2024年05月02日
【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【所得税】
・R04-05-12 東京地裁 棄却、確定 Z888-2521
居住者該当性/外国法人の清算に係る残余財産の分配(配当所得)
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62334
・R04-06-02 名古屋地裁 棄却、控訴 Z888-2525
共有不動産の必要経費(固定資産税)/親族へ支払った地代(生計を一にする
の判断)
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62142
・R05-08-30 東京高裁 棄却 Z888-2581
更正の請求/上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の申告不要制度の選択
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62319
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
相続分の譲渡により譲渡人が取得する金員は相続により取得した財産に該当!
(令04-04-14 大阪地裁 棄却・控訴 Z888-2541)
被相続人甲の相続人である原告(A)は、処分行政庁から更正処分等を受けま
した。甲の法定相続人はAとAの姉(B)の2人で、Aは自己の相続分の全てを
Bに譲渡し、譲渡代金として1000万円を受け取りましたが相続税の申告書に
は記載が無く、処分行政庁は、相続分譲渡により取得した1000万円は相続税
の課税対象であるとして更正処分等をした事案です。原告は、本件処分は法律の
根拠に基づかずに課税するものであり、租税法律主義について定める憲法30条
及び84条に反し違憲・違法であるなどと主張して提起しましたが、裁判所は、
次のように判断して、原告の訴えを棄却しました。
相続分の譲渡は、譲渡人と譲受人の合意のみによって行うことができ、相続人
全員の合意を必要とせず、その効果は相続開始時に遡及せず、相続分の譲渡の時
に生ずるなど、遺産分割とはその内容性質を異にするものではあるが、譲渡の対
象となる相続分は譲渡人が相続によって取得したものであり、譲渡人が相続分の
譲渡によって受領する金員は、代償分割における代償金と経済約に異なるところ
はなく、自己の相続権に基因して取得した財産であるといえ、相続税法11条の
2第1項の「相続又は遺贈により取得した財産」に当たるというべきである。
したがって、本件各処分は、憲法の委任を受けた相続税法11条の2第1項に
基づく処分であるといえるから、憲法30条及び憲法84条に適合する。
URL:
https://app6.tains.org/search/detail/62116