TAINSメールニュース No.352 2018.3.29 発行(社)日税連税法データベース

2018年03月29日

【1】今週のお知らせ
  国税不服審判所のホームページに平成29年7月から9月分の裁決事例12件
 が公表されました。 http://www.kfs.go.jp/service/JP/idx/108.html
 
 【所得税】
 1.J108-1-01 H29-08-22公表裁決 棄却
   (国税の納付義務の確定/措置法29条の2(税制適格ストックオプション)
    適用後に非居住者となった場合)
 2.J108-1-02 H29-09-01公表裁決 棄却
   (過少申告加算税/修正申告後に国外財産調書を提出した場合)
 3.J108-1-03 H29-09-26公表裁決 一部取消し
   (無申告加算税 更正又は決定の予知/請求人名義の不動産から生ずる所得)
 4.J108-1-04 H29-08-23公表裁決 一部取消し
   (重加算税/医師(内科医及び産業医)の収入計上漏れ)
 5.J108-2-05 H29-07-26公表裁決 一部取消し
   (歯科矯正治療費の収入すべき時期/矯正装置装着時)
 6.J108-2-06 H29-08-02公表裁決 棄却
   (FX取引に係る差損益金等の収入すべき時期/ロールオーバーの時)
 【他国税】
 7.J108-5-12 H29-07-25公表裁決 棄却
   (滞納処分に関する猶予、停止等/徴収法153条1項各号該当性)
 
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  国税の納付義務の確定/措置法29条の2適用後に非居住者となった場合
 (平29-08-22 公表裁決 棄却 J108-1-01)
 
  ストックオプションの権利行使益は、原則として給与所得として課税されます
 が、税制適格ストックオプションについては、権利行使時には課税せず、取得し
 た特定株式の譲渡時に、値上がり益と併せて譲渡所得として課税されます。
  本件は、請求人が、居住者として税制適格ストックオプションの権利行使によ
 り取得した株式をK国に出国後に移転(保管口座を移管)したことによるみなし
 譲渡所得について確定申告をした後、当該譲渡所得は、K国との間の租税協定に
 より日本国には課税権がないとして更正の請求をしたのに対し、原処分庁が、更
 正をすべき理由がない旨の通知処分をした事案です。
 
  措置法29条の2第4項は、特定株式の移転があった場合には、その時におけ
 る価額による譲渡があったものとみなす旨規定している。そして、非居住者の特
 定株式の譲渡に係る所得は、所得税法161条1号に規定する国内源泉所得に該
 当することから、特定株式を譲渡した非居住者は、所得税を納める義務がある。
  本件みなし譲渡益のうち「権利行使益」については、権利行使日における居住
 地国である日本国に課税権が認められ、租税協定は日本国の課税権を制限してい
 ないから、課税権は日本国にある。一方、みなし譲渡益のうち「値上がり益」は、
 K国にのみ課税権が配分されることになる。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 J108-1-01

TAINSメールニュース No.351 2018.3.22 発行(社)日税連税法データベース

2018年03月22日

【1】今週のお知らせ
  平成29年の各税理士会の相談事例を収録しました。
 
 【キーワード】税理士会提供相談事例 平成29年
 【税区分】  法人税
 
 ・南九州税理士会会員税務相談室事例0011 法人税 時価が下落している販
  売用不動産の評価について
          【南九州税理士会報 平成29年3月1日第461号掲載】
 
 ・東京税理士会会員相談室0078 国際税務 中国(上海)出向者に対する日
  本と中国の税務   【東京税理士界 平成29年4月1日第723号掲載】
 
 ・東京税理士会会員相談室0079 国際税務 中国(上海)から支払われる技
  術使用料に対する日本と中国の税務
            【東京税理士界 平成29年4月1日第723号掲載】
 
 ・東京税理士会会員相談室0084 法人税 事前確定届出給与の届出支給額と
  実際支給額が異なる場合
            【東京税理士界 平成29年7月1日第726号掲載】
 
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  取締役が行った行為による損害賠償請求権の収益計上時期~同時両建説
 (平29-05-09 非公開裁決 棄却 F0-2-719)
 
  本件は、請求人の取締役が虚偽の書類を作成して架空の委託加工費を計上し請
 求人から不法に金員を取得した行為について、原処分庁が、その行為による損害
 賠償請求権の収益計上時期はそれぞれ損失が発生した各事業年度に帰属させるべ
 きであるなどとして、法人税等の各更正処分並びに消費税等の各更正処分及び重
 加算税の各賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、収益は全て損失が発生した
 事実を請求人の代表者が把握した事業年度に帰属させるべきであるとして各処分
 の全部又は一部の取消しを求めた事案です。
  審判所は、次のように判断し、請求人の主張を棄却しました。
 
  法人税法第22条第2項及び第4項の規定からすると、収益は、その実現があ
 った時、すなわち、その収入すべき権利が確定した時の属する事業年度の益金に
 計上すべきものと解される。そして、不法行為による損害賠償請求権については、
 通常、損失が発生した時には同額の損害賠償請求権が発生、確定しているから、
 これらを同時に損金と益金とに計上するのが原則であると考えられる。
  本件取締役が行った行為は、通常人を基準にして、請求人の代表者が本件損害
 賠償請求権の存在・内容等を把握し得ず、権利行使が期待できないといえるよう
 な客観的状況にあったとはいえないのであり、本件損害賠償請求権に係る収益は、
 それぞれ損失が発生した各事業年度に帰属させるべきである。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-2-719

TAINSメールニュース No.350 2018.3.15 発行(社)日税連税法データベース

2018年03月15日

【1】今週のお知らせ
(1)国税庁で開催された全国国税局の各部長会議の資料を収録しました。
 
 ・全国国税局徴収部長(次長)会議資料 平成29年9月21・22日 国税庁
    ≪検索方法≫ 【キーワード】 徴収部長会議 平成29年9月
 
 ・全国国税局調査査察部長(次長、監理官)会議資料
                     平成29年10月3・4日 国税庁
    ≪検索方法≫ 【キーワード】 調査査察部長会議 平成29年10月
 
 ・全国国税局課税(第一・第二)部長(次長)会議資料
                   平成29年10月10・11日 国税庁
    ≪検索方法≫ 【キーワード】 課税部長会議 平成29年10月
 
(2)法人税申告の誤り易い事例及び申告審理のチェックポイントを収録しました。
 
 ・法人税及び消費税等の処理における誤り易い事例とそのチェックポイント
   平成29年9月 国税庁調査課 東京国税局調査審理課
    ≪検索方法≫ 【キーワード】 誤り易い事例 平成29年9月
 
 ・申告審理のチェックポイント 平成29年11月 大阪国税局 法人課税課
  【法人税申告(別表等)、消費税及び地方消費税の申告、ガイドブック】
    ≪検索方法≫ 【キーワード】 申告審理 平成29年11月
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
  旧診療所を引継ぐ際に支払った金員は「営業権」の対価に該当するか
 (平29-05-08裁決 非公開裁決 棄却 F0-1-726)
 
  医師である請求人が、配偶者乙(医師)が営んでいた診療所を引き継いで開業
 した際、乙に営業権の対価として金員を支払ったとして、その金員を取得価額と
 する営業権に係る減価償却費を事業所得の金額の計算上必要経費に算入して所得
 税の確定申告等をしたところ、原処分庁が、その金員は減価償却資産となる営業
 権の対価に該当しないとして更正処分等をした事案です。
  請求人は、旧診療所は、開設後10か月の期間で、他の診療所を上回る収益の
 稼得を可能にしており、無形の財産的価値を有していたなどと主張しましたが、
 審判所は、次のように判断して、請求人の主張を棄却しました。
 
  営業権とは、他の企業を上回る企業収益を稼得することができる無形の財産的
 価値を有する事実関係をいい、当該事実関係は、それが個々の主観的要素を離れ
 て営業組織に客観的に結実した形で表象された場合に初めて減価償却資産となる
 営業権に該当するものと解するのが相当である。
  医師の行う業務は、一身専属性の高いものであるから、医師である請求人の専
 門的知識等や患者との個人的信頼関係などの事実関係は、旧診療所に客観的に結
 実した形で表象されたものと認められるものではなく、減価償却資産となる営業
 権に該当するものとは認められないので、事業所得の金額の計算上必要経費に算
 入することはできない。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-726

TAINSメールニュース No.349 2018.3.8 発行(社)日税連税法データベース

2018年03月08日

【1】今週のお知らせ
  法人税の非公開裁決を収録しました。
 
 1.平29-04-19 裁決 棄却 F0-2-713
   (重加算税/特別損失に計上された架空の部品等の廃棄損及びゴルフ会員権
    の解約損)
 2.平29-04-04 裁決 棄却 F0-2-714
   (更正の請求/判決により確定した業務委託費に係る損害賠償債務)
 3.平29-03-22 裁決 棄却 F0-2-706
   (建物の取得価額の範囲/工場建設時に行われた工場敷地の切土盛土、地盤
    改良工事)
 4.平29-03-17 裁決 一部取消し F0-2-710
   (源泉所得税/架空経費の計上と元理事に対する従業員給与)
 5.平29-03-03 裁決 却下 F0-2-708
   (審理手続を経ないでする却下裁決/請求の利益)
 6.平29-03-02 裁決 棄却 F0-2-707
   (青色申告の承認申請書提出の有無/過年度の欠損金額を損金の額に算入で
    きるか)
 7.平29-02-27 裁決 棄却 F0-2-709
   (重加算税/消費税を免れるために設立された法人を介在して行われた清掃
    作業員派遣)
 8.平29-02-21 裁決 棄却 F0-2-712
   (源泉所得税/みなし配当/株主への子会社株式の譲渡に係る錯誤無効)
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  譲渡所得/「資産の譲渡」該当性/スワップ取引による金地金の移転
 (平29-06-29 名古屋地裁 棄却 Z888-2154)
  本件は、原告が、貴金属製造販売業者A社との間で、金の購入保管に係る契約
 を締結して取引をしたところ、四日市税務署長から、本件契約に基づく取引が「
 資産の譲渡」(所得税法33条1項)に該当するとして、更正処分等を受けたた
 め、その取消しを求めた事案です。名古屋地裁の判断は、次のとおりです。
 
  本件契約は、A社から同社にて製錬した金地金を購入する「売買取引」を行う
 か、同社との間で、当該顧客が所有する金地金と同社にて製錬した金地金とを交
 換する「スワップ取引」を行うことにより、同社にて製錬した金地金を取得する
 ことと、取得した金地金の保管を同社に委託する「保管取引」を行うことを組み
 合わせて構成された契約であると認められる。
  スワップ取引により取得した金地金を保管取引により預ける場合の本件契約の
 法的性質は、顧客とA社とが互いの金地金の所有権を相手方に移転する民法上の
 交換と、顧客がこれにより取得した金地金の保管を同社に委託する民法上の寄託
 (混蔵寄託)とを組み合わせた混合契約であると認められる。
  そして、本件スワップ取引により、原告が所有していた本件金地金の所有権が
 A社に移転し、その対価(反対給付)として原告に所有権が移転した同社にて製
 錬した金地金をもって、原告による本件金地金の保有期間中に抽象的に発生して
 いた増加益が具体化されたものと解するのが相当であるから、本件スワップ取引
 により、本件金地金について「資産の譲渡」があったものというべきである。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2154

TAINSメールニュース No.348 2018.3.1 発行(社)日税連税法データベース

2018年03月01日

【1】今週のお知らせ
  平成29年の各税理士会の相談事例を収録しました。
 
 【キーワード】税理士会提供相談事例 平成29年
 【税区分】  所得税・・・12件
 
 ・千葉県税理士会相談事例Q&A0113 所得税 同族会社株式を代表者が買
  い取り会社へ譲渡した場合の課税関係
  【千葉県税理士界 平成29年1月20日第190号掲載】
 
 ・東京税理士会会員相談室0076 所得税 被相続人の居住用財産に係る譲渡
  所得の特別控除の特例【東京税理士界 平成29年3月1日第722号掲載】
 
 ・東京地方税理士会税務相談事例Q&A0110 所得税 国際課税 外国と日
  本を行き来して勤務する者の課税関係
  【東京地方理士会ホームページ(会員専用ページ)平成29年3月掲載】
 
 ・東京地方税理士会税務相談事例Q&A0114 譲渡所得税 市街地価格指数
  の割合を基にした価額を土地の取得費にできるか
  【東京地方理士会ホームページ(会員専用ページ)平成29年9月掲載】
 
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
  役員給与/代表者から譲り受けた新株予約権(評価通達187(2)の適用)
 (平29-03-15 非公開裁決 棄却 F0-2-711)
 
  本件は、審査請求人が、自社の代表者から取引相場のない株式に係る新株予約
 権を譲り受け、その対価として支払った代金につき、原処分庁から、当該代金額
 のうち新株予約権の時価を上回る部分については、代表者に対し経済的な利益を
 供与したものであるとして、源泉所得税の納税告知処分等を受けた事案です。
  争点は、新株予約権の価額の評価に、評価通達187《株式の割当てを受ける
 権利等の発生している株式の価額の修正》(2)の規定を適用するか否かです。
 
  本件新株予約権は、権利行使期間が平成23年12月26日までと定められて
 いたところ、請求人は、同期間の終期が迫る同月26日に、新株予約権を譲り受
 けるとともに、権利を行使して株式を取得したものであり、新株予約権に権利行
 使を前提とした経済的価値を認めて取得したものであることが明らかである。
  そうすると、本件新株予約権は、これが権利行使されて株式が希薄化されるも
 のと仮定した経済的価値を見積もるのが、その実質に即しているといえ、上記譲
 受けの時点において、評価通達187(2)が価額の修正を定める場面(株式の
 割当てを受ける権利等の発生している株式につき、課税時期が株式の割当ての基
 準日等の翌日から株式の効力が発生する日までの間にある場合)と同視すべき状
 況にあったものと認めるのが相当である。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-2-711

TAINSメールニュース No.347 2018.2.22 発行(社)日税連税法データベース

2018年02月22日

【1】今週のお知らせ
  相続税の非公開裁決を収録しました。
 
 1.平29-05-10 裁決 却下 F0-3-524
   (請求の利益/処分の不存在)
 2.平28-12-13 裁決 棄却 F0-3-520
   (取引相場のない株式/「中心的な同族株主」の存否の判定)
 3.平28-12-12 裁決 棄却 F0-3-521
   (更正及び決定の特則/更正処分の適法性/遺言無効判決の効力)
 4.平28-12-07 裁決 棄却 F0-3-519
   (相続財産の範囲/相続開始前に被相続人名義の預貯金口座から引き出され
    た金員)
 5.平28-11-17 裁決 棄却 F0-3-518
   (家屋の評価/増改築等の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない
    家屋)
 6.平27-11-11 裁決 棄却 F0-3-523
   (貸家及び貸家建付地の評価/「一時的空室」該当性)
 7.平27-02-17 裁決 棄却 F0-3-522
   (貸家及び貸家建付地の評価/「一時的空室」該当性・使用貸借に係る貸家
    の敷地)   
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:依田 孝子)
  貸宅地の評価~借地権価額控除方式の一般的合理性~
 (平29-03-03 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2144)
 
  この事案は、原告が、借地権が設定されている各土地(本件各底地)の評価額
 を、不動産鑑定士による鑑定評価により算定した額として相続税の申告をしたと
 ころ、中野税務署長が、本件各底地には、評価通達によらない特別な事情がある
 とは認めらないとして、借地権価額控除方式(評基通25)により評価して更正
 処分等をしたことから、その取消しを求めるものです。
  裁判所では、次のとおり判断し、借地権価額控除方式の評価を相当としました。
 
  評価通達25の定める借地権価額控除方式は、底地の客観的交換価値に接近す
 る方法として相応の合理性を有すること、他方で、低廉な地代を基準とした収益
 価格による算定を標準として底地の時価とみる原告主張の方法は相当ではないと
 いうべきことに加え、路線価の付設に当たっては、評価の安全性を考慮して公示
 価格と同水準の価格のおおむね80%程度を目途として評定するという控え目な
 運用が行われており、借地権価額控除方式により算出された底地の価額が直ちに
 時価を超えることとなるわけではないと考えられること等をも考慮すると、借地
 権価額控除方式は、底地の客観的交換価値を算定する上での一般的な合理性を有
 していると認められる。
  本件各底地について、借地権価額控除方式によっては適正な時価を適切に算定
 することのできない特別の事情があるとは認められない。 
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2144

TAINSメールニュース No.346 2018.2.15 発行(社)日税連税法データベース

2018年02月15日

【1】今週のお知らせ
  国税庁及び厚生労働省のホームページに掲載されたQ&A等を収録しました。
 
 【キーワード】仮想通貨 FAQ
 
 ・個人課税課情報 仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)
  平成29年12月1日 国税庁
   ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用することにより生じる
  利益は、原則として雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となる。
 
 【キーワード】   医療費控除 セルフメディケーション
 【税区分 情報区分】所得税 相談事例
 
 ・質疑応答事例0465 医療費控除に関する手続について(Q&A)
  平成30年1月 国税庁  【平成30年1月4日国税庁ホームページ掲載】
 
 ・質疑応答事例0466 「医療費通知を活用した医療費控除の簡素化」Q&A
  の送付について(事務連絡) 平成29年7月3日 厚生労働省保険局保険課
                 【平成29年厚生労働省ホームページ掲載】
 
 ・質疑応答事例0467 セルフメディケーション税制に関するQ&A(事務連
  絡等) 平成29年9月1日更新 厚生労働省
            【平成29年1月27日厚生労働省ホームページ掲載】
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
  一時所得か相続財産か/相続に関する裁判上の和解により受領した金員
 (平29-03-14 非公開裁決 棄却 F0-1-717)
 
  本件は、請求人が、亡母の相続に関し、遺留分減殺請求及び果実返還請求の訴
 訟上の和解に基づき、弟から金員を受領したところ、原処分庁から、本件金員は
 一時所得に該当するとして所得税の更正処分を受けたことから、請求人が本件金
 員は相続財産に該当すると主張して、処分の取消しを求めた事案です。
 
  本件訴訟は、相続財産の範囲、相続財産の評価額、ひいては、請求人の遺留分
 の価額、更には弟が亡母から相続した請求人に対する貸金債権等の存否など、争
 点が多岐にわたるとともに、当事者の主張が先鋭に対立しており、審理期間も、
 裁判所から和解案が提示された時点において既に1年半以上に及んでいた。
  そのような中で裁判所から和解案が提示されたのであるが、本件和解の成立に
 至るまでの経緯に照らすと、本件金員は、当事者においても受諾する意向を示し
 た和解案の金額にできるだけ近い金額となるように、和解条項の調整を行う中で、
 名目的な積算の内訳を付して算出した金額であることがうかがわれる。
  したがって、本件金員は、請求人と弟との間に存する相続に関する一切の紛争
 を解決するための和解金ないし解決金の性質を有するものであると認めるのが相
 当であるから、所得税法34条1項に規定する一時所得に該当する。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-717

TAINSメールニュース No.345 2018.2.8 発行(社)日税連税法データベース

2018年02月08日

【1】今週のお知らせ
  平成29年の各国税局の所得税事例集5件を収録しました。
 
 【キーワード】   所得事例 平成29年
 【税区分 情報区分】所得税 個別通達 措個通達
 
 ・事例集 所得税・消費税誤りやすい事例集(平成29年12月)
  東京国税局 課税第一部個人課税課
  (全文は「原本URL→原本へ」にPDFで収録・70頁)
 
 ・事例集 個人課税関係 平成29年版 誤りやすい事例(所得税法)
  大阪国税局
  (全文は「原本URL→原本へ」にPDFで収録・15頁~56頁)
 
 ・事例集 誤りやすい事例集(所得税編) 平成29年11月 高松国税局
  個人課税課(全文は「原本URL→原本へ」にPDFで収録・69頁)
 
 ・事例集 資産課税関係 誤りやすい事例(土地等譲渡所得 平成29年分用)
  大阪国税局資産課税課(全文は「別紙リンク」にPDFで収録・17頁)
 
 ・事例集 資産課税関係 誤りやすい事例(株式等譲渡所得 平成29年分用)
  大阪国税局資産課税課(全文は「別紙リンク」にPDFで収録・11頁)
                        (税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
  源泉徴収義務/支払者が未払給与等の債務免除を受けた場合
 (平15-11-07 非公開裁決 一部取消し F0-1-719)
 
  請求人A社が、未払給与等の一部の債務免除を受けたことにより、免除を受け
 た部分の支払があったものとしてされた、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分
 と不納付加算税の賦課決定処分の適否を争点とする事案です。
  審判所は次のとおり判断し、告知処分等の一部を取り消しました。
 
  本件給与等は従業員等の労務の提供によりその債務が発生したもの及び役員報
 酬として適正な手続に基づき確定したものであって、従業員等が現実に労務の提
 供を行っていたのであるから、A社が給与等を負債として経理処理することは当
 然であって、未払計上の継続を理由として本件通達(所基通181~223共-
 2)のただし書の適用がないとする原処分庁の解釈は、本件通達の趣旨を逸脱し
 たものというほかない。本件通達ただし書の趣旨は、支払うことが不可能なもの
 については実質的に貸倒れと同一視できるから源泉徴収を要しないとするもので
 あるから、債務超過の状況下において債権放棄が行われた場合で源泉徴収を要し
 ない金額は、その債権放棄が行われた時における債務超過の額を限度とすべきで
 あると解するのが相当である。A社の場合は、債務超過の額を上回った過大放棄
 の額(1787万円余)については、本件通達の本文の定めに基づき、その免除
 があった時に支払があったものとして源泉徴収を行う必要がある。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-719

TAINSメールニュース No.344 2018.2.1 発行(社)日税連税法データベース

2018年02月01日

【1】今週のお知らせ
(1)TAINS研修サイトの更新について
  研修サイトを更新し、新たに3テーマを追加しました。ログイン後、「TAI
 NS研修」のアイコンをクリックするとサイトに移動し、オンデマンド研修を受
 講できます。また、この研修は税理士会が実施する研修となり、視聴後に受講管
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                        (事業部長:蓮間 好一)
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(2)タックスヘイブン対策税制に関する判決・裁決3件を収録
 ・ 平成29年3月3日非公開裁決 タックスヘイブン対策税制/適用除外要件
    ①請求人が株式を有する外国法人は特定外国子会社等に該当し、その主た
     る事業は株式の保有であると認められる
    ②請求人は5000万円を超える外国法人の株式を有していたから国外財
     産調書を提出しなければならない
 ・ タックスヘイブン対策税制/香港子会社の適用除外要件該当性
   平成28年9月28日東京地裁判決
   平成29年10月26日東京高裁判決
    処分行政庁から、いずれも外国子会社であり香港を本店所在地とするB社
    及びC社はいずれも措置法66条の6第1項に規定する「特定外国子会社
    等」に該当し、かつB社等の主たる事業は製造業であるところ、同事業を
    本店の所在する国又は地域において行っていないとして、B社等の課税対
    象留保金額に相当する金額は、控訴人の益金の額に算入すべきであるなど
    判示                        (朝倉 洋子)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
 上場株式等に係る配当所得の申告分離課税の特例/一部総合課税を適用した場合
 (平29-12-06 東京地裁 棄却 Z888-2148)
 
  本件は、原告が、外国払配当金に係る配当所得を総所得金額に含めるとともに、
 国内払配当金に係る配当所得につき申告分離課税の特例(措法8の4)を適用し
 て申告したところ、本件特例を適用することはできないから、国内払配当金を総
 合課税の配当所得に加算すべきであるとして更正処分を受けた事案です。
 
  措置法8条の4第2項は、上場株式等に係る配当所得について総合課税の適用
 を受けた場合には、同一年中に支払を受けるべき他の上場株式等に係る配当所得
 については、本件特例を適用しない旨を定めている。
  その制度上、上場株式等に係る配当所得のうち、一部については上場株式等に
 係る譲渡損失との損益通算をしつつ、他の部分について配当控除の適用を受ける
 といったことは相当でないというべきであり、同項の趣旨には、損益通算をする
 場合にはその年中に受ける全ての上場株式等に係る配当所得についてしなければ
 ならないこととし、その一部でも総合課税の適用を受けた場合には、当該年中の
 上場株式等に係る配当所得全体について総合課税の適用を受けることとして、上
 記のような事態が生ずることを回避するということがあると解される。
  そうすると、現に総合課税の適用を受けたものがある以上は、措置法8条の4
 第2項に該当し、申告分離課税の特例の適用はないというべきである。
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2148

TAINSメールニュース No.343 2018.1.25 発行(社)日税連税法データベース

2018年01月25日

【1】今週のお知らせ
  平成29年6月発遣「特に留意すべき通達(特留通達)」6件を収録しました。
 
 ・平成29事務年度における税理士関係事務の運営に当たり特に留意すべき事項
  について(指示) 平成29年6月21日 官税1-30ほか14課
 
 ・平成29事務年度における事務運営に当たり特に留意すべき各事務系統に共通
  する事項について(指示) 平成29年6月21日 官総1-20ほか30課
 
 ・平成29事務年度における管理運営事務及び徴収事務の運営に当たり特に留意
  すべき事項について(指示)平成29年6月21日 徴管1-14ほか10課
 
 ・平成29事務年度における調査課事務の運営に当たり特に留意すべき事項につ
  いて(指示) 平成29年6月21日 査調2-10ほか16課
 
 ・平成29事務年度における課税部(部門)の事務運営に当たり特に留意すべき
  事項について(指示) 平成29年6月21日 課総2-11ほか15課
 
 ・平成29事務年度における広報広聴事務運営に当たり特に留意すべき事項につ
  いて(指示) 平成29年6月23日 官広1-13ほか1課
 
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 特留通達 平成29年6月→6件
                              (朝倉 洋子)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
  非常勤医師の出勤手当~出勤のために直接必要であると認められる額~
 (平29-06-27 高松高裁 棄却 Z888-2149)
 
  本件は、病院を経営する控訴人が、同病院に出勤する非常勤医師らに対して支
 給した往復交通費及び出勤手当について、処分行政庁から、出勤のために直接必
 要と認められる費用の支出に充てられる範囲の金額を超える部分の金額は、給与
 所得に該当し、源泉徴収の対象になるとして、源泉所得税の各納税告知処分等を
 受けたことから、これらの取消しを求める事案です。
  控訴人は、非課税とされる出勤手当の範囲、信義則違反などについての補充主
 張をしましたが、高松高裁は、次のように判示して、請求を棄却しました。
 
  処分行政庁が、本件出勤手当に係る非課税対象額の認定に当たり、公共交通機
 関又は自家用車を利用した場合に支給される金額を基礎として算定したことが不
 合理的であるとはいえない。また、多くの非常勤医師等は、自家用車やJRを利
 用して勤務地に出勤していたこと、他方、控訴人は、非常勤医師に対してタクシ
 ーでの出勤を前提として出勤手当を支給したとする一方で、勤務地に設置されて
 いる駐車場の無料券を交付しており、大学病院から出勤する非常勤医師に対して
 は、そもそもタクシーの利用に関する説明をしていなかったことが認められる。
  控訴人が平成4年の調査を記録したものとして提出する書面によれば、国税当
 局側が控訴人の取扱い等について信頼の対象となるような公的見解や判断を示し
 たということはできず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2149