TAINSメールニュース No.456 2020.04.02 発行(社)日税連税法データベース

2020年04月02日

【1】今週のお知らせ
 会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  2020年3月31日(火)までを予定しておりました当社団職員の新型コロ
 ナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保の対策ですが、現状を鑑み、202
 0年4月17日(金)まで延長させていただくこととなりました。
  交代での在宅勤務、また、4月1日以降は30分の退社時間繰り上げを実施い
 たします。
 
  これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
 性がございます。
  問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
 時間を要する場合があることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  源泉徴収義務/インド法人に支払った金員/租税条約に異なる定めがある場合
 (平30-02-15 非公開裁決 棄却 F0-1-946)
 
  本件は、医薬品製造販売業を営むA社が、インド所在の外国法人に対し医薬化
 学物質の研究及びコンサルティング業務を委託し、その業務委託料(本件金員)
 を支払ったところ、原処分庁が、所得税法162条(租税条約に異なる定めがあ
 る場合の国内源泉所得)の規定により、国内源泉所得とみなされるとして、源泉
 所得税等の納税告知処分をした事案です。審判所は、次のように判断しました。
 
  日印租税条約12条の規定からすると、日本法人が、インド法人に対して、イ
 ンド国内において提供された技術上の役務に対する料金を支払う場合、当該料金
 は、日本国内において生じたものとされ、日本の法令に従って租税を課すことが
 でき、国内源泉所得となる。委託業務のうちの一部は、インド法人が医薬化学物
 質や化学化合物の合成、実験及び分析等を行うというものであり、また、一部は、
 インド法人がインドにおける薬事法規制等に関するコンサルティングを行うもの
 であるといえるから、これらの業務は、専門的知識を有するインド法人の知識又
 は技能を活用して行う役務の提供であったということができる。
  そうすると、本件金員は、所得税法162条後段の規定により、国内源泉所得
 の一つである同法161条2号に規定する「人的役務の提供に係る対価」とみな
 されるため、A社は、本件金員の支払の際、源泉徴収義務を負うと認められる。
  ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-946

TAINSメールニュース No.455 2020.03.26 発行(社)日税連税法データベース

2020年03月26日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H29-12-15 裁決 棄却 F0-1-928
  更正の請求/通則法23条1項3号該当性
 ・H21-04-23 裁決 棄却 F0-1-1000
  更正の請求/裁判上の和解/先物取引の無効
 ・H17-01-28 裁決 棄却 F0-1-999
  所得の帰属/商品先物取引に係る所得
 
 【相続税】
 ・H23-02-03 裁決 棄却 F0-3-668
  課税財産/売買残代金請求権/成年後見人による売買契約の成立日
 ・H21-02-25 裁決 棄却 F0-3-669
  不動産及び出資の評価/貸付金債権の存否/過少申告加算税「正当な理由」の
 有無
 
 【その他】
 ・H25-01-22 東京地裁 棄却、控訴 Z999-0153
  税理士損害賠償/善管注意義務違反/原始資料に基づき仕訳伝票を精査すべき
 義務
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  重加算税~外部からうかがい得る特段の行動は認められないとして一部取消し
 (平30-11-12 非公開裁決 一部取消し F0-3-658)
 
  被相続人の配偶者である請求人名義の定期貯金が申告漏れになったことについ
 て、原処分庁は、隠蔽があるとして、重加算税の賦課決定処分を行いました。こ
 の処分に対し、事実を隠蔽又は仮装したか否かが争点の一つとなった事案です。
  審判所は、請求人は、高齢であり、長年にわたり被相続人と2人で農業に従事
 した上、その所得の全部が被相続人に帰属するという法的知識を有していたとは
 認め難いから、本件定期貯金を請求人の固有の財産と理解していたとしても不自
 然とまでいうことはできないなどと認定し、重加算税の賦課決定処分については、
 次のとおり違法であると判断し、一部を取り消しました。
 
  原処分庁が提出する請求人の上申書及び質問応答記録書については、その信用
 性を認めることができないから、上申書及び質問応答記録書からだけでは、請求
 人が、当初申告の当時、本件定期貯金が被相続人に係る相続財産に含まれると認
 識していたと認めることはできない。また、原処分庁が主張するように、請求人
 が税理士や調査担当職員に、本件定期貯金の存在を告げなかったとしても、それ
 が過少申告の意図を外部からうかがい得る特段の行動と認めることもできない。
  当初申告は、事実を隠蔽又は仮装したところに基づくものとはいえないから、
 通則法第68条第1項所定の重加算税の賦課要件を満たさない。したがって、重
 加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分は違法である。
  ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-3-658

TAINSメールニュース No.454 2020.03.19 発行(社)日税連税法データベース

2020年03月19日

【1】今週のお知らせ
 会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  2020年3月13日(金)までを予定しておりました当社団職員の新型コロ
 ナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保の対策ですが、現状を鑑み、202
 0年3月31日(火)まで延長させていただくこととなりました。
  引き続き、15分の退社時間の繰り上げ及び交代での在宅勤務を実施いたしま
 す。
 
  これに伴い、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない可能
 性がございます。
  問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
 時間を要する場合があることをご了承ください。
  なお、実施期間については、状況により更に延長を検討します。
 
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  個人法人間における土地の貸借関係~賃貸借及び使用貸借の土地の評価~
 (令01-08-19 非公開裁決 一部取消し F0-3-667)
 
  請求人らが、亡父の相続により取得した宅地の価額について、法人に賃貸して
 いる土地は借地権価額を控除した価額により亡父の相続税の申告をしたところ、
 原処分庁が、当該土地の一部について「土地の無償返還に関する届出書」(本件
 届出書)が提出されているから、相当地代通達を適用すべきであるとして更正処
 分を行ったのに対し、請求人らが、当該届出書は、その記載内容に誤りがあるか
 ら無効であるとして争った事案です。審判所は、次のように判断しました。
  
  本件病院敷地は、医療法人が被相続人らから借り受けており、合意に基づく本
 件届出書は、有効なものと認められる以上、たとえ、本件届出書の記載内容に誤
 り等が見受けられたとしても、相当地代通達の定めにより評価すべきである。
  本件薬局敷地上には、同族会社(本件会社)が所有する薬局建物が存しており、
 本件会社は、薬局建物を建築する際に、被相続人らに対し権利金を支払わず、そ
 の後平成21年8月まで地代を支払っていない。しかしながら、被相続人らと本
 件会社の間に賃貸借契約書は存在しないものの、昭和55年から現在に至るまで
 長期間にわたって薬局建物の敷地として利用しており、土地の貸借において当事
 者の一方が法人である場合には、その間の取引は第三者間における取引と同様の
 経済的合理性によるべきであり、個人が法人に対して建物の所有を目的として土
 地の使用を許諾したときに、同土地に借地権が設定されたものと認めるべきであ
 る。したがって、本件薬局敷地については、相当地代通達の定めではなく、評価
 通達25《貸宅地の評価》の定めにより、評価すべきである。
   ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-3-667

TAINSメールニュース No.453 2020.03.12 発行(社)日税連税法データベース

2020年03月12日

【1】今週のお知らせ〔行政文書の紹介〕
 解決すべき問題とどのように向き合って検討していくかの参考に!
     (TAINSコード:調査審理の実務(大阪審判所)H150912)
  租税の基本原則である「租税法律主義」。租税の賦課・徴収は、法律の根拠に
 基づいて行われます。我々税理士の実務に目を向けると、この租税法律主義は頭
 にあるものの、それをどのように実践し、問題解決に向けて事案とどのように向
 き合って検討していけばよいのか分からないこともあると思います。
  そのような場合に、「調査審理の実務(大阪審判所)H150912」を一読
 してみると良いでしょう。この資料は、国税不服審判所が一つの審査請求事案に
 ついて、どのような審理過程を経て、議決するのかをシナリオ化したものです。
 担当審判官における事案の進行管理などを中心に示したものではありますが、問
 題を解決するためにどのような手順や思考過程を経ているか、事実の認定や関係
 法令への当てはめをどのように行っているのか参考になるものと考えられます。
  審判官は、事実関係、請求人及び原処分庁の主張、関係法令などを順次整理し
 て、最終的な結論(議決)に向けて作業を進めていきます。請求人や関係者と面
 談して、当事者の主張等を丁寧に整理したり、租税法の書籍等で問題箇所の概略
 的な知識を得たりするほか、過去の裁判例等も調べたりします。
  また、この資料における事案では、所得税法における生命保険金の収入時期の
 話がでてきますが、審判官は、保険法の概説書や一般的な保険約款、保険会社の
 ホームページをみて、保険に関する知識を広げて、単に所得税法のことだけを考
 えて判断しているわけではないことがみてとれます。
  この資料では、一つの問題を解決するための手順や思考過程が、事例に基づい
 て記述されており、参考になると思われます。 (要点メンバー:鈴木 涼介)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
 税理士損害賠償/相続税対策でされたDESに係る債務消滅益の説明義務違反
 (令01-08-21 東京高裁 控訴棄却、請求認容 Z999-0174)
  本件は、不動産の賃貸及び管理等を目的とする株式会社である被控訴人が、顧
 問契約を締結していた税理士法人である控訴人に対し、控訴人は、被控訴人に対
 して約11億円の貸金等債権を有する被控訴人の前代表者甲の相続税の節税のた
 め、被控訴人に有利な方法(清算方式)があるのに、その助言指導をせず、DE
 Sを提案し、その際、当該DESにより被控訴人に多額の債務消滅益が生じ、法
 人税が課税されるリスクがあることを説明せず、本来支払う必要のなかった法人
 税等相当額の損害などを被ったとして、税務顧問契約の債務不履行又は不法行為
 に基づき、損害額合計3億2902万7820円及び遅延損害金の支払を求める
 事案です。裁判所は、次のとおり判断して控訴人の控訴を棄却しました。
 
  控訴人は、被控訴人に対し、顧問税理士として、租税関係法令に適合した範囲
 内で、課税上最も有利となる方法を検討して、その方法を採用するように助言指
 導する義務を負っているのであり、また、DES方式を提案するに当たり、債務
 消滅益課税について具体的な説明をし、法人税及び相続税の課税負担を少なくし、
 より節税の効果が得られる清算方式を採用するよう助言指導する義務があった。
  控訴人が本件DESによって債務消滅益が発生することを正しく説明していれ
 ば、被控訴人は2億9000万円の法人税の課税を避けるため、多少のデメリッ
 トがあっても清算方式を採用したものと推認できるから、上記義務違反と法人税
 の課税との間に相当因果関係はないという控訴人の主張は採用し得ない。
      ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z999-0174

TAINSメールニュース No.452 2020.03.05 発行(社)日税連税法データベース

2020年03月05日

【1】今週のお知らせ
 会員各位
  平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
 
  当社団職員の新型コロナウイルスへの感染リスクの軽減と安全確保のために、
 社団職員について15分の退社時間の繰り上げ及び交代での在宅勤務を実施する
 こととしました。
  これにともない、お問い合せ等に対する電話対応を十分に行うことができない
 ことが予測されます。
 
  問い合せについては可能な限りメールを優先していただくとともに、回答まで
 時間を要する場合があることをご了承ください。
  会員の皆様には大変ご不便をおかけしますが、ご理解をいただきますようよろ
 しくお願いいたします。
 
  期間:2020年3月5日(木)~2020年3月13日(金)
 
  なお、実施期間については、状況により延長を検討します。
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
 組織再編成に係る行為計算否認~特定資本関係5年超要件を満たす適格合併~
 (令01-12-11 東京高裁 棄却・上告等 Z888-2287)
 
  本件は、控訴人が、完全子会社を被合併法人とする適格合併(平成22年改正
 前の法人税法2条12号の8)を行い、その子会社が有していた未処理欠損金額
 を控訴人の欠損金額とみなして損金の額に算入したところ、処分行政庁から、法
 人税法132条の2の適用により、法人税の更正処分等を受けた事案です。
  東京高裁も本件更正処分等は適法であるとし、組織再編税制の基本的な考え方
 及び完全支配関係にある法人間の適格合併について、次のように判断しています。
 
  完全支配関係にある法人間の適格合併については、支配関係にある法人間の適
 格合併におけるような従業者引継要件及び事業継続要件の定めは設けられていな
 い。しかしながら、組織再編税制は、組織再編成の前後で経済実態に実質的な変
 更がなく、移転資産等に対する支配が継続する場合には、その譲渡損益の計上を
 繰り延べて従前の課税関係を継続させるということを基本的な考え方としており、
 また、先に組織再編税制の立案担当者の説明を引用して判示したとおり、組織再
 編税制は、組織再編成により資産が事業単位で移転し、組織再編成後も移転した
 事業が継続することを想定しているものと解される。
  完全支配関係にある法人間の適格合併について、当該基本的な考え方が妥当し
 ないものと解することはできないから、当該適格合併においても、被合併法人か
 ら移転した事業が継続することを要するものと解するのが相当である。
     《検索方法》  【キーワード】 Z888-2287

TAINSメールニュース No.451 2020.02.27 発行(社)日税連税法データベース

2020年02月27日

【1】今週のお知らせ
 収録した裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-10-05 裁決 棄却 F0-1-1007
  保証債務の特例/譲渡代金を法人への貸付けとした場合
 ・H30-07-04 裁決 却下、棄却 F0-1-1025
  源泉徴収義務/法人から顧問に交付した金員の給与該当性
 ・H30-05-23 裁決 棄却 F0-1-992
  所得区分/貸付金債権を放棄したことによる貸倒損失
 ・H30-05-21 裁決 一部取消し F0-1-991
  推計方法の合理性/所得の帰属/他人名義で営まれている風俗店
 ・H30-01-04 裁決 棄却 F0-1-929
  源泉徴収義務/非居住者へ支払った不動産の譲渡対価
 
 【相続税】
 ・H30-05-23 裁決 棄却 F0-3-653
  相続財産の範囲(生命保険契約に関する権利)/過少申告加算税(正当な理由
 )
 
 【他国税】
 ・H25-05-10 裁決 棄却 F0-8-186
  差押処分/債権の帰属/得意先の譲渡
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  税理士損害賠償~遺留分減殺請求中の相続税申告と小規模宅地等の特例~
 (平30-02-19 東京地裁 一部認容 Z999-0172)
 
  この事案は、遺言により全財産を相続するものとされている原告が、遺留分減
 殺請求中に、相続税申告を行った税理士Aに対して損害賠償を求めるものです。
  裁判所では、そのような状況下において相続税申告業務を行う税理士は、(1
 )小規模宅地等の特例を適用することなく法定相続分に従った共同相続として申
 告をする、(2)遺言により全財産を相続したものとして申告をする、のいずれ
 かの方法を選択することになるものと解され、税理士Aは(1)の方法を選択し
 たものと考えられるとしたうえで、次のとおり判断し、原告の損害賠償請求の一
 部(遺留分減殺請求権者であるB及びCの相続税相当額等)を認容しました。
 
  (1)の方法を選択し、原告と対立関係にあったB及びCの相続税を相続財産
 から支出した場合、遺留分減殺の解決が長期化すればその間は本来原告が負担す
 べき税額を超えた支出状態が継続することになる可能性がある上、B及びCから
 更正請求についての協力を得られないなどの事態も想定されたと考えられる。
  上記事実関係の下では、(1)の方法は(2)の方法と比較してリスクが高か
 ったというべきであり、これを採用するのであれば、当該リスクの存在について
 十分に説明した上で原告の同意を得て行う必要があったというべきである。
  税理士Aが(1)の方法を採用したことは不適切であり、相続税申告手続を受
 任した税理士としての善管注意義務に違反する行為であったというべきである。
  ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z999-0172

TAINSメールニュース No.450 2020.02.20 発行(社)日税連税法データベース

2020年02月20日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-08-24 裁決 棄却、却下 F0-1-1002
  更正の請求と信義則/個人法人間の所得の帰属
 ・H30-03-05 裁決 棄却 F0-1-886
  居住用財産の特別控除/相続により取得した家屋と生活の拠点
 ・H30-02-15 裁決 棄却 F0-1-946
  源泉徴収義務/インド法人に支払った業務委託料
 ・H30-01-12 裁決 棄却 F0-1-930
  居住用財産の特別控除/住民票上の住所と生活の拠点
 
 【相続税】
 ・H31-02-05 東京地裁 棄却 Z888-2291
  納税猶予期限の確定事由/農業経営の廃止の判断基準/法人成りをした場合
 
 【その他】
 ・H30-02-19 東京地裁 一部認容 Z999-0172
  税理士損害賠償/善管注意義務違反/遺留分減殺請求中の「小規模宅地等の特
 例」
 ・H13-01-25 東京地裁 棄却、控訴 Z999-6152
  株主代表訴訟/孫会社の損害と親会社の取締役の任務懈怠責任
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  国外居住扶養親族/送金関係書類
 (平30-02-27非公開裁決 棄却 F0-1-899)
 
  請求人が、国外に居住する請求人の妻の父(義父)に係る障害者控除及び扶養
 控除の適用を求めて更正の請求をしたところ、原処分庁が、義父と生計を一にす
 ることを明らかにする書類の添付又は提示がないから各控除を適用することはで
 きないとして更正をすべき理由がない旨の通知処分を行った事例です。
 
  請求人が義父に係る送金関係書類であると主張する取引明細書は、国外に居住
 する義母名義の預金口座の取引明細書の写しであるから、義父の生活費に充てる
 ための支払を必要の都度、義父に対して行ったことを明らかにしたものとはいえ
 ず、義父に係る送金関係書類であるとは認められない。
  請求人は、義父は、僧侶であり信仰上お金に直接触れることはできないこと、
 障害者であり、本人が直接取引できる状態でないことから、同居している義父の
 受任者である義母に義父の生活費を送金しているという事情がある旨主張する。
 しかしながら、国外居住扶養親族に係る扶養控除等の適用を受けようとする居住
 者は、送金関係書類を、控除の適用を受ける各人別に確定申告書に添付又は提示
 しなければならない旨規定されており(所法120条3項2号)、その例外を認
 める規定は設けられていないのであるから、請求人が主張するような事情等があ
 ったとしても、義父に係る送金関係書類の添付又は提示を免れるものではない。
   ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-899

TAINSメールニュース No.449 2020.02.13 発行(社)日税連税法データベース

2020年02月13日

【1】今週のお知らせ
 複雑な外国税額控除の記載例や説明は価値ありです!〔行政文書の紹介〕
         (TAINSコード:資産税審理研修資料H300700)
  普通の税理士にとって、外国税額控除の処理は複雑なものの一つです。確定申
 告の手引きを読んでもどのように対応していけばよいのかよくわからないケース
 もあります。
  たとえば、海外の不動産を譲渡した場合で、譲渡した年に現地で所得税等が源
 泉徴収され、翌年において、現地で申告をして税金を精算するようなときは、2
 年にわたり外国税額控除を行うケースや、現地での申告により還付が生じた場合、
 還付税額の全部または一部を雑所得の総収入金額に算入させるケースがあります。
  このような複雑な申告処理をどのように記載すればいいのか悩んだ場合、「資
 産税審理研修資料」(東京国税局 平成30年7月作成)の「所得税の国際課税
 と海外不動産の譲渡に係る外国税額控除事例」(P190~P224)が役立ち
 ます。この資料では海外不動産の譲渡について、2事例についてパターンを分け
 て2年分の申告書の記載例(第1表、第3表、譲渡所得の内訳書、外国税額控除
 に関する明細書)を丁寧に説明していますから、実務で関わる際とても価値があ
 ると思います。
  資産税審理研修資料には、他にも譲渡所得等の審理上の留意点も盛り込まれて
 おり、これらは具体的事例に沿った説明がなされるので、私たち税理士にとって
 も非常に参考になる資料であると思います。
   ≪検索方法≫ 【キーワード】 H300700
 ※検索トップ「フリーワード」に入力して下さい。
                       (要点メンバー:菅野 真美)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  更正の予知/調査官と関与税理士の電話応答後の修正申告
 (平30-03-01 非公開裁決 棄却 F0-1-953)
 
  原処分庁所属の調査官は、平成28年10月26日、関与税理士に対し、請求
 人の所得税の調査に係る日程調整を電話で依頼するとともに、調査の目的に関す
 る質問に応じました。本件は、請求人が、同日中に、平成27年分所得税の修正
 申告をしたところ、過少申告加算税が賦課されたことから、修正申告書の提出は、
 更正があるべきことを予知してされたものではないと主張して、その取消しを求
 めた事案です。審判所は、次のように判断して、請求を棄却しました。
 
  通則法65条5項に規定する「調査」とは、机上調査のような租税官庁内部に
 おける調査をも含むものと解されるところ、調査官が、平成28年10月18日
 に特定口座年間取引報告書などの資料情報を確認した後、資料情報と確定申告書
 の内容とを比較検討する資料を作成していることからすると、調査官は、修正申
 告書の提出前に「調査」を行い、株式等に係る譲渡所得の申告漏れを把握してい
 たものと認められる。そして、調査官は申告漏れを把握した後に関与税理士に電
 話をし、電話応答を契機として、関与税理士は、取引報告書に所得税等の源泉徴
 収が選択されていない旨の表示があることに気付き、修正申告をしたという事実
 関係が認められる。さらに、関与税理士は、電話応答の内容により調査官が申告
 漏れを把握しているものと認識していたと認められることからすれば、修正申告
 書の提出は、「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを
 予知してされたものでないとき」に該当するとはいえない。
  ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-953 

TAINSメールニュース No.448 2020.02.06 発行(社)日税連税法データベース

2020年02月06日

【1】今週のお知らせ
(1)収録した裁決の一部を紹介します。
 【相続税】
 ・H30-10-02 裁決 却下 F0-3-646
  請求の利益/処分の不存在
 
 【消費税】
 ・H30-07-09 裁決 棄却 F0-5-242
  課税仕入れ/自動車通勤者の通勤手当/所得税法の非課税限度額を超える金額
 ・H30-07-02 裁決 棄却 F0-5-240
  正当な理由/消費税等の無申告加算税/相談会場での無指導
 ・H30-07-02 裁決 棄却 F0-5-241
  輸出物品販売場における商品の譲渡/非居住者に対する免税売上か
 ・H30-04-17 裁決 却下 F0-5-244
  消費税の還付・年金の減額分の還付を求める審査請求
 ・H30-02-15 裁決 却下 F0-5-243
  地方税法附則9条の10の規定に基づく委託納付の処分性
 
(2)東京税理士会会員相談室の【相談事例】を毎月継続して収録しています。
  例えば、下記のような検索ワードで「全文」を選択すると検索できます。
  東京税理士会 会員相談室 ☆2019年 →18件
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                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  仕入税額控除~住宅用賃貸部分を含む中古建物の「用途区分」の判定
 (令01-10-11 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2276)
 
  中古不動産の買取再販売を主な事業とする原告が、販売目的で行った課税仕入
 れである建物の購入のうち、購入時にその全部又は一部が住宅用として賃貸され
 ている建物(各建物)に係る控除対象仕入税額の計算について争った事案です。
  主な争点は、住宅用賃貸部分を含む建物の購入が共通課税仕入れに区分される
 か否かです。裁判所は、原告が指摘する税務当局の取扱いは個別事例の一つにす
 ぎないなどと判断し、次のとおり原告の請求を棄却しました。
 
  原告は、個別対応方式における用途区分の判定は、課税仕入れの最終的な目的
 によって行うべきであると主張するが、用途区分が課税仕入れの行われた日の状
 況に基づいて判断すべきものであることや、共通仕入控除税額は課税売上割合に
 代えて課税売上割合に準ずる割合によって計算する余地もあることからすると、
 原告の主張には理由がない。
  原告は、各建物をいずれも棚卸資産としていること、各建物の全部又は一部は、
 購入時に住宅用として賃貸されており、購入によって、賃貸人としての地位を承
 継し、引渡日以降の賃料を収受していたことが認められる。これらの事情を踏ま
 え、各課税仕入れが行われた日の状況に基づいて検討すると、各建物は、販売に
 供されるとともに、一定の期間、住宅用の賃貸にも供されるものであったと認め
 られることから、各課税仕入れは、共通課税仕入れに該当するというべきである。
  ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2276

TAINSメールニュース No.447 2020.01.30 発行(社)日税連税法データベース

2020年01月30日

【1】今週のお知らせ
 収録した判決・裁決の一部を紹介します。
 【所得税】
 ・H30-11-13 裁決 棄却 F0-1-1019
  為替差益/米国LLCの解散に伴う残余財産の分配
 ・H30-08-29 裁決 棄却 F0-1-1004
  更正の請求/源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式の譲渡損失
 ・H30-12-12 裁決 棄却、却下 F0-1-1021
  還付金の充当処分
 
 【法人税】
 ・R01-06-26 東京高裁 棄却、確定 Z888-2280
  源泉徴収義務/建築士等の資格を有しない個人に支払った数量積算業務に対す
 る報酬
 
 【他国税】
 ・H30-03-27 裁決 棄却 F0-8-187
  最高価申込者決定処分の適法性/賃貸用不動産の売却等
 ・H29-12-18 裁決 棄却 F0-8-189
  配当処分の違法性/課税処分と徴収処分の関係
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  国外居住扶養親族~各人別送金関係書類の法令改正に関する事項の周知~
 (平30-11-27 非公開裁決 棄却 F0-1-1017)
 
  請求人が、非居住者である請求人の親族を控除対象扶養親族として扶養控除を
 適用して所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、請求人と生計を一にす
 ることを明らかにする書類の添付又は提示がされていない親族は控除対象扶養親
 族に当たらないとして更正処分をしたのに対し、請求人は、原処分庁所属の職員
 から事前に法令の改正について説明がなかったことが原因であるとして、その全
 部の取消しを求めた事案です。
  審判所は、次のように判断し、請求人の主張を退けました。
 
  請求人は、法令の改正により、国外に居住する者を控除対象扶養親族とするた
 めに、各人別に送金関係書類の添付等をすることが必要になったということを知
 らず、父には送金したものの母及び義母に送金しなかった。その原因は、原処分
 庁所属の職員が、請求人に対し、事前に法令の改正について説明をしなかったこ
 とにあり、母及び義母に係る扶養控除も適用されるべきである旨主張する。
  しかしながら、課税庁は、国税庁ホームページなどにおいて、法令の改正に関
 する事項を広く一般に周知しているところ、申告納税制度の下における所得税等
 の確定申告は、納税者自身の判断と責任においてなされるべきこと、また、原処
 分庁所属の職員が納税者に対して法令の改正について説明をしなければならない
 旨を定めた法令の規定はないことから、原処分庁が、請求人に対し、事前に法令
 の改正について説明をせずに本件更正処分を行ったことに違法な点はない。
  ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-1017