TAINSメールニュース No.441 2019.12.12 発行(社)日税連税法データベース

2019年12月12日

【1】今週のお知らせ
調査対応、経験はもちろんですが、法令と判例に基づいて!〔行政文書の紹介〕
(TAINSコード:調査における法律的知識H170600-P01)
税務調査の現場では、どこまで調査官に権限があるのか?どこまでの調査が許
されるのか?といった場面が少なくありません。これは調査官としてもそうなの
でしょう。
この資料は東京国税局が若手職員向けに調査に際して注意するべき点をわかり
やすくマンガで(漫画になっているかはさておき)、解説してくれているもので、
この資料も情報公開法によって当社団が請求し開示されたものです。
調査の各場面のやりとりについて、「当局の見解」と「納税者の見解」(納税
者の見解は黒塗りされていてわかりませんが、推して知るべし)の対比、そして
それに関する判例が掲載されています。
任意調査における「明示の承諾」の原則と「黙示の承諾」と扱って良いかどう
かの判断など、興味深いものが多々あります(P01のコラム)。古い資料です
ので、事前通知などの手続規定は改正されていますが、プライベートの扱いに特
に当局が慎重になっているのが窺い知れる資料です。
この資料は、TAINSコード:調査における法律的知識H170600-P
01~P04までに分割されています。「P」が付いていない資料は当社団でテ
キスト化したものです。
このようにインターネット等で公表されていない文書が多数収録されています
ので、ぜひ一度行政文書を検索することをお勧めします。
≪検索方法≫【キーワード】調査における法律的知識
※検索トップ「フリーワード」に入力してください。
(要点メンバー:毛利 修平)
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【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
社員税理士の事業所得に係る必要経費~業務委託費及び諸会費
(平30-05-16 非公開裁決 棄却 F0-1-969)

本件は、公認会計士及び税理士である請求人が、所得税等の確定申告をしたと
ころ、原処分庁が、事業所得の必要経費に算入した費用又は支出の一部は、必要
経費に算入されないなどとして更正処分等をした事案です。請求人は、税理士法
人の社員税理士及び同族会社A社の取締役であり、事業としての業務報酬は、税
理士法人からの記帳代行受託料及び公認会計士としての政治資金監査報酬です。
審判所は、業務委託費と諸会費については次のとおり判断しています。

請求人がA社に支払った業務委託費が、請求人の業務報酬等の金額に比して過
大であること、A社が配偶者の100%出資する会社であること等を併せて考え
れば、請求人は、A社に対し、業務委託費に相当する金額を移転する目的で業務
委託契約の外形を作出したものとみるべきである。
諸会費のうち、税理士会に係る会費は、社員税理士は税理士法人とは別に、社
員税理士として、税理士会費を負担する義務がある旨定められているところ、税
理士法第48条の14は、税理士法人の社員は自己のために税理士法人の業務の
範囲に属する業務を行ってはならない旨規定しており、請求人が税理士法人の社
員税理士としての立場で支出したものと認められるから、業務報酬等を得るため
に直接に要した費用とは認められず、また、本件事業と直接の関係があり、かつ、
本件事業の遂行上必要な支出であるとも認められない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-969