2022年09月08日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【相続税】
・R03-07-14 東京高裁 棄却、上告、上告受理申立て
Z888-2415
相続財産は土地売買契約の売買残代金請求権/重加算税(生前に契約解除と仮
装)
・R03-06-02 東京高裁 棄却、確定 Z888-2416
不服申立前置/求償債権の存否/債務を免除する黙示の意思表示の有無
【所得税】
・R02-06-04 裁決 却下、一部取消し F0-1-1269
更正処分の適法性/税理士への委任と委任者の責任
・R02-06-11 裁決 棄却 F0-1-1272
通則法74条の11第6項の「質問検査等」該当性
【法人税】
・R02-02-06 裁決 棄却 F0-2-944
重加算税/寄附金/関係法人に対する業務委託料
・R02-01-07 裁決 棄却 F0-2-999
欠損金の繰戻しによる還付請求/還付請求書の期限後の提出
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
贈与事実の認定~被相続人名義の預金口座から出金された使途不明の現金~
(令02-11-17 非公開裁決 一部取消し F0-3-736)
請求人は、相続開始前に被相続人の預金口座から現金を出金して、請求人の管
理する預貯金口座へ現金を入金した事実があったと推認され、原処分庁から相続
税法9条(みなし贈与)の規定により、平成24年分から平成26年分までの贈
与税の決定処分を受けたことから、その取消しを求めて審査請求をしました。
審判所では、次のとおり、現金の贈与があったと判断しました。なお、相続税
法9条は適用できないとした上で、原処分庁と審判所との認定額に相違があった
ことから、平成24年分及び平成25年分の決定処分の一部を取り消しました。
一般に妻子等自己と極めて親密な身分関係にある者の間で財貨の移動があった
場合、これが租税回避の手段としてされることが少なくないため、贈与税の課税
に当たっては実質課税の原則に則り、実質に着目して行われるべきである。した
がって、親族間で財貨の移動があった場合には、後にその財貨が現実に返還され
るか又は将来返還されることが極めて確実である等特別の事情が存在しない限り、
贈与であると認めるのが相当である。
本件では、請求人が被相続人各口座から出金した現金のうち、使途が不明な現
金については、出金時、親族間で財貨の移動があった場合に該当し、また、その
後にその財貨が現実に返還され又は返還されることが確実であった等特別な事情
が存在した事実もなかったから、請求人による出金時において、被相続人から請
求人に対し贈与されたと認めるのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】F0-3-736