TAINSメールニュース No.557 2022.01.27 発行(社)日税連税法データベース

2022年01月27日

【1】今週のお知らせ
(1)第2回常務理事会を開催
1月24日、第2回常務理事会をWeb形式にて開催し、特別入会資格の他士
業への拡大、新たな動画コンテンツ企画等につき検討いたしました。

(2)非公開裁決の情報収集の取組紹介
令和3年4~6月の課税事件・徴収事件の非公開裁決の裁決文全文の入手作業
を進めております。
(税法データベース事務局)

(3)TAINSだより
TAINSだより(2022年新年号)を掲載いたしました。検索トップペー
ジの右下「TAINSだより」をクリックすると、閲覧できます。
(事業部長:上田 健一)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
事業用買換資産の取得価額と一括譲渡した土地建物の対価の区分
(令03-09-17 東京地裁 棄却 Z888-2371)

原告らの父乙は、贈与により取得した土地1を昭和62年に譲渡して、措置法
37条(特定事業用資産の買換え)1項の適用を受け、買換資産としてA建物を
取得し、平成26年に土地2とともにA建物を譲渡しました。本件は、父の死後、
税務署長が、不動産所得につきA建物の取得価額は「引継価額」とすべきであり、
一括譲渡した土地建物の対価の区分は「相続税評価額による按分法」を採用すべ
きであるとして更正処分をした事案です。東京地裁は次のように判示しました。

原告らは、本件贈与は負担付贈与であり、土地1は、措置法37条1項の要件
(所有期間10年超)を満たしておらず、A建物は買換資産に該当しない旨主張
するが、乙が自ら同項の規定を当てはめて要件を満たすとする確定申告書を提出
し、これを働かせて課税の繰延べという効果を享受した者であったことは明らか
であり、客観的にみて要件を満たしていたか否かにかかわらず、乙は同項の規定
の適用を受けた者に該当するから、A建物の取得価額は引継価額とすべきである。
土地2の概算取得費を計算するに当たり、原告らは、譲渡収入から建物の固定
資産税評価額を控除した額を土地の収入金額とする差引法を主張するが、固定資
産税評価額は実際の取引価額が形成される事情が考慮されていないことから差引
法は合理的とはいえない。相続税評価額による按分法は、土地と建物との収入金
額の均衡を保つことができるものと解されるから合理性があると認められる。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2371