2018年07月19日
【1】今週のお知らせ
(1)収録した非公開裁決の一部を紹介いたします。
【所得税】
・H29-07-25 裁決 棄却 F0-1-796
事業所得の帰属/隠ぺい仮装行為の主体
・H29-07-05 裁決 棄却 F0-1-803
給与所得者の特定支出控除の特例
【法人税】
・H21-03-27 裁決 一部取消し F0-2-732
移転価格税制/再販売価格基準法/幼児向け教材の輸入取引
・H25-03-26 裁決 棄却 F0-2-736
交際費/商品券購入費用/商品券使用リストの記載内容
【相続税】
・H29-07-05 裁決 棄却 F0-3-558
重加算税/隠ぺい・仮装の有無/請求人の親族名義預金等の帰属
(2)税務訴訟資料第266号を収録中
税務大学校のホームページに公表された税務訴訟資料第266号の編集・収録
作業を引き続き行っています。
≪検索方法≫ 【キーワード】 ★税資266号 (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
現物割引債券及び孫名義定額貯金の帰属と使用貸借に係る不動産の評価
(平29-11-24 東京地裁 棄却・確定 Z888-2179)
本件は、相続人の1人である原告が、相続税の申告をしなかったところ、処分
行政庁から相続税の決定処分等を受けたことにつき、納付すべき相続税はないと
主張して、その決定処分等の取消しを求めた事案です。
争点のうち、「現物割引債券」の帰属については、被相続人が原告に対して贈
与した事実は認められないと判断され、「孫名義定額貯金」の帰属については、
原資の出捐者、名義人との関係、財産の管理状況、利益の帰属に関する関係者の
認識等に関する事情を総合考慮すると、被相続人に帰属すると判断されました。
また、「不動産の評価」について、原告は、三田に所在する建物に関するD(
被相続人と内縁関係にあった者)の使用借権は、生活費に相当するものであり、
Dが死亡するまで立ち退きを求められない旨の公正証書も存在する点などにおい
て、通常の使用貸借契約よりも強力であり、形式的に評価通達を適用することは
違法であると主張しましたが、裁判所は、次のとおり判断し請求を棄却しました。
相続開始日における三田建物に係る使用貸借契約の効力を通常よりも強める事
情に当たるとまではいえず、借主の死亡により当然に終了するとされる通常の使
用貸借契約とさしたる相違はないと解されるから、本件において、所定の評価方
法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情があるとま
ではいえない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z888-2179