2020年12月24日
【1】今週のお知らせ
(1)次号メールニュースは来年1月7日に配信します。
次週12月31日は休日のため、メールニュース505号は1月7日に配信し
ます。
(税法データベース編集室)
(2)課税庁の取組み姿勢が見えてきます 〔行政文書の紹介〕
(TAINSコード:査察部長会議R011002)
TAINSは、裁判例や裁決例のみならず、情報公開法に基づく開示請求を行
うことで入手した行政文書も収録されています。新たな資料を頻繁に収録し続け
ているため、タイムリーな情報を知ることができるのがTAINS最大の強みで
あるといえるでしょう。
例えば、令和元年10月2日から行われた全国国税局調査査察部長会議資料が
既に収録されていますので、今回はこの行政文書を紹介します。
この中で注目したい議題として、「国際分野における最近の動向」があります。
これによると、金融口座情報や多国籍企業の利益等の情報等を各国当局間で情報
交換していること、OECD税務長官会議で知見の共有が行われていること等が
示されています。
また、別の項目では「国際課税の充実」と題し、国際課税分野の体制整備の課
題が、(1)国際課税分野に関する調査実施部署等への支援の在り方、(2)移
転価格調査ノウハウの維持、(3)法人管理とリスク分析の在り方、の3点であ
るとされています。
これらを見ると、課税庁は国際課税分野により注力していこうとしていること
が分かります。このような行政文書から読み取れることを、雑談からでもクライ
アントに提供すれば、「気づき」を与える良い機会になるかもしれません。「行
政文書」と聞けば敷居が高いイメージがありますが、実は面白い情報の宝庫です。
検索条件で「行政文書」にチェックをすれば容易に検索が可能ですので、ご興味
があればぜひご覧ください。
≪検索方法≫〔細かい条件を指定して検索〕
【TAINSキーワード】査察部長会議R011002
(要点メンバー:中尾 隼大)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
行為計算否認/組織再編の一環として行われた同族会社からの借入れ
(令02-06-24 東京高裁 棄却・上告受理申立て Z888-2315)
Y社が、同族会社である外国法人からの借入れに係る利息を損金の額に算入し
て申告したところ、所轄税務署長より法人税法132条1項に該当するとして更
正処分等を受けた事案の控訴審です。東京地裁(令01-06-27、Z888
-2250)が、Y社の請求を認める判断を行ったため、国が控訴していました。
東京高裁は、国の控訴を棄却し、法人税法132条1項の不当性要件の判断枠
組みについては、次のように判示しています。
同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入
れが不当性要件に該当するか否かについては、当該借入れの目的、金額、期間等
の融資条件、無担保としたことの理由等を踏まえた個別、具体的な事案に即した
検討を要するものというべきである。特に、上記のような借入れが当該同族会社
の属する企業集団の再編等の一環として行われた場合においては、(1)当該借
入れを伴う企業再編等が、通常は想定されない企業再編等の手順や方法に基づい
たり、実態とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどう
か、(2)税負担の減少以外にそのような借入れを伴う企業再編等を行うことの
合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情も考慮し
た上で、当該借入れが経済的合理性を欠くか否かを判断すべきである。
《検索方法》
〔細かい条件を指定して検索〕【TAINSキーワード】 Z888-2315