TAINSメールニュース No.672 2024.06.06 発行(一社)日税連税法データベース

2024年06月06日

【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R05-02-16 東京地裁 棄却、確定 Z888-2554
相続財産/不当利得返還請求権の成否/隠蔽又は仮装の有無/証券口座からの
出金
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62180
・R03-06-07 裁決 棄却 F0-3-772
土地の評価/「広大地」該当性/マンション等の敷地
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62184
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
審査請求が不適法でも裁決の取消しを求める「訴えの利益」は否定されない!
(令04-06-30 大阪地裁 棄却・確定 Z272-13731)

原告が、所得税等に係る更正処分等を不服として審査請求をしたところ、国税
不服審判所長から、本件審査請求をいずれも却下する旨の裁決(本件裁決)を受
けたため、被告を相手に、本件裁決の取消しを求める事案です。
争点は、本件裁決の取消しを求める訴えの利益の有無と本件裁決の適法性です。
裁判所は、裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有すると判断しました
が、本件裁決の適法性については、本件審査請求は不服申立期間の徒過につき正
当な理由が認められる余地はなく、不適法として却下した本件裁決に誤りはなく、
本件裁決は適法であると判断して原告の主張を棄却しています。

被告は、審査請求が不適法であって補正することができないものである場合に
は、審査請求に対する裁決を取り消したとしても、裁決行政庁としては、改めて
審査請求を不適法として却下するほかなく、裁決によって原処分が取り消される
余地はないから、裁決の取消しを求める訴えの利益はない旨主張する。
しかし、本件審査請求が不適法であるかどうかは、本件裁決の適法性という正
に本案の問題であり、その審理判断の結果、本件審査請求が適法であるとして本
件裁決が判決により取り消された場合には、本件裁決がされていない状態に復す
ることにより、審査請求人である原告は、裁決行政庁である国税不服審判所長に
よる審査を改めて受けることが可能となるのであるから、原告は、本件裁決の取
消しを求めるにつき法律上の利益を有するというべきである。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62698