TAINSメールニュース No.671 2024.05.30 発行(一社)日税連税法データベース

2024年05月30日

【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・R05-08-02 東京高裁 棄却、上告、上告受理申立て
Z888-2576
上場株式の払込価額/「有利な金額」該当性/特段の事情の有無
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62344

【消費税】
・R04-05-10 裁決 棄却 F0-5-386
無申告加算税の正当な理由/e-Taxに対応しない電子証明書の使用
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62228
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:草間 典子)
事前の防御機会のない青色申告承認取消処分は憲法31条違反とする少数意見が!
(令06-05-07 最高裁 棄却・確定 Z888-2621)

この事案は、税理士法人の職員がA社の確定申告書を2事業年度連続して期限
内に提出することを失念し、A社が課税庁から青色申告承認取消処分を受けた事
案です。裁判では、事前にA社に防御する機会を与えなかったことが憲法31条
に反して違憲又は違法であるかが争われましたが、最高裁は、下記のように判断
して、A社の上告を棄却しています。

法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、そ
の処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前
に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するもの
とはいえない。本件処分に所論の違憲はない。

(編集員からひとこと)
上記について、既に平成4年9月10日最高裁(Z192-6965)で同様
の判断がされています。しかし、今回の最高裁では、宇賀克也裁判官が「処分庁
が不利益処分を行う場合には、誤った不利益処分による権利侵害が行われないよ
うに事前にその根拠法条とそれに該当する事実を通知し、相手方に事前に意見陳
述の機会を保障することが、憲法上の適正手続として要請されるのが原則であり、
青色申告の承認の取消処分について、その例外を認めるべき合理的理由は見いだ
し難い」とする反対意見を示しています。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62680