2018年06月14日
【1】今週のお知らせ
税務訴訟資料第266号を収録中
現在、税務大学校ホームページに公表された税務訴訟資料第266号を編集・
収録中です。収録したものの一部を紹介いたします。
【所得税】
・H28-11-29 佐賀地裁 棄却・控訴 Z266-12938
行為計算否認/医師が同族会社に支払った高額な不動産賃借料
【法人税】
・H28-11-25 宮崎地裁 棄却・控訴 Z266-12937
青色取消しと重加算税/買掛金弁済の原資とするために行われた養殖
魚の架空取引
【相続税】
・H28-11-17 大阪地裁 棄却・控訴 Z266-12935
連帯納付義務に基づく督促処分の適法性/贈与税申告の無効確認等
このほかの収録済の税務訴訟資料第266号は、下記のキーワードで検索する
ことができます。
≪検索方法≫ 【キーワード】 ★税資266号
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:市野瀬 啻子)
刑事事件/馬券払戻金を除外した虚偽申告/銀行調査における違法の程度
(平30-05-09 大阪地裁 有罪 Z999-9156)
本件は、被告人が、馬券の払戻金による一時所得を除外した虚偽の所得税の確
定申告をし、平成24年分及び平成26年分の所得税額合計6200万円余りを
ほ脱したという事案です。弁護人は、被告人の脱税が発覚した経緯につき、査察
官の査察調査の際にいわゆる横目調査あるいは悉皆調査といったプライバシー等
を侵害する重大な違法調査がなされた可能性が否定できないと主張しました。
本件発覚の端緒は、A銀行B支店の被告人名義の普通預金口座に日本中央競馬
会から2億3000万円余りの高額の振込入金がなされていることなどを、別件
犯則事件につき同支店に対する金融機関調査を行っていた大阪国税局査察官Cが
発見したことによる。Cは、別件犯則事件においてB支店を調査対象とした具体
的事情等について、「職務上の秘密」を理由に証言を拒絶している。
B支店において行われた別件犯則事件の調査については、その対象範囲の絞り
込みが不十分であった疑いは否定できないが、金融機関調査は別件犯則事件の調
査の一環として、銀行側の協力の下で行われた任意調査であり、確認すべき口座
情報の範囲についても銀行側の了解を得ていると認められることなどの事情に照
らすと査察官の行った調査における違法の程度は重大とまではいえない。
そうすると、銀行口座の情報を基に作成された査察官調査書の証拠能力を否定
しなければならないほどの重大な違法は認められない。
≪検索方法≫ 【キーワード】 Z999-9156