2022年06月16日
【1】今週のお知らせ
収録した税務訴訟資料第270号(課税関係判決)の一部を紹介します。
【所得税】
・R02-07-13 東京地裁 棄却・確定 Z270-13429
国家賠償法上の違法/関与会社の更正処分等に伴う税理士の精神的苦痛
・R02-10-01 津地裁 棄却・控訴 Z270-13457
実質所得者課税/親子間における所得の帰属/鉄道軌道保守工事に係る事業
【法人税】
・R02-03-12 大阪地裁 棄却・控訴 Z270-13395
一括取得した土地建物の取得価額/固定資産税評価額を用いた按分法
【相続税】
・R02-07-28 最高裁 棄却・確定 Z270-13432
上告棄却/貸付金債権の評価/事業協同組合に対する貸付金の回収可能性
【消費税】
・R02-06-16 神戸地裁 棄却・控訴 Z270-13414
課税仕入れの時期/建物等の譲受けの場合/契約基準(通達ただし書)の適用
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
更正の請求と立証責任~関係会社に対する架空業務支援費等~
(令02-12-02 東京高裁 棄却・確定 Z270-13491)
控訴人(医療法人社団A)が、税務調査を受けて控訴人の関連会社に支出して
いた業務委託費や広告宣伝費を自己否認して修正申告書を提出しました。その後
計算に誤りがあるとして更正の請求をしたところ、処分行政庁から更正すべき理
由がない旨の通知処分を受けたことから通知処分の取消訴訟において「納税者が
確定した申告書の記載が真実と異なることについての主張立証責任を負うか」等
が争点になりました。
裁判所は、次のように判示し、控訴人の請求を棄却しました。
申告納税方式による国税に係る税額は、その後に更正がされない限り、納税者
の納税申告のとおり確定するものであること、納税申告の前提となった事実関係
及びそれを誤りであるとする事実関係は更正の請求をする納税者が熟知している
こと等に照らせば、更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消訴訟においては、
更正の請求に係る事実関係は納税者たる控訴人において主張、立証すべきものと
解するのが相当である。
控訴人は確定した申告書(修正申告書)に記載された事実が真実と異なること
を主張立証すべきところ、各修正申告書記載の事実が真実と異なることをうかが
わせる具体的な事情があるとはいえないから、本件各通知処分に違法な点はない
というべきであり、控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】Z270-13491