2018年09月13日
【1】今週のお知らせ
収録した裁決の一部を紹介いたします。
【所得税】
・H30-03-19 裁決 一部取消し F0-1-835
みなし譲渡/発行会社への株式引渡し
・H21-06-05 裁決 一部取消し F0-1-841
必要経費/中古車両の耐用年数/空調設備工事業
【法人税】
・H27-12-01 裁決 棄却 F0-2-769
重加算税/取締役個人名義口座に入金された車両売却代金/税理士に対する虚
偽説明
・H29-10-24 裁決 棄却、却下 F0-2-772
通則法65条1項「納付すべき税額」/減額更正後の修正申告による過少申告
加算税
【相続税】
・H29-09-05 裁決 却下、棄却 F0-3-581
更正通知書の処分理由/宅地の評価/道路と高低差のある土地の10%評価減
の可否
・H29-11-20 裁決 棄却 F0-3-583
株式評価/類似業種比準方式/クレーン車売却益の「非経常的な利益の金額」
該当性 (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
法定納期限から5年経過後の期限後申告の可否/先物取引に係る損失
(平30-01-16 千葉地裁 棄却・控訴 Z888-2194)
給与所得者である原告は、先物取引の差金決済に係る損益について、平成22
年分以降の所得税の期限後申告をしたところ、処分行政庁から、平成21年分の
所得税についても申告義務があるとして、決定処分を受けました。原告は、調査
の際、平成20年分の損失(2116万円)を翌年に繰り越したいと述べたとこ
ろ、時効により期限後申告をすることはできない旨の説明を受けました。しかし
原告は、調査の時点では、通則法25条の決定を受けていなかったから、期限後
申告を行うことができたと主張しています。裁判所は次のように判示しました。
確定申告は、納税者自らの判断と責任においてその納税額を自ら確定させる行
為であると解されるから、通則法25条の規定による決定がされない場合であっ
ても、当該申告の対象となる国税の時効期間が経過し、抽象的な納税義務自体が
消滅し、具体的な納税義務の内容をおよそ確定することができなくなったときに
は、期限後申告をすることはできなくなると解するほかはなく、したがって、納
税者が期限後申告をすることができる期間は、原則として、当該国税に係る法定
納期限から5年間であると解するのが相当である。
そうすると、平成26年11月18日の調査時においては、平成20年分所得
税の法定納期限(平成21年3月16日)から5年を経過し、原告は、同所得税
の期限後申告をすることができなかったこととなる。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2194