2018年04月19日
【1】今週のお知らせ
先週(4月9日から13日まで)収録した判決・裁決の一部を紹介します。
【所得税】
・H29-01-24 東京地裁 棄却・確定 Z888-2163
所得区分/海外不動産投資事業/米国ワシントン州LPSの法人該当性
・H29-03-17 裁決 棄却 F0-1-750
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
・H29-03-29 裁決 棄却 F0-1-754
外国税額控除/確定申告を要しない配当所得
【相続税】
・H28-10-17 裁決 棄却・却下 F0-3-538
土地の評価/「特別の事情」の有無・鑑定評価の合理性
・H28-10-21 裁決 棄却 F0-3-539
更正の請求/後発的事由/再生債権(貸付金債権)の額をゼロとする査定決定
【他国税】
・H28-10-14 裁決 却下 F0-6-020
自動車重量税/審査請求の対象/処分の不存在
【その他】
・S59-07-12 東京地裁 棄却・確定 Z999-5397
相続財産法人の不当利得返還請求/夫婦の生活費(共有財産)・葬式費用の負
担 (税法データベース事務局)
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【2】今週の判決等 (税法データベース編集室:依田 孝子)
みなし贈与~請求人所有の居宅に係る改修工事費用を母親が負担した場合~
(平29-05-24 非公開裁決 棄却 F0-3-533)
この事案は、原処分庁が、請求人の母が行った請求人所有の建物(本件居宅)
の改修工事によって、請求人が改修工事部分の所有権を取得したと解した上で、
請求人に対し、その部分の所有権に相当する経済的利益を贈与により取得したも
のとして、みなし贈与課税(相法9)をしたことから争われたものです。
審判所は、次のとおり判断し、みなし贈与課税は適法であるとしました。
改修工事のうち、照明器具等及びその取付工事等を除いた工事部分については、
本件居宅から容易に取り外せず、本件居宅の構成部分となっているもの、又は社
会通念上本件居宅の一部分と認められるべきものであって、取引上の独立性を有
しないといえるから、本件居宅への付合(民法242)が成立する。
その付合部分については、本件居宅の所有者である請求人がその所有権を取得
し、付合部分の工事費用を負担した母は、請求人に対し、民法第248条に基づ
き、付合により生じた損失に相当する費用について償還請求することができるが、
母には、請求人に対する費用償還請求権を行使する意思はおよそなく、当該権利
を放棄していたと認められ、結局、請求人は付合による所有権取得に見合う債務
を何ら負担していないということができる。
したがって、付合部分については、請求人は、付合が成立した時点で、母から
相続税法第9条に規定する「対価を支払わないで‥利益を受けた」といえる。
≪検索方法≫ 【キーワード】 F0-3-533