TAINSメールニュース No.669 2024.05.16 発行(一社)日税連税法データベース

2024年05月16日

【1】今週のお知らせ
TAINS研修サイトの更新について
研修サイト「TAINS MOVIE」に下記の通り「判例を読み解くTAI
NS講座」の新作動画を掲載いたしました。
ログイン後、右上部のバナー「30分研修動画」をクリックするとサイトに移
動し、オンデマンド研修を受講できます。また、この研修は税理士会が実施する
研修となり、視聴後に受講管理システムへのリンクボタンが表示され、受講時間
を登録することができます。
同シリーズはいずれも受講時間が30分以内となっており、通勤時間等を利用
して受講・登録ができます。

事前確定届出給与の要件~過去の職務執行の対価か
~更正処分を全て取り消した裁決
講 師:税理士 草間典子
(データベース部長 田川 哲)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
脱税スキームにより暗号資産取引に係る雑所得を除外して申告/刑事事件
(令06-03-21 東京地裁 有罪・控訴 Z999-9177)

本件は、被告人が、暗号資産(仮想通貨)取引を行いこれによる雑所得を得て
いたにもかかわらず、ドバイに本店を置くA社の業務執行社員らと共謀の上、被
告人が保有する暗号資産がA社に帰属するかのように装い、暗号資産取引に係る
雑所得(約8800万円)を除外する方法により所得を秘匿して3500万円余
の所得税を免れた事案です。弁護人は無罪を主張しましたが、東京地裁は、次の
ように判示して、上記のとおり、ほ脱所得が認められ、また、被告人には、ほ脱
の故意も認められるとして有罪判決を言い渡しました。

A社の提供するスキームは、被告人の保有する暗号資産を、A社関係会社の株
式と交換する名目でA社に帰属するよう仮装した上、暗号資産を現金化し、貸付
金の名目で被告人に還流させるというというものであり、およそ経済的にみて合
理的なものとはいえない。よって、A社のスキームは仮装行為であり、暗号資産
エイダは、被告人に帰属していたものと認められる。
被告人は、自己の計算で取得したエイダを被告人名義のウォレットで管理し、
A社から支払われた金銭の額も把握していたと認められ、さらに、A社スキーム
の仮装性を基礎づける事実を認識していたものと認められる。そのような中、暗
号資産取引に係る所得を除外した上で確定申告をした被告人には、ほ脱の故意が
あったものと認められる。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/62553