TAINSメールニュース No.670 2024.05.23 発行(一社)日税連税法データベース

2024年05月23日

【1】今週のお知らせ
(1)収録した判決の一部を紹介します。
【所得税】
・R05-09-28 福岡高裁 棄却 Z888-2585
所得区分/墳墓及び立竹木の移転補償金
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62241

(2)税務訴訟資料の収録を開始いたしました。
税務大学校ホームページに掲載された、以下の令和4年判決分(税務訴訟資料
第272号)の収録作業を開始いたしました。
■課税関係判決:順号13652~13798
■徴収関係判決:順号2022-1~2022-31
今後、収録完了したものから下記のキーワードで検索できます。
≪検索方法≫ 【TAINSキーワード】 ★税資272号
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
解雇通知無効訴訟の和解金に非課税所得は含まれない!
(令04-12-13 非公開裁決 棄却 F0-1-1581)

請求人は、勤務先A社の解雇通知は無効であるとして訴訟を提起したところ、
一審判決は地位確認請求及び賃金支払請求を認容し、損害賠償請求を棄却しまし
た。A社は控訴し、その後、裁判上の和解が成立しました。本件は、請求人が支
払を受けた解決金1000万円について、原処分庁が、未払賃金相当額以外の金
員(本件金員445万円余)につき、遅延損害金相当金員は雑所得に、残余の金
員は一時所得に該当するとして更正処分等を行ったのに対し、請求人が、本件金
員は非課税所得である旨主張して、その一部の取消しを求めた事案です。
審判所は、以下のとおり、請求人の請求を棄却しました。

控訴審訴訟では、地位確認請求及び賃金支払等請求に係る内容が争われ、賃金
支払等請求には、未払賃金に加えて、遅延損害金に係る内容が含まれていたこと
からすると、請求人及びA社は、本件金員に、遅延損害金に相当する金員を含む
ことを合意したものと認めるのが相当である。
遅延損害金相当額を控除した金員についてみると、請求人のA社に対する損害
賠償請求権の存否は審理の対象となっておらず、本件和解に至る経過からみれば、
A社としては、本件金員に損害賠償金を含むことを否定した上で、和解条項によ
って本件和解を行っており、請求人もこれを認識の上で、本件和解に応じたもの
と認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62283

TAINSメールニュース No.669 2024.05.16 発行(一社)日税連税法データベース

2024年05月16日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

事前確定届出給与の要件~過去の職務執行の対価か
~更正処分を全て取り消した裁決
講 師:税理士 草間典子
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
脱税スキームにより暗号資産取引に係る雑所得を除外して申告/刑事事件
(令06-03-21 東京地裁 有罪・控訴 Z999-9177)

本件は、被告人が、暗号資産(仮想通貨)取引を行いこれによる雑所得を得て
いたにもかかわらず、ドバイに本店を置くA社の業務執行社員らと共謀の上、被
告人が保有する暗号資産がA社に帰属するかのように装い、暗号資産取引に係る
雑所得(約8800万円)を除外する方法により所得を秘匿して3500万円余
の所得税を免れた事案です。弁護人は無罪を主張しましたが、東京地裁は、次の
ように判示して、上記のとおり、ほ脱所得が認められ、また、被告人には、ほ脱
の故意も認められるとして有罪判決を言い渡しました。

A社の提供するスキームは、被告人の保有する暗号資産を、A社関係会社の株
式と交換する名目でA社に帰属するよう仮装した上、暗号資産を現金化し、貸付
金の名目で被告人に還流させるというというものであり、およそ経済的にみて合
理的なものとはいえない。よって、A社のスキームは仮装行為であり、暗号資産
エイダは、被告人に帰属していたものと認められる。
被告人は、自己の計算で取得したエイダを被告人名義のウォレットで管理し、
A社から支払われた金銭の額も把握していたと認められ、さらに、A社スキーム
の仮装性を基礎づける事実を認識していたものと認められる。そのような中、暗
号資産取引に係る所得を除外した上で確定申告をした被告人には、ほ脱の故意が
あったものと認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62553

TAINSメールニュース No.668 2024.05.09 発行(社)日税連税法データベース

2024年05月09日

【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R04-12-15 裁決 棄却 F0-1-1582
収入すべき時期/制限超過利息/貸金業
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62284
・R04-12-15 裁決 却下 F0-1-1583
不服申立期間の徒過/処分に係る通知を受けた日
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62285

【消費税】
・R05-03-30 裁決 一部取消し、棄却 F0-5-393
金の購入者/実質判定
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62358
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
取引相場のない株式の時価~譲渡価額が客観的交換価値に合致する場合とは~
(令04-11-21 非公開裁決 棄却 F0-1-1579)

請求人は、取引相場のない同族法人A社の株式5060株(本件株式)を一般
社団法人に譲渡しました。本件は、本件株式について、所得税法第59条第1項
に規定する「その時における価額」は、配当還元方式によるか原則的評価方式に
よるかが争われた事案です。請求人は、純然たる第三者間により行われた取引で
あると主張しましたが、審判所は、本件社団法人の設立には請求人が関与し、本
件譲渡の時の本件社団法人の理事は、請求人が代表取締役である本件法人2等の
役員、取引先及び顧問弁護士であり、その上、本件社団法人の経理を本件法人2
の社員が担当していたことなどを認定した上で、次のように判断しました。

具体的な取引における譲渡価額が当該資産の客観的交換価値に合致していると
認められるためには、所得税の計算上、本来考慮すべきではない事情が考慮され
る余地を可能な限り排斥するため、当該取引が対等な立場である当事者間におけ
る自由な交渉を経たものであることも重要な要素と考えるべきである。
本件譲渡は、本件社団法人の社会貢献活動が支障なく行われるための原資を本
件株式の配当金から捻出させるためのものである。そして、本件株式の価額は、
請求人らから検討の依頼を受けた関与税理士が本件社団法人の購入資金の手当て
等にまで配慮した試算を提案し、請求人が当該提案を受け入れる形で決定された
ものであり、本件社団法人との間の価額交渉により決定されたものではない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62281

TAINSメールニュース No.667 2024.05.02 発行(社)日税連税法データベース

2024年05月02日

【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【所得税】
・R04-05-12 東京地裁 棄却、確定 Z888-2521
居住者該当性/外国法人の清算に係る残余財産の分配(配当所得)
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62334
・R04-06-02 名古屋地裁 棄却、控訴 Z888-2525
共有不動産の必要経費(固定資産税)/親族へ支払った地代(生計を一にする
の判断)
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62142
・R05-08-30 東京高裁 棄却 Z888-2581
更正の請求/上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の申告不要制度の選択
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62319
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
相続分の譲渡により譲渡人が取得する金員は相続により取得した財産に該当!
(令04-04-14 大阪地裁 棄却・控訴 Z888-2541)
被相続人甲の相続人である原告(A)は、処分行政庁から更正処分等を受けま
した。甲の法定相続人はAとAの姉(B)の2人で、Aは自己の相続分の全てを
Bに譲渡し、譲渡代金として1000万円を受け取りましたが相続税の申告書に
は記載が無く、処分行政庁は、相続分譲渡により取得した1000万円は相続税
の課税対象であるとして更正処分等をした事案です。原告は、本件処分は法律の
根拠に基づかずに課税するものであり、租税法律主義について定める憲法30条
及び84条に反し違憲・違法であるなどと主張して提起しましたが、裁判所は、
次のように判断して、原告の訴えを棄却しました。
相続分の譲渡は、譲渡人と譲受人の合意のみによって行うことができ、相続人
全員の合意を必要とせず、その効果は相続開始時に遡及せず、相続分の譲渡の時
に生ずるなど、遺産分割とはその内容性質を異にするものではあるが、譲渡の対
象となる相続分は譲渡人が相続によって取得したものであり、譲渡人が相続分の
譲渡によって受領する金員は、代償分割における代償金と経済約に異なるところ
はなく、自己の相続権に基因して取得した財産であるといえ、相続税法11条の
2第1項の「相続又は遺贈により取得した財産」に当たるというべきである。
したがって、本件各処分は、憲法の委任を受けた相続税法11条の2第1項に
基づく処分であるといえるから、憲法30条及び憲法84条に適合する。
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62116

TAINSメールニュース No.666 2024.04.25 発行(社)日税連税法データベース

2024年04月25日

【1】今週のお知らせ
TAINSだより
TAINSだより(2024年春号)を掲載いたしました。
≪特別寄稿≫令和6年度税制改正のあらまし
(東京税理士会:中島孝一氏)

ログイン後「TAINSだより」よりダウンロードすると閲覧できます。
https://app6.tains.org/search/tains_news

(広報部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
リフォームした土地建物の一括譲渡/売買契約書の区分が不合理と判断!
(令05-05-25 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2559)

A社は、土地付き中古住宅を買い取り、その物件に必要なリフォームを施して、
顧客に販売していました。売買契約書には建物に係る消費税額等が記載されてい
ましたが、その算出方法は、戸建住宅の場合には売買代金総額に2.7パーセン
ト(過去に仕入れた物件の固定資産税評価額等の比の平均値を基に算出)を乗じ
たものでした。課税庁は、本件物件の譲渡の対価の額は、消費税法施行令45条
3項に規定する「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに
合理的に区分されていないとき」に該当するとして、更正処分を行った事案です。
A社は、顧客との間で合意した「対価の額」が「合理的に区分されていないと
き」に該当するとはいえないと主張しましたが、東京地裁は、次のように判断を
してA社の請求を棄却しています。

一括譲渡の場合において、消費税法施行令45条3項の「合理的に区分されて
いないとき」に該当するか否かを判断するに当たっては、当該課税資産及び非課
税資産のそれぞれの本来的な価額の比率やこれらを仕入れた際のそれぞれの対価
の額の比率との比較において、課税資産の対価の額の割合が過少になっていない
かどうかなどの事情をも考慮すべきものである。
原告算出方法は、リフォームにより高めた各物件の交換価値を建物の対価の額
に適切に反映したものということはできず、不合理なものであることは明らかで
あり、「合理的に区分されていないとき」に該当するものというべきである。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62384

TAINSメールニュース No.665 2024.04.18 発行(社)日税連税法データベース

2024年04月18日

【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録いたしました。
国税不服審判所のホームページに掲載された、令和5年7月から9月分の公表
裁決事例の収録が完了いたしました。
≪検索方法≫
「詳細検索」の「TAINSキーワード」に『★裁決事例集132集』を入力
して検索

(2)収録した判決の一部を紹介します。
【法人税】
・R06-03-27 最高裁 不受理 Z888-2620
上告不受理/青色申告承認取消し/税理士法人による2事業年度連続の期限後
申告
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62496

【その他】
・R06-03-21 地裁 有罪、控訴 Z999-9177
刑事事件/脱税スキームによる暗号資産(仮想通貨)取引に係る雑所得の除外
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62553
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
分割納付誓約期間内の公売公告処分は「不当な処分」として全部取消し!
(令05-08-21 公表裁決 全部取消し J132-2-02)

この事案は、原処分庁が、請求人の滞納国税を徴収するため、運送業を営む請
求人が所有する駐車場等の各不動産の公売公告処分を行ったのに対し、請求人が、
滞納国税について「分割納付誓約書」を提出し、これに基づく納付計画に従って
納付を継続していることから、分割納付計画の期間中にした公売公告処分は、公
売に付すべき時期を誤った違法又は不当な処分であるとして、その全部の取消し
を求めたものです。
審判所では、各不動産を公売に付する時期について、公売公告処分が違法であ
るとまではいえないものの、分割納付誓約期間内の公売公告処分は、次のとおり
「不当な処分」であるとして、その全部を取り消しました。

少なくとも分割納付誓約期間内においては、請求人が納付計画どおりの自主納
付を継続する蓋然性が高く、直ちに換価をすることで、換価額の下落の回避又は
換価額の相対的な価値の維持ができたなどの徴収上有利となる事情もなく、また、
分割納付誓約期間内に各不動産が公売に付されることはないと期待した請求人と
しては、各不動産の代替土地を確保し得る機会及び期間が事実上なく、公売によ
る請求人の事業に対する影響がより大きくなったというべきである。
これらの各事情を考慮すると、公売公告処分は、原処分庁が分割納付誓約期間
内に公売に付したという時期の判断において、その裁量権の行使が、差押財産の
換価に関する制度の趣旨・目的に照らして合理性を欠く不当な処分である。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62481

TAINSメールニュース No.664 2024.04.11 発行(社)日税連税法データベース

2024年04月11日

【1】今週のお知らせ
(1)システム改修実施のお知らせ
下記の日程でシステム改修を行うため、作業時間帯において一時的にTAIN
Sのご利用ができない場合がございます。
会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
げます。
日時:2024年4月16日(火) 午後18:00 ~ 午後18:30
2024年4月16日(火) 午後22:00 ~ 午後22:30
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)

(2)収録した判決の一部を紹介します。
【相続税】
・R04-09-22 大阪地裁 棄却、控訴 Z888-2545
貸付金債権等に係る決定処分/「理由の提示」の不備・「調査の懈怠」の有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62114

【所得税】
・R04-03-29 福岡高裁 棄却 Z888-2518
不服申立期間の徒過/処分に係る通知を受けた日
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62342
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
課税売上割合に準ずる割合の適用承認取消処分が全部取消し!
(令05-03-16 非公開裁決 全部取消し F0-5-390)

金融機関である請求人が、提携金融機関の現金自動預払機の利用における共通
対応課税仕入れに係る仕入控除税額の計算について、原処分庁から課税売上割合
に準ずる割合の適用の承認を受けていたところ、原処分庁が、その課税売上割合
に準ずる割合は合理的に算出されたものではないとして、承認の取消処分を行っ
たことから、これを不服とした請求人が、その取消しを求めた事案です。
審判所は、請求人は、承認の取消処分を受けた後に、新承認割合の申請をして
承認を受けているから、取消処分の取消しを求める利益はないとする原処分庁の
主張を斥け、本件準ずる割合を用いるためには、取消処分が取り消される必要が
あるから、請求人には、取消処分の取消しを求める利益があると判断しました。
また、本件準ずる割合が請求人の課税売上割合と比較して著しく高率であるこ
とから、本件準ずる割合が請求人の提携ATMに係る取引の実態を適切に反映し
ていない旨の原処分庁の主張を、次のとおり斥け、処分を取り消しました。

請求人は、金融機関であり、貸出金利息等非課税売上げが大きく、資産の譲渡
等の対価の額の合計額に占める非課税売上げの合計額の割合が高いことから、課
税売上割合が他の業種よりも低くなっている。そして、貸出金利息等の売上げは、
請求人顧客が請求人との間でATMを利用して行う取引によるものではなく、当
該売上げと請求人顧客のATMの利用との間の相関性は低いのであるから、請求
人の課税売上げが、ATM利用取引の実態を反映したものとも認められない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62355

TAINSメールニュース No.663 2024.04.04 発行(社)日税連税法データベース

2024年04月04日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

建築士等の無資格者に支払った報酬の源泉徴収義務
講 師:税理士 黒住茂雄
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
仕入税額控除の内外判定/仕入れた時の楽器の所在場所は国内と判断!
(令03-08-02 非公開裁決 一部取消し F0-5-365)

本件は、弦楽器の販売等を主たる事業としている請求人A社が、楽器の仕入金
額を課税仕入れとして消費税等の申告をしたところ、原処分庁が、仕入れた時の
楽器の所在場所が不明であり、仕入先の事務所所在地が国外であるから、楽器の
仕入れは国外において行われたものであるとして更正処分等をした事案です。
審判所は、次のように判断して、楽器に係る各取引は、いずれも国内において
行った課税仕入れに該当すると認めました。しかし、一部の取引については、帳
簿等に「課税仕入れを行った年月日」が記載されておらず、帳簿等の保存がない
課税仕入れに該当するとして、更正処分の一部を取り消しました。

請求人は、本件楽器については、仕入先から販売依頼を受け、仕入先によって
国内に持ち込まれたものを請求人が一定期間預かった上で、展示会への出展、演
奏家や同業者への貸出しを行いながら販売したものなどであり、請求人が譲り受
けた時には国内に所在していた旨主張し、証拠として請求書等の写しを当審判所
に提出している。請求書には、「Tokyo delivered」等の記載が
あるものがあり、これらの記載は、仕入先が楽器を国内に持ち込んで、請求人に
引き渡したことを示すものと認められる。その他の証拠からも、請求人の主張す
る取引形態によって取引が行われていたことが推認され、そうすると、請求人は
国内において本件楽器の引渡しを受けたと解するのが相当である。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60963

TAINSメールニュース No.662 2024.03.28 発行(社)日税連税法データベース

2024年03月28日

【1】今週のお知らせ
TAINSの新機能のご紹介
2024年3月21日に検索トップ画面をリニューアルしました。主な新機能
は次の通りです。
〇検索トップ画面のTAINSメニュー新設
検索トップページ左上にTAINSを便利にする機能のショートカット「TA
INSメニュー」を設置しました。
〇閲覧者数ランキングの新設
TAINSメニュー内「閲覧者数ランキング」より閲覧者数の多いコンテンツ
をランキング形式で見ることができるようになりました。
タイトル部分をクリックすると、該当のコンテンツの詳細画面を開くことがで
きます。
〇簡易検索における新着情報絞込機能の新設
簡易検索へ「新着情報のみに絞る」を追加し、検索を実行した日から1か月以
内にTAINSに新規登録されたものの絞込検索ができるようになりました。
〇関連判決欄に裁判所区分を表示
検索結果とコンテンツ詳細画面の関連判決欄に裁判所区分が表示されるように
なりました。
関連判決欄のTAINSコードをクリックすると、該当のコンテンツ詳細画面
を開くことができます。
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
事前確定届出給与~対象となる職務執行期間は議事録により判断!全部取消し~
(令05-02-03 非公開裁決 全部取消し F0-2-1196)

請求人は、事前確定届出給与に関する届出書を所轄税務署長に提出し、その届
出書に基づき支給した給与の額を支払った事業年度の損金に算入して法人税の申
告をしたところ、原処分庁が、当該役員給与は過去の職務執行の対価であること
から損金に算入できないとして、法人税の更正処分をしました。主な争点は、各
役員給与が当職務執行期間における職務執行の対価であるか否かです。
原処分庁は、請求人が役員賞与引当金を計上し、支給時にこれを取り崩す会計
処理をしていたことから、各役員給与に係る職務執行期間は過去のものである旨
主張しましたが、審判所は、取締役会の議事録により、次のように判断し、原処
分の全部を取り消しました。

請求人の定時株主総会と同日開催の取締役会の議事録には、各役員給与をいつ
の職務執行に対する役員給与として決定したかを明確に示す記載はないものの、
各役員給与が過去の職務執行の対価であることをうかがわせる記載もなく、むし
ろ、請求人が、各役員給与を、同日開催された定時株主総会で選任(再任)され
た各取締役を対象に、当職務執行期間における職務執行の対価と認められる毎月
の定額報酬の額と合計した上で承認していたことからすれば、本件各役員給与は
毎月の定額報酬と同様、当職務執行期間の職務執行の対価として決議されたと考
えるのが自然である。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62383

TAINSメールニュース No.661 2024.03.21 発行(社)日税連税法データベース

2024年03月21日

【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R01-06-18 裁決 棄却 F0-1-1230
雑所得の貸倒損失/同族会社に対する貸付金
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61816
・R01-06-06 裁決 棄却 F0-1-1232
必要経費/同族法人に支払った不動産管理料
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61818
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
マンション購入時に売主から値引き相当分として受けた商品券は一時所得!
(令05-01-26 非公開裁決 全部取消し F0-1-1554)

請求人が、居住用マンション(本件物件)を購入した際に売主から商品券の交
付等を受けたものの、これを総所得金額に含めずに所得税等の確定申告をしたと
ころ、原処分庁が、請求人には当該商品券の交付等を受けたことで課税されるべ
き経済的利益が生じており、当該経済的利益は雑所得に該当するとして更正処分
をしました。これに対し、請求人が、この商品券の交付等は売買価格の支払と対
価関係にあり、課税対象となる経済的利益は生じていないなどとして、その全部
の取消しを求めた事案です。審判所は、経済的利益はあると判断したうえで、所
得区分については次のように一時所得に該当すると判断しました。

請求人及び妻は、本件売主との間で、本件売買契約及び本件合意(売主の負担
とする商品券等が合意事項として記載された覚書)をし、居住用マンションであ
る本件物件を購入するとともに、本件売主から無償で本件商品券の交付等を受け
たにすぎず、本件商品券の交付等により請求人に生じた本件経済的利益は、営利
を目的とする継続的行為から生じたものとは認められないし、本件商品券の交付
等に係る給付が請求人の何らかの具体的な役務行為に関連してされたものとは認
められず、また、抽象的又は一般的な役務行為に密接に関連してされたものとも
認められない。
したがって、本件経済的利益は非継続要件及び非対価要件を満たしていること
から、一時所得に該当する。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62134