TAINSメールニュース No.433 2019.10.17 発行(社)日税連税法データベース

2019年10月17日

【1】今週のお知らせ
TAINSにはこんな資料が収録されています!〔行政文書の紹介1〕

TAINSには、非公表の事務運営指針(通達)や税務職員用の研修資料・FAQなどが
収録されています。これらは、主にTAINSが独自に情報公開法に基づき行政庁へ
の開示請求で収集した資料です。
今回は、国税庁調査課・東京国税局調査審理課作成の「法人税及び消費税等の処
理における誤り易い事例とそのチェックポイント(平成30年9月)」をご紹介
します。
——〔目 次 の 一 部〕——
第1章 法人税及び消費税等の誤り易い事例と検討の仕方
I 法人税確定申告書・連結確定申告書
〈1〉申告書別表1(1)各事業年度の所得に係る申告書

IV 消費税及び地方消費税の確定申告書

第2章 勘定科目内訳明細書等のチェックポイント
第3章 主要項目改正経過等の一覧表

第5章 申告審理(別表)に係る留意点
I  消費税申告書
II 法人税申告書
1 別表1(1)・・・

———————————-
この文書は、300頁近くのボリュームがあります。
第1章(約160頁)では、課税庁内部で作成された「決議書」の具体的記載事
例とその検討内容が列挙されています。
例えば、誤り事例「売掛債権等に該当しない債権の額(仕入割戻しの未収金、
預け金……)を売掛債権等の額に含めているもの」に対しては、検討の仕方とし
て「『期末残高18』欄の金額について、貸借対照表の計上額と貸金又は売掛債権
等の明細書の金額を整合して、売掛債権等に該当しない債権の額が含まれていな
いか確認する。」と記載されています。
他に、改正項目の適用時期一覧(第3章)も実務に役立ちます。
全文は、TAINSコード「法人消費事例東京局300900」でご確認ください。
(佐藤 善恵)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等        (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
建物の取得価額~売買契約書に記載の消費税額等から算出することの可否~
(平30-09-11 非公開裁決 棄却 F0-2-858)

不動産賃貸業を営む請求人が、土地とともに一括取得した中古の区分所有建物
について、売買契約において定められた建物価額を減価償却資産の取得価額とし、
かつ、課税仕入れに係る支払対価の額として法人税等の申告をしたところ、原処
分庁が、当該土地及び建物の取得価額の算出は「固定資産税評価額比按分法」に
よるのが合理的であるとして、法人税等の更正処分等を行いました。
これに対し、請求人が、当該売買契約において定められた建物価額は合理的か
つ経済的な妥当性のある金額であり(土地と建物の価額割合は1:9)、「固定
資産税評価額比按分法」によると、本件土地は区分所有建物の一部である本件建
物の敷地であり、請求人以外の区分所有者の借地権が設定されている土地である
にもかかわらず、更地価額を基に按分することは相当ではないと主張して争った
事案です。審判所は次のように判断し、請求人の主張を退けました。

本件建物売買価額は、基本的には本件売買契約で合意があった建物の取得価額
とすることになるが、その客観的な価値と比較して著しく不合理なものであると
認められるから、合理性のある算出方法である固定資産税評価額比按分法により、
本件土地及び建物それぞれの取得価額を算出すべきである。
したがって、本件建物の取得価額は原処分庁認定額と同額となり、本件法人税
各更正処分は適法である。

≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-2-858