TAINSメールニュース No.646 2023.11.30 発行(社)日税連税法データベース

2023年11月30日

【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【地方税】
・R04-06-29 東京高裁 棄却、納税者勝訴 Z999-8495
固定資産税等/「境内建物及び境内地」該当性/宗教法人の管理人室等及びそ
の敷地
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61549

【法人税】
・R05-11-06 最高裁 一部破棄自判、被上告人の控訴棄却、
被上告人の原審の拡張請求棄却、一部上告棄却、確定 Z888-2513
タックスヘイブン対策税制/措令39条の16第1項の適用の可否/委任の範
囲の逸脱
URL:https://app6.tains.org/search/detail/61745
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:大高 由美子)
土地建物一括譲渡の場合の按分評価は、固定資産評価基準によらず、より合理
的な按分評価を認める!
(令04-06-07 東京地裁 一部取消し・確定 Z888-2479)

課税庁が、土地及び建物を代金額の内訳を定めないで一括して売却した原告の
建物の消費税課税標準額は、固定資産税評価額比率(建物比44.49)により
按分するべきとして更正処分をした事案です。
東京地裁は、次のとおり判断し、原告の鑑定の申出により裁判所が採用した鑑
定による鑑定評価額を前提として縮減した原告の請求をほぼ認めました。

一括譲渡された土地建物の対価の額を按分する方法として、当該資産の客観的
な交換価値を上回らない価額と推認される固定資産税評価額による価額比を用い
ることは、その合理性を肯定し得ないものではないが、資産の個別事情を考慮し
た適正な鑑定が行われ、固定資産税評価額と異なる評価がされ、価額比において
も実質的な差異が生じた場合には、もはや固定資産税評価額による価額比を用い
て按分する合理性を肯定する根拠は失われ、適正な鑑定に基づく評価額による価
額比(建物比22.70)を用いて按分するのがより合理的となるというべきで
ある。

(編集員からひとこと)
原告は、調査時、鑑定書(建物比21.67)を提出して修正申告に応じる旨
を述べましたが、受け入れられず、審判所で、その鑑定は、申告時按分割合に近
づけるために、作為的に評価したとの疑いを生じさせるとして主張は棄却されま
した。
裁判所が採用した鑑定評価による按分事案は貴重だと思われます。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/60901