2020年01月16日
【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例の収録を完了しました。
国税不服審判所のホームページに掲載された、平成31年4月から令和元年6
月分の公表裁決事例の収録を完了しました。
(2)今週のお知らせ
そろそろ確定申告の時期。誤りやすい事例をぜひご覧下さい!
(TAINSコード:審理事務連絡会資料H301129)
TAINSには、判決・裁決の情報だけではなく、情報公開法による開示請求
によって独自に入手した行政文書も収録されています。国税局内の会議資料など、
実務に役立つものも数多く見つけることができます。
今回紹介するのは、大阪国税局「平成30事務年度 個人課税確定申告期審理
事務連絡会」資料(平成30年11月29日)です。こちらの会議資料には「確
定申告期において留意すべき事項(個人課税関係)」、「個人所得関係 平成3
0年度版 誤りやすい事例」、「還付申告書審査事務の留意点について」、「軽
減税率制度について」、「資産課税関係の留意すべき事項について」、「資産税
関係 平成30年度版 誤りやすい事例」があります。
例えば「個人所得関係平成30年版 誤りやすい事例」(全部で73頁)の2
0頁には、不動産所得において、アパートが2人以上の共有とされている場合の
貸付けの規模の判定など、この時期らしい内容の事例が、誤った取扱いと正しい
取扱いの対比形式により、短文で見やすく掲載されています。また根拠法令・通
達の記載もあるため条文を確認しやすくなっています。1年前の情報ではありま
すが、確定申告期を迎える前に事務所の研修用として、またちょっとした空き時
間の読み物としてご利用されてはいかがでしょうか。
≪検索方法≫ 【キーワード】 H301129
※検索トップ「フリーワード」に全角で入力して下さい。
(要点メンバー:梅野 智子)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:草間 典子)
損害賠償請求権の帰属事業年度/元従業員による窃取した商品のネット販売
(令01-05-16 公表裁決 一部取消し J115-3-10)
本件は、請求人の従業員であった者が、請求人の商品を窃取してインターネッ
トオークションで販売して得た収益について、その収益は請求人に帰属するか、
請求人の元従業員に対する損害賠償請求権の額として益金の額に算入すべき金額
や帰属事業年度などが争われた事案です。
国税不服審判所は、収益の帰属については、元従業員が主体となって行った取
引であり、請求人に帰属しないとしました。損害賠償請求権の発生額とその帰属
事業年度については、次のように判断しています。
元従業員が請求人から商品を窃取したことによる損害賠償請求権の額は、その
窃取された商品の時価により計算すべきである。各商品の落札代金の額は、その
商品の落札時点における時価の範囲に含まれる額であると認められ、請求人の元
従業員に対する損害賠償請求権の額は、元従業員が受領した落札代金等の額によ
り計算するのが相当である。
上記損害賠償請求権は、元従業員が請求人の商品を元従業員の支配下に移した
時点で発生すると解される。元従業員は、遅くとも落札代金等が入金された時に
は、各商品を直ちに発送できるよう、自らの支配下に移したと認められる。した
がって、請求人の元従業員に対する損害賠償請求権は、各落札代金等が元従業員
名義の銀行口座に入金された時点において順次発生したと解するのが相当である。
≪検索方法≫ 【キーワード】 J115-3-10