2023年04月13日
【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録いたしました。
国税不服審判所のホームページに掲載された、令和4年7月から9月分の公表
裁決事例の収録が完了いたしました。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】★裁決事例集128集
(2)収録した判決の一部を紹介します。
【消費税】
・R05-03-06 最高最 棄却、確定 Z888-2480
用途区分/住宅用賃貸部分を含む中古建物/課税売上対応分か共通対応分か
・R05-03-06 最高最 破棄自判・被上告人の控訴棄却、確定
Z888-2481
過少申告加算税/正当な理由/住宅用賃貸部分を含む中古建物の用途区分
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
みなし贈与と相続時精算課税~被相続人の債権放棄による株価の増加額~
(令04-03-16 非公開裁決 棄却 F0-3-856)
この事案では、相続開始前、被相続人がA社(請求人が50%超の株式を所有
する同族会社)に対する貸付金債権を放棄したことによる株価の増加額につき、
みなし贈与の対象となるか否かが争点の一つとなりました。請求人は、その過程
で、A社株式のうち10,100株は、被相続人から相続時精算課税の対象とな
る贈与によって取得したものであって、その贈与時の価額も確定しているから、
債権放棄によるA社株式の評価額の増加に相続税法第9条の規定を適用すること
は、相続税法第21条の15第1項の規定に照らして、許されない旨主張しまし
た。審判所では、次のとおり判断し、請求人の主張を斥けました。
相続時精算課税制度は、民法上の贈与契約のみならず、これに当たらない資産
移転、経済的利益の付与であっても相続税法の規定により贈与とみなされて課税
されるものは、全て適用の対象となる。A社株式のうち10,100株の贈与と
債権放棄は別個の行為であって、当該株式贈与に対する課税と債権放棄に対する
課税は異なる課税原因に基づくものである。また、債権放棄によるA社株式の評
価額の増加は相続税法第9条の規定の適用がある財産の増加というべきであって、
相続税更正部分は、A社株式の単なる評価額の増加を対象としたものでない。
したがって、債権放棄に伴うA社株式の評価額の増加に相続時精算課税制度を
適用して、課税することは相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-3-856