TAINSメールニュース No.366 2018.7.12 発行(社)日税連税法データベース

2018年07月12日

【今週のお知らせ】
(1)判決速報4件を収録しました。
  判決速報1460から1463まで4件を収録しました。
 
 ・判決速報1460 被相続人の関係会社に対する貸付金債権は当該被相続人の
  相続開始日に存在していたことが認められ、また、同貸付金債権は財産評価基
  本通達204(貸付金債権の評価)の定めに基づき評価すべきと判断された事
  例
 ・判決速報1461 X(納税者)に対して税務署の職員がした行為(又はしな
  かった行為)に国家賠償法上違法があったということはできないとされた事例
 ・判決速報1462 被相続人の配偶者名義の有価証券について、その購入原資
  の出捐状況等からすれば、当該有価証券の全部が被相続人に帰属する(相続財
  産に含まれる)とされた事例
 ・判決速報1463 相続税の申告における現金の申告漏れについて、国税通則
  法68条1項所定の重加算税の賦課要件を満たす(ことさら過少)とされた事
  例
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 判決速報 ☆2018年07月収録分
 
(2)国税庁で開催された全国国税局長会議の資料を収録しました。
 ・全国国税局長会議資料 平成30年5月31日・6月1日 国税庁
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 全国国税局長会議 平成30年5月
 
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  確定判決に基づく株式評価額による更正の請求の是非
 (平30-01-24 東京地裁 却下、認容 Z888-2178)
 
  原告は、前件判決(取引相場のない株式の評価方式が争われた事案・平成25
 年2月28日東京高裁判決・納税者勝訴:Z263-12157)の確定後、遺
 産分割が成立したとして、江東東税務署長に対し相続税法32条1号に基づき、
 本件各株式の価額が前件判決で認定された額と同額であることを前提に更正の請
 求をしましたが、同税務署長は、本件各株式の価額は相続税申告における額と同
 額とすべきであり更正をすべき理由がない旨の通知処分をし、また同法35条3
 項に基づき、相続税の増額更正処分をしました。これに対し原告が、更正処分等
 における本件各株式の価額を不服として、その取消しを求める事案です。
  裁判所は、次のように判示し、納税者の主張を認めました。
 
  争点となった個々の財産の評価方法ないし価額等に係る認定・判断に、判決主
 文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断として、行政事件訴訟法33
 条1項所定の拘束力が生じているということができる上、後の相続税法32条1
 号に基づく更正の請求又は同法35条3項に基づく更正処分に係る事件について
 も、同一の被相続人から相続により取得した財産に係る相続税の課税価格及び相
 続税額に関する事件であることに変わりがない以上、上記の拘束力が及ぶものと
 解するのが相当であって、課税庁において、同判決における評価方法ないし価額
 を基礎として課税価格を算定しなければならないものというべきである。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2178

TAINSメールニュース No.365 2018.7.5 発行(社)日税連税法データベース

2018年07月05日

【今週のお知らせ】
(1)裁決事例集109集を収録
  国税不服審判所のホームページに公表された、平成29年10月から12月分
 の裁決事例集109集9事例の収録を完了しました。一部を紹介いたします。
 
 【法人税】
 ・H29-10-04 一部取消し・棄却・却下 J109-3-03
  収益の帰属事業年度 役務提供による収益 工事等請負収入
 ・H29-10-31 棄却 J109-3-04
  減価償却資産の償却 その他
 【他国税】
 ・H29-10-16 全部取消し J109-1-01
  担保
 ・H29-12-14 一部取消し J109-4-05
  無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務 利益を与える処分
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 ★裁決事例集109集 …… 9件
 
(2)税務訴訟資料第266号を収録中
  引き続き、税務大学校のホームページに公表された税務訴訟資料第266号の
 収録作業を行っています。収録済みのものは下記のキーワードで検索できます。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 ★税資266号
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  役員退職給与/平均功績倍率の数にその半数を加えた数の功績倍率
 (平30-04-25 東京高裁 原判決一部取消し Z888-2177)
  本件は、被控訴人(原告)が死亡退職した元代表取締役Aへの役員退職給与の
 支給額4億2000万円を損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ、
 本件役員退職給与の額のうち不相当に高額の部分である2億0875万2000
 円については損金の額に算入されないとして更正処分等を受けた事例です。
  原審は、処分行政庁の調査に基づく平均功績倍率の3.26にその半数を加え
 た4.89に最終月額報酬額及び勤続年数をそれぞれ乗じて計算される金額に相
 当する3億1687万2000円までの部分はAに対する退職給与として相当で
 あると認められるとして、更正処分等の一部を取り消す判断をしていましたが、
 東京高裁は、下記のとおり判断して、原判決中控訴人敗訴部分を取消しました。
 
  法人税法施行令70条2号に例示されている業務に従事した期間及び退職の事
 情以外の種々の事情については、原則として、同業類似法人の役員に対する退職
 給与の支給の状況として把握されるべきものであり、同業類似法人の抽出が合理
 的に行われる限り、これを別途考慮して功労加算する必要はないというべきであ
 る。Aは、被控訴人の経理及び労務管理を担当して約8億円の債務完済に何らか
 の貢献をしたことが認められるが、これに関する具体的貢献の態様及び程度は必
 ずしも明らかではなく、同業類似法人の合理的な抽出結果に基づく平均功績倍率
 によってもなお、同業類似法人の役員に対する退職給与の支給の状況として把握
 されたとはいい難いほどの極めて特殊な事情があったとまでは認められない。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2177

TAINSメールニュース No.364 2018.6.28 発行(社)日税連税法データベース

2018年06月28日

【1】今週のお知らせ
  税賠事故例12件を収録しました。
  「税理士界平成30年6月15日号」から、税理士職業賠償責任保険の事故例
 12件を収録しました。一部を紹介いたします。
 
 ☆保険金が支払われた事例
  ・消費税課税事業者選択届出書の適用年度誤りにより過大納付税額が発生した
   事例
  ・簡易課税制度選択不適用届出書の提出を失念し過大納付税額が発生した事例
  ・所得拡大促進税制の税額控除の適用を失念した事例
  ・青色申告の承認申請書の提出を失念した事例
  ・エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却または法人税
   額の特別控除の適用を失念した事例
 
 ★保険金が支払われなかった事例
  ・上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算を失
   念した結果過大納付所得税等が発生した事例
  ・関与先従業員が不正出金していたことについて、顧問税理士が不正を発見で
   きなかったことが税理士の責任であるとして争われた事例
 
 ≪検索方法≫【キーワード】 税賠事故例 ☆2018年06月収録分…12件
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  譲渡所得の取得費/宅建業法49条の帳簿(土地台帳)に記載された金額
 (平29-12-13 公表裁決 一部取消し J109-2-02)
 
  本件は、審査請求人が、相続により取得した土地の分離長期譲渡所得の金額の
 計算上、概算取得費(収入金額の5%相当額)を土地の取得費として計算し、平
 成25年分の所得税等の確定申告をした後、所有権移転登記の受付があった年の
 地価公示価格を基に推計した金額を取得費として更正の請求をした事案です。
  土地取得時の売買契約書等の書類が見当たらず、所有権移転登記も実際の取得
 があってから10年経過後に行われていました。
  国税不服審判所は、審判所の調査により把握された、本件土地の売主であるF
 社が作成した「土地台帳」に記載された金額を土地の取得費と認めています。
 
  本件土地台帳は、宅地建物取引業法により帳簿の備付け義務があるF社が、通
 常業務の過程で作成したものであり、書面の性質上、取引内容が正確に記載され
 ている蓋然性が高い。したがって、本件土地台帳は、その記載どおりの事実があ
 ったことが推認でき、当該推認を妨げる事情が認められない限り、その記載どお
 りの事実を認めるのが相当である。
  本件土地の概算取得費は、上記の土地の取得費の金額に満たないことから、本
 件土地に係る概算取得費を取得費と認めることは、納税者の利益に反することと
 なり相当でない。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 J109-2-02

TAINSメールニュース No.363 2018.6.21 発行(社)日税連税法データベース

2018年06月21日

【1】今週のお知らせ
  各税理士会からTAINSに提供いただいた相談事例等は、次の通りです。
 提供の税理士会名と参考キーワードで検索してください。(6月21日現在)
 ☆ 情報区分【相談事例】
  提供税理士会名  (参考キーワード)   件数
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  東京税理士会   会員相談室     103件
  東京地方税理士会 税務相談事例Q&A 118件
  千葉県税理士会  相談事例Q&A   144件
  近畿税理士会   業務対策部      25件
  東北税理士会   会員相談室事例    13件
  東海税理士会   税務相談事例      6件
  北陸税理士会   相談事例        9件
  九州北部税理士会 会員相談室       1件
  南九州税理士会  会員税務相談室    12件  合計 431件
 ───────────────────────────────────
 ☆ 情報区分【その他文書】
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  近畿税理士会   論壇         35件
  近畿税理士会   研究レポート     21件
  名古屋税理士会  税務研究        4件
  東海税理士会   TAINS判例研究   5件  合計  65件
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  遺言の効力~遺言無効確認訴訟に係る民事調停法17条の決定~
 (平28-01-26 判決 却下・棄却 Z266-12787)
 (平28-07-06 判決 棄却 上告・受理申立て Z266-12878)
 
  被相続人乙(平成17年1月死亡)は、公正証書遺言(本件遺言)を作成してい
 ましたが、平成17年7月31日に、相続人Cグループにより遺言無効確認訴訟
 が提起され、平成22年3月31日、民事調停法(平成23年改正前のもの)17
 条に基づく決定(本件17条決定)がありました。この事案では、甲(原告・控
 訴人)は、遺言の無効が確認されたことを前提に更正処分等の取消しを求めまし
 たが、裁判所は、遺言の効力について、次のとおり判断し請求を棄却しました。
 
  本件17条決定がされた経緯に照らせば、本件17条決定は、乙の本件遺言に
 関する紛争を解決するためにされたものであると認められるところ、決定条項に
 は、本件遺言が無効である旨記載されていないことから、本件17条決定におい
 て、本件遺言の無効が確認されたと認めることは困難である。
  また、遺言無効確認訴訟は、本件17条決定が確定したことによって、訴えが
 取り下げられたものとみなされたことから、上記訴訟において、本件遺言の無効
 が確認されなかったことは明らかである。
  したがって、本件遺言は、本件17条決定の後においてもなお有効に存続し、
 本件遺言により甲が取得することとなっている相続財産については、相続により
 甲が包括承継したと認められ、また、本件遺言により分割の方法が定められてい
 ない相続財産は、未分割の遺産となるものと認められる。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z266-12787 Z266-12878

TAINSメールニュース No.362 2018.6.14 発行(社)日税連税法データベース

2018年06月14日

【1】今週のお知らせ
  税務訴訟資料第266号を収録中
  現在、税務大学校ホームページに公表された税務訴訟資料第266号を編集・
 収録中です。収録したものの一部を紹介いたします。
 
 【所得税】
 ・H28-11-29 佐賀地裁 棄却・控訴 Z266-12938
  行為計算否認/医師が同族会社に支払った高額な不動産賃借料
 【法人税】
 ・H28-11-25 宮崎地裁 棄却・控訴 Z266-12937
  青色取消しと重加算税/買掛金弁済の原資とするために行われた養殖
  魚の架空取引
 【相続税】
 ・H28-11-17 大阪地裁 棄却・控訴 Z266-12935
  連帯納付義務に基づく督促処分の適法性/贈与税申告の無効確認等
 
  このほかの収録済の税務訴訟資料第266号は、下記のキーワードで検索する
 ことができます。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 ★税資266号
 
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  刑事事件/馬券払戻金を除外した虚偽申告/銀行調査における違法の程度
 (平30-05-09 大阪地裁 有罪 Z999-9156)
 
  本件は、被告人が、馬券の払戻金による一時所得を除外した虚偽の所得税の確
 定申告をし、平成24年分及び平成26年分の所得税額合計6200万円余りを
 ほ脱したという事案です。弁護人は、被告人の脱税が発覚した経緯につき、査察
 官の査察調査の際にいわゆる横目調査あるいは悉皆調査といったプライバシー等
 を侵害する重大な違法調査がなされた可能性が否定できないと主張しました。
 
  本件発覚の端緒は、A銀行B支店の被告人名義の普通預金口座に日本中央競馬
 会から2億3000万円余りの高額の振込入金がなされていることなどを、別件
 犯則事件につき同支店に対する金融機関調査を行っていた大阪国税局査察官Cが
 発見したことによる。Cは、別件犯則事件においてB支店を調査対象とした具体
 的事情等について、「職務上の秘密」を理由に証言を拒絶している。
  B支店において行われた別件犯則事件の調査については、その対象範囲の絞り
 込みが不十分であった疑いは否定できないが、金融機関調査は別件犯則事件の調
 査の一環として、銀行側の協力の下で行われた任意調査であり、確認すべき口座
 情報の範囲についても銀行側の了解を得ていると認められることなどの事情に照
 らすと査察官の行った調査における違法の程度は重大とまではいえない。
  そうすると、銀行口座の情報を基に作成された査察官調査書の証拠能力を否定
 しなければならないほどの重大な違法は認められない。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z999-9156

TAINSメールニュース No.361 2018.6.7 発行(社)日税連税法データベース

2018年06月07日

【1】今週のお知らせ
(1)先週(5月28日~6月1日)収録した裁決を紹介します。
 
 【法人税】
 ・H25-07-01 裁決 棄却 F0-2-737
  収益計上漏れ/重機等の売却に伴い仲介業者を介して行われた裏金作り
 ・H24-08-01 裁決 棄却 F0-2-740
  独立企業間価格の算定の適否/国外関連者に対し行った生産管理、技術的指導
  の対価
 ・H24-08-01 裁決 棄却 F0-2-741
  理由不備と収益計上時期/国外関連者に対し行った生産管理、技術的指導の対
  価
 
 【相続税】
 ・H25-05-08 裁決 棄却 F0-3-554
  贈与税の配偶者控除/対象財産となる「居住用不動産」該当性
 
(2)税務訴訟資料第266号を収録中
  税務大学校のホームページに公表された税務訴訟資料第266号を引き続き編
 集・収録作業中です。
  収録済のものは下記のキーワードで検索できます。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 ★税資266号
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  建物の取得価額/売買契約書に基づく算定方法の適否
 (平28-09-14 前橋地裁 棄却・控訴 Z266-12901)
 
  原告は、土地建物を購入し、建物の取得価額を土地と建物の各不動産取得税の
 概算税額の比によって算定し、減価償却費の額及び課税仕入れに係る支払対価の
 額を計算して、所得税及び消費税等について、確定申告及び修正申告をしました。
 本件は、税務署長が、建物の取得価額は売買契約書に記載された建物の売買代金
 に、土地建物の取得に際し支出した金額を契約書の土地建物の価額の比によって
 按分した額を算入した額によるべきとして更正処分等をした事案です。
 
  第1契約書は、売主・買主の署名、実印による押印があり、多数の利害関係人
 が同席する中で作成され、収入印紙も貼付されていること、土地建物の価額はA
 社が土地と建物を一括購入した場合に通常行っている算定方法と同じ固定資産税
 評価額比で按分計算する方法により決定されているから、同価額は、一定の合理
 的な理由をもって決定されていること、原告は、算定方法について事前にFAX
 送信された文書及び当日の丙からの説明により認識・了解し、売買代金等を訂正
 し、訂正印を押した上で、作成したことが認められる。第1契約書は、真正に成
 立した原告及びA社の合意を反映した正式な契約書であるというべきである。
  原告は、代金を3億9200万円(実際の支払額)と記載された第2契約書が
 真の契約書であると主張するが、契約書として不完全、不十分である。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z266-12901

TAINSメールニュース No.360 2018.5.31 発行(社)日税連税法データベース

2018年05月31日

【1】今週のお知らせ
(1)先週(5月21日~5月25日)収録した裁決の一部を紹介します。
 【法人税】
 ・H29-06-27 裁決 棄却 F0-2-733
  中小連結法人の機械等の特別償却/指定事業の用/工事に係る収益計上時期
 
 【相続税】
 ・H29-06-27 裁決 棄却 F0-3-551
  取引相場の株式/相続開始前3年以内に取得した不動産(無償返還届出の有効
  性)
 
 【消費税】
 ・H29-04-12 裁決 棄却 F0-5-194
  過少申告加算税の正当な理由/課税仕入れの時期/出来高払いの工事費
 
(2)税務訴訟資料第266号を収録中
  現在、税務大学校ホームページに公表された税務訴訟資料第266号の収録作
 業を行っています。
  収録が済んでいるものについては、下記のキーワードで検索することができま
 す。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 ★税資266号
                        (税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除/連年提出要件
 (平30-03-08 東京高裁 棄却 Z888-2169)
 
  平成25年分申告書を提出した控訴人は、平成24年分期限後申告書等を提出
 するとともに、措置法41条の15第1項の特例(先物取引の差金等決済に係る
 損失の繰越控除)が適用されるものとして、FX取引に関し平成23年中に生じ
 た先物取引の繰越損失額を平成25年分の先物取引に係る雑所得の金額から控除
 して更正の請求をしました。本件は、税務署長が、同条3項の「連続して確定申
 告書を提出している場合」に当たらず、本件特例を適用することはできないとし
 て更正をすべき理由がない旨の通知処分をした事案です。
 
  本件特例の適用を受けるためには、本件特例の適用を受ける年分の確定申告書
 を提出するまでに、確定申告書の連年提出を含め、本件特例の手続的要件を充足
 し、当該年分の先物取引に係る雑所得等の金額から控除されるべき、その年の前
 年以前3年内の各年において生じた先物取引の差金等決済に係る損失の金額が確
 定している必要があると解するのが相当である。
  これを本件についてみると、控訴人が平成26年3月10日に本件特例の適用
 を受けようとする平成25年分確定申告書を提出した時点において、平成23年
 分確定申告書は提出されていたものの、平成24年分の確定申告書は提出されて
 いなかったのであるから、「その後において連続して確定申告書を提出している
 場合」には該当しない。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2169

TAINSメールニュース No.359 2018.5.24 発行(社)日税連税法データベース

2018年05月24日

【1】今週のお知らせ
(1)税務訴訟資料第266号が公表されました。
  国税庁の<税務大学校>のホームページに、平成28年1月~平成28年12
 月までの税務訴訟資料第266号171件が公表されました。現在編集を行って
 おり、順次収録予定です。
 
(2)先週(5月14日~5月18日)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H27-10-05 裁決 棄却 F0-1-776
  収入を得るために支出した金額/受取人以外の法人が支払った保険料

 【法人税】
 ・H29-06-09 裁決 棄却 F0-2-729
  行為主体/売上除外金額の認定と元役員が受領したリベート収入

 【相続税】
 ・H29-06-22 裁決 棄却、却下 F0-3-550
  更正の請求の特則/遺産分割審判の確定/「事由が生じたことを知った日」
 ・H24-09-07 裁決 棄却 F0-3-328
  無申告加算税/信託の残余財産受益権に係る「相続の開始があったことを知っ
  た日」
                        (税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  みなし譲渡~無償返還届出の有効性と土地の時価
 (平29-06-27 非公開裁決 棄却 F0-1-774)
 
  本件は、請求人らが、亡父(被相続人)の不動産の譲渡所得について、準確定
 申告をしたところ、原処分庁が、平成24年の譲渡は法人(代表者は被相続人)
 に対するものであり、その譲渡価額が不動産の譲渡の時における価額の2分の1
 を下回っているから、譲渡所得の収入金額は、譲渡の時における価額であるとし
 て、更正処分等をした事案です。被相続人とその母は、平成6年に法人と不動産
 の賃貸借契約を締結し、それに基づき無償返還届出書を提出していました。
  審判所は、次のように無償返還届出を有効と認め、請求を棄却しました。
 
  本件売買契約までの間に、平成6年契約の解約申入れや解除がされたとは認め
 られないことからすると、平成6年契約は、売買契約時においてもなお有効であ
 ったと認められ、平成23年契約は平成6年契約の内容に必要な範囲で一部追加、
 変更を加えたものとみるべきである。そして、売買契約までの間に無償返還届出
 と異なる合意がされたとの事情も見当たらない。そうすると、本件無償返還届出
 は、売買契約時においても有効であったと認められる。
  本件における評価は、土地所有者たる被相続人が借地人たる本件法人に売却す
 る際の時価を求めるものであり、賃貸されていることに伴う制約等を考慮する必
 要はない上、土地上に存する権利をしんしゃくせず更地として評価すべきである
 から、自用地として評価することが相当である。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-774

TAINSメールニュース No.358 2018.5.17 発行(社)日税連税法データベース

2018年05月17日

【1】今週のお知らせ
(1)サービス停止のお知らせ
  下記の日程でサーバメンテナンスを行います。
  会員の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上
 げます。
                        (システム部長:水澤 裕)
  日時:2018年5月23日(水) 午前0:00 ~ 午前5:00まで
  作業時間帯はすべての機能のご利用ができません。
 
(2)先週(5月7日から11日まで)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H29-09-29 長野地裁 棄却・控訴 Z888-2167
  先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除/連年申告要件
 
 【相続税】
 ・H29-01-10 裁決 棄却 F0-3-547
  決定処分等の適法性/「不利益処分」該当性
 ・H29-03-02 裁決 棄却 F0-3-549
  無申告加算税/「正当な理由」の有無
 ・H18-03-31 裁決 棄却 F0-3-164
  雑種地の評価/同族会社に貸駐車場として賃貸されている土地に係る賃借権
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  賃貸用不動産を贈与により取得した際に納付した贈与税は必要経費になるか
 (平29-09-28 大阪高裁判決 棄却 Z888-2168)
 
  控訴人は、父が賃貸業務の用に供していた本件土地建物の贈与を受け、本件土
 地建物価額を課税価格とする贈与税を納付した上で、各建物を賃貸して賃料収入
 を得ていましたが、本件の贈与税額は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に
 算入すべき金額に該当するとして、更正の請求をしたところ、処分行政庁から、
 更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたため、その取消しを求めた事案で、
 原審の大阪地裁が、本件各通知処分を適法としたので、控訴人がその取消しを求
 めて本件訴訟を提起しました。控訴審においても原判決と同様に、次のように判
 断して控訴人の請求を棄却しました。
 
  不動産所得の計算において必要経費として控除される不動産取得税と登録免許
 税は所有権移転の事実又は登記がされた事実それ自体を課税原因とし、所有権移
 転に伴って純資産が増加したかどうかを問わないで課税される租税である。これ
 に対し、贈与税は、贈与に伴う所有権移転を課税原因とするのではなく、贈与に
 伴う純資産の増加を課税原因とするのであって、他人の不動産の譲渡を受けて賃
 貸人たる地位を取得しようとする場合に避けられない費用ではない。また、本件
 贈与に伴う純資産の増加と、不動産賃貸収入を得ることによる純資産の増加とは、
 別個の税目の租税が賦課される所得であるから、法的な観点からみても、それぞ
 れ別個独立に所得金額を計算する必要があり、前者に関する支出が後者の必要経
 費となると解することは困難である。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2168

TAINSメールニュース No.357 2018.5.10 発行(社)日税連税法データベース

2018年05月10日

【1】今週のお知らせ
  先週(5月1日・2日)収録した内容の一部を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H29-02-15 裁決 棄却 F0-1-771
  取得費/土地の持分取得のため親族に支払った金員
 ・H29-05-08 裁決 棄却、却下 F0-1-772
  無申告加算税の正当な理由/上場株式等の譲渡所得の期限後申告
 ・H29-05-08 裁決 棄却 F0-1-773
  上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
 ・H19-03-23 裁決 一部取消し F0-1-775
  源泉徴収義務/著作権の使用料
 
 【相続税】
 ・H29-01-06 裁決 棄却 F0-3-544
  更正の請求の特則/請求期限の徒過・相法32条の「事由が生じたことを知っ
  た日」
 ・H29-01-12 裁決 棄却 F0-3-545
  更正の請求の特則/更正の請求事由・「財産の分割」及び「判決」該当性
 ・H29-01-12 裁決 却下 F0-3-546
  審査請求/異議申立前置
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  寄附金控除/地方公共団体に贈与した財産に係る寄附金の額
 (平29-03-08 非公開裁決 棄却 F0-1-758)
  本件は、原処分庁が、亡夫が地方公共団体に贈与した財産(本件資料)に係る
 寄附金の額は、所得税基本通達38-16に基づき算定した金額(概算取得費)
 であるとする処分をしたことに対し、請求人がその取消しを求めた事案です。
  亡夫は本件資料を地方公共団体に贈与していることから、所得税法59条1項
 1号の規定によって、本件資料の譲渡があったものとみなされるところ、措置法
 40条1項の規定により譲渡所得は生じず、他方、寄附金控除を受ける場合の特
 定寄附金の額は、措置法40条19項の規定により、本件資料の取得費及び贈与
 に要した費用の額の合計額となります。審判所の判断は次のとおりです。
 
  本件通達は、納税者の利便も考慮し、取得費の額が不明であるか又はその計算
 が困難である場合には、納税者の利益に反しない限り、簡便な計算方法によるこ
 とを認めるものであり、措置法40条19項の適用がある場合の寄附金控除につ
 いても、概算取得費の額を取得費の額とすることは相当であると認められる。
  本件資料の取得費の額は不明であり、取得費の額を証する証拠はないことから、
 寄附金控除について概算取得費の額を取得費の額とすることは納税者の利益にも
 反しない。そして、本件資料の贈与時における価額は、学識経験者である資料評
 価委員による評価額である655万1900円とみることが相当であるから、本
 件資料の取得費の額は、収入金額を655万1900円として、その100分の
 5に相当する32万7595円であると認められる。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-758