2018年05月24日
【1】今週のお知らせ
(1)税務訴訟資料第266号が公表されました。
国税庁の<税務大学校>のホームページに、平成28年1月~平成28年12
月までの税務訴訟資料第266号171件が公表されました。現在編集を行って
おり、順次収録予定です。
(2)先週(5月14日~5月18日)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・H27-10-05 裁決 棄却 F0-1-776
収入を得るために支出した金額/受取人以外の法人が支払った保険料
【法人税】
・H29-06-09 裁決 棄却 F0-2-729
行為主体/売上除外金額の認定と元役員が受領したリベート収入
【相続税】
・H29-06-22 裁決 棄却、却下 F0-3-550
更正の請求の特則/遺産分割審判の確定/「事由が生じたことを知った日」
・H24-09-07 裁決 棄却 F0-3-328
無申告加算税/信託の残余財産受益権に係る「相続の開始があったことを知っ
た日」
(税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:藤原 眞由美)
みなし譲渡~無償返還届出の有効性と土地の時価
(平29-06-27 非公開裁決 棄却 F0-1-774)
本件は、請求人らが、亡父(被相続人)の不動産の譲渡所得について、準確定
申告をしたところ、原処分庁が、平成24年の譲渡は法人(代表者は被相続人)
に対するものであり、その譲渡価額が不動産の譲渡の時における価額の2分の1
を下回っているから、譲渡所得の収入金額は、譲渡の時における価額であるとし
て、更正処分等をした事案です。被相続人とその母は、平成6年に法人と不動産
の賃貸借契約を締結し、それに基づき無償返還届出書を提出していました。
審判所は、次のように無償返還届出を有効と認め、請求を棄却しました。
本件売買契約までの間に、平成6年契約の解約申入れや解除がされたとは認め
られないことからすると、平成6年契約は、売買契約時においてもなお有効であ
ったと認められ、平成23年契約は平成6年契約の内容に必要な範囲で一部追加、
変更を加えたものとみるべきである。そして、売買契約までの間に無償返還届出
と異なる合意がされたとの事情も見当たらない。そうすると、本件無償返還届出
は、売買契約時においても有効であったと認められる。
本件における評価は、土地所有者たる被相続人が借地人たる本件法人に売却す
る際の時価を求めるものであり、賃貸されていることに伴う制約等を考慮する必
要はない上、土地上に存する権利をしんしゃくせず更地として評価すべきである
から、自用地として評価することが相当である。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-774