2019年11月14日
【1】今週のお知らせ
TAINSに収録されている行政文書のご案内 〔行政文書の紹介〕
給与所得か事業所得かの区分は東京国税局作成のチェックシートを参考に!
(TAINSコード:法人課税課速報H150700-28)
役務の提供の対価として支払った費用が外注費になるか、給与になるかは大きな
問題です。というのは、外注費の場合には、消費税において課税仕入れとして仕
入税額控除の対象になる上に所得税を源泉徴収する必要がないのに対し、給与の
場合には、課税仕入れにならない上に源泉徴収義務が生ずるからです。この問題
は受領側からいうと、役務提供の対価が事業所得になるか、給与所得かという問
題だということができます。
今回ご紹介する行政文書は、この問題に対する、「【給与所得と事業所得との区
分 給与?それとも外注費?】東京国税局平成15年7月第28号」という法人
課税課速報です。
これはインターネット等で公開されたものではなく、情報公開法によって当社団
が請求し開示されたものです。
本情報では、給与と事業の区分について詳細に検討した上で、「給与所得及び事
業所得の判定検討表」というチェックシートを提示しています。また、参考とし
て、京都地裁昭和56年3月6日判決(Z116-4756)、東京地裁昭和4
3年4月25日判決(Z052-1721)、最高裁昭和56年4月24日判決
(Z117-4787)に対する国税局の解説が載っている点も興味深いです。
筆者はこの文書をずっと探していましたが、TAINSで見つけることができま
した。
このようにインターネット等で公表されていない文書が多数収録されていますの
で、ぜひ一度行政文書を検索することをお勧めいたします。
≪検索方法≫【キーワード】H150700-28
※検索トップ「フリーワード」に全角で入力してください。
(要点メンバー:芹澤 光春)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
賃貸用不動産の評価~節税目的で取得した不動産に評価通達6を適用~
(令01-08-27 東京地裁 棄却 Z888-2271)
被相続人は、節税目的で相続開始前3年5か月前及び2年6か月前に、銀行か
らの借入金で、2棟の賃貸用不動産を購入しました。この事案は、相続人である
原告らが、各不動産を評価通達に基づき評価をして相続税の申告をしたところ、
処分行政庁が、評価通達の定めにより評価することが著しく不適当(評価通達6)
であるとして、鑑定評価額により更正処分等を行ったことから争われたものです。
裁判所では、次のとおり判断し、原告らの請求を棄却しました。
通達評価額は、それぞれ、鑑定評価額の約4分の1の額にとどまっていること
などから、通達評価額が相続開始時における各不動産の客観的な交換価値を示し
ていることについては、相応の疑義があるといわざるを得ない。
本件における事実関係の下では、本件相続における各不動産については、評価
通達の定める評価方法を形式的に全ての納税者に係る全ての財産の価額の評価に
おいて用いるという形式的な平等を貫くと、各不動産の購入及び各借入れに相当
する行為を行わなかった他の納税者との間で、かえって租税負担の実質的な公平
を著しく害することが明らかというべきであり、評価通達の定める評価方法以外
の評価方法によって評価することが許されるというべきである。
鑑定評価の適正さに疑いを差し挟む点が特段見当たらないことに照らせば、各
不動産の相続税法22条に規定する時価は、鑑定評価額であると認められる。
≪検索方法≫【キーワード】 Z888-2271