2023年07月13日
【1】今週のお知らせ
収録情報画面リニューアルのお知らせ
TAINSホームページ「収録情報」がさらに便利になります。税目ごとに判
決や裁決の収録内容をご覧いただけるだけでなく、相談事例や課税庁作成文書な
ど、全ての情報区分の収録内容をご覧いただけるようになります。
単語や判決・裁決年月日での簡単な絞り込みや、近日中に収録する予定の文書
をチェックできるほか、気になる文書を選んで判決本文などの詳細画面に直行で
きるリンクをご用意いたします。
明日14日から、TAINSホームページ「収録情報」よりご利用いただけま
す。ぜひご活用ください。
こちらのURLから新・収録情報一覧画面をご覧ください。
https://app6.tains.org/recordedcontents/listall/
(システム部長:小林 英樹、データベース部長:水庭 清隆)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
所得区分/給与所得を有する医師の洋画等制作販売から生じた損失
(令03-03-24 横浜地裁 棄却 控訴 Z888-2410)
医師である原告は、医療法人社団の理事長を務め、1億円を超える多額の給与
を得ていました。原告は、アトリエを借りて洋画等の制作を行い、その販売のた
めに個展を東京、横浜、京都、ニューヨークで複数回開催しましたが、収益は大
幅な赤字となりました。原告は、洋画等の制作販売から生じた所得(損失)は事
業所得に該当するとして給与所得と損益通算して申告したところ、処分行政庁か
ら、雑所得に該当するから損益通算はできないとして更正処分を受けました。
横浜地裁は、社会的客観性をもって「事業」と認められるかを検討するに当た
っては、「相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性」をも検討す
べきであり、これは、「事業」の該当性の判断において、重要な要素であるとし
た上で、次のように判示して、原告の請求を棄却しました。
洋画等制作販売の活動に要する資金は、専ら給与所得等から調達されており、
しかも、客観的収支状況や販売実績に照らせば、多額の資金を投じる一方で、収
益は全く上がっておらず、およそ相当程度の期間継続して安定した収益が得られ
る見込みがあったとはいえず、客観的にみて営利を目的として行われたものとも
いえないことからすれば、社会通念上、洋画等制作販売が、自己の計算と危険に
おいて独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思
と社会的地位とが客観的に認められる業務であるとはいえず、事業に該当しない。
この判断は、控訴審(令和3年11月17日東京高裁)でも維持されています。
URL:https://app6.tains.org/search/detail/59883