2018年08月23日
【1】今週のお知らせ
収録した裁決・判決の一部を紹介します。
【所得税】
・H27-12-08 裁決 棄却 F0-1-823
過少申告加算税の正当な理由/税務職員の誤った指導
・H29-10-04 裁決 棄却 F0-1-833
必要経費/同族会社に支払った不動産管理料
【法人税】
・H29-09-21 名古屋地裁 一部認容・一部棄却・確定
Z888-2183
返還された退職慰労金/源泉所得税の還付請求権の消滅時効と還付加算金の起
算点
・H30-01-25 東京地裁 棄却・控訴 Z888-2188
減価償却資産該当性/「土地営業権原価」と会計処理された土地譲渡損失
【相続税】
・H29-10-25 裁決 棄却 F0-3-576
金地金の申告漏れ/隠ぺい又は仮装の行為・偽りその他不正の行為の有無
・H30-04-06 裁決 一部取消し F0-3-579
相続財産の範囲/名義株・出資持分の譲渡契約の成否
(税法データベース事務局)
─────────────────────────────────────
【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:小菅 貴子)
無申告加算税/正当な理由/法定申告期限当時の判断能力の低下
(平29-09-20 非公開裁決 棄却 F0-1-790)
本件は、請求人が、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を法定申告期限後
に提出したところ、原処分庁が、無申告加算税の賦課決定処分をしたのに対し、
請求人が、法定申告期限までに確定申告書を提出しなかったのは、請求人の判断
能力が著しく低下していた等の事情があったからであるので国税通則法第66条
《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」があるとして、当該
賦課決定処分の全部の取消しを求めた事案です。審判所は、次のとおり判断して、
請求人の請求を棄却しました。
当審判所の調査等によれば、平成26年9月26日、請求人自らが本件土地譲
渡に係る売買契約書に署名及び押印をし、その署名は自筆で明瞭に記載されてい
ること、及び、平成28年8月まで、介護を受けることもなく請求人が一人で生
活していたことからすると、請求人は、平成27年3月16日当時、通常人並み
の理解及び選択をする能力を有していたことが認められ、所得税等の確定申告書
を提出することができないほど判断能力が低下していたとは認められない。
なお、請求人は、本件譲渡に係る税金は買主が全て支払ってくれたので何も問
題ないと考えており、親族である代理人が税務署に問い合わせるまで、譲渡所得
の申告が必要であることを知らなかった旨主張する。しかしながら、当該主張は、
請求人の誤解又は税法の不知という主観的な事情に基づくものであるから、真に
納税者の責めに帰することができない客観的な事情には該当しない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-790