2022年01月13日
【1】今週のお知らせ
(1)会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2022年1月17日(月)~2月15日(火)までの間、交代での在宅勤務を
実施いたします。
これに伴い、お問い合わせは、当ホームページ最下部右にございますお問い合
わせフォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時間を要する場
合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により延長することがございます。
会員の皆様には大変ご不便をおかけすることをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(2)東京国税局課税部作成文書の入手の取組
平成30年~令和元年事務年度に東京国税局法人課税課・消費税課・資産課税
課・個人課税課等が内部向けに作成した文書の入手を進めています。
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
隠蔽行為の認定~意図を外部からもうかがい得る特段の行動の有無~
(令03-06-25 公表裁決 一部取消し J123-1-03)
請求人が、税務調査に基づき相続税の修正申告をしたところ、原処分庁が、被
相続人が締結していた各建物更生共済契約に関する権利(本件各権利)を相続税
の課税財産として申告する必要があると認識していながら、申告していなかった
ことに隠蔽の行為が認められるとして重加算税の賦課決定処分をしたため、請求
人が、当該隠蔽の行為はないとして、当該処分のうち、過少申告加算税相当額を
超える部分の取消しを求めた事案です。
審判所は、次のように判断して、重加算税の賦課決定処分を取り消しました。
本件各権利が申告漏れとなった原因としては、本件税理士からの「損害保険は
どうなっていますか」との質問に対して請求人の「共済は掛け捨てに移行してい
る」との回答は、本件税理士の質問の趣旨を誤解してなされた可能性があり、実
際に建物更生共済契約から掛け捨ての損害保険へと移行されたものもあることか
らすれば、必ずしも虚偽であるとまではいえない。したがって、請求人が本件税
理士に対して故意に虚偽の説明をしたものと認めることはできず、請求人が本件
税理士に当該回答をした事実をもって、請求人が、当初から過少に申告すること
を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることは
できないから、国税通則法第68条第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為があった
ということはできない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 J123-1-03
2022年01月06日
【1】今週のお知らせ
令和4年の年頭に当たり謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
平素は一般社団法人日税連税法データベースの事業運営に格別のご高配を賜り、
厚く御礼申し上げます。
当社団は、税理士業界共有の財産である税理士情報ネットワークシステム(T
AINS)を運営する一般社団法人として、平成22年に設立されましたが、そ
の中核となる税法データベースは、昭和57年に事業が開始され、40年にわた
る歴史を持つものです。現在、約4万5000件の判例、裁決、通達等の行政文
書、相談事例に関するデータベースを収録している他、判例解説の動画データや
日常の業務に役立つ書式集等も収録し、税理士の情報ツールとして、アップデー
トを継続しています。
本年は、税理士制度にとって飛躍の年となります。昨年12月、税制改正大綱
に税理士法改正が取り上げられ、間もなく召集される通常国会において税理士法
改正の実現が期待されます。今回の税理士法改正におけるテーマの一つはICT
社会の進展に対応し得る税理士業務であり、TAINSが日常の税理士業務に役
立つ情報ツールとしてより一層充実するよう、執行部一丸となって会務に取り組
む所存です。
全国の税理士会会員の皆様におかれましては、本年も倍旧のご理解とご協力を
賜りますよう、改めてお願い申し上げ、新年のごあいさつといたします。
(日税連税法データベース会長:清田 明弘)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
固定資産税等の税額変更処分/航空写真による家屋の増築時期の推測
(令01-07-19 裁決 一部取消し F0-7-030)
本件は、処分庁が、請求人自宅家屋の増築部分(本件家屋)につき、その建築
年を平成26年と認定して、請求人等に対する平成27年度分から平成30年度
分までの各年度に係る固定資産税等の税額変更(賦課決定)処分(本件各処分)
を行ったところ、請求人が、「平成26年に増築したと主張する行政側の事実認
定疎明資料が存在せず、増築年月日の事実認定が成されない上での課税は納得出
来ない」等と主張し、本件各処分の取り消しを求めた事案です。審査庁(相模原
市長)は次のとおり判断し、平成27年度分に係る上記処分を取り消しました。
平成26年1月12日に撮影された航空写真には本件家屋が写っていないが、
平成27年1月3日に撮影された航空写真には本件家屋が写っていること、また、
処分庁が相模原市行政不服審査会に提出した平成27年11月27日時点におけ
る外観写真から、平成27年11月27日に本件家屋が課税要件を満たしていた
ことについては確証を得ることができる。これに対し、平成27年1月1日時点
で課税要件を満たしていたことについて確認できる外観写真については、処分庁
からは提出されなかったこと等から、賦課期日である平成27年1月1日時点で
本件家屋が課税要件を満たしていたとの確証は得られず、本件家屋は、平成26
年中に建築されたことについては推測の域を出ない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-7-030
2021年12月23日
【1】今週のお知らせ
(1)第2回正副会長会を開催
去る12月20日、第2回正副会長会を開催し、日税連会報への広告掲載等に
つき検討しました。
(税法データベース事務局)
(2)TAINS研修サイトの更新について
研修サイトを更新し、北海道税理士会より提供があった下記テーマを新たに追
加いたしました(令和4年3月31日までの期間限定公開)。ログイン後、右上
部「研修サイト」の文字をクリックすると画面が移動し、オンデマンド研修を受
講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、視聴後に受講管
理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録することができます(
北海道税理士会において既に視聴された方は再度登録することはできません)。
記
テーマ 中小企業の税務実務に有益な最近の裁判例~税理士が知らないではす
まされない重要裁判例~
講 師 中央大学法科大学院教授 酒井克彦氏
(事業部長:上田 健一)
(3)次号メールニュースは来年1月6日に配信します。
次週12月30日は休日のため、メールニュース554号は1月6日に配信し
ます。
(税法データベース事務局)
(4)公表裁決事例を収録いたしました。
国税不服審判所のホームページに掲載された、令和3年4月から6月分の公表
裁決事例の収録が完了いたしました。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集123集
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
税理士損害賠償請求/小規模宅地等特例の適用が可能か否かの検討
(令02-06-11 横浜地裁 一部認容・一部棄却 Z999-0178)
被告である税理士法人に相続税の申告を依頼した原告らが、被相続人が特定同
族会社に賃貸していた建物の敷地に、小規模宅地等の特例の適用の可否が検討さ
れなかったとして、被告に対し債務不履行に基づく損害賠償等を求めたものです。
この建物は、賃貸借契約締結後、最初の賃料支払日の到来前に被相続人が死亡
したため、相続の開始の時点では、賃料の支払が一度もされていませんでした。
横浜地裁は、被告には債務不履行があったと判断しています。
不動産の貸付け等が準事業に当たるためには、当該不動産の貸付けが、相当の
対価が定められ、かつ、相当程度の期間継続することを予定した賃貸借契約に基
づいて行われていることが必要であるが、相続の開始前に、賃料が支払われたこ
とがあることを必須の要件とするものではないと解するのが相当である。
本件土地は、被相続人の準事業の用に供されていた宅地等に該当するものであ
り、特定同族会社事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を選択するため
のその他の要件を全て満たしていたと認められる。
被告は、申告の時点までに、本件土地について小規模宅地等の特例の適用が可
能か否かについて検討していなかったものと認めるのが相当であり、被告には、
小規模宅地等の特例の適用の可否の検討を怠った点で契約上の注意義務違反があ
り、契約上の債務不履行があったと認められる。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-0178
2021年12月16日
【1】今週のお知らせ
(1)タインズの情報収集~情報公開法~
令和3年12月1日時点、タインズには約4万5千件の情報が収録されていま
す。そのうち、約20%が情報公開法に定める開示請求手続により行政機関から
直接入手した情報です。この方法で収録した情報には「情報公開」というキーワ
ードを付しており、次の検索方法で探すことができます。
【検索方法】検索トップ>細かい条件を指定して検索>
TAINSキーワード検索「情報公開」>右下の検索ボタン→8920件
このようにタインズでは、ネットや書籍に公開されていない情報を多く取り扱
っています。普段の税務には通達や行政文書、いざというときには相談事例や判
決・裁決といったコンテンツがおすすめです。
(税法データベース事務局)
(2)収録した裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R01-12-16 裁決 棄却 F0-2-934
更正の請求/関連会社から受領した経営援助協力費と外注先へのコンサルタン
ト料
・R01-12-10 裁決 棄却 F0-2-936
役員給与/代表者の妻に対する外注加工費
・R01-12-04 裁決 棄却 F0-2-938
青色取消し/2事業年度連続の期限後申告書の提出
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
賃貸マンションの時価~節税目的で取得した不動産に評価通達6項を適用~
(令02-11-12 東京地裁 棄却 控訴 Z888-2362)
被相続人は、相続開始の約2か月前に、法人向けの単身者用高級賃貸マンショ
ン(本件不動産)を銀行からの借入金(15億円)で取得しました。この事案は、
原告らが、本件不動産の価額を通達評価額により相続税の申告をしたところ、処
分行政庁が、評価通達6項に基づき、鑑定評価額により更正処分等を行ったこと
から争われたものです。裁判所では、次のとおり、評価通達の定めにより難い「
特別の事情」があると判断して、原告らの請求を棄却しました。
なお、控訴審(令和3年4月27日東京高裁)においても棄却されています。
本件不動産に係る通達評価額(4億7761万円余)と鑑定評価額(10億4
000万円)とのかい離の程度が極めて大きく、これによって相続税の額にも大
きな差が生じていることに加えて、被相続人及び原告Aが評価額の差異によって
相続税額の低減が生じることを認識し、これを期待して本件不動産を取得したこ
とに照らせば、本件不動産については、評価通達の定める評価方法によって財産
を評価することによって、かえって租税負担の実質的な公平を著しく害すること
が明らかであるから、特別の事情があるというべきである。
そして、鑑定評価額は、本件不動産の客観的な交換価値を示すものとして合理
性を有するものであるから、本件不動産はこれによって評価することが許される
ものと解され、本件不動産の時価は、鑑定評価額であると認めるのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2362
2021年12月09日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R03-02-26 東京地裁 却下・棄却 控訴 Z888-2370
サンリオ事件/タックスヘイブン対策税制/適用除外記載書面の添付漏れ
・R02-11-26 東京地裁 一部取消し・棄却 控訴
Z888-2367
移転価格税制/残余利益分割法/重要な無形資産以外の要因を考慮することの
可否
【相続税】
・R02-02-20 裁決 棄却 F0-3-728
無申告加算税/「正当な理由」の有無
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:大高 由美子)
固定資産税等の納税義務者/不動産登記簿上の所有者/賦課期日後に死亡
(令02-03-30 裁決 認容 F0-7-025)
処分庁は、各土地に係る平成31年度分の固定資産税等の賦課決定処分を行い、
納税通知書により審査請求人に通知しました。審査請求人は、京都市長に対し、
処分の取消しを求める審査請求を提起しました。
京都市長は行政不服審査法第46条第1項の規定により、京都市第2行政不服
審査会答申に基づき、審査請求に係る処分を取り消しました。
処分庁は、審査請求人を、賦課期日現在各土地を現に所有する者と認定し、納
税義務者の代表者としたうえで本件処分を行ったものと解されるが、Bは平成3
1年1月13日に死亡していることから、登記されている者が賦課期日前に死亡
している場合で固定資産を現に所有する者が納税義務者となる場合には該当せず、
平成31年度の固定資産税等の納税義務者は、平成31年1月1日現在の登記簿
上の所有者であるBとすべきである。したがって、審査請求人を納税義務者とし
た本件処分には違法性が認められる。
なお、本件処分については、納税義務者をBとしたうえで、納税義務を承継す
る者として、法定相続人である審査請求人及び子3名の合計4名のそれぞれに対
し、各土地に係る固定資産税等を相続分に応じて按分し、当該税額を課すべきで
ある。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-7-025
2021年12月02日
【1】今週のトピックス
(1)税理士の法人税申告関与割合は89.4%
財務省・国税庁は、10月29日、「令和2事務年度 国税庁実績評価書」を
公表しました。
この実績評価書においては、令和元年4月決算から翌年3月決算法人について、
翌年7月末までに申告書の提出があったもののうち89.4%が税理士関与、相
続税では修正申告を除く前年の申告書の86.1%が税理士関与である、とのデ
ータが示され、税理士制度がわが国の経済にとってなくてはならないものである
ことがうかがえます。
同実績評価書では、このほか、税理士制度に関しては、書面添付制度や税理士
の懲戒に関する実績等が公表されています。
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2020/evaluation/2021nta.hyouka.kouhyou.html
(2)閲覧数ランキングTOP5(2021年6月~11月)
半年間でユーザーの皆様の閲覧数が多かった判決等を紹介いたします。
第1位 TAINSコード:Z269-13304
令01-08-27 東京地裁 相続税更正処分等取消請求事件
第2位 TAINSコード:Z888-2364
令03-05-20 東京高裁 所得税更正処分取消等請求控訴事件
第3位 TAINSコード:Z267-13045
平29-08-30 東京地裁 所得税更正処分取消等請求事件
第4位 TAINSコード:Z266-12849
平28-04-22 東京地裁 法人税更正処分取消請求事件
第5位 TAINSコード:Z888-2296
令02-03-24 最高裁 所得税更正処分取消等請求上告受理事件
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
取締役会決議の有効性/深夜の電子メールによる招集通知と特段の事情
(平29-04-13 東京地裁 棄却 控訴 Z999-6156)
本件は、原告(Aグループの創業者・93歳)が、被告A社の取締役会におけ
る原告を代表取締役から解職する旨の決議(本件決議)は、原告に対する適法な
招集通知が行われなかった瑕疵により無効であると主張して、A社に対し、本件
決議が無効であることの確認を求めた事案です。東京地裁は、次のように判示し
て原告の請求を棄却しました。(東京高裁・棄却・確定)
原告が自らパソコンを操作することがないこと等を考慮すると、招集通知メー
ルがメールサーバに記録されたことをもって、原告の了知可能な状態に置かれた
(支配圏内に置かれた)ということはできない。加えて、取締役会前日の深夜の
メール送信であって、実質的に見ても招集通知がされたと評価することは困難で
ある。しかし、本件取締役会には、原告を除く取締役ら全員が出席しており、そ
のうち棄権した原告の次男を除く全員の賛成をもって本件決議が成立している。
原告を除く取締役らは、取締役会の前夜、顧問弁護士も交えて協議をし、原告の
長男が判断能力の低下した原告を利用してA社に混乱をもたらすことなどを防止
するために、原告を代表取締役から解職するとの意見を形成するに至っている。
以上によれば、原告がA社の取締役会において相当に強い影響力を有していた
ことなどを考慮しても、原告が本件取締役会に出席してもなお本件決議の結果に
影響がないと認めるべき特段の事情があるというべきである。したがって、招集
手続の瑕疵は決議の効力に影響がないものとして、本件決議は有効になる。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z999-6156
2021年11月25日
【1】今週のお知らせ
(1)第1回従たる事務所長会議を開催
11月19日、一般社団法人日税連税法データベース第1回従たる事務所長会
議を開催し、各従たる事務所の活動状況の確認、各税理士会における会員増強施
策の検討を行いました。
(2)会員数8,000ユーザーを達成いたしました
令和3年10月末に、会員数が8,010ユーザーとなりました。内訳は次の
通りです。今後も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
■税理士(個人入会)・・・7,692
■税理士(法人入会)・・・ 70
■税理士会・支部 ・・・・ 127
■特別会員 ・・・・・・・ 121
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
固定資産税~分割評価された土地に係る賦課決定の違法性又は不当性の有無
(令03-03-10 裁決 認容 F0-7-016)
本件は、処分庁(益田市長)が、請求人の所有する1筆の土地を法面部分(山
林並雑種地)と平地部分(雑種地)との地積により分割評価して固定資産税の賦
課決定処分を行ったところ、請求人が、平地部分(雑種地)の地積は過大であり、
現況を反映したものではないと主張して処分の取消しを求めた事案です。
争点は、分割評価された土地に係る固定資産税の賦課決定の違法性又は不当性
の有無です。審査庁(益田市長)は、「実地調査を伴わない固定資産税の賦課決
定の適法性」については、関係法令の定め及び裁判所の判示に照らして、処分が
適法に行われたと判断するに足る主張立証が認められないと判断し、「分割評価
の適法性」については、次のとおり判断して賦課決定処分を取り消しました。
土地の評価に当たって処分庁に分割評価の義務があるとはいえないが、一方で、
処分庁は、適正な時価により固定資産課税台帳に登録する価格決定の義務を負っ
ており、分割評価の方法で土地の評価を行う以上、現況及び利用目的を観察し、
それぞれの地目ごとの適正な地積により価格を決定する義務があるといえる。
以上のとおり、現況を反映したものではないと推定される地積に分割評価され
た固定資産税の賦課決定は、処分庁が負う地方税法上の義務に照らし、違法とま
ではいえないものの、妥当性を欠くものと判断される。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-7-016
2021年11月18日
【1】今週のお知らせ
(1)事務局の新型コロナウイルス感染対策について
会員各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
2021年12月15日(水)までの間、交代での在宅勤務を実施いたします。
これに伴い、お問い合わせに対する電話対応を十分に行うことができない可能
性がございます。
そのため、お問い合わせの際は、可能な限り当ホームページ最下部右にござい
ますお問い合わせフォームからの送信にてお願いいたします。また、回答まで時
間を要する場合があることをご了承ください。
なお、実施期間については、状況により更に延長することがございます。
会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
(2)情報収集状況の紹介
令和3年9月から10月にかけて開催された国税庁開催会議、国税不服審判所
開催会議資料の入手を進めております。
入手できたものから順次収録してまいります。
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
不動産所得の総収入金額~経理処理の変更に伴う消費税等の還付金~
(令02-02-27 非公開裁決 棄却 F0-1-1111)
不動産貸付業を営む請求人は、消費税等の経理処理について税込経理方式を適
用して所得税等の申告書を提出していましたが、消費税の還付金額について、不
動産所得の総収入金額に算入していませんでした。請求人は、調査開始後、税抜
経理方式により、総勘定元帳を改めて作成し、修正申告書を提出しましたが、原
処分庁が、税込経理方式を適用していたのであるから当該修正申告書に記載され
た不動産所得の金額には誤りがあるとして、更正処分等をしたため、請求人が、
消費税等の経理処理を税込経理方式から税抜経理方式に変更することを禁じる法
令の規定がないにもかかわらず、税込経理方式を適用して不動産所得金額を計算
した原処分は違法であるとして、その取消しを求めた事案です。
審判所は、次のように判断して請求人の請求を退けました。
消費税等の経理処理について、税抜経理方式又は税込経理方式のいずれかを適
用して総勘定元帳を作成するということは事実行為であるところ、本件の請求人
のように、暦年の終了の時(12月31日)までに税込経理方式を適用して総勘
定元帳を作成していた事業者が、それに基づいて所得税等の確定申告をした後に、
税抜経理方式を適用した総勘定元帳を改めて作成し、それに基づいて所得税等の
修正申告をしたとしても、それによって、暦年の終了の時までに税込経理方式を
適用して総勘定元帳を作成したという事実行為が是正されて遡及的に変更される
ということは観念できない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-1-1111
2021年11月11日
【1】今週のお知らせ
(1)新着情報の紹介
事業者と神奈川県が、カイロプラクティック事業の地方税法72条の2《事業
税の納税義務者等》第8項14号の「請負業」への該当性を争い、事業者の主張
が全面的に認められた事件の地裁~最高裁までの全文を掲載しました。
<検索方法>
細かい条件を指定して検索
>TAINSキーワード「カイロプラクティック 個人事業税」 →3件
(税法データベース編集室)
(2)情報収集状況の紹介
令和3年3月末までの非公開裁決の裁決書全文の入手を進めております。
入手できたものから順次収録してまいります。
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
不納付加算税/告知の予知/実地調査の日程調整依頼後の源泉所得税の納付
(令03-01-20 公表裁決 一部取消し J122-1-02)
本件は、請求人が非居住者に支払った土地の購入代金に係る源泉所得税等につ
いて、令和元年7月2日に、原処分庁所属の調査担当職員が、請求人の税務代理
である税理士法人Hの担当者に電話連絡で実施調査の日程調整を依頼する中で、
「非居住者からの土地の取得があると思われるので確認させていただきたい」と
発言し、その3日後である令和元年7月5日に、請求人が本件源泉所得税等を納
付したことが、通則法67条《不納付加算税》2項に規定する「当該国税につい
ての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知し
てされたものでないとき」に該当するか否かが争点となった事例です。審判所は
次のとおり判断し、不納付加算税の賦課決定処分の一部を取消しました。
請求人は、署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識しておらず、本件源泉所
得税等が調査対象になっていることも認識できる状況になかったと認められる。
そのような状況において、請求人の取締役による自主的な確認が行われ、その結
果、本件代金等の支払時点で譲渡人が非居住者になっていたことが判明し、令和
元年7月5日に本件納付をしたことが認められる。このような経緯に照らせば、
本件納付は、請求人自身の自主的な確認によって行われたものと評価すべきであ
って、本件署内調査との関連性は乏しいといわざるを得ない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 J122-1-02
2021年11月04日
【1】今週のお知らせ
(1)新執行部発足のお知らせ
去る9月29日に臨時理事会を開催し、清田明弘会長による新執行部が発足い
たしました。今後とも変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。
(税法データベース事務局)
(2)TAINSだより掲載のお知らせ
TAINSだより(2021年秋号)を掲載いたしました。検索トップページ
の右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
競売で一括取得した土地建物等の取得価額/鑑定評価額の価額比による按分
(令02-09-01 東京地裁 一部取消し・棄却 Z888-2358)
原告は、競売により一括取得した土地、建物及び附属設備について、土地につ
いては路線価を、建物等については類似物件を参考とした再調達価格に基づき、
これらの価格比により落札金額を按分してそれぞれの取得価額を算出したところ、
所轄税務署長から法人税及び消費税等の各更正処分等を受けた事案です。
東京地裁は、固定資産評価額の価額比を用いて落札金額を按分することが合理
的とする国側の主張を斥け、原告側の申出により裁判所が採用した鑑定評価に基
づきそれぞれの資産の取得価額を算出し、消費税等更正処分等の一部を取り消し
ました。
本件のように、法人税に係る減価償却費の額及び消費税の課税仕入れに係る支
払対価の額を計算するために、一括して取得された土地及び建物等の取得価額を
按分する方法として、当該資産の客観的な交換価値を上回らない価額と推認され
る固定資産税評価額による価額比を用いることは、一般的には、その合理性を肯
定し得ないものではないが、当該資産の個別事情を考慮した適正な鑑定が行われ、
その結果、固定資産税評価額と異なる評価がされた場合には、もはや、固定資産
税評価額による価額比を用いて按分する合理性を肯定する根拠は失われ、適正な
鑑定に基づく評価額による価額比を用いて按分するのが合理的となるというべき
である。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2358