2020年01月09日
【1】今週のお知らせ
(1)公表裁決事例を収録中です。
先週に引き続き、国税不服審判所のホームページに掲載された、平成31年4
月から令和元年6月分の公表裁決事例の収録作業を行っております。
(2)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・H30-11-14 神戸地裁 棄却・控訴 Z888-2270
臨検捜索差押の違法/葬祭業の宰領・献茶婦・遺体搬送等に対する外注費の推
計
・H30-07-02 裁決 棄却 F0-2-877
重加算税/事務用品費に計上された前代表者の別荘の家具購入費
・H01-04-12 裁決 一部取消し・棄却 F0-2-839
収益計上漏れと重加算税/貸金業者の簿外預金に入金された貸付利息収入
【他国税】
・H30-09-12 裁決 棄却 F0-8-225
不服審査・不服申立適格/差押処分・被差押債権の不存在又は消滅
・H30-08-02 裁決 棄却 F0-8-223
差押処分の不当性/給料等の支払請求権の差押え
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
類似業種比準方式~クレーン車売却益の「非経常的な利益」該当性~
(令01-05-14 東京地裁 棄却 Z888-2258)
取引相場のない株式の評価会社であるA社は、主たる事業のほか、移動式クレ
ーン車を貸し出し、オペレーターが揚重作業を行う事業(本件クレーン事業)等
も営んでいました。本件では、類似業種比準価額の計算上、クレーン車の売却益
が、評価通達183(2)において「1株当たりの利益金額」の計算に際し法人
税の課税所得金額から除くこととされている「非経常的な利益」に該当するか否
かが争われました。裁判所では、次のとおり判断し、原告の請求を棄却しました。
ある利益が評価会社の「1株当たりの利益金額」の計算に際して除外される「
非経常的な利益」に当たるか否かは、その利益が固定資産売却益又は保険差益に
該当するか否かのみによって判断すべきものではなく、評価会社の事業の内容、
当該利益の発生原因、その発生原因たる行為の反復継続性又は臨時偶発性等を考
慮した上で、実質的に判断するのが相当であると解される。
クレーン車の売却益が、評価会社の重要な収益源であり、かつ、毎期継続的に
行われ本件クレーン事業から収益を生じさせる源泉となっていたことに加え、同
社においても、金融機関等に提出する損益計算書においてクレーン車の売却益を
特別損益としての固定資産売却益ではなく収入高(営業利益)として計上してい
たことを併せ考慮すると、クレーン車の売却益は、評価会社の経常的収益力を構
成するものと認められ、「非経常的な利益」に該当しないというべきである。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2258