TAINSメールニュース No.439 2019.11.28 発行(社)日税連税法データベース

2019年11月28日

【1】今週のお知らせ
収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【法人税】
・H30-12-20 東京地裁 棄却、控訴 Z888-2269
源泉徴収義務/建築士等の資格を有しない個人に支払った数量積算業務に対す
る報酬
・H30-07-10 福岡地裁 却下、棄却 Z888-2266
棚卸資産の評価額/最終仕入原価法/法令28条1項1号ホ「種類等の異なる
ごとに区別」

【消費税】
・平30-09-04 裁決 棄却 F0-5-238
内外判定/ツアー客向け商品販売を行う輸出物品販売場が受ける役務の提供

【他国税】
・H31-02-06 東京地裁 棄却、控訴 Z999-7214
酒税法/特別税率適用の可否/酒税法23条2項3号「その他の発泡性酒類」
該当性
・H30-08-08 裁決 却下 F0-8-217
不服審査/審査請求書の記載不備
・H30-05-08 裁決 棄却 F0-8-228
第二次納税義務/債務免除/債務の返済に充てられた債務免除益の存否
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
土地の取得費/利用形態の変更と全国市街地価格指数等の変動率による推定
(平30-05-07 非公開裁決 棄却 F0-1-987)
本件は、請求人が、土地の取得費を譲渡に係る収入金額の100分の5に相当
する金額であるとして所得税等の確定申告をした後、収入金額に全国市街地価格
指数により求めた割合(変動率)を乗じることによって算出した昭和38年当時
の推定価額と近隣する5地点の路線価の平均倍率(変動率)から求めた昭和38
年当時の推定路線価を基に算出した価額との平均額をもって取得費とするのが相
当であるとして更正の請求をした事案です。審判所の判断は次のとおりです。

全国市街地価格指数は「宅地価格」の推移を表す指標であり、また、路線価は、
原則として「宅地」の評価に用いるものであるから、これらの指数又は金額の変
動率をもって、本件土地のように農地から昭和38年以後に宅地へと利用形態の
変更があった土地の昭和38年当時の価格を推定すること自体、その前提を欠く
ものといわざるを得ない。その点はおくとしても、請求人推定額の算定の基礎と
する全国市街地価格指数は、個別の宅地価格の推移を推し量る指標として適当な
ものとはいい難い。また、本件土地の存する地域と、請求人が本件土地の近隣か
ら任意に抽出したとする5地点が存する地域は、昭和38年当時において、それ
ぞれの地域における土地の利用形態や価格水準などの経済的な事情は明らかに異
なるものであったことが伺われ、このように状況の異なる地域の路線価の変動率
をもって、昭和38年当時路線価の設定のなかった本件土地が接面する路線の路
線価を推定するという方法は、合理的なものであるとはいい難い。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-987