2022年12月01日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R03-09-30 東京高裁 棄却・上告及び上告受理申立て
Z888-2429
特定民間国外債利子の非課税/利子受領者確認書の期限後提出/政令委任の範
囲
・R04-03-10 東京高裁 原判決取消し・却下・上告受理申立て
納税者勝訴 Z888-2445
タックスヘイブン対策税制/SPCを用いた資金調達スキーム/租税回避
・R03-10-01 裁決 棄却 F0-2-1035
外国子会社合算税制/オランダの親会社で合算課税された孫会社の所得
【所得税】
・R04-10-31 東京高裁 棄却 Z888-2450
更正の請求/商品先物取引に係る訴訟上の和解/権利関係変動の有無
(税法データベース編集室)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
取得条項付株式の評価~外国子会社合算税制の適用における課税対象金額~
(令04-01-20 非公開裁決 全部取消し F0-1-1322)
本件は、請求人が、外国子会社合算税制を適用して雑所得の金額を計算し、所
得税等の確定申告をしたところ、原処分庁から、特定外国子会社等であるA社が
行った発行法人B社への株式譲渡の対価の額が適正な価額に比して低額であると
して、所得税等の更正処分等を受けた事案です。主な争点は、この譲渡差額を含
めてA社の課税対象金額に相当する金額を計算すべきか否かです。
原処分庁の主張する1株当たりの価額は、審判所の試算値の約8倍に相当する
価額であり、審判所は、次のとおり判断して、原処分の全部を取り消しました。
本件定款に定められた算定式に基づく譲渡対価の額と本件試算値との開差は、
さほど大きなものではない。また、B社の普通株式に財産評価基本通達の定める
類似業種比準方式の採用には合理性があるから、譲渡時における1株当たりの時
価が本件試算値を上回るとは認め難く、一方で、取得条項付の議決権に制約のあ
る株式の時価については、確立された評価方法があるわけではなく、制約や現金
による取得条項が、普通株式の時価との関係で減価要因となるとの見解もある。
結局、適正な価額は、本件譲渡対価の額を上回るとは認められないことになる。
したがって、本件譲渡対価は、適正な価額に比して低額であるとはいえず、本件
譲渡差額を含めてA社の課税対象金額を計算すべきとは認められない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 F0-1-1322