2023年03月30日
【1】今週のお知らせ
収録した判決の一部を紹介します。
【法人税】
・R03-10-06 東京地裁 棄却、確定 Z888-2469
通則法74条の10の無予告要件/代表者個人預金口座の利用による売上除外
の把握
・R03-12-23 宇都宮地裁 棄却、控訴 Z888-2476
税務調査の手続の瑕疵と更正処分等の取消事由/宅地造成工事に係る外注費
【その他】
・R04-04-19 東京地裁 棄却 Z999-0180
税理士損害賠償/税務顧問契約等の存否・税理士としての注意義務違反の有無
・R02-02-20 東京地裁 一部認容、一部棄却 Z999-0181
税理士損害賠償/善管注意義務違反/横領の調査確認等・所得拡大促進税制の
失念
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
為替差損益(雑所得)/外国通貨により他の外国通貨を取得する取引
(令04-08-31 東京地裁 棄却 Z888-2465)
原告は、スイスの銀行と「投資一任契約」を締結していたところ、運用の一環
として、外国通貨によって他の種類の外国通貨又は有価証券を取得する取引が行
われました。原告は、この取引から雑所得が生ずることはないと思っていました
が、確定申告書及び国外財産調書等を提出したところ、渋谷税務署長から、この
取引から為替差損益(雑所得)が生じているとして更正処分等を受けました。
東京地裁は、ある外国通貨Aにより他の種類の外国通貨Bを取得する取引につ
いては、他の種類の外国通貨Bの取得価額の円換算額から外国通貨Aの取得価額
の円換算額を控除した差額が、正の値であるときは、その取引によって、新たな
経済的利益が得られたことになり、所得が生ずることになると判示しました。
そして、為替差損益について、その収入の原因となる権利が確定するのは、取
引の時点であるということができるから、取引がされた年において、為替差損益
を「収入すべき金額」として認識することができるとしました。また、仮に、為
替差損益から所得が生ずるとしても、その所得区分は事業所得になる旨の原告の
主張に対しては、取引の遂行に当たっての原告が担っていた役割や負担は、基本
的に余剰資金の提供にとどまっていたということができるから、為替差損益から
生ずる所得は、事業所得ではなく雑所得に該当すると判断しています。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2465