2022年06月23日
【1】今週のお知らせ
収録した税務訴訟資料第270号(課税関係判決)の一部を紹介します。
【所得税】
・R02-10-23 東京地裁 一部認容・棄却・控訴
Z270-13473
みなし譲渡(土地の時価)/みなし贈与(著しく低い価額の対価)
【相続税】
・R02-01-29 大阪地裁 却下・控訴 Z270-13373
租税債務不存在確認/実質的当事者訴訟の「確認の利益」の有無/修正申告書
の提出
・R02-12-10 名古屋地裁 棄却・控訴 Z270-13493
更正の請求/通則法23条2項1項の「判決等」該当性/夫婦間で成立した民
事調停
【消費税】
・R02-11-26 大阪高裁 棄却・確定 Z270-13485
課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合/契約基準(通達ただし書)の適用
・R02-12-22 東京地裁 棄却・確定 Z270-13501
課税資産の譲渡等の時期/自動販売機の販売手数料
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
所得の帰属~家族名義口座に振込送金された金員の給与所得該当性~
(令02-11-05 大阪高裁 棄却 確定 Z270-13477)
医療法人社団A(A)の理事長である控訴人は、西宮税務署長から所得税等に
ついて、Aが控訴人の妻であった者(乙)及び子ら(長男丙及び二男丁)に対し
て支払った金員が控訴人への給与であると認定され更正処分等を受けました。本
件は、控訴人がこの認定は誤りであるなどと主張して各処分の取消しを求めた事
案です。大阪高裁は、原審判決を引用及び補正して次のとおり判示しました。
妻乙及び長男丙はAの理事の地位にあったものの、理事としてあるいはAの職
員として対価を得るような職務を行っていなかったこと、二男丁もAに何ら役務
提供を行っていないこと、乙らへの報酬は、理事長である控訴人が、その一存で
本件各金員の支払及びその額を決定し、控訴人が通帳及び印鑑を管理する本件各
口座(乙、丙、丁名義の各口座)に入金していたことなどが認められる。
本件各金員は、控訴人に対して支払われた給与であると解するのが相当であっ
て、本件給与所得は控訴人に帰属するものというべきである。
本件乙口座1及び2は、控訴人が管理する口座であったことからすると、たと
え、本件別府物件の取得のための借入金の返済費用や乙名義の年金保険料が本件
各口座からの支出金から充てられていたとしても、Aから本件乙口座1及び2に
振込送金された各金員が控訴人に帰属するという判断が左右されるものではない。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z270-13477