2023年01月05日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R03-10-29 東京地裁 棄却、控訴 Z888-2433
低額譲渡/株式譲受けに係る対価の額/実質的に贈与を受けたと認められる金
額
・R02-12-16 裁決 棄却 F0-2-1020
子会社株式評価損/子会社の資産状態の著しい悪化
・R01-05-23 裁決 棄却 F0-2-1036
外国子会社株式評価損/評価損計上後の事業年度に譲渡損失が発生している株
式
【消費税】
・R03-08-24 東京高裁 棄却 Z888-2452
「給与等」該当性/従業員から外注先に変更になった塗装作業員に支払った報
酬
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
組織再編成に係る行為計算否認/2段階の合併を経て引き継がれた欠損金額
(令02-11-02 非公開裁決 棄却 F0-2-1034)
本件は、C社がB社を吸収合併(合併1)し、同日、請求人がC社を吸収合併
(合併2)を行い、被合併法人の未処理欠損金額を損金の額に算入して連結確定
申告をしたところ、原処分庁が組織再編成に係る行為又は計算の否認規定を適用
して、法人税等の更正処分等を行った事案です。合併1は、法人税法上の完全支
配関係適格合併の要件を、合併2も支配関係適格合併の要件を満たしていました。
審判所は、法人税法57条2項の趣旨目的から逸脱しているか否かは、事業の
移転及び継続を含め検討すべきとし、本件更正処分等は適法と判断しています。
請求人が完全支配関係にないB社を直接合併する場合は、未処理欠損金額を引
き継ぐためには、事業継続要件を満たす必要があるところ、B社は合併の日から
遡ること5年以上も前から事実上休眠状態にあり、事業実態はなかったものと認
められる。B社にはそもそも組織再編成によって「引き継がれるべき事業」がな
く、B社が有する未処理欠損金額は、通常の組織再編成の手順によっては請求人
に引き継がれることがなかったものである。それが、合併1という形式を作出す
ることにより、B社の未処理欠損金額が、実際に事業を営むC社の未処理欠損金
額として変換されることで、あたかも事業継続要件を満たすような外形が作り出
されたものといえる。このような場合にまで、未処理欠損金額の引継ぎを認める
のは、法人税法57条2項の趣旨及び目的から逸脱したものといわざるを得ない。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-2-1034