2020年09月03日
「判決速報」や「調査に生かす判決情報」では、調査官目線の判決ポイントが
読めます!
(TAINSコード:調査に生かす判決情報086)
TAINSで判決を検索した際、「判決速報」や「調査に生かす判決情報」に
ヒットしたことはありませんか?これらは東京国税局が作成した文書で、現在、
「判決速報」は約400件、「調査に生かす判決情報」は約90件が収録されて
います。
今回ご紹介する、調査に生かす判決情報086「判決情報の探し方・活用方法
」(平成31年4月)には、これらの文書を中心に、判決情報の探し方やその活
用方法などが紹介されています。
「判決速報」は、国税訴務官室の職員が担当した東京局の訴訟事件について、
判決内容の速やかな周知を主な目的として掲載されたものです。
また、「調査に生かす判決情報」は、参考とすべき内容が多く含まれている判
決を選び、事件の概要や主な争点、国側の立証活動のポイント、裁判所の判断な
どを紹介し、まとめ部分で「国税訴務官室からのコメント」等として、訴務官室
の職員がその事件を担当する上で得た見識等を調査に役立てる視点から解説した
ものです。
TAINSで検索できる例として、東京高裁平成30年9月27日判決(Z8
88-2234、要点あり)は、「判決速報1476」と「調査に生かす判決情
報083」に掲載されています。「調査に生かす判決情報083」では、納税者
と国側でそれぞれ主張の根拠とした裁判例が紹介され、裁判例を参照する際の留
意事項が記載されています。
「判決速報」や「調査に生かす判決情報」が検索でヒットした場合、ぜひご確
認下さい。
《検索方法》 【キーワード】 調査に生かす判決情報086
(本文は、別紙リンクからPDFで閲覧出来ます。)
(要点メンバー:兼平 浩美)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
税理士が提出した簡易課税制度選択届出書の有効性/税務代理の範囲
(令01-11-01 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2304)
弁理士業を営む原告は、平成26年、27年課税期間の消費税について本則課
税により控除対象仕入税額を計算して申告したところ、立川税務署長から、平成
9年に簡易課税制度選択届出書が提出されているとして更正処分を受けました。
本件は、原告が、届出書は開業当初の関与税理士Aの無権代理行為によって提
出されたものであるとして、更正処分の取消しを求めた事案です。東京地裁は、
次のように判示して、原告の請求を棄却しました。(信義則等については省略)
原告は、A税理士に対し、所得税に係る税務代理のみ委任した旨主張する。し
かし、原告は、A税理士との間で、税務代理の内容を定める契約書を作成してい
なかったが、個人事業者が、特段の事情のない限り、税目ごとに別々の税理士に
対して税務代理を委任することはなく、自己の税務全般に係る税務代理を包括的
に委任するものであるとの一般的な経験則があることにも照らすと、原告は、平
成7年2月頃、A税理士に対し、自己の税務全般に係る税務代理を包括的に委任
したものと認めるのが相当である。
本件簡易課税制度選択届出書は、記載事項が全て記載されている適式なもので
あり、A税理士が、所得税申告書等を提出する代理権を有していたことは、当事
者の間に争いがないことにも照らすと、A税理士は、平成9年3月17日、原告
から委任された原告の税務全般に係る税務代理権に基づき、有効に簡易課税制度
選択届出書を提出したものと認められる。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2304