2020年02月13日
【1】今週のお知らせ
複雑な外国税額控除の記載例や説明は価値ありです!〔行政文書の紹介〕
(TAINSコード:資産税審理研修資料H300700)
普通の税理士にとって、外国税額控除の処理は複雑なものの一つです。確定申
告の手引きを読んでもどのように対応していけばよいのかよくわからないケース
もあります。
たとえば、海外の不動産を譲渡した場合で、譲渡した年に現地で所得税等が源
泉徴収され、翌年において、現地で申告をして税金を精算するようなときは、2
年にわたり外国税額控除を行うケースや、現地での申告により還付が生じた場合、
還付税額の全部または一部を雑所得の総収入金額に算入させるケースがあります。
このような複雑な申告処理をどのように記載すればいいのか悩んだ場合、「資
産税審理研修資料」(東京国税局 平成30年7月作成)の「所得税の国際課税
と海外不動産の譲渡に係る外国税額控除事例」(P190~P224)が役立ち
ます。この資料では海外不動産の譲渡について、2事例についてパターンを分け
て2年分の申告書の記載例(第1表、第3表、譲渡所得の内訳書、外国税額控除
に関する明細書)を丁寧に説明していますから、実務で関わる際とても価値があ
ると思います。
資産税審理研修資料には、他にも譲渡所得等の審理上の留意点も盛り込まれて
おり、これらは具体的事例に沿った説明がなされるので、私たち税理士にとって
も非常に参考になる資料であると思います。
≪検索方法≫ 【キーワード】 H300700
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(要点メンバー:菅野 真美)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
更正の予知/調査官と関与税理士の電話応答後の修正申告
(平30-03-01 非公開裁決 棄却 F0-1-953)
原処分庁所属の調査官は、平成28年10月26日、関与税理士に対し、請求
人の所得税の調査に係る日程調整を電話で依頼するとともに、調査の目的に関す
る質問に応じました。本件は、請求人が、同日中に、平成27年分所得税の修正
申告をしたところ、過少申告加算税が賦課されたことから、修正申告書の提出は、
更正があるべきことを予知してされたものではないと主張して、その取消しを求
めた事案です。審判所は、次のように判断して、請求を棄却しました。
通則法65条5項に規定する「調査」とは、机上調査のような租税官庁内部に
おける調査をも含むものと解されるところ、調査官が、平成28年10月18日
に特定口座年間取引報告書などの資料情報を確認した後、資料情報と確定申告書
の内容とを比較検討する資料を作成していることからすると、調査官は、修正申
告書の提出前に「調査」を行い、株式等に係る譲渡所得の申告漏れを把握してい
たものと認められる。そして、調査官は申告漏れを把握した後に関与税理士に電
話をし、電話応答を契機として、関与税理士は、取引報告書に所得税等の源泉徴
収が選択されていない旨の表示があることに気付き、修正申告をしたという事実
関係が認められる。さらに、関与税理士は、電話応答の内容により調査官が申告
漏れを把握しているものと認識していたと認められることからすれば、修正申告
書の提出は、「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを
予知してされたものでないとき」に該当するとはいえない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-953