2019年08月08日
【1】今週のお知らせ
(1)判決速報を収録しました。
判決速報1489から1494までの計6件を収録しました。一部を下記に紹
介します。
・判決速報1489
X(納税者)が国内で購入し輸出したとする商品の購入代金について、Xは
当該商品の売買契約の当事者ではないから、Xの課税仕入れに係る支払対価の
額に該当しないとされた事例
・判決速報1492
X(控訴人会社)がみなし解散の事実やそれに基づく事業年度等の変更の事
実を知らなかったとしても、本件青色承認取消処分の効力に影響が生じること
はないとした事例
・判決速報1494
X(納税者)に特段の事情が見当たらない本件においては、国税通則法施行
令6条1項3号に規定する「帳簿書類の押収その他やむを得ない事情」がある
ものとは認められないとされた事例
≪検索方法≫ 【キーワード】 判決速報 ☆2019年08月収録分 →6件
(2)税務訴訟資料第267号の収録を完了しました。
税務大学校のホームページに公表された税務訴訟資料第267号の編集・収録
作業を完了しました。
≪検索方法≫ 【キーワード】 ★税資267号 → 156件
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
重加算税の賦課要件~相続税の申告における現金の申告漏れ~
(平30-04-24 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2238)
原告は、被相続人名義の各口座から引き出し、相続開始日において自宅等に保
管していた現金の額は2000万円を超えていましたが、現金の額は70万円で
あるとして相続税の申告をしました。この事案では、修正申告をした現金の申告
漏れについて、重加算税の賦課要件を満たすか否かが争われました。
裁判所では、平成7年4月28日最高裁判決の判断を示したうえで、次のとお
り判断し、国税通則法68条1項所定の賦課要件を満たすとしました。なお、こ
の判決は控訴審(Z888-2245)においても維持されています。
原告は、支出(被相続人のために支払った費用)の記載額が収入(各口座等か
らの引出し)の記載額を上回っているため本件現金の存在を認識することが困難
な内容の書面を作成して税理士に交付し、税理士からの現金の有無に関する質問
に対する回答を殊更に避け、また、実際に保管されている現金の額と著しく異な
る金額が相続財産である現金の額として申告書に記載されていることを認識しつ
つ、あえてこの相違につき税理士に指摘しなかったと認められる。
原告は、当初から相続財産である現金を過少に申告することを意図し、その意
図に基づき、税理士に対して本件現金の存在を知られないようにする特段の行動
をし、その結果として、税理士に相続財産である現金が70万円にとどまる旨の
記載をした申告書を作成させ、上記の意図に基づく過少申告をしたと認められる。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2238