TAINSメールニュース No.357 2018.5.10 発行(社)日税連税法データベース

2018年05月10日

【1】今週のお知らせ
  先週(5月1日・2日)収録した内容の一部を紹介します。
 
 【所得税】
 ・H29-02-15 裁決 棄却 F0-1-771
  取得費/土地の持分取得のため親族に支払った金員
 ・H29-05-08 裁決 棄却、却下 F0-1-772
  無申告加算税の正当な理由/上場株式等の譲渡所得の期限後申告
 ・H29-05-08 裁決 棄却 F0-1-773
  上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
 ・H19-03-23 裁決 一部取消し F0-1-775
  源泉徴収義務/著作権の使用料
 
 【相続税】
 ・H29-01-06 裁決 棄却 F0-3-544
  更正の請求の特則/請求期限の徒過・相法32条の「事由が生じたことを知っ
  た日」
 ・H29-01-12 裁決 棄却 F0-3-545
  更正の請求の特則/更正の請求事由・「財産の分割」及び「判決」該当性
 ・H29-01-12 裁決 却下 F0-3-546
  審査請求/異議申立前置
                        (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等         (税法データベース編集室:小菅 貴子)
  寄附金控除/地方公共団体に贈与した財産に係る寄附金の額
 (平29-03-08 非公開裁決 棄却 F0-1-758)
  本件は、原処分庁が、亡夫が地方公共団体に贈与した財産(本件資料)に係る
 寄附金の額は、所得税基本通達38-16に基づき算定した金額(概算取得費)
 であるとする処分をしたことに対し、請求人がその取消しを求めた事案です。
  亡夫は本件資料を地方公共団体に贈与していることから、所得税法59条1項
 1号の規定によって、本件資料の譲渡があったものとみなされるところ、措置法
 40条1項の規定により譲渡所得は生じず、他方、寄附金控除を受ける場合の特
 定寄附金の額は、措置法40条19項の規定により、本件資料の取得費及び贈与
 に要した費用の額の合計額となります。審判所の判断は次のとおりです。
 
  本件通達は、納税者の利便も考慮し、取得費の額が不明であるか又はその計算
 が困難である場合には、納税者の利益に反しない限り、簡便な計算方法によるこ
 とを認めるものであり、措置法40条19項の適用がある場合の寄附金控除につ
 いても、概算取得費の額を取得費の額とすることは相当であると認められる。
  本件資料の取得費の額は不明であり、取得費の額を証する証拠はないことから、
 寄附金控除について概算取得費の額を取得費の額とすることは納税者の利益にも
 反しない。そして、本件資料の贈与時における価額は、学識経験者である資料評
 価委員による評価額である655万1900円とみることが相当であるから、本
 件資料の取得費の額は、収入金額を655万1900円として、その100分の
 5に相当する32万7595円であると認められる。
 ≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-1-758