2022年05月12日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・R02-03-18 広島地裁 棄却、控訴 Z888-2398
重加算税/コンサルタント料の損金算入/契約書の相手先と支払の相手先
【所得税】
・R02-06-15 裁決 棄却 F0-1-1170
給与所得の収入金額/無申告加算税の正当な理由
・R02-06-18 裁決 棄却 F0-1-1171
調査の違法/更正の請求と立証責任/飲食業(スナック)及び警備業
・R02-06-22 裁決 棄却 F0-1-1172
無申告加算税/期限後申告書提出の有無
・R02-06-30 裁決 棄却 F0-1-1173
過少申告加算税の正当な理由/不動産所得の修正申告
(税法データベース編集室)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
ユニバーサルミュージック事件/同族会社等の行為計算否認(納税者勝訴)
(令04-04-21 最高裁 国の上告・棄却 確定 Z888-2411)
本件は、音楽事業を行うA社(被上告人)が、組織再編に伴い、同じ企業グル
ープに属する外国法人からの866億円余の借入れに係る支払利息を損金の額に
算入したところ、課税庁が、支払利息の損金算入は法人税の負担を不当に減少さ
せるものであるとして、法人税法132条1項を適用して更正処分等をした事案
です。最高裁は、法人税法132条1項の解釈を示した上で、次のように判示し
て、A社の請求を認めた原審の判断を是認し、国の上告を棄却しました。
本件組織再編取引は、音楽部門において日本を統括する会社としてA社を設立
するなどの組織再編成を行うものであるところ、本件取引等は、通常は想定され
ない手順や方法に基づいたり、実態とはかい離した形式を作出したりするなど、
不自然なものであるとまではいえず、また、税負担の減少以外に本件組織再編取
引等を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在したものとい
うことができる。そうすると、本件組織再編取引等は、これを全体としてみたと
きには、経済的合理性を欠くものであるとまでいうことはできず、本件借入れは、
その目的において不合理と評価されるものではない。
したがって、本件借入れは、法人税法132条1項にいう「これを容認した場
合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当た
らないというべきである。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2411