2018年08月30日
【1】今週のお知らせ
収録した裁決・判決の一部を紹介します。
【所得税】
・H27-11-11 裁決 棄却 F0-1-826
青色取消し/帳簿不存在/税理士業
・H27-11-30 裁決 棄却 F0-1-827
重加算税/店長名義で営まれていた風俗店
【法人税】
・H29-08-29 東京地裁 棄却 Z888-2171
原発事故により受領した損害賠償金/復興特別法人税の納税義務者
・H29-05-23 裁決 棄却 F0-2-746
損金の額/外国税額控除を受けた外国法人税の額
【相続税】
・H30-03-27 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2192
貸付金債権の存否及び評価/評価通達の合理性・回収可能性・特別の事情の有
無
・H29-10-25 裁決 棄却 F0-3-578
金地金の申告漏れ/隠ぺい又は仮装の行為・偽りその他不正の行為の有無
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:岩崎 宇多子)
不動産の無償譲渡を受けたことによる出資価額の増加益はみなし贈与に該当
(平29-12-01 非公開裁決 棄却 F0-3-580)
同族会社A社がBから不動産の無償譲渡を受けたことにより増加した出資の価
額に相当する部分について、A社に出資する社員である請求人が、贈与税の申告
をしました。その後、請求人は、その増加益は贈与による財産の取得には当たら
ないから贈与税の納税義務はないなどとして更正の請求をしましたが、これに対
し、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったため、請求人が、
その処分の取消しを求めた事案です。
審判所は、次のように判断し、請求人の主張を棄却しました。
相続税法第9条は、私法上の贈与契約によって財産を取得したものではないが、
贈与と同じような実質を有する場合に、贈与の意思がなければ贈与税を課税する
ことができないとするならば、課税の公平を失することになるので、この不合理
を補うために、実質的に対価を支払わないで経済的利益を受けた場合においては、
贈与契約の有無にかかわらず贈与により取得したものとみなし、これを課税財産
として贈与税を課税する趣旨の規定であると解される。
本件譲渡によって請求人のA社に対する出資の価額は増加したのであるから、
請求人は、実質的に対価を支払わないで経済的利益を受けたといえ、相続税法第
9条の規定により、本件増加益を、Bから、贈与により取得したものとみなされ
る。したがって、本件増加益は贈与税の課税財産となるから、更正をすべき理由
がないとして行った本件通知処分は、適法である。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-3-580