TAINSメールニュース No.345 2018.2.8 発行(社)日税連税法データベース

2018年02月08日

【1】今週のお知らせ
  平成29年の各国税局の所得税事例集5件を収録しました。
 
 【キーワード】   所得事例 平成29年
 【税区分 情報区分】所得税 個別通達 措個通達
 
 ・事例集 所得税・消費税誤りやすい事例集(平成29年12月)
  東京国税局 課税第一部個人課税課
  (全文は「原本URL→原本へ」にPDFで収録・70頁)
 
 ・事例集 個人課税関係 平成29年版 誤りやすい事例(所得税法)
  大阪国税局
  (全文は「原本URL→原本へ」にPDFで収録・15頁~56頁)
 
 ・事例集 誤りやすい事例集(所得税編) 平成29年11月 高松国税局
  個人課税課(全文は「原本URL→原本へ」にPDFで収録・69頁)
 
 ・事例集 資産課税関係 誤りやすい事例(土地等譲渡所得 平成29年分用)
  大阪国税局資産課税課(全文は「別紙リンク」にPDFで収録・17頁)
 
 ・事例集 資産課税関係 誤りやすい事例(株式等譲渡所得 平成29年分用)
  大阪国税局資産課税課(全文は「別紙リンク」にPDFで収録・11頁)
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  源泉徴収義務/支払者が未払給与等の債務免除を受けた場合
 (平15-11-07 非公開裁決 一部取消し F0-1-719)
 
  請求人A社が、未払給与等の一部の債務免除を受けたことにより、免除を受け
 た部分の支払があったものとしてされた、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分
 と不納付加算税の賦課決定処分の適否を争点とする事案です。
  審判所は次のとおり判断し、告知処分等の一部を取り消しました。
 
  本件給与等は従業員等の労務の提供によりその債務が発生したもの及び役員報
 酬として適正な手続に基づき確定したものであって、従業員等が現実に労務の提
 供を行っていたのであるから、A社が給与等を負債として経理処理することは当
 然であって、未払計上の継続を理由として本件通達(所基通181~223共-
 2)のただし書の適用がないとする原処分庁の解釈は、本件通達の趣旨を逸脱し
 たものというほかない。本件通達ただし書の趣旨は、支払うことが不可能なもの
 については実質的に貸倒れと同一視できるから源泉徴収を要しないとするもので
 あるから、債務超過の状況下において債権放棄が行われた場合で源泉徴収を要し
 ない金額は、その債権放棄が行われた時における債務超過の額を限度とすべきで
 あると解するのが相当である。A社の場合は、債務超過の額を上回った過大放棄
 の額(1787万円余)については、本件通達の本文の定めに基づき、その免除
 があった時に支払があったものとして源泉徴収を行う必要がある。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-719

TAINSメールニュース No.344 2018.2.1 発行(社)日税連税法データベース

2018年02月01日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
  研修サイトを更新し、新たに3テーマを追加しました。ログイン後、「TAI
 NS研修」のアイコンをクリックするとサイトに移動し、オンデマンド研修を受
 講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、視聴後に受講管
 理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間を登録することができます。
                        (事業部長:蓮間 好一)
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(2)タックスヘイブン対策税制に関する判決・裁決3件を収録
 ・ 平成29年3月3日非公開裁決 タックスヘイブン対策税制/適用除外要件
    ①請求人が株式を有する外国法人は特定外国子会社等に該当し、その主た
     る事業は株式の保有であると認められる
    ②請求人は5000万円を超える外国法人の株式を有していたから国外財
     産調書を提出しなければならない
 ・ タックスヘイブン対策税制/香港子会社の適用除外要件該当性
   平成28年9月28日東京地裁判決
   平成29年10月26日東京高裁判決
    処分行政庁から、いずれも外国子会社であり香港を本店所在地とするB社
    及びC社はいずれも措置法66条の6第1項に規定する「特定外国子会社
    等」に該当し、かつB社等の主たる事業は製造業であるところ、同事業を
    本店の所在する国又は地域において行っていないとして、B社等の課税対
    象留保金額に相当する金額は、控訴人の益金の額に算入すべきであるなど
    判示                        (朝倉 洋子)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
 上場株式等に係る配当所得の申告分離課税の特例/一部総合課税を適用した場合
 (平29-12-06 東京地裁 棄却 Z888-2148)
 
  本件は、原告が、外国払配当金に係る配当所得を総所得金額に含めるとともに、
 国内払配当金に係る配当所得につき申告分離課税の特例(措法8の4)を適用し
 て申告したところ、本件特例を適用することはできないから、国内払配当金を総
 合課税の配当所得に加算すべきであるとして更正処分を受けた事案です。
 
  措置法8条の4第2項は、上場株式等に係る配当所得について総合課税の適用
 を受けた場合には、同一年中に支払を受けるべき他の上場株式等に係る配当所得
 については、本件特例を適用しない旨を定めている。
  その制度上、上場株式等に係る配当所得のうち、一部については上場株式等に
 係る譲渡損失との損益通算をしつつ、他の部分について配当控除の適用を受ける
 といったことは相当でないというべきであり、同項の趣旨には、損益通算をする
 場合にはその年中に受ける全ての上場株式等に係る配当所得についてしなければ
 ならないこととし、その一部でも総合課税の適用を受けた場合には、当該年中の
 上場株式等に係る配当所得全体について総合課税の適用を受けることとして、上
 記のような事態が生ずることを回避するということがあると解される。
  そうすると、現に総合課税の適用を受けたものがある以上は、措置法8条の4
 第2項に該当し、申告分離課税の特例の適用はないというべきである。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2148

TAINSメールニュース No.343 2018.1.25 発行(社)日税連税法データベース

2018年01月25日

【1】今週のお知らせ
  平成29年6月発遣「特に留意すべき通達(特留通達)」6件を収録しました。
 
 ・平成29事務年度における税理士関係事務の運営に当たり特に留意すべき事項
  について(指示) 平成29年6月21日 官税1-30ほか14課
 
 ・平成29事務年度における事務運営に当たり特に留意すべき各事務系統に共通
  する事項について(指示) 平成29年6月21日 官総1-20ほか30課
 
 ・平成29事務年度における管理運営事務及び徴収事務の運営に当たり特に留意
  すべき事項について(指示)平成29年6月21日 徴管1-14ほか10課
 
 ・平成29事務年度における調査課事務の運営に当たり特に留意すべき事項につ
  いて(指示) 平成29年6月21日 査調2-10ほか16課
 
 ・平成29事務年度における課税部(部門)の事務運営に当たり特に留意すべき
  事項について(指示) 平成29年6月21日 課総2-11ほか15課
 
 ・平成29事務年度における広報広聴事務運営に当たり特に留意すべき事項につ
  いて(指示) 平成29年6月23日 官広1-13ほか1課
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 特留通達 平成29年6月→6件
                              (朝倉 洋子)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  非常勤医師の出勤手当~出勤のために直接必要であると認められる額~
 (平29-06-27 高松高裁 棄却 Z888-2149)
 
  本件は、病院を経営する控訴人が、同病院に出勤する非常勤医師らに対して支
 給した往復交通費及び出勤手当について、処分行政庁から、出勤のために直接必
 要と認められる費用の支出に充てられる範囲の金額を超える部分の金額は、給与
 所得に該当し、源泉徴収の対象になるとして、源泉所得税の各納税告知処分等を
 受けたことから、これらの取消しを求める事案です。
  控訴人は、非課税とされる出勤手当の範囲、信義則違反などについての補充主
 張をしましたが、高松高裁は、次のように判示して、請求を棄却しました。
 
  処分行政庁が、本件出勤手当に係る非課税対象額の認定に当たり、公共交通機
 関又は自家用車を利用した場合に支給される金額を基礎として算定したことが不
 合理的であるとはいえない。また、多くの非常勤医師等は、自家用車やJRを利
 用して勤務地に出勤していたこと、他方、控訴人は、非常勤医師に対してタクシ
 ーでの出勤を前提として出勤手当を支給したとする一方で、勤務地に設置されて
 いる駐車場の無料券を交付しており、大学病院から出勤する非常勤医師に対して
 は、そもそもタクシーの利用に関する説明をしていなかったことが認められる。
  控訴人が平成4年の調査を記録したものとして提出する書面によれば、国税当
 局側が控訴人の取扱い等について信頼の対象となるような公的見解や判断を示し
 たということはできず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2149

TAINSメールニュース No.342 2018.1.18 発行(社)日税連税法データベース

2018年01月18日

【1】今週のお知らせ
 「誤りやすい事例集」を収録
  平成29年11月、高松国税局個人課税課の研修教材「誤りやすい事例集」の
 【所得税編】と【消費税編】を収録しました。内容は、下記のとおりです。
 【所得税編】
   1  納税地            2  所得の帰属
   3  非課税所得          4  所得区分
   5  各種所得金額の計算      6  損益通算
   7  損失の繰越控除        8  所得控除
   9  税額計算の特例(変動・臨時)
  10  税額控除          11  確定申告等
  【参考】
 
 【消費税編】
   1  納税義務者         2  非課税取引
   3  課税の対象         4  課税標準
   5  課税仕入れ         6  課税対象仕入税額の調整
   7  簡易課税制度        8  その他
   9  経過措置
 ≪検索方法≫ 【キーワード】
        誤りやすい事例集 高松国税局………………………→ 2件
                              (朝倉 洋子)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  財産の評価~評価通達によらない特別の事情ありとして総則6項を適用~
 (平29-05-23 公表裁決 棄却 J107-4-07)
 
  請求人らが、財産評価基本通達に定める方法により評価して相続税の申告をし
 たところ、原処分庁が、一部の土地及び建物の価額は、評価通達の定めによって
 評価することが著しく不適当と認められるとして、国税庁長官の指示を受けて評
 価した価額により相続税の各更正処分等をした事案です。
  請求人らは、評価通達6の要件とされる特別の事情には、節税や租税回避の意
 図といった主観的要素は該当せず、評価通達6を適用することは、その制定趣旨
 に反した運用で、課税庁の恣意的な課税となり、租税法律主義に反するなどと主
 張しましたが、審判所は、次のように判断して、請求人の主張を棄却しました。
 
  被相続人による各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、各不動産の取
 得に係る借入金が、各不動産に係る評価通達に定める評価方法による評価額を著
 しく上回り、本件不動産以外の相続財産の価額からも控除されることとなり、請
 求人らが本来負担すべき相続税を免れるものである。このような事態は、相続税
 負担の軽減策を採らなかったほかの納税者など、相続税負担の軽減という効果を
 享受する余地のないほかの納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の
 再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであ
 る。本件各不動産について、評価通達に定める評価方法を画一的に適用すること
 は実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、評価通達によら
 ないことが相当と認められる特別の事情があると認められる。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 J107-4-07

TAINSメールニュース No.341 2018.1.11 発行(社)日税連税法データベース

2018年01月11日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINSだより
  TAINSだより(平成30年新年号)を掲載いたしました。下記の会員専用
 ページから閲覧できます。           (事業部長:蓮間 好一)
 https://gw.tains.org/doclibrary/docs?title_id=1&state=CATEGORY&cat=101
 
(2)2018年、TAINSの収録状況
  1983年のTAINSのスタートから35年、現在の収録状況です。
  判  決  12,313件
  裁  決   4,501件
  通  達  12,964件
  相談事例  12,646件
  その他文書     45件
  --------------
   計    42,469件
  ==============
 
  このうち、「情報公開」法に基づいて入手した情報は、7,430件。
  判決・裁決中「全部取消し」は、1,157件、
        「一部取消し」は、2,040件
  となっています。
                              (朝倉 洋子)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  源泉徴収を選択した特定口座保管上場株式の譲渡/約定日と受渡日
 (平29-05-08 公表裁決 棄却 J107-2-04)
 
  本件は、請求人が、特定口座内保管上場株式等の譲渡等のうち、平成26年1
 2月26日を約定日、平成27年1月5日を受渡日とする譲渡について、約定日
 の時点で総収入金額に算入して所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、
 当該上場株式等の譲渡については、受渡日の時点で総収入金額に算入すべきであ
 るとして更正処分を行ったことに対して、請求人がその取消しを求めた事案です。
  審判所は次のとおり判断して請求人の請求を棄却しました。
 
  源泉徴収選択口座の制度を利用することを選択した者は、特定口座内において
 譲渡をした日を基準に金融商品取引業者等が収入金額及び必要経費等の計算を行
 うことを前提に同制度を選択したものと解されるため、同制度において前提とさ
 れる計算と異なる日を選択して申告を行うことは予定されていないと解すべきで
 ある。そして、特定口座内において処理される収入金額、取得費等の額が本件受
 渡日を基準に計算され、その状況により特定口座年間取引報告書を作成し請求人
 に報告されていること等、金融商品取引業者等は本件受渡日を基準として所得計
 算等を行っていたといえる。
  これらのことからすれば、請求人は、源泉徴収選択口座の制度を選択後に、本
 件約定日を株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期として選択す
 ることはできないというべきである。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 J107-2-04