TAINSメールニュース No.655 2024.02.08 発行(社)日税連税法データベース

2024年02月08日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

宗教法人の営むペット葬祭業は収益事業か~公益法人等の収益事業該当性~
講 師:税理士 堀尾博樹
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
更正の請求~役員給与の返還により源泉徴収された所得税の還付請求は不可!
(令05-04-12 公表裁決 棄却 J131-1-02)

法人の代表取締役であった請求人が、その法人から役員報酬等の一部について
不当利得返還請求訴訟を提起され、認容判決を受けました。これに伴い役員報酬
等の一部を返還した後、返還した役員報酬等に係る源泉徴収税額が過大であると
して本件法人に対しその返還を求めましたが、本件法人はこれに応じなかったた
め、所得税等の更正の請求をしたところ、原処分庁が、納付すべき税額が過大で
あったとは認められないなどとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分をし
たことに対し、請求人がその処分の全部の取消しを求めた事案です。
争点は、本件役員給与の返還後において、本件各源泉所得税の額が所得税法第
120条第1項第5号に規定する「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額
」に該当することを理由に、本件各更正の請求により本件各年分の算出所得税額
から控除し又は還付を受けることができるか否かです。
審判所は、次のように判断し、請求人の主張を退けました。

本件役員給与の返還後においては、本件各源泉所得税の額は「正当に徴収され
た又はされるべき所得税等の額」とは認められず、本件各年分の「源泉徴収税額
(給与所得分)」を超える金額は、誤って源泉徴収された金額となり、本件法人
が国(原処分庁)に対して当該誤納金の還付を請求することができ、他方、請求
人は本件法人に対し、誤って徴収された金額の支払を直接に請求することになり、
更正の請求において、当該超える金額を控除し又は還付を受けることはできない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62118

TAINSメールニュース No.654 2024.02.01 発行(社)日税連税法データベース

2024年02月01日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
TAINSだより(2024年新年号)を掲載いたしました。
≪特別寄稿≫租税弁護士から研究者に転じての1年
(北海道大学大学院法学研究科教授:佐藤修二氏)
ログイン後のページ右下「TAINSだより」をクリックすると閲覧できます。
(広報部長:上田 健一)

(2)誤りやすい事例集(福岡国税局作成)を収録いたしました。
福岡国税局が実務で誤りやすいポイントをまとめた資料の収録が完了いたしま
した。
「TAINSコード」に以下の各コードを入力で検索いただけます。
譲渡事例福岡局R050000
譲渡事例申告相談福岡局R050000
贈与事例福岡局R050000
贈与事例申告相談福岡局R050000
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
CFC税制/「特殊関係非居住者」の「居住者の親族」は、民法725条で判断
(令05-03-16 東京地裁 棄却・確定 Z888-2501)

内国法人A社は、外国法人C社とそれぞれ50%ずつ出資してシンガポール共
和国にB社を設立しました。C社は、日本国籍を有し非居住者の乙が全ての株式
を保有しています。本件は、乙が措置法66条の6第2項1号の「特殊関係非居
住者」に該当するため、B社は外国関係会社となり、A社に外国子会社合算税制
が適用された事案です。
A社は、措置法施行令39条の14が規定する「居住者の親族」は、「居住者
から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの」と限定して解釈
すべきと主張しましたが、東京地裁は、次のように判断しています。

非居住者が株式等を分散保有する場合を捕捉して外国子会社合算税制の潜脱を
回避するという立法趣旨に照らすと、「特殊の関係」を定めた措置法施行令39
条の14第3項各号の規定をその文言から離れて限定的に解釈することは相当で
ない。したがって、措置法施行令39条の14第3項1号の文言及び立法趣旨か
らすれば、「居住者の親族」とは、居住者と民法725条が定める親族の関係に
ある者をいうものと解することが相当である。以上によれば、乙は、「居住者の
親族」に該当し、措置法66条の6第2項1号の「特殊関係非居住者」に当たる。

(編集員からひとこと)
「特殊関係非居住者」該当性が争われた珍しい事案です。是非ご一読ください。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61607

TAINSメールニュース No.653 2024.01.25 発行(社)日税連税法データベース

2024年01月25日

【1】今週のお知らせ
(1)東北税理士会からご提供いただいた相談事例を収録しました。
「TAINSキーワード」に次のように入力します。
東北税理士会 ☆2024年01月収録分 ‥‥3件

(2)収録した裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R03-06-01 裁決 一部取消し F0-1-1346
重加算税/ストックオプションに係る経済的利益の申告漏れ
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61243

【法人税】
・R04-03-25 裁決 一部取消し、却下、棄却 F0-2-1161
錦鯉はみなし役員の個人資産か/個別対応方式の適用の可否/重加算税
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61404
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
二世帯住宅の敷地であっても小規模宅地等の特例は適用できないと判断!
(令03-06-21 非公開裁決 棄却 F0-3-769)

被相続人は、平成13年1月、二世帯住宅(本件建物)を新築し、その1階部
分に請求人ら、2階部分に被相続人夫妻が居住していました。この事案では、1
階部分の敷地権(本件敷地権)について、小規模宅地等の特例(本件特例)を適
用することができるか否かが争われました。なお、本件建物は、外階段によって
行き来することができる構造であり、区分所有建物の登記がされていました。審
判所では、次のとおり判断し、本件特例を適用することはできないとしました。

被相続人夫妻は、1階部分に生活の拠点を置いていたと認められず、本件敷地
権は、被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するとは認められない。
また、本件建物は、一棟の建物と認められるものの、措置法施行令第40条の2
第4項括弧書き(本件規定)の「区分所有建物」に該当することから、本件敷地
権は、被相続人の居住の用に供されていた部分に含めることはできない。
本件敷地権が本件規定によっても被相続人の居住の用に供されていた部分に含
まれないことは明らかであり、請求人らが主張する区分所有建物とした理由(被
相続人の妻の安心した住居を考えたなど)によっても、区分所有の意思に基づい
て区分所有建物の登記をしたことを否定することはできない。
なお、被相続人夫妻は、請求人らと日常生活の資を共通にしていた関係にあっ
たとは認めることができないから、本件敷地権は、被相続人と生計を一にしてい
た当該被相続人の親族の居住の用に供された宅地等にも該当しない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62034

TAINSメールニュース No.652 2024.01.18 発行(社)日税連税法データベース

2024年01月18日

【1】今週のお知らせ
システムメンテンスのお知らせ
下記の通り、システムメンテナンスを実施いたします。メンテナンス中はTA
INSによる検索システムがご利用いただけません。
検索システムご利用の際は、システムメンテナンス時間外でのアクセスをお願
いいたします。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたし
ます。

日時: 令和6年1月19日(金)18:00 ~ 18:15
※メンテナンス終了時間は変更になる場合がありますので、ご注意下さい。
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
特例適用のため取得時期を急がせたために、仮装と誤解された事例!
(令03-04-26 非公開裁決 棄却・一部取消し F0-2-1059)

請求人が、太陽光発電設備の増設部分を事業年度末までに取得し、事業の用に
供したとして、減価償却費を計上し、取得に係る消費税額を仕入税額控除額に含
めて申告したのに対し、原処分庁が、請求人が取得年月日を仮装したとして法人
税等及び消費税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行った事案です。
審判所は、更正処分は適法とし、重加算税の賦課決定は取り消しました。

増設工事において、平成29年3月31日までに電力会社に電気を供給できる
状態にするために必要なパワーコンディショナーの接続作業が終了しておらず、
発電設備の引渡しを受けてこれを取得したとは認められない。
増設工事の報酬が4月4日・5日に支払われていることや、請負業者等が工事
の完了を急がされていた事情もうかがえることにも照らせば、請求人の常務取締
役甲が、請負業者等から工事が完了していないにもかかわらず、完了したかのご
とく虚偽の報告を受けたという可能性もあるのであって、甲が、工事が3月31
日までに完了していないことを把握していたとまでは認定することはできない。
甲が、引渡しが未了であることを認識しながら各引渡書を請負業者の従業員に
作成させたとは認められず、甲に、仮装行為があったと認めることはできない。

(編集員からひとこと)
請求人は、生産性向上設備投資促進税制の適用を受けるための取得期限である
平成29年3月31日までに工事を完了させたかったので、請負業者にも強く要
求したようです。特例適用には、十分留意する必要があると思われます。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61417

TAINSメールニュース No.651 2024.01.11 発行(社)日税連税法データベース

2024年01月11日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

みなし譲渡課税~取引相場のない株式の時価~
講 師:税理士 相高佑介
(データベース部長 田川 哲)

(2)ホームページリニューアルのお知らせ
TAINSホームページへアクセスいただき誠にありがとうございます。この
度、ホームページを全面的にリニューアルいたしました。
今回のリニューアルでは、明るいデザインを取り入れたほか、各種お申込みや
よくある質問、お問い合わせページへのアクセスの改善及びコンテンツの紹介の
拡充によるスムーズな課題解決を図りました。
こちらのURLから新しいホームページをご覧ください。
https://www.tains.org/

(3)システムメンテンスのお知らせ
下記の通り、システムメンテナンスを実施いたします。メンテナンス中はTA
INSによる検索システムがご利用いただけません。
検索システムご利用の際は、システムメンテナンス時間外でのアクセスをお願
いいたします。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたし
ます。

日時: 令和6年1月19日(金)18:00 ~ 18:15
※メンテナンス終了時間は変更になる場合がありますので、ご注意下さい。
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
不動産賃貸借契約の合意解除に伴い第三者から受けた金員は消費税の対象と判断
(令04-08-23 非公開裁決 棄却 F0-5-381)

請求人A社は、パチンコ店として賃借していた土地建物の賃貸借契約を合意解
除し、第三者Bが新たな賃貸借契約を締結することについて、A社とBが合意し
て作成した協定書に基づき、Bから金員2億円を受領しました。この金員につい
て、A社は、「移転に伴う損失補償金(消基通5-2-7本文)」であり、課税
資産の譲渡等の対価の額に該当しないと主張し、原処分庁は、「賃借人たる地位
の譲渡の対価(上記通達の注書)」であり、課税の対象になると主張しています。
審判所は、本件金員の法的性格を検討するに当たっては、協定書作成の前提と
されている了解事項(共通認識)や作成に至る経緯等の事情を総合的に考慮する
必要があるとした上で、次のように判断して、A社の請求を棄却しました。

本件協定書によって、A社が行うべき各行為として、賃貸人との間で原契約の
合意解除をすること、賃貸人からBとの新たな賃貸借契約に係る同意を得ること
及び賃貸人への土地建物の引渡しを行うことを定めたものと認められ、これらは
消費税法2条1項8号に規定する「役務の提供」に該当する。
したがって、本件金員は、Bが、本件協定書に基づき、A社が行うべき各行為
という役務の提供に対する対価として支払ったものであるから、消費税法28条
1項に規定する課税資産の譲渡等の対価の額に該当する。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61259

TAINSメールニュース No.650 2023.12.28 発行(社)日税連税法データベース

2023年12月28日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSメールニュースの件名変更について
今回よりTAINSメールニュースの件名を【TAINSメールニュースNo.〇〇〇
】+本文【2】のタイトル名の様式に変更いたしました。
メールソフト等で振り分け機能を設定されているユーザーの皆様におかれまし
ては、設定の変更が必要になる場合がございます。
お手数をおかけいたしますが、設定の変更をお願い致します。
(ユーザーサポート部長:小林 英樹)

(2)次号メールニュースは来年1月11日に配信します。
次週1月4日は休業日のため、メールニュース651号は1月11日に配信し
ます。

(3)収録した裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R04-03-25 裁決 棄却 F0-3-863
取引相場のない株式の評価/評価通達6の適用/「特別の事情」の有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61437
・R03-10-01 裁決 棄却 F0-3-811
請求人名義の預貯金等の帰属/土地の評価/広大地該当性・マンションの敷地

URL:https://app6.tains.org/search/detail/61606
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
懲戒処分~契約関係のない脱税相談による「第2債権放棄通知書」の作成行為~
(令03-12-02 大阪高裁 棄却 Z999-2176)

税理士である控訴人は、株式会社Aの法人税の申告に当たり、Aの関与税理士
であったBからAの所得金額を圧縮することの相談を受け、Aの代表取締役であ
った亡CがAに対する貸付金債権のうち4億1300万円について生前に債権放
棄していたにもかかわらず、債権放棄額を3億円に減額した「債権放棄通知書」
を作成し、Aの債務免除益を減少させました。この行為は税理士法36条の脱税
相談に当たるなどとして、処分行政庁から、税理士業務の禁止の処分を受けた事
案です。控訴人とAとの間に税務上の契約関係はありませんでした。
大阪高裁は、次のとおり判断(原審判決引用)し、請求を棄却しました。

控訴人は、Aが法人税の賦課を免れる具体的方法についての相談相手となり、
肯定的な回答をしたといえるから、控訴人の行為は、税理士法36条の「不正に
国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税
の還付を受けることにつき、‥相談に応じ」に当たる(原審判決引用)。
同法45条は、財務大臣が、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理
若しくは税務書類の作成をしたとき、又は同法36条の規定に違反する行為をし
たときは、1年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすること
ができる旨規定しており、税理士が、納税義務者から具体的に「求め」られた場
合に不正な行為をしたときとは別に、同法36条の規定に違反する行為をしたと
きも処分の対象としている。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61891

TAINSメールニュース No.649 2023.12.21 発行(社)日税連税法データベース

2023年12月21日

【1】今週のお知らせ
「与党 令和6年度税制改正大綱」が決定されました
12月14日、令和6年度税制改正大綱を自由民主党と公明党が決定し、同党
のホームページで公表されました。
今回の大綱の基本的な考え方として、四世紀半続いたデフレからの脱却、継続
的な賃上げによる経済の成長等に向けて主要7項目を示しています。
日税連は、今回の大綱において本会の建議項目や意見が取り上げられたとして、
引き続きあるべき税制の確立と申告納税制度の維持・発展のため積極的に意見を
表明するとコメントしています。
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
土地の評価~鑑定評価額が相当であるとする「特別の事情」認めず!
(令04-09-22 非公開裁決 棄却 F0-3-870)

請求人らが相続により取得した土地3筆(本件各土地)について相続税の申告
を行った後、当該土地の価額は不動産鑑定士による鑑定評価額が相当であるとし
て更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を
行ったことから、請求人らが原処分の全部の取消しを求めた事案です。
審判所では、次のとおり判断し、請求人らの主張を斥けました。

請求人らは、本件各土地の最有効使用は一体開発した上で戸建住宅用地として
分譲することから、一団の土地として一体評価すべき旨主張するが、相続開始時
の利用状況を前提に算定されるべきであり、本件各土地は、宅地、畑、貸家建付
地等と一体として利用されていた事実は認められず、本件各土地を一団の土地と
して一体評価するのは相当ではなく、評価通達の定める評価方法によっては適正
な時価を適切に算定することができない特別の事情があると認められない。
請求人らは、申告評価額と鑑定評価額との間に大きな乖離があることからも、
評価通達に定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできな
い特別の事情がある旨主張する。しかしながら、鑑定評価額は本件各土地全体を
「宅地見込地」として、転換後・造成後の想定更地価格をベースに控除方式を適
用して算定されており、相続開始時における時価とは、その前提を異にするもの
であり、適切な時価を算定することができない特別の事情があると認められない。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61416

TAINSメールニュース No.648 2023.12.14 発行(社)日税連税法データベース

2023年12月14日

【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R04-08-24 裁決 棄却 F0-3-866
貸付金債権の評価/組合に対する貸付金の回収可能性/未払役員報酬の評価
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61412

【消費税】
・R03-01-05 裁決 棄却 F0-5-378
用途区分/居住用賃貸マンションを信託財産とする信託受益権/販売目的の取
得でも共通対応分
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61257
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
CFC税制、最高裁は措令39条の16第1項に委任の範囲の逸脱なしと判断!
(令05-11-06 最高裁 一部破棄自判他・確定 Z888-2513)

この事案は、M銀行(被上告人)の特定外国子会社等2社が、期中に優先出資
証券を償還し、事業年度終了時の発行済株式等はM銀行が保有する普通株式のみ
となり、請求権勘案保有株式等の占める割合(平成29年改正前の措置法施行令
39条の16第1項)は100%であるとして、M銀行が課税庁から法人税等の
更正処分等を受けたものです。
東京高裁は、措令39条の16第1項(本件規定)を本件に形式的に適用する
ことは、措法66条の6第1項(本件委任規定)の趣旨等に反すると判断したた
め、国が上告を行っていました。最高裁では、国が逆転勝訴しています。

本件委任規定において課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保が
重視されており、事業年度終了の時という定め方は一義的に明確であること等を
考慮すれば、個別具体的な事情にかかわらず基準時を設けることには合理性があ
り、そのような内容を定める本件規定が本件委任規定の目的を害するものともい
えない。前記事実関係等の下において本件規定を適用することが本件委任規定の
委任の範囲を逸脱するものではないというべきである。

(編集員からひとこと)
最高裁は、M銀行に対し、子会社の事業年度を優先出資証券の償還日の前日ま
でとすることにより、容易に合算課税を回避できたはずとの指摘もしています。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61745

TAINSメールニュース No.647 2023.12.07 発行(社)日税連税法データベース

2023年12月07日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

3棟の貸家が存する敷地の評価~評価単位と共用施設の取扱い~
講 師:税理士 永井智子
(データベース部長 田川 哲)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
空き家状態が長く損耗の激しい家屋は損耗減点補正率による評価を!
(令05-10-04 札幌地裁 全部取消し・控訴 Z999-8499)

原告は、公売で取得した研究所用の建物(本件家屋)の登録価格(3億円超)
を不服として、固定資産評価審査委員会に審査の申出をしましたが、棄却決定
(本件決定)を受けました。そこで、原告は、本件家屋は約17年間通常の維
持管理がされず放置されていたので、評価基準における経年減点補正率による
評価ではなく、損耗の程度に応ずる減点補正率(損耗減点補正率)による評価
をすべきであるとして、本件決定の取消しを求めて出訴しました。
裁判所では、次のとおり判断し、本件決定の全てを取り消しました。

損耗減点補正率によることとされる「その他の事由」により経年減価補正率
によることが適当でないと認めらる場合とは、通常の維持管理を行う場合に生
じる損耗を超える損耗が明らかに生じている場合をいうと解される。
本件家屋は、その建物の性質を踏まえた通常の維持管理が長期間されていな
かったことは明らかであり、そして、そのような本件家屋の状況を踏まえて、
本件家屋に関する公売時の鑑定評価額(3850万円)は、登録価格と著しく
乖離しており、本件においては、本件家屋の状況について、通常の維持管理を
行う場合に生じる損耗を超えた損耗が明らかに生じているというべきである。
小樽市は、損耗減点補正率による評価を行わず、経年減価補正率により評価
を行ったものであり、登録価格は評価基準の定める評価方法に従って決定され
たものとはいえないから、その評価は違法である。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61624

TAINSメールニュース No.646 2023.11.30 発行(社)日税連税法データベース

2023年11月30日

【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【地方税】
・R04-06-29 東京高裁 棄却、納税者勝訴 Z999-8495
固定資産税等/「境内建物及び境内地」該当性/宗教法人の管理人室等及びそ
の敷地
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61549

【法人税】
・R05-11-06 最高裁 一部破棄自判、被上告人の控訴棄却、
被上告人の原審の拡張請求棄却、一部上告棄却、確定 Z888-2513
タックスヘイブン対策税制/措令39条の16第1項の適用の可否/委任の範
囲の逸脱
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61745
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
土地建物一括譲渡の場合の按分評価は、固定資産評価基準によらず、より合理
的な按分評価を認める!
(令04-06-07 東京地裁 一部取消し・確定 Z888-2479)

課税庁が、土地及び建物を代金額の内訳を定めないで一括して売却した原告の
建物の消費税課税標準額は、固定資産税評価額比率(建物比44.49)により
按分するべきとして更正処分をした事案です。
東京地裁は、次のとおり判断し、原告の鑑定の申出により裁判所が採用した鑑
定による鑑定評価額を前提として縮減した原告の請求をほぼ認めました。

一括譲渡された土地建物の対価の額を按分する方法として、当該資産の客観的
な交換価値を上回らない価額と推認される固定資産税評価額による価額比を用い
ることは、その合理性を肯定し得ないものではないが、資産の個別事情を考慮し
た適正な鑑定が行われ、固定資産税評価額と異なる評価がされ、価額比において
も実質的な差異が生じた場合には、もはや固定資産税評価額による価額比を用い
て按分する合理性を肯定する根拠は失われ、適正な鑑定に基づく評価額による価
額比(建物比22.70)を用いて按分するのがより合理的となるというべきで
ある。

(編集員からひとこと)
原告は、調査時、鑑定書(建物比21.67)を提出して修正申告に応じる旨
を述べましたが、受け入れられず、審判所で、その鑑定は、申告時按分割合に近
づけるために、作為的に評価したとの疑いを生じさせるとして主張は棄却されま
した。
裁判所が採用した鑑定評価による按分事案は貴重だと思われます。
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