ・R01-05-23 裁決 棄却 F0-2-1036
  外国子会社株式評価損/評価損計上後の事業年度に譲渡損失が発生している株
 式
 
 【消費税】
 ・R03-08-24 東京高裁 棄却 Z888-2452
  「給与等」該当性/従業員から外注先に変更になった塗装作業員に支払った報
 酬
                        (税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等          (税法データベース編集室:草間 典子)
 組織再編成に係る行為計算否認/2段階の合併を経て引き継がれた欠損金額
 (令02-11-02 非公開裁決 棄却 F0-2-1034)
  
  本件は、C社がB社を吸収合併(合併1)し、同日、請求人がC社を吸収合併
 (合併2)を行い、被合併法人の未処理欠損金額を損金の額に算入して連結確定
 申告をしたところ、原処分庁が組織再編成に係る行為又は計算の否認規定を適用
 して、法人税等の更正処分等を行った事案です。合併1は、法人税法上の完全支
 配関係適格合併の要件を、合併2も支配関係適格合併の要件を満たしていました。
  審判所は、法人税法57条2項の趣旨目的から逸脱しているか否かは、事業の
 移転及び継続を含め検討すべきとし、本件更正処分等は適法と判断しています。

  請求人が完全支配関係にないB社を直接合併する場合は、未処理欠損金額を引
 き継ぐためには、事業継続要件を満たす必要があるところ、B社は合併の日から
 遡ること5年以上も前から事実上休眠状態にあり、事業実態はなかったものと認
 められる。B社にはそもそも組織再編成によって「引き継がれるべき事業」がな
 く、B社が有する未処理欠損金額は、通常の組織再編成の手順によっては請求人
 に引き継がれることがなかったものである。それが、合併1という形式を作出す
 ることにより、B社の未処理欠損金額が、実際に事業を営むC社の未処理欠損金
 額として変換されることで、あたかも事業継続要件を満たすような外形が作り出
 されたものといえる。このような場合にまで、未処理欠損金額の引継ぎを認める
 のは、法人税法57条2項の趣旨及び目的から逸脱したものといわざるを得ない。
 
 《検索方法》
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1034

TAINSメールニュース No.601 2022.12.22 発行(社)日税連税法データベース

2022年12月22日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
  研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
 NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
  ログイン後、右上部の「研修サイト」をクリックするとサイトに移動し、オン
 デマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、
 視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録するこ
 とができます。
  同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
 して受講・登録ができます。
         記
  土地使用貸借契約が成立した後の不動産所得(駐車場収入)の帰属
                 ~使用貸借が節税策として利用された事案~
     講 師:税理士 木村紀代
                         (事業部長:上田 健一)
 
(2)次号メールニュースは来年1月5日に配信します。
  次週12月29日は休日のため、メールニュース602号は1月5日に配信し
 ます。
 
(3)公表裁決事例を収録いたしました。
  国税不服審判所のホームページに掲載された、令和4年4月から6月分の公表
 裁決事例の収録が完了いたしました。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集127集
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  特定路線価の必然性~路線価が設定されていない道路のみに接する宅地~
 (令02-08-21 非公開裁決 棄却 F0-3-755)
 
  審査請求人らは、路線価の設定されていない道路(2項道路)のみに接してい
 る宅地について、評価通達に定める特定路線価の設定の申出をしないで、その道
 路に接続する路線に設定された路線価(接続路線価)に基づいて評価し、相続税
 の申告をしましたが、特定路線価に基づいて評価するべきであるとして更正処分
 を受けました。審判所では、次のとおり判断し、更正処分を適法としました。
 
  接続路線価に基づく方法は、評価しようとする宅地と接続路線との位置関係が
 近い場合には相応の合理性が認められるものの、その位置関係が遠くなるほど合
 理性は逓減する評価方法といわざるを得ない。一方、特定路線価に基づく方法は、
 特定路線価が、これを設定しようとする道路の接続路線及び当該道路の付近の路
 線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、評価しようとする宅地の存
 する地区の別等の各比準要素を考慮して評定されるものであることから、評価し
 ようとする宅地の価額とその付近の路線に接する宅地の価額とのバランスを失す
 ることのないように評価することのできる、より合理的な評価方法である。
  したがって、路線価の設定されていない道路のみに接している路線価地域内の
 宅地の価額は、当該道路に特定路線価が設定されている場合には、その特定路線
 価の評定において不合理と認められる特段の事情がない限り、特定路線価に基づ
 く方法により評価すべきである。
 ≪検索方法≫
 〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-755