2020年02月27日
【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・H30-10-05 裁決 棄却 F0-1-1007
保証債務の特例/譲渡代金を法人への貸付けとした場合
・H30-07-04 裁決 却下、棄却 F0-1-1025
源泉徴収義務/法人から顧問に交付した金員の給与該当性
・H30-05-23 裁決 棄却 F0-1-992
所得区分/貸付金債権を放棄したことによる貸倒損失
・H30-05-21 裁決 一部取消し F0-1-991
推計方法の合理性/所得の帰属/他人名義で営まれている風俗店
・H30-01-04 裁決 棄却 F0-1-929
源泉徴収義務/非居住者へ支払った不動産の譲渡対価
【相続税】
・H30-05-23 裁決 棄却 F0-3-653
相続財産の範囲(生命保険契約に関する権利)/過少申告加算税(正当な理由
)
【他国税】
・H25-05-10 裁決 棄却 F0-8-186
差押処分/債権の帰属/得意先の譲渡
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
税理士損害賠償~遺留分減殺請求中の相続税申告と小規模宅地等の特例~
(平30-02-19 東京地裁 一部認容 Z999-0172)
この事案は、遺言により全財産を相続するものとされている原告が、遺留分減
殺請求中に、相続税申告を行った税理士Aに対して損害賠償を求めるものです。
裁判所では、そのような状況下において相続税申告業務を行う税理士は、(1
)小規模宅地等の特例を適用することなく法定相続分に従った共同相続として申
告をする、(2)遺言により全財産を相続したものとして申告をする、のいずれ
かの方法を選択することになるものと解され、税理士Aは(1)の方法を選択し
たものと考えられるとしたうえで、次のとおり判断し、原告の損害賠償請求の一
部(遺留分減殺請求権者であるB及びCの相続税相当額等)を認容しました。
(1)の方法を選択し、原告と対立関係にあったB及びCの相続税を相続財産
から支出した場合、遺留分減殺の解決が長期化すればその間は本来原告が負担す
べき税額を超えた支出状態が継続することになる可能性がある上、B及びCから
更正請求についての協力を得られないなどの事態も想定されたと考えられる。
上記事実関係の下では、(1)の方法は(2)の方法と比較してリスクが高か
ったというべきであり、これを採用するのであれば、当該リスクの存在について
十分に説明した上で原告の同意を得て行う必要があったというべきである。
税理士Aが(1)の方法を採用したことは不適切であり、相続税申告手続を受
任した税理士としての善管注意義務に違反する行為であったというべきである。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z999-0172