2019年12月05日
【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・H30-11-22 名古屋高裁 棄却 Z888-2259
先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除/連年提出要件
【法人税】
・H31-01-30 東京高裁 棄却、上告及び上告受理申立て
Z888-2262
源泉所得税/重加算税/退職給付資産に計上された理事長の預金口座へ送金し
た金員
【他国税】
・H30-06-12 裁決 棄却 F0-8-216
財産の換価/最高価申込者決定処分の適法性
・H30-03-07 裁決 棄却 F0-8-214
差押処分/滞納国税の徴収権の消滅時効
・H30-02-27 裁決 棄却 F0-8-215
財産の換価/売却決定処分の適法性
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
更正の請求による税額控除の適用の可否~当初申告に控除明細書の添付なし~
(平30-10-19 札幌地裁 棄却 Z888-2257)
原告が、確定申告した平成27年分の所得税等について、雇用者給与等支給額
が増加した場合の所得税額の特別控除の制度(措置法10条の5の3第1項)の
適用がされておらず、控除されるべき額を過大に納付したものとして、更正の請
求をしたところ、更正すべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、当該通
知処分の取消しを求める事案です。確定申告書に控除明細書を添付することなく
確定申告がされた場合において、更正の請求により本件特別控除が適用されるか
が争点ですが、裁判所は次のように判断し、原告の主張を退けました。
措置法10条の5の3第4項は、本件特別控除が適用される場合を「確定申告
書、修正申告書又は更正請求書に〔略〕控除の対象となる雇用者給与等支給増加
額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付が
ある場合」に限定し、これを受けて、「同項の規定により控除される金額は、当
該確定申告書に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎とし
て計算した金額に限る」と規定しており、本件特別控除が適用されるためには、
確定申告書に控除明細書が添付されていなければならないことになる。
原告は、必ずしも確定申告書に控除明細書を添付することが要求されているも
のではないと主張するが、更正請求書のみに控除明細書を添付した場合にまで本
件特別控除が適用されることを認めた規定ではないというべきである。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2257