2021年01月21日
【1】今週のお知らせ
令和2年8月作成の資産税審理研修資料が掲載されています!
〔行政文書の紹介〕
(TAINSコード:資産税審理研修資料R020800)
国税局の資産税審理研修資料をご紹介します。この研修資料は毎年作成されて
おり、各年分の資料がTAINSに収録されています。税制改正の概要と資産税
の審理上の留意点に合わせて、その年々で違ったテーマが取り上げられています。
令和2年は、相続税法における信託税制の基礎知識、事後監査の基礎知識、公益
法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例(措法40)に係る承
認特例についてです。
また、今回の資料は、民法改正により創設された配偶者居住権について課税関
係及び評価方法が全般的に取り上げられています。財産評価の審理上の留意点で
は、配偶者居住権の概要から始まり新設の通達説明、具体的な数字を用いた設例
があり、参考条文も併記されているのでわかり易く整理されています。配偶者居
住権を遺産分割によって取得したときは、遺産の分割が行われた時点で評価しま
す。配偶者居住権が存続期間満了前にその利益に対して適正な対価を支払われず
消滅した場合には、所有者が配偶者居住権の消滅直前に配偶者から贈与により取
得したものとみなされ、消滅時点で評価することが、贈与税の審理上の留意点に
記載されています。また、令和2年度税制改正の概要には、対価を取得して配偶
者居住権又は配偶者敷地利用権を消滅させた場合は、総合譲渡所得として課税す
ることや取得費の計算についても図を用いて詳しく記載されています。配偶者居
住権について税制の大枠を理解するのに役立ちました。
資産税審理研修資料は、どの年をとっても内容がそれぞれ違うので、新しいも
のだけではなく過年度の資料も税法を再確認する資料として非常に参考になりま
す。
≪検索方法≫〔細かい条件を指定して検索〕
【TAINSキーワード】資産税審理研修資料R020800
(要点メンバー:上原 登貴子)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
土地の評価~騒音により利用価値が著しく低下しているとして全部取消し~
(令02-06-02 公表裁決 全部取消し J119-3-04)
請求人は、相続により取得した土地について、国税庁ホームページのタックス
アンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」(本件
取扱い)に該当するとして相続税の更正の請求をしました。本件は、請求人が、
原処分庁の減額更正処分を不服として、審査請求に及んだ事案です。
審判所は、請求人の騒音の測定結果に一定の信用性を認め、審判所の現地調査
の結果や固定資産税評価額については、d鉄道e線の鉄軌道中心線から10m以
内に存する場合の鉄道騒音補正率0.90を適用して算定されていることなどか
ら、次のとおり判断して、原処分の全部を取り消しました。
本件土地については、(1)本件路線価に騒音の要因がしんしゃくされていな
いこと、(2)d鉄道e線の列車走行により、相当程度の騒音が日常的に発生し
ていたと認められること、(3)当該騒音により、その地積全体について取引金
額が影響を受けていると認められることから、本件土地の全体につき、騒音によ
り利用価値が著しく低下している宅地として本件取扱いにより減額して評価すべ
きものと認められる。したがって、本件土地の評価額は、本件土地全体を利用価
値が低下していないものとして評価した場合の価額から、当該価額に10%を乗
じて計算した金額を控除した価額により評価するのが相当である。
≪検索方法≫
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 J119-3-04